良いうちから養生
(よいうちからようじょう)

 体は丈夫なうちからいたわるのが最高の健康法であるということ。普段から用心しておけば、よい結果が得られることのたとえ。

酔い醒めの水下戸知らず
(よいざめのみずげこしらず)

 酔いからさめたときに飲む水のうまさは、酒の飲めない人には分からないということ。要は深酒のために脱水症状を起こしているにすぎないのだが、酒飲みは「酔い醒めの水は甘露の味」と言って、喉を鳴らして冷水をがぶ飲みする。

酔いどれ怪我をせず
(よいどれけがをせず)

 酔っ払いは転倒したり階段から落ちたりしてもそれほどひどい怪我はしない。泥酔者の体はぐにゃぐにゃして抵抗が少ないから、怪我も軽くて済むのだろう。

同意語: 「酒の酔い落ちても怪我せず」

余韻嫋嫋
(よいんじょうじょう)

 発声が終わってもなお残る響きが、絶えることなく続くようす。出来事や詩文などの余情にも。

用ある時の地蔵顔用なき時の閻魔顔
(ようあるときのじぞうがおようなきときのえんまがお)

 人に用事があるときはお地蔵様のように柔和な顔になるが、用事がないときは閻魔様のように無愛想な顔になる。人は勝手なものだということ。

用意周到
(よういしゅうとう)

 何事にも用意がすみずみまで行き届き、手抜かりのないこと。

要害堅固
(ようがいけんご)

 地勢が険しくて、攻め落とすのが非常に難しいようす。

用行捨蔵
(ようこうしゃぞう)

 出処進退の態度が立派で巧みなたとえ。自分が用いられるなら理想を追及して行動し、捨てられるのなら、一時理想をしまいこんでチャンスを待つという態度。

羊質虎皮
(ようしつこひ)

 羊が虎の皮をかぶる。外見は立派だが、実質が伴っていないことにたとえる。

用心は深くして川は浅く渡れ
(ようじんはふかくしてかわはあさくわたれ)

 川が深いことを予想して慎重に準備して、浅い所を渡る気持ちで思い切りよくさっさと渡れの意。

同意語: 「深くとって浅く渡れ」
類語: 「浅い川も深く渡れ

羊頭狗肉
(ようとうくにく)

 ⇒「羊頭を掲げて狗肉を売る
類語: 「玉を衒いて石を売る

羊頭を掲げて狗肉を売る
(ようとうをかかげてくにくをうる)

 見せかけばかりが立派で、実質が伴わないこと。羊の頭は看板ばかりで、実際には犬の肉を売る意から言う。

同意語: 「羊頭をけて狗肉くにくを売る」、「羊頭狗肉
類語: 「牛首を懸けて馬肉を売る

様に依りて葫蘆を画く
(ようによりてにろをえがく)

 型どおりにひょうたんの絵を描く。前例を真似ただけで、創意工夫が少しもないことのたとえ。「葫蘆にろ」はひょうたんのこと。

用の無い星は宵からござる
(ようのないほしはよいからござる)

 まずつまらないものが先に出てくるということ。また、待っている人はなかなか来なくて、どうでもよいような人が早くから来るということ。

同意語: 「名の無い星は宵から出る」

容貌魁偉
(ようぼうかいい)

 顔つき、体つきがたくましくて立派なさま。

善く泳ぐ者は溺る
(よくおよぐものはおぼる)

 人は自信を持ち過ぎると、しばしば得意とすることで失敗しやすいということ。『淮南子・原道訓』に「それ善くおよぐ者は溺れ、善くる者は堕つ。おのおのその好む所をもって、かえって自らわざわいす」とあるのに基づく。

類語: 「泳ぎ上手は川で死ぬ」、「猿も木から落ちる」、「河童かっぱの川流れ」、「山立ちは山で果てる」、「川立ちは川で果てる

欲の熊鷹股裂くる
(よくのくまたかまたさくる)

 欲が深すぎるとひどい目に遭うというたとえ。「熊鷹」は日本に棲息する鳥では最大級で、羽を広げると1.7メートルにもなる。その熊鷹が二頭のいのししを同時に掴んだ。驚いたいのししが左右に駆け出したので熊鷹の股が裂けてしまった、という昔話から。

同意語: 「欲の熊鷹股から裂ける」
類語: 「二兎を追うものは一兎をも得ず

抑揚頓挫
(よくようとんざ)

 音楽や言葉の上げ下げの調子が急に変化してくじけること。

預言者郷里に容れられず
(よげんしゃきょうりにいれられず)

 優れた人物はとかく故郷の人々からは尊敬されないということ。「預言者」は神のことばを伝えて世人を導く人。『新約聖書・ルカ伝』に、出身地ナザレで伝道するイエスのことばに「はっきり言っておく。預言者は、自分の故郷では歓迎されないものだ」とあるのに基づく。イエスといえども、その幼年時代を知る人にとっては、「何だ大工のヨセフの子ではないか」というわけだ。“A prophet is never welcomed in his hometown.”

