夜雨対床
(やうたいしょう)

 兄弟が相思う心情。雨の夜、その音を聞きながら兄弟が床を並べて仲良く寝るさま。

焼き餅焼くとも手を焼くな
(やきもちやくともてをやくな)

 嫉妬も過ぎれば災いの種となるから、ほどほどにした方がよいということ。「焼き餅」は身を焦がすの洒落しゃれで、男女間の嫉妬を言う。「手を焼く」は処置に困るの意。嫉妬はしても過度の嫉妬は慎めと、焼き餅焼き(嫉妬深い人)を戒める。

役者に年なし
(やくしゃにとしなし)

 役者はどんな年齢の役でもそれらしく演じるということ。また、役者はいつまでも若いということ。

同意語: 「芸人に年なし」
類語: 「役者は年知らず」

薬石効なし
(やくせきこうなし)

 薬も治療法も種々試してみたが効果がない。回復の見通しが立たないこと。

類語: 「薬石無効

薬石の言
(やくせきのげん)

 薬のように効き目のある忠言。「薬石」は薬と石で作ったはり。転じて、薬剤の総称。また、治療法の総称。

薬石無効
(やくせきむこう)

 病人に対しての薬や治療も効果がなく、手当のかいが全くないこと。

類語: 「薬石効なし

約法三章
(やくほうさんしょう)

 法令を簡易にし、三ヵ条の法律にとどめること。

薬籠中の物
(やくろうちゅうのもの)

 ⇒「自家薬籠中の物

焼け跡の釘拾い
(やけあとのくぎひろい)

 自分の家の焼け跡で、焼け釘を拾い集める。大散財して金をすっかりなくしてしまった後で、急に節約することのたとえ。

焼け石に水
(やけいしにみず)

 わずかばかりの援助や努力では効果が上がらないということ。焼けて熱くなった石にちょっと水をかけても容易には冷めない。

焼野の雉子夜の鶴
(やけのきぎすよるのつる)

 子を思う親の情が深いことのたとえ。「きぎす」はきじの古名。巣のある野を焼かれた雉は身の危険も顧みずに子を救い、霜の降りるような寒い夜に、鶴は翼で子をおおって暖めるということから。

焼け木杙に火がつく
(やけぼっくいにひがつく)

 以前に関係があって一度縁が切れていたものが、またもとの関係に戻る。焼けて炭化した杙は、ちょっとした火種でまた燃え上がることから。主に男女関係について言う。

同意語: 「焼け木杙ぼっくいには火がつきやすい」

夜食過ぎての牡丹餅
(やしょくすぎてのぼたもち)

 夕食で満腹した後に、牡丹餅を出されてもありがたみがない。何事も時期を逸すれば値打ちがなくなるということ。

夜深人静
(やしんじんせい)

 夜が更けて、人が寝静まり、ひっそりとするさま。丑三つどきの静けさ。

安物買いの銭失い
(やすものかいのぜにうしない)

 買い得と思っても値段の安いものは品質が悪く、結局は損をするということ。江戸系いろはがるたの一つ。昔は格安の箪笥たんすを買ってきたら引き出しが抜けないというようなことがしばしばだった。

痩せの大食い
(やせのおおぐい)

 痩せている人には大食漢が多いということ。体の細い人は食も細いという先入観があるから、よけいに大食いが目立つものだ。

柳に風
(やなぎにかぜ)

 少しも逆らわずに巧みに応対すること。しなやかな柳の枝は風の吹くままになびく。

同意語: 「柳に受ける」、「柳に風と受け流す」

柳に雪折れなし
(やなぎにゆきおれなし)

 柔軟なものは剛直なものよりもよく事に耐えるということ。しなやかな柳の枝には雪も積もりにくいし、積もってもしなったまま耐えていることから言う。

同意語: 「柳に風折れなし」、「柳の枝に雪折れはなし」
類語: 「堅い木は折れる」、「折れるよりたわむがよい」

柳の下にいつも泥鰌はいない
(やなぎのしたにいつもどじょうはいない)

 たまたま幸運をつかんだからといって、いつもそれが同じ手段で得られるわけではないということ。

同意語: 「柳の下の泥鰌」
類語: 「株を守りて兎を
反意語: 「一度あることは二度ある」

やはり野に置け蓮華草
(やはりのにおけれんげそう)

 蓮華の花が美しいのは自然の中で咲いているからであって、家に持ち帰ったらその良さが失われる。どんな物にも、それにふさわしい場所があるものだということ。

藪医者の手柄話
(やぶいしゃのてがらばなし)

 下手な者ほど自慢話をしたがるということ。藪医者は死なせてしまった病人のことは棚に上げ、治療に成功したまれな例を得々と喋る。「やぶ医者」は医術のまずい医者。人名に模して「藪井竹庵ちくあん」とも言う。「藪」は当て字であり、もとは「一つの術しか知らない田舎の巫医ふい巫女みこと医者)」の意で、「野巫」と書いた。古代は祈祷きとうで病気を治す巫女も医者と同類に見なされた。

