苦あれば楽あり
(くあればらくあり)

 ⇒「楽あれば苦あり

食い物の恨みは怖い
(くいもののうらみはこわい)

 食べ物に関する恨みは深く、いつまでもしつこく残るから怖いということ。

空空寂寂
(くうくうじゃくじゃく)

 この世のものは形のあるなしに関係なくすべて「空」であるということ。転じて、何事にもとらわれず、無心なさま。無反応・無関心であること。

空穴来風
(くうけつらいふう)

 隙間があるから穴に風が入ってくる。隙を見せるから噂が流れる。火のない所には煙りは立たないということ。

空谷足音
(くうこくそくおん)

 ⇒「空谷の跫音

空谷の跫音
(くうこくのきょうおん)

 人気のない寂しい谷間に響く足音。転じて、寂しく独り暮らしをしているときに、思いがけなく人が訪れたり便りが届いたりする喜びを言う。『荘子・徐無鬼』に「それ虚空に逃れたる者は、火との足音の跫然きょうぜんたるを聞きて喜ぶ」とあるのに基づく。

同意語: 「空谷くうこくの足音」、「空谷足音」

空前絶後
(くうぜんぜつご)

 これまでにも一度も経験がなく、今後も絶対にありえないと思われるような珍しくて貴重なこと。

空中楼閣
(くうちゅうろうかく)

 空想的で現実性の乏しい考えや議論。やってもできそうにない無理な空論。

空腹にまずい物なし
(くうふくにまずいものなし)

 ⇒「空き腹にまずい物なし

空腹は最高のソース
(くうふくはさいこうのソース)

 腹が減っているときは、何を食べてもうまいということ。空腹はどんなにまずい料理でも美味にしてしまう魔法のソース。西洋のことわざから出た。“Hunger is the best sauce.”

同意語: 「空き腹にまずい物なし」、「空腹は最高のスープ」
類語: 「飢えては食を択ばず

空理空論
(くうりくうろん)

 理屈は通っていても現実から懸け離れていて、実際には役立ちそうもない理論や議論。

久遠実成
(くおんじつじょう)

 真実の仏は、久遠の昔に成仏している。歴史的人物としての釈尊は、実際には永遠の昔から成仏していて、根本的な悟りそのものになっていた、ということ。

苦髪楽爪
(くがみらくづめ)

 苦労の多いときは髪の毛が早く伸び、楽をしているときは爪が早く伸びるということ。苦楽ともに、忙しいときは余裕がなく、どちらも伸び放題になってしまう。

同意語: 「楽髪苦爪」

公家にも襤褸
(くげにもつづれ)

 高貴な人も粗末な衣服をまとっていれば下品に見えるということ。「襤褸」は継ぎはぎだらけの破れ衣。「馬子まごにも衣装」と続けて言うこともある。

愚公移山
(ぐこういざん)

 ⇒「愚公山を移す

愚公山を移す
(ぐこうやまをうつす)

 どんなに大きな事業でも、たゆまずに努力すれば必ず成し遂げられるということ。九十歳になんなんとする愚公ぐこう老人が、ある日家の前にある山が邪魔だから切り崩してしまおうと言い出した。さっそく一家総出で山を崩しにかかったのだが、土木作業機械もない昔々のこと、作業は遅々として進まない。しかし愚公は「なに、わしの代で終わらなければ子もいるし孫もいる。山はもう大きくはならないのだから、仕事を子々孫々に継いでいけばいつかは山も平らになる」と一向にひるまなかった。山の神からその話を聞いた天帝は愚公の誠心に感じ入り、一夜のうちに山を移したという。『列子・湯問』の故事に基づく。

同意語: 「愚公移山」

臭い物に蠅がたかる
(くさいものにはえがたかる)

 悪臭のするところには不潔な蠅がたかるように、悪い奴のもとには悪い仲間が集まるということ。京都系いろはがるたにある句。

類語: 「腐った物に虫がわく」

臭い物に蓋
(くさいものにふた)

 悪事や醜聞が他にもれないように、一時しのぎの手立てで隠すこと。

同意語: 「臭い物には蓋をする」

臭い者身知らず
(くさいものみしらず)

 他人にはすぐ目につく欠点だが、ご本人はなかなか自分の欠点に気づかないということ。人は自分の放つ悪臭には鈍感なものである。

類語: 「我が身の臭さ知ることなし」、「自分の尻糞は見えぬ」、「自分の糞は臭くない」

腐っても鯛
(くさってもたい)

