才余りありて識足らず
(さいあまりありてしきたらず)

 才気はあり余るほどあるが、見識が足りない。才人の自己過信を戒めるときにも用いる。

類語: 「才子才に倒れる

塞翁が馬
(さいおうがうま)

 人の吉兆・禍福は予測しがたいということ。また、それは予測しがたいものであるから、禍福に一喜一憂するのは賢いことではないということ。『淮南子・人間訓』にある故事に基づく。国境の塞近くに住む、占いの巧みな老人(塞翁)の持ち馬が胡の国に逃げた。気の毒がる人に老人は「これが幸福の基となる」といったところ、やがてその馬が胡の駿馬を連れて戻ってきた。これを福として、祝いを述べにきた人に老人は「これが不幸の基となる」と言った。老人の家は良馬に恵まれたが、今度はその子が馬から落ちて足の骨を折ってしまった。これを見舞った人に老人は「これが幸福の基となる」といった。一年後胡軍が大挙して侵入し、若者のほとんどが戦死した。しかし、足を骨折したためにその子は戦わずに済んだので、親子ともども無事であったという。

同意語: 「人間万事塞翁が馬」
類語: 「禍福は糾える縄の如し」、「善の裏は悪

採菓汲水
(さいかきっすい)

 仏に供えるために、木の実を採り、花を摘み、水を汲むこと。仏道修行のたとえ。

才気煥発
(さいきかんぱつ)

 頭の働きが速く優れていること。才能が光り輝き目立つこと。才気が盛んに外に現れる様子。

細工は流流仕上げを御覧じろ
(さいくはりゅうりゅうしあげをごろうじろ)

 やり方は流儀によって色々あるのだから、途中で口出ししないで、仕上げをとくと見てくれの意。自信のほどを示して言うことばであるが、途中での口出しを戒めることばともする。

歳月人を待たず
(さいげつひとをまたず)

 年月は人の都合などにはお構いなしにどんどん過ぎ去ってゆくものだ。若いときにはやるべきことを努力してやれの意で使うが、本来は、人生はすぐに過ぎ去ってしまうものだから、酒の飲める若いうちに大いに飲んで楽しむのがよいの意。

同意語: 「時は人を待たず」
類語: 「うかうか三十きょろきょろ四十」、「月日に関守なし」、「光陰矢の如し」、「歳月流るるが如し」、「昨日の少年今は白頭はくとう」、「少年老い易く学成り難し」、「白駒のげきを過ぐるが若し

最後に笑う者が最もよく笑う
(さいごにわらうものがもっともよくわらう)

 最後の結果に満足して笑うのが最上だということ。最初に笑っても最後に泣いたのでは成功したとは言えない。物事の成否は最後こそが肝心といった意味合いで使う。

類語: 「最初の哄笑より最後の微笑」、「勝者は笑う」

才子佳人
(さいしかじん)

 才能のある男と美女。好一対の取り合わせの男女にいう。

才子才に倒れる
(さいしさいにたおれる)

 優れた才知を持っている人は、自己過信に陥ってとかく失敗するものだ。

同意語: 「才知は身の仇」
類語: 「芸は身を破る」、「才余りありて識足らず」、「策士策に溺れる」、「策士策に倒れる」

才子多病
(さいしたびょう)

 才子はとかく病気がちであるということ。ときに病気がちの人を慰めることばともする。

同意語: 「才子短命」
類語: 「佳人薄命」、「天は二物を与えず

載舟覆舟
(さいしゅうふくしゅう)

 君主は人民によって立ち、また、人民によって滅ぶ。人は味方にも敵にもなる。

才色兼備
(さいしょくけんび)

 女性が優れた才能と、そして美しい顔立ちと、両方ともに恵まれていること。

采薪の憂い
(さいしんのうれい)

 自分の病気を遠回しに言う語。病気のためにたきぎを採ることもできないの意。

同意語: 「負薪の憂い」

材大なれば用を為し難し
(ざいだいなればようをなしがたし)

 大人物がなかなか世間にいれられないこと。材木が大きすぎるのは使い難いの意から言う。志が高く世にいれられない人物を慰めることばともする。

採長補短
(さいちょうほたん)

 人の長所を取り入れ、自分の短所を補うこと。人のふり見て我がふり直せ。

賽は投げられた
(さいはなげられた)

