利害得失
(りがいとくしつ)

 利益と損害。儲けと損。

李下に冠を正さず
(りかにかんむりをたださず)

 ⇒「瓜田かでんくつれず李下りかに冠を正さず

力戦奮闘
(りきせんふんとう)

 力を出し尽くして闘うこと。一所懸命努力すること。

理屈と膏薬はどこへでも付く
(りくつとこうやくはどこへでもつく)

 理屈をつけようとすれば、どのようにもこじつけることができるということ。「膏薬こうやく」は動物などのあぶらで練ったり薬。どこの患部にも貼れる膏薬のように、どうとでも理屈は付けられるの意で、屁理屈をこねる人を揶揄やゆして言う。

類語: 「柄のないところに柄をすげる」

離合集散
(りごうしゅうさん)

 離れたり、合わさったり、別れたり集まったりすること。

律義者の子沢山
(りちぎもののこだくさん)

 品行方正な律義者は、夫婦仲もよいので子供が多いということ。江戸系いろはがるたの一つ。律儀者は昼夜を問わず“仕事”に励む。

類語: 「貧乏人の子沢山

立身出世
(りっしんしゅっせ)

 社会的に認められて、世間に名を知られるようになること。

理詰めより重詰め
(りづめよりじゅうづめ)

 同じ「詰め」なら理屈ばかりの「理詰め」の方がよいということ。

理に勝って非に落ちる
(りにかってひにおちる)

 理屈の上では勝っても実際には負けとなる。『ヴェニスの商人』のシャイロックは、借金のかたにとったアントーニオの肉を一ポンド切り取る権利を裁判で認められたが、契約の論理(当時の)は正当でも、実際にはきっかり一ポンドの肉を切り取ることができないので敗訴となった。

同意語: 「理に勝って非に負ける」、「理をもって非に落ちる」

理非曲直
(りひきょくちょく)

 道理に合ったことと、合わないこと。間違ったことと、正しいこと。

柳暗花明
(りゅうあんかめい)

 柳が薄暗く茂り、花が明るく咲く、春の美しい景色。転じて、行き詰まったかと思った途端、新しい展開がひらけることにもたとえる。「遊里」をいうこともある。

流言は知者に止まる
(りゅうげんはちしゃにとどまる)

 根拠のないうわさは愚人の間では広まるが、知者が聞けばそこで退けられるということ。知者はデマを信じたり流したりはしないとして言う。『荀子・大略』に「流丸りゅうがん甌臾おうゆとどまり、流言は知者に止まる」とあるのによる。

流言飛語
(りゅうげんひご)

 誰いうともなく伝わる、根拠のない、いいかげんな噂。根も葉もないデマ。

柳巷花街
(りゅうこうかがい)

 昔、柳が植えられ、花も咲いて風情のあった遊里、色町のこと。

竜頭蛇尾
(りゅうとうだび)

 始めは威勢がよいが、終わりには全く勢いがなくなること。頭は竜のように立派だが、尻尾は蛇のように貧弱の意。

類語: 「頭でっかち尻つぼみ」

竜の鬚を撫で虎の尾を踏む
(りゅうのひげをなでとらのおをふむ)

 ⇒「虎の尾を踏む

粒粒辛苦
(りゅうりゅうしんく)

 こつこつと努力、苦労を重ねること。

流連荒亡
(りゅうれんこうぼう)

 家に帰るのも忘れるほど遊楽放蕩にふけり、心がすさむこと。『孟子・梁恵王下』にあることば。孟子もうしによれば、「流連りゅうれん」は家に帰るのも忘れた船遊び、「こう」は獣を追っての狩り三昧ざんまい、そして「ぼう」はとめどのない酒宴のこと。

凌雲の志
(りょううんのこころざし)

 雲をしのいで高く抜きん出ている志。世俗を超越した気高い志。また、衆を抜きん出て出世しようとする志のこと。「凌雲」は「陵雲」とも書く。

猟禽尽きて走狗煮らる
(りょうきんつきてそうくにらる)

 利用価値のある間は使われるが、用がなくなればあっさりと捨てられるということ。鳥を捕り尽くしてしまえば、それを追う猟犬も不用になって煮て食われてしまう。

類語: 「飛鳥尽きて良弓かく」、「狡兎死して走狗煮らる」

良禽は木を択ぶ
(りょうきんはきをえらぶ)

 優れた人物は仕えるべき主君をよく選んで仕えるということ。『春秋左氏伝・哀公十一年』に、孔子のことばとして「鳥はすなわち木をえらぶ。木く鳥を択ばんや」とあるのによる。

同意語: 「良禽りょうきんは木をえらんでむ」
類語: 「鳥は木をえらべども木はとりを択ばず」

燎原の火
(りょうげんのひ)