 元来優れたものは、多少痛んだところでそれなりの価値があるということ。

類語: 「痩せても枯れても武士は武士」、「沈丁花じんちょうげは枯れてもかんばし」、「破れても小袖」

草を打って蛇を驚かす
(くさをうってへびをおどろかす)

 何気なくした行為が思いがけない結果を生ずること。また、一人を懲らしめて、それと関係する他の人をも戒めること。

類語: 「藪をつついて蛇を出す」、「藪蛇」

草を結ぶ
(くさをむすぶ)

 死後に恩返しをするたとえ。中国の春秋時代、しん魏顆ぎかは父の死後、その妾を他家に嫁がせた。父の臨終の遺言は殉死させよだったが、生前他家へ嫁がせよと言っていたので、それに従ったのである。その後、晋はしんと戦った。戦場で秦の勇将杜回とかいとまみえた魏顆は、戦場の草という草が結ばれているのに難渋した杜回を討ち取ることが出来た。戦場の草を結んだのは、かの妾の父親であり、娘の恩に報いたのだった。

孔子の倒れ
(くじのたおれ)

 孔子でもときには躓いて倒れることがある。どんなに優れた人であっても、ときには失敗することもあるというたとえ。「くじ」は孔子(こうし)の呉音ごおん読み。

類語: 「猿も木から落ちる」、「弘法にも筆の誤り

愚者一得
(ぐしゃいっとく)

 ⇒「愚者も一得

愚者も一得
(ぐしゃもいっとく)

 愚かな者でも、一つぐらいは用いるべき名案を生むことがあるということ。『史記・淮陰公伝』の「智者も千慮せんりょに必ず一矢あり、愚者も千慮に必ず一得あり」に基づく。

同意語: 「愚者一得」、「千慮の一得
類語: 「千慮の一失」、「千慮の一得」、「馬鹿と鋏は使いよう

苦尽甘来
(くじんかんらい)

 苦しい時が去って、やっと楽しい日が訪れること。

類語: 「一陽来復

苦心惨憺
(くしんさんたん)

 心を砕いて苦労を重ね、困りながらも、あれこれと工夫を凝らすこと。

薬九層倍
(くすりくそうばい)

 薬の値段が原価に比べて非常に高いことから、暴利をむさぼることを難じて言う。

類語: 「魚三層倍」、「呉服五層倍」、「百姓百層倍」、「坊主丸儲け

薬人を殺さず薬師人を殺す
(くすりひとをころさずくすしひとをころす)

 ものは使いよう。使う人次第では、それが毒にも薬にもなるということ。薬を飲んで死ぬことがあっても、薬に罪はなく、問われるのは薬を調合したり服用させたりした医師の責任であるとして言う。

薬も過ぎれば毒となる
(くすりもすぎればどくとなる)

 効き目のある薬も度を過ごせば毒になる。どんなに良いものでも、限度を越せば害になるということ。

類語: 「過ぎたるはなお及ばざるがごと

癖ある馬に能あり
(くせあるうまにのうあり)

 一癖ある者には必ずどこかに取り柄があるということ。人を噛んだり蹴ったりする馬は、かえって千里の駒となる素質をうちに秘めているのかもしれないの意で言う。

管の穴から天を覗く
(くだのあなからてんをのぞく)

 細い管の穴から天を覗いてみても、天のほんの一部しか見えない。狭い見識で大きな物事を論じてみても、その真相は分からないということ。見識が狭いことのたとえ。

同意語: 「管を以って天を窺う
類語: 「葦の髄から天上覗く」、「針の穴から天を覗く

口が煩い
(くちがうるさい)

 細かいことをあれこれと言う。

口が過ぎる
(くちがすぎる)

 余計なことを言い過ぎる。

口が減らない
(くちがへらない)

 口が達者である。

口から出れば世間
(くちからでればせけん)

 どんな秘密でも、ちょっと話せば世の中に公表したのと同じだということ。

類語: 「人の口に戸は立てられぬ」、「も舌に及ばず

口が悪い
(くちがわるい)

 あからさまにけなすくせがある。

朽ち木は柱にならぬ
(くちきははしらにならぬ)

 腐った木が柱には使えないように、根性の腐った者は使いものにならない。

類語: 「朽木きゅうぼくるべからず

口自慢の仕事下手
(くちじまんのしごとべた)

 口は達者だが、仕事はまるでだめなこと。口の割りには手が動かぬことを言う。

類語: 「口叩きの手らず」、「多弁に能なし

口では大阪の城も建つ
(くちではおおさかのしろもたつ)