 事ここに至った以上は、もはや断行するしかないということ。ポンペイウスと対立したカエサル(シーザー)が、兵を率いてルビコン川を渡りローマに進軍するときに言ったことばとされる。賽はさいころの意。

財宝は地獄の家苞
(ざいほうはじごくのいえづと)

 いくら財宝を蓄えても、結局は死ぬときの置き土産になるにすぎない。蓄財をするのも空しいものだということ。「家苞」は家へ持ち帰る土産。

財布の紐を首に掛けるよりは心に掛けよ
(さいふのひもをくびにかけるよりはこころにかけよ)

 財布を盗まれないように用心するよりは、無駄遣いをしないように用心しろ。「心に掛ける」は「首に掛ける」と対句をなし、紐をかける意と心掛ける意との掛けことばになっている。

竿竹で星を打つ
(さおだけでほしをうつ)

 不可能なことをする愚かしさのたとえ。また、目標に達しないもどかしさのたとえ。

同意語: 「竿の先で星を突く」、「竿竹で星をたたく」
類語: 「すりこぎで芋を盛る」、「すりこぎで腹を切る」、「貝殻で海を干す」

竿の先に鈴
(さおのさきにすず)

 釣竿の先につけた鈴は、いつも揺れて鳴りっぱなしで止まらない。話し出したら止まらないおしゃべりな人のたとえ。京都いろはがるたの一つ。

同意語: 「竿の先の鈴」

魚は殿様に焼かせよ
(さかなはとのさまにやかせよ)

 魚は殿様のようにおっとりした性質の人に焼かせるのがよい。魚はとろ火で、頻繁にひっくり返さずにじっくり焼くと旨く焼き上がることから言う。一方、餅はせかせかと裏返しにして焼くと旨く焼けるとして、「餅は乞食に焼かせよ」と続けて言う。

同意語: 「魚は上臈じょうろうに焼かせよ」、「魚は大名に焼かせよ餅は乞食に焼かせよ」、「餅は下衆に焼かせよ」、「餅は乞食に焼かせよ魚は殿様に焼かせよ」
類語: 「瓜の皮は大名に剥かせよ柿の皮は乞食に剥かせよ」、「柿の皮は乞食に剥かせ瓜の皮は大名に剥かせよ

酒屋へ三里豆腐屋へ二里
(さかやへさんりとうふやへにり)

 田舎の不便な土地を言う。日用品を買うにも、こんなに不便だといった意味合いで使う。

先立つ物は金
(さきだつものはかね)

 何事をするにもまずお金が必要であるということ。「先立つ」は何よりもまず必要だの意。

先棒を担ぐ
(さきぼうをかつぐ)

 ⇒「お先棒を担ぐ

鷺を烏と言う
(さぎをからすという)

 見えすいた嘘を真実であると言い曲げること。また、不合理なことを強引に言い張ること。白い鷺を指して黒い烏だと主張する意から言う。

同意語: 「烏を鷺」、「烏を鷺と言う」、「鷺を烏」、「鷺を烏と言いくるめる」
類語: 「黒を白」、「鹿を指して馬となす」、「雪を墨」、「馬を鹿」、「白を黒」、「のない所に柄をすげる」

先んずれば人を制す
(さきんずればひとをせいす)

 人より先に事を行えば、有利な立場に立つことができるということ。『史記・項羽本紀』に「先んずれば即ち人を制止、後るれば即ち人の制する所となる」とある。

類語: 「先手は万手」

策士策に溺れる
(さくしさくにおぼれる)

 策略に巧みな人は策を用いすぎて、かえって失敗するものだ。

同意語: 「策士策に倒れる」
類語: 「才子才に倒れる

削足適履
(さくそくてきり)

 靴に合わせるために自分の足を削るように、事の本末を誤ること。「履」は靴のこと。

桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿
(さくらきるばかうめきらぬばか)

 桜の枝は剪定せんていのはさみを入れない方がよく、梅の枝はきちんと剪定したほうがよいということ。伸びるに任せた桜は華麗に花を咲かせ、手入れの行き届いた梅は見事な花実をつける。それを知らないのは馬鹿だとして、剪定の選択の大切なことを言う。

酒なくて何の己れが桜かな
(さけなくてなんのおのれがさくらかな)

