小さく生んで大きく育てる
(ちいさくうんでおおきくそだてる)
小さい赤子を楽に出産して、大きく育てるのが子育ての極意である。同様に、事業も小さく始めて、徐々に大きく育てていくのが着実で賢いやり方だということ。
知音
(ちいん)
⇒「断琴の交わり」
知恵は小出しにせよ
(ちえはこだしにせよ)
ありったけの知恵を出し切ってしまうと後で出すべき知恵が尽きては困るから、その時々に少しづつ出した方がよいということ。
同意語: 「知恵の小出し」
知恵は万代の宝
(ちえはばんだいのたから)
優れた知恵は、その持ち主一代限りではなく、後世までも宝として尊ばれるということ。
同意語: 「智は万代の宝」
近い火で手を焙れ
(ちかいひでてをあぶれ)
おいそれとは手に入らない利益を追うよりも、手近な小利を確実に得た方がよいということ。
類語: 「近い火鉢で手を焙る」、「先の
近くて見えぬは睫
(ちかくてみえぬはまつげ)
自分の
類語: 「遠きを知りて近きを知らず」、「灯台下暗し」
近しき中にも垣を結え
(ちかしきなかにもかきをゆえ)
いかに身近で親しくても、越えてはならない境界を設けよ。親しい間柄であっても、礼儀を忘れてはならないということ。
類語: 「親しき仲にも礼儀あり」
近火で手を焙る
(ちかびでてをあぶる)
手を温めるなら、遠くの火をあてにするより小さくても近くの火に頼る方がいい。遠い将来の大きな利益より、目先の小さな利益を追うたとえ。
近道は遠道
(ちかみちはとおみち)
近道は悪路だったり危険だったりして、かえって時間がかかることになる。物事も同じで、手っ取り早く仕上げようとして手を抜くと、後でかえって手数がかかる。回り道のようでも、安全で確実な道を選ぶのが賢明だという教え。
類語: 「急がば回れ」
力は正義なり
(ちからはせいぎなり)
力の強い者が、結局は正しいということ。プラトンの『国家』にあることばから。
類語: 「勝てば官軍負ければ賊軍」
力山を抜き気世を蓋う
(ちからやまをぬききよをおおう)
⇒「抜山蓋世」
知己
(ちき)
⇒「士は己れを知る者の為に死す」
池魚の殃
(ちぎょのわざわい)
思いがけない災難に巻き込まれることのたとえ。投げ込まれた宝珠を捜すために池の水をさらったが、そのために魚が死んでしまったという、『呂氏春秋・必己』の故事に基づく。
竹頭木屑
(ちくとうぼくせつ)
竹の切れはし、木のけずり屑のように小さなつまらぬものでも、何かの役に立つことがあるということ。
竹帛の功
(ちくはくのこう)
⇒「名を竹帛に
類語: 「功名を竹帛に垂る」
竹馬の友
(ちくばのとも)
竹馬に乗って一緒に遊んだ、幼いころからの友達。幼友達。
竹林の七賢
(ちくりんのしちけん)
晋の時代、老荘虚無の思想を尊び、竹林の中に世を避けて酒を飲み、琴を弾じて清談にふけったという七人の賢者。
逐鹿
(ちくろく)
⇒「中原に鹿を
知行合一
(ちこうごういつ)
真に知ることは必ず実行を伴う。知と行とは表裏一体で別のものではないという説。
知者は惑わず仁者は憂えず勇者は懼れず
(ちしゃはまどわずじんしゃはうれえずゆうしゃはおそれず)
知者は道理をわけまえているので心に迷いがない。仁者は徳に身をゆだねているのでいささかの不安もない。勇者は信念をもって行動するのでいつ何時も気後れすることがない。『論語・子罕』にある孔子のことば。凡人は常に惑っては案じ、そして恐れる。
同意語: 「仁者は憂えず」、「勇者は懼れず」
知者は水を楽しむ
(ちしゃはみずをたのしむ)
道理をよく
父父たらずと雖も子は子たらざるべからず
(ちちちちたらずといえどもこはこたらざるべからず)
父親が父親としての務めを果たさなくても、子は子としての務めを果たさなくてはいけない。孝養を尽くすべきだということ。
父の恩は山よりも高く母の恩は海よりも深し
(ちちのおんはやまよりもたかくははのおんはうみよりもふかし)
父母の恩が非常に大きいことのたとえ。父の恩を高い山に母の恩を深い海にたとえ、ともにその恩の偉大であることを言う。
同意語: 「父母の恩は山よりも高く海よりも深し」
類語: 「父の恩は山よりも高く母の徳は海よりも深し」
