追根究底
(ついこんきゅうてい)

 事の本質・真相を徹底的に究明すること。根底を追及する。

追従も世渡り
(ついしょうもよわたり)

 お世辞を言ったりして人にびへつらうのも、世渡りの一つの手段であるということ。

追善供養
(ついぜんくよう)

 死者の年忌などに法事を営み、故人の善行を供養すること。

朔日ごとに餅は食えぬ
(ついたちごとにもちはくえぬ)

 いつもよいことばかりはないということ。正月一日に餅が食えたからといって、毎月一日に餅が食えるとは限らない。「朔日(ついたち)」は「つきたち(月立)」の音便。月が出始めるの意で、今は月の第一日目を言うが、古くは陰暦で月初めの十日ほどを指した。月が隠れ始めるの意で、月の終わりごろが「晦日(つごもり)」。後に月の最終日を言うようになった。これは「つきごもり(月隠)」の転。

痛快無比
(つうかいむひ)

 このうえなく胸がすうっとするように、愉快になること。

通功易事
(つうこうえきじ)

 品物を互いに流通させて、分業の成果を上げること。

痛定思痛
(つうていしつう)

 痛みがおさまってから、その痛みを振り返える。失敗を反省し、今後に備える。

杖に縋るとも人に縋るな
(つえにすがるともひとにすがるな)

 みだりに人の助けを当てにしてはならないということ。自立心を失ってはいけないという戒め。

杖の下に回る犬は打てぬ
(つえのしたにまわるいぬはうてぬ)

 打ちすえようとして振り上げた杖の下に、尻尾を振ってじゃれついてくる犬は打つに忍びない。自分になついて慕ってくるものには、ひどい仕打ちはできないということ。

類語: 「袖の下に回る子は打たれぬ」、「尾を振る犬は叩かれず

使う者は使われる
(つかうものはつかわれる)

 人を使うにはそれなりの気配りや段取りが必要なので、かえって人に使われるようなものだということ。人を使えば気も遣うもので、傍で見るほど楽ではない。

同意語: 「人を使うは使わるる

使っている鍬は光る
(つかっているくわはひかる)

 勤勉な人は言動にもそれが表れ、怠け者とはどこか違うということ。鍬も使わないでほうっておけば錆びる。

類語: 「転石苔を生ぜず」、「流れる水は腐らず」

月と鼈
(つきとすっぽん)

 二者の違いがはなはだしいことのたとえ。どちらも丸い形をしているが、その価値には大きな差がある。ここでは優れた者が月に例えられ、劣った者はすっぽんに例えられる。

類語: 「雲泥の差」、「駿河の富士と一里塚」、「提灯に釣り鐘」、「瓢箪に釣り鐘

月に叢雲花に風
(つきにむらくもはなにかぜ)

 好事にはとかく邪魔が入りやすく、よい状態は長続きしないということ。月見をすれば雲が名月を隠し、花見に行けば風が桜花を散らす。

同意語: 「花には嵐のさわりあり」、「花に風」、「花に嵐」、「花開いて風雨多し」
類語: 「好事魔多し」、「寸善尺魔

月日に関守なし
(つきひにせきもりなし)

 太陽や月には、その運行を止める関所番がいない。年月の経つのがきわめて早いことを言う。

類語: 「光陰矢の如し」、「歳月人を待たず

月満つれば虧く
(つきみつればかく)

 何事も盛りに達すれば、やがては衰えてくるということ。太陽は中天に昇ればやがて傾き始め、月は満月になればやがて欠け始める。

同意語: 「月満つればすなわく」、「満つれば虧く」

月夜に釜を抜かれる
(つきよにかまをぬかれる)

 すっかり油断すること。明るい月夜だというのに、うかつにも釜を盗まれてしまう油断・無防備さ。江戸系、京都系いろはがるたのいずれにもある。

同意語: 「月夜に釜」

月夜に提灯
(つきよにちょうちん)

 むだなこと、役に立たないことのたとえ。「月夜に提灯夏火鉢」と役に立たないものを並べ立てても使う。

月を指せば指を認む
(つきをさせばゆびをみとむ)

 月を指しても月を見ず、その指ばかりを見ること。「月」は仏法、「指」は仏道に導く教理のたとえ。道理を説き聞かせても文字やことばにばかりこだわって、仏法の本旨を理解しないことを言う。

九十九髪
(つくもがみ)