 言うだけなら、何でもできるということ。話だけなら壮大な大阪城も簡単に造れそうだが、いざ実行となれば容易なことではない。

類語: 「言うは易く行うは難し」、「口では親船も造る」

口と財布は締めるが得
(くちとさいふはしめるがとく)

 おしゃべりは慎み、むだ遣いは控えるのがよい。多弁も浪費も決して得にはならないと戒める。英語で言う“Keep your purse and mouth close.”も同様に訳すことができる。

口に乗る
(くちにのる)

 甘言に騙される。口車に乗る。

口に蜜あり腹に剣あり
(くちにみつありはらにけんあり)

 口先は優しくて親切だが、心中には相手を陥れようとする陰謀が渦巻いているということ。

類語: 「笑中の剣」

口は禍の門
(くちはわざわいのもん)

 うっかりしゃべったことが誤解を招き、思わぬ災難を招くということ。『古今事分類聚』に「口はれ禍の門、舌は是れ身を斬るの刀」とあるに基づく。

同意語: 「口は禍のもと」、「口は善悪の門」、「舌は禍の根」
類語: 「禍は口より出づ」、「病は口より入り禍は口より出づ」、「物言えば唇寒し秋の風」、「雉も鳴かずば撃たれまい

唇亡びて歯寒し
(くちびるほろびてはさむし)

 互いに持ちつ持たれつの一方が滅びれば、他の一方も危うくなるということ。『左伝・僖公五年』に「斉晋せいしんくちびるなり。脣滅びて歯寒きは、君の知る所なり」とあるのに基づく。

同意語: 「唇つきて歯寒し」、「唇歯しんし輔車ほしゃ

口も八丁手も八丁
(くちもはっちょうてもはっちょう)

 しゃべることも達者なら、することも達者であるということ。弁も立ち腕も立つ器用さを、軽々しいとけなして言う。

同意語: 「口八丁手八丁」

靴を隔てて痒きを掻く
(くつをへだててかゆきをかく)

 ⇒「隔靴掻痒

苦肉の策
(くにくのさく)

 自分の身をも犠牲にしてまでめぐらす策。考えあぐね、苦労した末に考え出した策略のこと。

同意語: 「苦肉の計」

国乱れて忠臣見る
(くにみだれてちゅうしんあらわる)

 国家が乱れたときに、真にその国を思う忠臣は誰であるのかがはっきりするということ。『史記・魏豹伝』に「天下昏乱こんらんして、忠臣すなわち見わる」とあるのによる。

同意語: 「世乱れて忠臣をる」

国破れて山河在り
(くにやぶれてさんがあり)

 戦乱によって国は滅びても、山も川も自然の姿を昔のままに残しているではないか。至徳二年(757年)、安禄山あんろくざんの乱に巻き込まれた杜甫とほは、陥落した長安の都に幽閉されながら春を迎えた。その感慨をんだ「春望」の冒頭に、「国破れて山河あり、城春にして草木深し」とある。

狗馬の心
(くばのこころ)

 自分の誠意の謙称。犬や馬が、自分を養ってくれた主人に対し、恩を忘れず仕えるように、ささやかながら恩返しをさせて頂くという意味。

苦は楽の種
(くはらくのたね)

 ⇒「楽は苦の種苦は楽の種

首が繋がる
(くびがつながる)

 免職・解雇されずにすむ。

首が飛ぶ
(くびがとぶ)

 免職・解雇される。

首が回らない
(くびがまわらない)

 借金が返せなくて困窮する。

狗尾続貂
(くびぞくちょう)

 つまらない者が高位高官に列したことを風刺する言葉。「貂」はテンのことで、最高級の毛皮となる。

首振り三年ころ八年
(くびふりさんねんころはちねん)

 尺八を吹くのに、首を振って音が出せるようになるのに三年かかり、ころころと良い音色を出すには八年かかる。どんな道でも、相応の腕になるには長い修行が必要だということ。

類語: 「ぽつぽつ三年波八年

首を挿げ替える
(くびをすげかえる)

 人事の更迭をする。

首を縦に振る
(くびをたてにふる)

 うなずいて承知する。

首を突っ込む
(くびをつっこむ)

 あることに深入りする。

求聞持法
(ぐもんじほう)

 虚空蔵求聞持法の略。虚空蔵菩薩を本尊として修行することで、頭脳を明快にし、記憶力を増大するものとされる。空海が入唐前に勤操から授かって修行したとされる妙法。

暗がりから牛
(くらがりからうし)