血で血を洗う
(ちでちをあらう)
血を洗うために血を用いると、汚れているものがますます汚くなる。親子兄弟等の血族同士が流血の争いをするたとえ。また、暴力には暴力で、悪事には悪事を
同意語: 「血を
類語: 「骨肉相食む」
治に居て乱を忘れず
(ちにいてらんをわすれず)
平和な世にあっても武芸や軍備を忘れず、常に乱世となったときの準備を怠らない。
同意語: 「治にして乱を忘れず」、「治まりて乱を忘れず」
智に働けば角が立つ
(ちにはたらけばかどがたつ)
理知的に動こうとすれば、人間関係がぎすぎすして穏やかに暮らしづらくなる。夏目漱石の『草枕』冒頭にあることば。
血は水よりも濃い
(ちはみずよりもこい)
親子も兄弟も、血筋を引いた間柄は親密で、便りになるということ。英語の、“Blood is thicker than water.”の訳。
同意語: 「兄弟
反意語: 「遠い親戚より近くの他人」
魑魅魍魎
(ちみもうりょう)
山や水に住むいろいろの化け物。怪物。妖怪変化。
知命
(ちめい)
⇒「五十にして天命を知る」
茶腹も一時
(ちゃばらもいっとき)
茶を飲んだだけでも、しばらくは空腹がしのげるということ。わずかなものでも一時の間に合わせになることのたとえにも使う。
同意語: 「
忠肝義胆
(ちゅうかんぎたん)
主君や国家に忠誠を尽くし正義を貫こうとする固い決意のたとえ。肝も、胆も、まごころの意。
中原に鹿を逐う
(ちゅうげんにしかをおう)
帝位を得ようとして争うこと。転じて、政権や地位を得るために競うこと。「中原」は黄河中流の南北の地域。古くから中国文化の中心地だったことから、広く天下のたとえとしる。「鹿」は帝位のたとえ。
同意語: 「
忠言耳に逆らう
(ちゅうげんみみにさからう)
忠告のことばはとかく気に障り、なかなか素直には聞き入れられないということ。『孔子家語・六本』に「良薬は口に苦けれども病に利あり、忠言は耳に逆らえども行いに利あり」とあるのによる。
同意語: 「金言耳に逆らう」、「苦言は薬なり甘言は
類語: 「良薬口に苦し」
仲裁は時の氏神
(ちゅうさいはときのうじがみ)
喧嘩や争いの仲裁に入ってくれる人は、その場においては氏神様のようにありがたい存在であるから、その調停に従うべきであるということ。
類語: 「挨拶は時の氏神」
忠臣は二君に事えず
(ちゅうしんはにくんにつかえず)
忠臣はいったん主君を定めたなら、心を変えて他の主君に仕えたりはしない。『史記・田単伝』に「忠臣は二君に
同意語: 「賢臣二君に
類語: 「貞女は両夫に
忠ならんと欲すれば孝ならず孝ならんと欲すれば忠ならず
(ちゅうならんとほっすればこうならずこうならんとほっすればちゅうならず)
主君に中世を尽くそうとすれば親の意に逆らって不孝となり、親の意に従おうとすれば主君に背いて不忠となるということ。
寵愛昂じて尼になす
(ちょうあいこうじてあまになす)
かわいいかわいいと溺愛するあまり、娘が年をとっても嫁にやらず、ついには尼にするような結果になるということ。溺愛のあまり、ついには来世の幸せまで願って娘を尼にしてしまうの意から言う。愛情も度が過ぎると、かえって本人のためにならないことのたとえ。
朝三暮四
(ちょうさんぼし)
目の前の違いにばかり心を奪われて、結果が同じになることに気づかないこと。また、ことば巧みに人をだますこと。餌代に困った
張三李四
(ちょうさんりし)
そこらにいくらでもいる、平凡な人。張家の三男と李家の四男の意。張も李も中国ではごくありふれた姓であることから言う。
長者の万灯より貧者の一灯
(ちょうじゃのまんとうよりひんじゃのいっとう)
金持ちが見栄を張って差し出す大量の寄進より、たとえわずかでも貧乏人が心を込めて捧げる寄進の方がまさっているということ。「万灯」は仏前にともす、たくさんの灯明。万灯の前の「一灯」はみすぼらしいが、体裁よりも込められた心に価値がある。供養を終えた釈迦の帰り道を照らそうとして、
同意語: 「長者の万灯より貧女の一灯」、「貧者の一灯」
長所は短所
(ちょうしょはたんしょ)