 老女の白髪。百から一を引くと「白」で白髪。次百つぐももの略が九十九つくもとなった。

付け焼刃は剥げやすい
(つけやきばははげやすい)

 にわか仕込みの知識はすぐに底が割れてしまうということ。「付け焼刃」は、なまくら刀に鋼の刃だけを付け足したもの。一時しのぎに習い覚えた知識などのたとえに使う。

同意語: 「付け焼刃はなまりやすい」

土仏の水遊び
(つちぼとけのみずあそび)

 自ら危険を招いて自滅すること。「土仏」は土を固めてつくった仏像。水につければあっさりと崩れてしまう。

同意語: 「雪仏の水遊び」、「土仏の水なぶり」

津津浦浦
(つつうらうら)

 いたるところの港や海岸。全国くまなくいたる所の意味。

鼓を鳴らして攻む
(つづみをならしてせむ)

 太鼓を鳴らして敵陣に攻め込む。転じて、相手の非や罪状を言い立てて攻撃し、声高に非難することのたとえ。

九十九折
(つづらおり)

 ツヅラのつるのように、山道などがはなはだしく曲がりくねっていること。

角を矯めて牛を殺す
(つのをためてうしをころす)

 わずかな欠点を直そうとして、そのもの全体をだめにしてしまうこと。「角を矯める」は曲がった角をまっすぐにするの意。

類語: 「葉をかいて根を絶つ

躓く石も縁の端
(つまずくいしもえんのはし)

 ふと躓いた石でさえ、数ある石の中で何らかの縁があって足に当たったのだ。この世の中で出会うことはすべて、何かの因縁で結ばれているということ。また、どんな些細なことでも疎かにしてはいけないという教え。

類語: 「一樹の蔭一河の流れも他生の縁」、「袖触れ合うも他生の縁

妻の言うに向こう山も動く
(つまのいうにむこうやまもうごく)

 動くはずのない向こうの山でさえ、妻が言えば動く。家庭の中で妻の意向が絶大であることのたとえ。日ごろ人の言うことに耳を貸さない人でも、妻が言えば従ってしまうということ。

罪を憎んで人を憎まず
(つみをにくんでひとをにくまず)

 犯した罪は悪として憎むべきだが、その罪を犯した人までも憎んではならない。『孔叢子・刑論』に「孔子曰く、可なる哉、古の訟を聴く者は、その意をにくみ、その人を悪まず」とあるのに基づく。罪を犯した人の全人格を否定してしまっては、公平な裁判はできない。

同意語: 「君子はその罪を憎んでその人を憎まず」

爪で拾って箕でこぼす
(つめでひろってみでこぼす)

 苦労して少しづつくわえたものをいっぺんに浪費してしまうこと。また、収入は少ないのに支出がきわめて多いこと。「箕」は竹で編んだ大きなちりとり状の農具。穀類を入れてあおり、殻やごみなどを取り除くのに用いる。

同意語: 「升で量って箕でこぼす」、「ますで量って箕でこぼす」
類語: 「耳掻きで集めて熊手で掻き出す」

爪に爪なく瓜に爪あり
(つめにつめなくうりにつめあり)

 ⇒「瓜に爪あり爪に爪なし

爪に火を点す
(つめにひをともす)

 ひどくけちなこと。また、極端に倹約すること。ろうそくの代わりに切った爪に火を点して明かりにするの意で言う。吝嗇りんしょくでそうする人もいれば、そうしなくては暮らしが立たない人もいる。

爪の垢を煎じて飲む
(つめのあかをせんじてのむ)

 優れた人にあやかるようにすること。「煎じる」は薬草を煮てその成分を抽出すること。

釣り落した魚は大きい
(つりおとしたうおはおおきい)

 ⇒「逃がした魚は大きい

釣り合わぬは不縁の元
(つりあわぬはふえんのもと)

 家柄や財産、境遇が違う者同士の結婚は、いかに互いが愛し合っていても、結局はうまくいかないということ。

鶴の一声
(つるのひとこえ)

 衆人を威圧する権威者や権力者の一声。鶴は端正な容姿を称えられ、古からめでたい鳥とされてきた。

同意語: 「雀の千声鶴の一声」

鶴は千年亀は万年
(つるはせんねんかめはまんねん)

 寿命が長くてめでたいことのたとえ。中国の神仙思想では、鶴も亀も長寿を保つめでたい動物とされた。『淮南子・説林訓』にも「鶴の寿としは千歳」とある。