 花見に酒が欠かせないことを言う。

酒飲み本性違わず
(さけのみほんしょうたがわず)

 酒に酔っても本来その人が持った性質は変わるものではないということ。

同意語: 「酒の酔い本性に違わず」、「生酔い本性違わず」
類語: 「酒酔いが本性を現す」

酒は憂いの玉箒
(さけはうれいのたまははき)

 酒は悩みを払い去ってくれるほうきのようなものだということ。

同意語: 「酒は憂いを払う玉箒」、「憂いを払う玉箒」
類語: 「酒は天の美禄」、「酒は百薬の長」、「忘憂の物

酒は燗肴は刺身酌は髱
(さけはかんさかなはさしみしゃくはたぼ)

 酒を飲むときにはほどよいお燗。肴は刺身、若い女の酌に限るということ。「髱」は日本髪の後ろに突き出た部分。転じて若い女性のこと。

酒は天の美禄
(さけはてんのびろく)

 酒は天から与えられたありがたくもかたじけない棒禄である。酒の美味さ、酔い心地の素晴らしさを賛美して言う言葉。

類語: 「酒は百薬の長」、「酒は憂いの玉箒

酒は百薬の長
(さけはひゃくやくのちょう)

 酒はどんな薬にもまさる最良の薬である。『漢書・食貨志下』にある王莽のことば。

類語: 「酒は天の美禄」、「酒は憂いの玉箒
反意語: 「酒は百毒の長」

雑魚の魚交じり
(ざこのととまじり)

 大物の中に小物が交じっていること。強大な者の仲に身分・能力などで劣る者が不相応に交じっているといった意味合いで使う。

同意語: 「ごまめの魚交じり」
類語: 「目高めだかも魚のうち」、「蝙蝠も鳥のうち

砂上の楼閣
(さじょうのろうかく)

 長続きしないですぐ壊れるもののたとえ。また、実現の可能性のない計画のたとえ。砂の上に建てた高い建物は基礎が安定しないためにすぐに壊れることから言う。

左袒
(さたん)

 味方すること、賛成すること。もとの意味は、左の肩を肌脱ぎにすること。『史記・呂后紀』にある故事で、前漢時代、高祖・劉邦りゅうほうの死後、大尉・周勃が呂氏の反乱を鎮圧しようとして、「呂氏に味方する者は右袒せよ、劉氏に味方する者は左袒せよ」と命を下したところ、全軍左袒したという。

沙中の偶語
(さちゅうのぐうご)

 臣下がひそかに行う謀反むほんの相談。「偶語」は二人が向かい合って話し合うこと。砂の上に座ってひそひそと話し合っている将軍たちを見て、漢の高祖が「あれは何をしているのか」と聞いたところ、留候張良ちょうりょうが「論功行賞が決まらないため、不安のあまり謀反の相談をしているのです」と答えたという、『史記・留候世家』に見える故事に基づく。

同意語: 「沙中の謀」、「沙中語」

鯖を読む
(さばをよむ)

 計算をごまかすことのたとえ。

皿嘗めた猫が科を負う
(さらなめたねこがとがをおう)

 大悪人や張本人は捕まらないで、小物の類ばかりが捕まること。魚を食った猫はとっくに逃げてしまい、後から皿をなめた猫が罪をしょいこむ意から言う。

類語: 「米食った犬が叩かれずに糠食った犬が叩かれる」

去り跡へは行くとも死に跡へは行くな
(さりあとへはいくともしにあとへはいくな)

 後妻に行くときは、先妻と離縁した男のところへ行くのはいいが、死別した男のところへは嫁ぐなということ。妻と死別した男の心の中には、先妻のいい思い出ばかり残っていて、何かと比較されることが多いため。

猿の尻笑い
(さるのしりわらい)

 自分の欠点に気づかずに、他の欠点を馬鹿にすること。猿が自分の尻が赤いのに気づかず、他の猿の赤い尻を笑うの意から言う。

同意語: 「猿の柿笑い」
類語: 「五十歩百歩」、「熟し柿がうみ柿を笑う」、「障子の破れ目から隣の障子の破れ目を笑う」、「不身持の儒者が医者の不養生をそしる」、「目糞鼻糞を笑う」、「蝙蝠が燕を笑う」

猿も木から落ちる
(さるもきからおちる)