長所に頼り過ぎるとかえって失敗してしまうので、長所はまた短所にもなるということ。物分りのいい長所が仇となって、子のわがままを助長したりすることを言う。
長身痩躯
(ちょうしんそうく)
背丈の高い、痩せた体。鶴のような痩身。
彫心鏤骨
(ちょうしんるこつ)
心臓や骨に彫りつける。深く心に銘記して忘れぬこと。「鏤」はちりばめるの意。
提灯に釣り鐘
(ちょうちんにつりがね)
物事の釣り合いがとれないことのたとえ。提灯と釣り鐘はともにつりさげて用をなし、形もよく似ているが、その重さは比較にならない。
同意語: 「瓢箪に釣り鐘」
類語: 「月と
提灯持ち川へはまる
(ちょうちんもちかわへはまる)
夜道を先導して人の足元を照らす役目の提灯持ちが、自分の足元が暗いために川に落ちる。転じて、人を導くべき本人が、先にしくじってしまうこと。また、軽々しく人の手足になってふるまったあげく失敗するたとえ。
提灯を借りた恩は知れども天道の恩は忘れる
(ちょうちんをかりたおんはしれどもてんどうのおんはわすれる)
闇夜に迷っているときに借りた提灯の有り難さはいつまでも忘れないが、同じく光を与えてくれる太陽の恵みはあまりに大きいので、かえってその恩義を忘れてしまうということ。
類語: 「大恩は報ぜず」
長汀曲浦
(ちょうていきょくほ)
長く続く海浜。海岸線がはるかかなたまで続いているようす。
長範が当て飲み
(ちょうはんがあてのみ)
他人のふところを当てにして失敗するたとえ。大泥棒の熊坂長範が、金売吉次から金を盗む前に、もう手に入れた気になって酒盛りをした後、吉次を襲ったが、逆に牛若丸(後の源義経)に退治されてしまった。
長鞭馬腹に及ばず
(ちょうべんばふくにおよばず)
勢力が強大になっても、周辺にその力の及ばないところがあるということ。鞭が長くとも馬の腹には届かないの意から言う。『左伝・宣公十五年』の故事から。
頂門の一針
(ちょうもんのいっしん)
急所を突いた痛切な戒め。「頂門」は頭のてっぺん。
同意語: 「頂門の
跳梁跋扈
(ちょうりょうばっこ)
悪人などが権勢をほしいままにして、わがままにのさばること。
朝令暮改
(ちょうれいぼかい)
法令や命令が次々に変わって定まらないこと。『漢書・食貨志上』に「
同意語: 「朝改暮変」
直情径行
(ちょくじょうけいこう)
自分の思うままに行動して相手の立場を思いやらないこと。礼儀知らず。
直木まず切らる
(ちょくぼくまずきらる)
なまじ才能があるために、かえって身に災いを招くこと。『荘子・山木』に「直木は
猪突猛進
(ちょとつもうしん)
猪のように激しい勢いで突進する。融通がきかない人が向こうみずに事を進めることをいう。
塵も積もれば山となる
(ちりもつもればやまとなる)
ほんのわずかなものでも積もり重なれば大きなものとなるということ。江戸系いろはがるたの一つ。『大智度論』の「
類語: 「砂長じて
知慮は禍福の門戸なり
(ちりょはかふくのもんこなり)
人はなまじ思慮分別を働かせるから、禍福を招いて一喜一憂しなくてはならないということ。『淮南子・人間訓』に「知慮は禍福の門戸なり、動静は利害の枢機なり」とある。何もしなければ禍福も利害も生じない。
血を以て血を洗う
(ちをもってちをあらう)
殺傷に対して殺傷で報いること。また、血族同士が殺しあうこと。また、悪事を処理するためにさらに悪事を重ねるの意でも使う。唐の
同意語: 「血で血を洗う」
沈魚落雁
(ちんぎょらくがん)
魚や鳥も恥じてかくれるほどの美貌を持った、容姿の美しい女性を形容する語。
沈思黙考
(ちんしもっこう)
思いに沈み、黙って考えこむ。思案にふけること。
珍味佳肴
(ちんみかこう)
珍しい食べ物とよい酒の肴。たいそうな御馳走をいう。珍膳。
沈黙は金雄弁は銀
(ちんもくはきんゆうべんはぎん)
黙るべきときを知ることは、巧みによどみなく話すことよりも大切だということ。沈黙は雄弁にまさる。イギリスの思想家・歴史家トーマス・カーライルの『衣装哲学』にある、“Speech is silver, silence is golden.”から。
同意語: 「雄弁は銀沈黙は金」
類語: 「言わぬは言うに勝る」