 はっきりと識別できないことのたとえ。また、動作がのろく、はきはきしないことのたとえ。

同意語: 「暗がりから牛を引き出す」、「闇から牛を引き出す」

暗闇の鉄砲
(くらやみのてっぽう)

 闇の中で照準を定めずに鉄砲をぶっ放す。あてずっぽうに事を行うこと。また、向こう見ずな行為のたとえ。

同意語: 「暗がりの鉄砲」、「闇夜に鉄砲」、「闇夜の鉄砲」

苦しい時には親を出せ
(くるしいときにはおやをだせ)

 言い訳に困ったときは、親を口実にすれば何とかなるものだということ。

同意語: 「せつない時は親を出せ」、「叶わぬ時は親を出せ」

苦しい時の神頼み
(くるしいときのかみだのみ)

 ふだんは不信心の者も、困窮したり災難に出会ったりすると、助けを求めて神仏に祈るということ。切羽詰ったときだけ神仏にすがろうとする人間の身勝手を言う。

同意語: 「叶わぬ時の神叩き」、「叶わぬ時の神頼み」

クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう
(くれおぱとらのはながもうすこしひくかったら、せかいのれきしはかわっていただろう)

 もしクレオパトラが美貌とは縁のない女性だったなら、世界史も今とは異なるものになっていたに違いない。古代エジプトの女王クレオパトラがローマの独裁者カエサル(英語名、シーザー)を惑わし、その武将アントニウスを魅了したことによって、全世界が変わってしまったように、壮大なローマも所詮は美女の鼻先で操られたとして、人間の営為のむなしさを言う。パスカルの『パンセ』にあることば。

紅は園生に植えても隠れなし
(くれないはそのうにうえてもかくれなし)

 才能の優れた者は、どこに置こうと光彩を放つものだということ。色鮮やかな紅花は、百花繚乱庭の中、隠れて咲いてもすぐ分かる。

暮れぬ先の提灯
(くれぬさきのちょうちん)

 無用の手回しばかりがよくて、どこか間が抜けているということ。まだ日の暮れないうちから、提灯に灯をともして歩く。

君子危うきに近寄らず
(くんしあやうきにちかよらず)

 君子は身を慎み、めったやたらに危険な所に近寄ろうとはしないものだ。「君子」は徳を備えた人格者。

君子固窮
(くんしこきゅう)

 君子といえども人間、もちろん困窮することもあるという意味。

君子三戒
(くんしさんかい)

 教養人として、一生の間にその年齢に応じて慎むべき三つの留意点のこと。

君子殉名
(くんしじゅんめい)

 ⇒「君子は名に殉ず

君子の交わりは淡きこと水の若し
(くんしのまじわりはあわきことみずのごとし)

 君子の交際は水のように淡白だが、その友情はいつまでも変わることなく続くということ。『荘子・山木』に「君子の交わりは淡きこと水の若く、小人の交わりは甘きことあまざけの若し」

同意語: 「交淡如水」

君子不器
(くんしはうつわならず)

 ⇒「君子は器ならず

君子は憂えず懼れず
(くんしはうれえずおそれず)

 君子は省みてやましいところがないのだから、いたずらに不安を覚えることもなければ、びくびくと恐れることもない。「君子とはどのような人を言うのですか」と問われた孔子が、弟子の司馬牛しばぎゅうに答えたことば。『論語・顔淵』に見える。

君子は屋漏に愧じず
(くんしはおくろうにはじず)

 君子は人の見ていない所でも行いを慎み、良心に恥じるようなことはしないものだ。『詩経・大雅』にあることば。「屋漏」は部屋の西北の隅。屋内の最も奥に当たり、古代はここに土地神を祭った。転じて、人目につかない所をいう。

類語: 「君子は独りを慎む

君子は器ならず
(くんしはきならず)

 君子の器量は極めて広く、一つの技、一つの芸に偏ることがないということ。『論語・為政』にあることば。すべての器物はある用途のために作られ、その用途のためにだけ使われるが、君子はそうではないとして言う。

同意語: 「君子不器」

君子は義に喩り小人は利に喩る
(くんしはぎにさとりしょうじんはりにさとる)

 君子は道理に合った正しい道に敏感だが、小人は利にばかりさといものだ。『論語・里仁』にあることば。「君子」が徳を備えた人格者なら、「小人」は徳に乏しい小人物。小人はどうしても自分の損得ばかりを考えたがる。