横紙を破る
(よこがみをやぶる)

 無理を押し通す。和紙はき目が縦になっているので横には裂けにくいが、それをあえて横に破る。

同意語: 「横紙を裂く」、「横車を押す

横車を押す
(よこぐるまをおす)

 無理を押し通す。車を側面から押して動かそうとするのだから道理には合わない。

同意語: 「横に車を押す」、「横紙を破る

葦の髄から天上を覗く
(よしのずいからてんじょうをのぞく)

 自分だけの狭い見識をもって広大な世界を判断しようとすること。江戸系いろはがるたの一つ。葦の細い管を通して天井を見ても、全体を見渡すことはできないことから言う。

類語: 「井の中のかわず大海を知らず」、「かんを以って天をうかが」、「管中天をうかがう」、「管中ひょううかがう」

世に逢う
(よにあう)

 時流に乗って栄える。

世に入れられる
(よにいれられる)

 世間から認められる。

世に聞こえる
(よにきこえる)

 世間の評判になる。

世に知られる
(よにしられる)

 有名になる。

世に出る
(よにでる)

 世間に現れる。出世する。

世の中は九分が十分
(よのなかはくぶがじゅうぶ)

 世の中のことは、完全に自分の思い通りにはいかない。望んだことの九分かなえば満足すべきだということ。

世の中は三日見ぬ間の桜かな
(よのなかはみっかみぬまのさくらかな)

 世の中の移り変わりの激しさ、はかなさのたとえ。桜の花が三日見ないうちに散ってしまうことを表現したもの。

予防は治療に勝る
(よぼうはちりょうにまさる)

 事後の処理に慌てるよりも、事が起こる前に手を打っておく方がよいということ。英語のことわざ“Prevention is better than cure.”の訳。

類語: 「転ばぬ先の杖

夜道に日は暮れぬ
(よみちにひはくれぬ)

 もう日が暮れてしまったのだから、あわてて帰ることはないということ。時間を気にせず、のんびりと腰を落ち着けてくつろぐ際に使う言葉。

夜目遠目笠の内
(よめとおめかさのうち)

 夜の暗がりで見たとき、ちょっと遠くから見たとき、笠をかぶった顔の一部をのぞき見たときに、女性は実際より美しく見えるものだということ。京都系いろはがるたの一つ。要するに、身近ではっきりと全貌を見ない方が女性は美しいと言っている。

同意語: 「遠目山越し笠の内」、「夜目遠目笠の下」

嫁と姑、犬と猿
(よめとしゅうとめ、いぬとさる)

 嫁と姑はとかく仲が悪いということ。嫁と姑は、犬猿の仲だということ。

嫁の三日誉め
(よめのみっかぼめ)

 嫁も嫁いできた当座は嫁をほめるが、それはほんの短い間に過ぎないということ。嫁いびりが始まるまでには、「よい嫁が来た」と持ち上げられる猶予期間があった。

嫁は下から婿は上から
(よめはしたからむこはうえから)

 嫁は自分より家柄の低い家から迎えるのが良く、婿は家柄の高い家から迎える方が良いということ。

同意語: 「嫁は座敷から貰え婿は庭から貰え」

蓬に交じる麻
(よもぎにまじるあさ)

 悪人と交われば、善人も悪に染まるようになるということ。茎の曲がったよもぎの中に生える麻は、自然に曲がりくねって育つとして言う。

同意語: 「よもぎるる麻」
類語: 「朱に交われば赤くなる」、「水は方円の器に従う
反意語: 「麻の中の蓬

余裕綽々
(よゆうしゃくしゃく)

 ゆったりとしてあせらない、落ち着いていること。せこせこしない様子。

由らしむ可し之を知らしむ可からず
(よらしむべししらしむべからず)

 ⇒「民はこれらしむし之を知らしむ可からず

寄らば大樹の陰
(よらばたいじゅのかげ)

 同じ庇護ひごを求めるのなら勢力のある者の方がよいということ。同じ雨宿りをするにも、大木の陰に寄った方がれずにすむの意から言う。

同意語: 「立ち寄らば大樹の陰」

弱き者、汝の名は女なり
(よわきもの、なんじのなはおんななり)

 女性の節操はもろく、その心は移ろいやすいものだということ。シェークスピアの戯曲『ハムレット』の中のことば。ハムレットは“Frailty, thy name is woman!”と言って、父の死後すぐ、喪に服する間もなく父の弟クローディアスと再婚した母の不貞を嘆く。

弱きを助け強きを挫く
(よわきをたすけつよきをくじく)

 弱いものを救い、強くて横暴な者をこらしめるという、任侠にんきょうの気風を言う。

弱り目に祟り目
(よわりめにたたりめ)

 困っているときに、さらに重ねて災難に遭うこと。

同意語: 「落ち目に祟り目」
類語: 「泣きっつらはち」、「痛む上に塩を塗る」、「不運は不運を連れてくる」

世を去る
(よをさる)

 死ぬ。

世を忍ぶ
(よをしのぶ)

 人目を避けて隠れる。

世を捨てる
(よをすてる)

 出世する。隠遁する。

世を渡る
(よをわたる)

 暮らしていく。