 その道に長じた人も、ときには失敗することがあるということ。失敗を慰めることばとも、油断を戒めることばともすることができる。

類語: 「河童の川流れ」、「孔子くじの倒れ」、「弘法にも筆の誤り」、「釈迦にも経の読み違い」、「上手の手から水が漏れる」、「千慮の一失」、「善く泳ぐ者は溺る」、「天狗の飛び損ない」、「竜馬りゅうめつまずき」

去る者は追わず
(さるものはおわず)

 去り行く者はしいて引きとめようとはしないということ。『春秋・公羊伝』に「来たる者は拒むなかれ、去る者は追うなかれ」とあり、また『孟子・尽心下』に「往く者は追わず、来たる者は拒まず」とある。普通下に「来たる者は拒まず」と続けて言う。

去る者は日々に疎し
(さるものはひびにうとし)

 親しく交わった人でも、遠ざかると次第に交情が薄れるものであるということ。死んだ人は年月がたつに従って次第に忘れられるものだの意でも使う。

触らぬ神に祟り無し
(さわらぬかみにたたりなし)

 かかわりさえ持たなければ、災いを受けることはないということ。信心するからこそ、信心が足りないなどとして祟りを受けるのである。難しい事態にはかかわるな、余計なことには手を出すなといった意味合いで使う。

類語: 「近づく神の罰当たり」、「参らぬ仏に罰は当たらぬ」

三雨来たらんとして風楼に満つ
(さんうきたらんとしてかぜろうにみつ)

 何か事件が起ころうとする直前は周りの様子が何となく穏やかでないことのたとえ。

三界に家無し
(さんがいにいえなし)

 ⇒「女は三界に家無し

三界の火宅
(さんかいのかたく)

 人間が生きていくこの世を、紅蓮の炎に包まれて燃え上がる家にたとえた仏教用語。「三界」は一切の衆生が活動する全世界。この世のこと。「火宅」は火に包まれた家。

三寒四温
(さんかんしおん)

 冬季、寒い日が三日続くと、その後四日ほどは暖かい日が続き、これが繰り返される気象現象のこと。

山高水長
(さんこうすいちょう)

 不朽の功績・名誉を、山がいつまでも高くそびえ、川が永久に流れ続けることにたとえた語。

三顧の礼
(さんこのれい)

 目上の人が礼を尽くして仕事を頼むことを言う。三国時代、蜀の劉備りゅうびが貴い身分にもかかわらず、無位無冠の諸葛しょかつ孔明こうめいを自ら三度までも訪ねたという故事に由来する。

同意語: 「三顧」

山紫水明
(さんしすいめい)

 山水自然の景色が清らかで美しいこと。日の光に照り映えて山は紫に流れる川は清らかに澄んで見えること。

三枝の礼
(さんしのれい)

 ⇒「鳩に三枝の礼あり烏に反哺の孝あり

三尺去って師の影を踏まず
(さんじゃくさってしのかげをふまず)

 先生に随行するときは、間隔をとって影を踏まないようについていくべきだの意で、弟子は師を尊んで、礼儀を忘れないようにしなければならないという教え。「三尺」は約90cm。

同意語: 「三尺下がって師の影を踏まず」、「三歩下がって師の影を踏まず」、「七尺去って師の影を踏まず」

三舎を避く
(さんしゃをさく)

 相手を畏れ、敬意をもってこれを避ける。相手に一目置くことのたとえ。「三舎」は昔の中国で軍隊の三日間の行軍距離(九十里)で、その距離だけ恐れはばかって遠くへ退くの意から言う。中国の春秋時代、放浪中だったしんの公子重耳ちょうじ成王せいおうに歓待されたとき、成王が「公子が晋に帰られたらこの私にどんなお返しをしてくれるだろうか」と問うと、重耳は「将来不幸にも晋と楚が兵を交えることがあれば、自分は王との戦いを避けて九十里退きましょう」と答えた。

三十にして立つ
(さんじゅうにしてたつ)

 三十歳になって初めて自己が確立し、独自の立場で思想を語ることができるようになったということ。『論語・為政』にある孔子のことば。

同意語: 「而立」

三十六計逃げるに如かず
(さんじゅうろっけいにげるにしかず)