 防ぎようがないほど激しい勢いのたとえ。「燎原」は野原を焼くの意で、燃え広がる野火の火勢は止まるところを知らないことから言う。

同意語: 「火の原をくがごとし」

良工は人に示すに朴を以てせず
(りょうこうはひとにしめすにぼくをもってせず)

 名工と呼ばれる人は、未完成品を人に見せるようなことはしない。完成するのを待って人に見せるものだということ。「朴」は手を加えていない素材、転じて未完成の作品。

良賈は深く蔵して虚しきが若し
(りょうこはふかくぞうしてむなしきがごとし)

 賢い商人は品物を店頭に飾らず、人目につかぬ場所にしまっておいて何もないかのように装っている。賢者は、自分の才能を隠して表に現れないようにしていることのたとえ。

漁師山を見ず
(りょうしやまをみず)

 ⇒「鹿をう者は山を見ず

梁上の君子
(りょうじょうのくんし)

 泥棒、盗賊。転じて、ねずみの称。はりの上に潜んだ盗人に気づいた陳寔ちんしょくが子や孫を呼び、「人間は努力をしなくてはならない。悪人も生まれつき悪人なのではなく、習い性となって(「習い性と成る」)悪事を働くようになる。今梁の上にへばりついている君子もその類なのだ」と語り聞かせたという、『後漢書・陳寔伝』の故事に基づく。それを聞いた泥棒は大いに驚き、下におりて陳寔にわびた。陳寔は「あなたは悪人ではない。貧困がしからしめたのだ」と諭して絹二匹を与えて帰した。その後この地には二度と盗みが起こらなかったという。

梁塵を動かす
(りょうじんをうごかす)

 歌・音楽に優れていること。漢の初めごろ、虞公ぐこうという歌手が声を張り上げて歌うと、はりの上に積もったちりまで動いたという故事に基づく。

同意語: 「うつばりの塵を動かす」

両端を持す
(りょうたんをじす)

 両方の端を持つ。両方の肩を持つ。どちらか有利な方につこうとして決めかね、あいまいな態度で形勢をうかがっていること。

類語: 「首鼠しゅそ両端」、「洞ヶ峠を決め込む

遼東の豕
(りょうとうのいのこ)

 他人から見ればつまらないことを、独りよがりで自慢することのたとえ。「遼東りょうとう」はしん代に置かれた郡の名。現在の遼寧りょうねい省東南部、遼河以東の地に当たる。昔、遼東に住む男の家に白頭の豚が生まれた。これは珍しいからぜひお上に献上しようと河東の豚はみな頭が白い。そこで男は、恥ずかしくなってこそこそと引き返してきたという。『後漢書・朱浮伝』の故事に基づく。「いのこ」は猪または豚のこと。

両方聞いて下知をなせ
(りょうほうきいてげちをなせ)

 争いごとに判断を下す場合は、両方の言い分をよく聞いてからにせよということ。「下知げち」は「げじ」とも読み、昔の裁判のこと。

類語: 「片口聞いて公事を分くるな

良薬口に苦し
(りょうやくくちににがし)

 身のためになる忠言は聞きづらいということ。江戸系いろはがるたの一つ。『孔子家語』に「良薬は口に苦けれど病に利あり。忠言は耳に逆らえども行いに利あり」とあるのに基づく。英語でもずばり、“A good medicine tastes bitter.(良薬は口に苦し)”と言う。

類語: 「よい忠告は飲み込みづらい」、「忠言耳に逆らう

両雄並び立たず
(りょうゆうならびたたず)

 英雄が二人現れれば必ず争い、どちらか一方が倒れるということ。

同意語: 「英雄並び立たず」
類語: 「両虎相闘えば勢いともには生きず」

綾羅錦繍
(りょうらきんしゅう)

 美しい衣服、また、目もあやに美しいものを表現する時に使う言葉。

理路整然
(りろせいぜん)

 話や議論などのすじみちがよく整っているようす。

利を見て義を忘れる
(りをみてぎをわすれる)

 利欲に目がくらんで、道義を忘れる。儲けのためなら手段を選ばずにやる、あこぎな商売のやり方。

同意語: 「見利忘義」

臨機応変
(りんきおうへん)

 時と場合によって柔軟にうまく適切な処置をすること。

悋気嫉妬は女の常
(りんきしっとはおんなのつね)

 女はとかくやきもちを焼きたがるということ。「悋気」は情事に絡んだねたみ。

同意語: 「悋気嫉妬は女の習い」
類語: 「悋気は女の七つ道具」

綸言汗の如し
(りんげんあせのごとし)

 流れ出た汗が再び体内に戻らないように、一度口から出た君主のことばは取り消せないということ。「綸言」は天子のことば。「綸」は太い糸の意で、天子の言は初めは細い糸のようであっても、下に伝わるにつれて太くなり、重大な意味をもつようになることから言う。『漢書・劉向伝』には「号令は汗の如し。汗は出でて返らざる者なり」とある。