君子は言に訥にして行いに敏ならんと欲す
(くんしはげんにとつにしておこないにびんならんとほっす)

 教養のある人間は、言葉は少なくして、行動は機敏でありたいと願っているということ。口先よりも実行することを重んじるということ。

君子懐徳
(くんしはとくをおもう)

 立派な人間は、徳を修め磨くことを心掛ける。

君子は名に殉ず
(くんしはなにじゅんず)

 君子は自分の名誉を守るためならば身を犠牲にする。

同意語: 「君子殉名」

君子は独りを慎む
(くんしはひとりをつつしむ)

 君子は自分が一人だけでいる時も、心を正しく持ち言動をつつしむ。『大学』にあることば。

同意語: 「君子慎独」
類語: 「君子は屋漏に愧じず

君子慎独
(くんしはひとりをつつしむ)

 ⇒「君子は独りを慎む

君子は豹変す
(くんしはひょうへんす)

 (1)君子は過ちと知ればすぐにそれを改め、きっぱりと正しい道に戻るものだ。
 (2)変わり身が早く、無節操なさまをいう。
 『易経・革』に「君子は豹変す、小人は面をあらたむ」とあるのによる。「豹変」は豹の鮮やかな斑模様のように、はっきりと誤りを正すこと。


同意語: 「君子豹変」

君子は交わり絶ゆるとも悪声を出さず
(くんしはまじわりたゆるともあくせいをいださず)

 君子はたとえ交際を絶ったとしても、決して相手の悪口は言わない。『史記・楽毅伝』に「古の君子は、交わり絶ゆるも悪声を出さず。忠臣は国を去るもその名を潔くせず」とあるのによる。「悪声」は悪い噂や悪い評判。

同意語: 「君子は交わりを絶つも悪声を出さず」

君子は和して同ぜず小人は同じて和せず
(くんしはわしてどうぜずしょうじんはどうじてわせず)

 優れた人間は人との和を重んじて付き合うが、理に反してまではむやみに同調しない。反対に、つまらぬ人間はやたら人と同調するば、利害が相反すると離れていってしまうということ。

君子豹変
(くんしひょうへん)

 ⇒「君子は豹変す

葷酒山門
(くんしゅさんもん)

 ⇒「葷酒山門に入るを許さず

葷酒山門に入るを許さず
(くんしゅさんもんにいるをゆるさず)

 不浄なものや心を乱すものは仏道の妨げとなるから、清浄な寺に持ち込んではならないということ。「葷」はねぎ、ニラ、ニンニクの類。仏門では香りの強い野菜は不浄とされた。

同意語: 「葷酒山門」

君辱臣死
(くんじょくしんし)

 ⇒「君辱めらるれば臣死す

君側の悪
(くんそくのあく)

 君主のそばにいる悪人。悪だくみを抱く側近の家来をいう。

薫陶成性
(くんとうせいせい)

 すぐれた人間を作ること。「薫陶」は、火で香りをたきこませたり、土をこねて陶器を作ったりするように、徳の力で人を感化し、教育すること。

群分類聚
(ぐんぶんるいじゅう)

 異なるものを分けて、同類のものを集めること。大別分類、整理淘汰という意味。

郡盲象を撫でる
(ぐんもうぞうをなでる)

 人がそれぞれの五感や知識に基づいて真理を語ろうとしても、言及できるのはその一端にしか過ぎないということ。目の見えない人たちが象の体を撫で回し、それぞれが手に触れた部分から象は太い綱のようだ、杖のようだ、太鼓のようだと見当違いの批評をしたという、仏典『六度経』にある寓話から。

同意語: 「群盲評象」、「郡盲象を評す」、「郡盲象を模す」

群盲評象
(ぐんもうひょうぞう)

 ⇒「郡盲象を撫でる

群雄割拠
(ぐんゆうかっきょ)

 多くの実力者が各地でそれぞれに勢力をふるい、対立しあうこと。戦国時代に多くの英雄が各地に本拠を構え、対立していたことからいう。

群羊を駆って猛虎を攻む
(ぐんようをかってもうこをせむ)

 弱い者を寄せ集めて、巨大な敵に立ち向かうこと。『戦国策・楚』にあることば。羊の群れを追い立てて猛々しい虎を襲うの意から言い、とても勝ち目はないの意でも使う。

群竜無首
(ぐんりゅうむしゅ)

 多くの竜がいても、頭目の竜がいない。指導者を欠き、物事がうまく運ばないたとえ。