 あれこれと謀略をめぐらすよりは逃げることが最良の方法である。「三十六計」は昔の兵法にある三十六の計略。転じて、種々の計略。

同意語: 「三十六計逃ぐるを上計となす」、「三十六計逃げるが勝ち」
類語: 「逃げるが勝ち

山椒は小粒でもぴりりと辛い
(さんしょうはこつぶでもぴりりとからい)

 なりは小さくとも気性は才知に優れて侮れないことのたとえ。山椒の身は小粒だが非常に辛いことから言う。

類語: 「小さくとも針は呑まれぬ」

斬新奇抜
(ざんしんきばつ)

 極めて新しく、ふつうの人が思い付かないようなこと。思いもよらないこと。

三寸の舌に五尺の身を亡ぼす
(さんすんのしたにごしゃくのみをほろぼす)

 しゃべり過ぎや不用意な失言から身を滅ぼすことが多いことを言う。また、迂闊うかつな言葉は慎めという戒め。

山中の賊を破るは易く心中の賊を破るは難し
(さんちゅうのぞくをやぶるはやすくしんちゅうのぞくをやぶるはかたし)

 山の中に立てこもっている盗賊を退治するのは簡単だが、心の中に住みついている邪念に打ち勝つのは難しいということ。

山中暦日無し
(さんちゅうれきじつなし)

 山の中に隠居して世間と交わらずにいると、歳月のたつのも忘れるほどだということ。山の暮らしには暦などないの意で、隠者の悠然とした生活を言う。

三度の火事より一度の後家
(さんどのかじよりいちどのごけ)

 女にとっては、三度火事に遭うよりは、夫に死なれて後家になる方がはるかに不幸な出来事であるということ。

三度目の正直
(さんどめのしょうじき)

 占いや勝負事で、最初と二度目の結果は当てにならないが、三度目は確実によい結果が出るということ。

同意語: 「三度目は正直」、「三度目はじょうの目」

三人行えば必ず我が師
(さんにんおこなえばかならずわがしあり)

 三人で一つのことを行えば、自分の手本となる人が一人いて、自分の戒めになる人が一人いる。だから、そこで自分の師を見出したことになるということ。

三人市虎をなす
(さんにんしこをなす)

 嘘であっても大勢の人が言えば、ついには真実だと信じられてしまうということ。町に虎が出たと三人までも言うと、聞く人は事実だと信じてしまうの意から言う。

同意語: 「三人虎をなす」、「三伝の虎」、「市虎三伝」
類語: 「會参そうしん人を殺す」

三人寄れば文殊の知恵
(さんにんよればもんじゅのちえ)

 平凡な人間でも三人集まって知恵を出し合えば、文殊菩薩のようなよい知恵が出るものだということ。「文殊」は知恵をつかさどる菩薩。

類語: 「三人にして迷うことなし」、「三人寄れば師匠の出来」
反意語: 「三人寄っても下種げすは下種」

三年飛ばず鳴かず
(さんねんとばずなかず)

 将来活躍しようとして、じっと機会を待っていること。楚の荘王の部下・伍挙ごきょが、三年もの間享楽にふける王を三年飛びも鳴きもしない鳥に見立てて諫めたところ、王は「この鳥は飛べば天に昇り、鳴けば人を驚かすだろう」と答えて伍挙を退けたが、後日、大夫たいふ蘇従そしょうの諫言に従って放逸な生活をやめ、伍挙と蘇従を重用して国事に専念したという。『史記・楚世家』に見えるが、同様の故事は、主人公をせいの威王に替え、「三年飛ばず又鳴かず」の形で、『史記・滑稽伝』にも見える。

同意語: 「鳴かず飛ばず」

三拝九拝
(さんぱいきゅうはい)

 何度も頭を下げて人に敬意を表したり、物事を頼んだりすること。

三遍回って煙草にしょ
(さんべんまわってたばこにしょ)

 仕事を念入りにやった後で、休息にしよう。夜回りなどが念には念を入れて見回って、その後で休息にしようという意から言う。休むことを急がずにきちんと仕事をせよという教え。

三位一体
(さんみいったい)

 別々の三つのものがしっかりと結びつくこと。三者が心を合わせること。

算を乱す
(さんをみだす)

 算木さんぎを乱したように、人の集団が無秩序に散らばる様子を言う。「算」は算木で、昔中国で数を計算するのに用いた竹の棒のこと。