藪医者の病人選び
(やぶいしゃのびょうにんえらび)

 下手な者ほど仕事の選り好みをするということ。藪医者は治療の難しそうな患者は診たがらないことから。

同意語: 「やぶ薬師くすしの病人選び」

藪から棒
(やぶからぼう)

 物事の仕方が出し抜けなことのたとえ。唐突であるようす。前触れや前置きがないこと。「藪から棒を突き出す」の略。

類語: 「寝耳に水」、「青天の霹靂へきれき」、「窓から槍」

藪をつついて蛇を出す
(やぶをつついてへびをだす)

 よけいな手出しをして、かえって災いを受ける。「藪から棒」に脅されれば、蛇も噛み付きたくなるだろう。

同意語: 「藪蛇やぶへび
類語: 「寝た子を起こす」、「草を打って蛇を驚かす」、「眠っている犬を起こすな」

病膏肓に入る
(やまいこうこうにいる)

 病気が重くなって回復の見込みがなくなる。また、あることに熱中してやめられなくなる。「こう」は心臓の下の部分、「こう」は横隔膜の上の部分。薬もはりも届かないので、ともに治療の困難なところとされた。

病治りて医者忘る
(やまいなおりていしゃわする)

 苦しい時期が過ぎれば、世話になった人の有り難さも忘れてしまうということ。

類語: 「雨晴れて笠を忘る」、「喉元過ぎれば熱さを忘れる」、「暑さ忘れれば陰忘れる」、「病治りて薬師くすし忘る」

病は口より入り禍は口より出づ
(やまいはくちよりいりわざわいはくちよりいづ)

 病気は口から入る食物の不注意から生じ、わざわいは口から出ることばの不注意から引き起こされるということ。対句の形で注意を促しながらも、その心は後半部にあって、軽率な発言をしてはならないと戒める。

同意語: 「禍は口から」
類語: 「口はわざわいかど

山高きが故に貴からず
(やまたかきがゆえにたっとからず)

 山は高いから貴いのではない。人間も見かけが立派だから値打ちがあるのではない。本当の価値は外観によってではなく、その実質によって決まるということ。『実語教』にあることば。

山立ちは山で果てる
(やまだちはやまではてる)

 得意な技を持つ者は、かえってその技ゆえに身を滅ぼすことになるということ。「山立ち」は山賊の意味もあるが、ここでは漁師・狩人の意。山に慣れると油断が生じ、かえって山中で命を落とすことが多いとして言う。

類語: 「川立ちは川で果てる」、「善く泳ぐ者は溺る

山に躓かずして垤に躓く
(やまにつまずかずしててつにつまずく)

 小事をあなどると、かえって失敗するということ。「てつ」は蟻塚ありづかの意で、「ありづか」とも読む。重刑を山に、軽刑を垤にたとえる。刑罰を軽くすれば民はそれを軽視し、結局は国が乱れるというのが、法律・刑罰を政治の基礎に置いた韓非かんぴの思想である。

山の芋鰻になる
(やまのいもうなぎになる)

 世の中には想像もつかないようなことが起こり得るということ。物事が意外なものに変化するたとえにも使うが、昔はこうした怪奇がまことしやかに語られもした。

類語: 「すずめ海中に入ってはまぐりになる」、「田鼠でんそ化してうずらとなる」、「腐草ふそう化して蛍となる」、「かぶうずらとなり山芋はうなぎとなる」

闇から牛を引き出す
(やみからうしをひきだす)

 ⇒「暗がりから牛

闇夜に烏雪に鷺
(やみよにからすゆきにさぎ)

 真っ暗な寄るに黒いカラスがいても、真っ白な雪の中に白いサギがいても、いるかいないか分からない。区別が出来にくいことのたとえ。

闇夜に提灯
(やみよにちょうちん)

 困っているときに頼りになるものに巡り合うこと。また、切望していたものに巡り合うこと。

同意語: 「闇の夜道に松明たいまつ」、「闇夜の提灯」、「闇夜の灯火ともしび
類語: 「地獄で仏に会ったよう」、「渡りに船」、「旱天かんてん慈雨じう

闇夜に鉄砲
(やみよにてっぽう)

 当たるはずもないということ。また、当てもなく向こう見ずな行動をすること。京都系いろはがるたの一つ。闇夜では、どこに狙いを定めたらよいのかさっぱり分からない。

同意語: 「暗闇の鉄砲」、「闇夜のつぶて

闇夜の礫
(やみよのつぶて)

 ⇒「闇夜に鉄砲

闇夜の錦
(やみよのにしき)

 何の役にも立たず、無駄であること。せっかく錦を着ても、闇夜では誰もそれと気づかない。

同意語: 「闇の錦」、「夜の錦」

野無遺賢
(やむいけん)

 官の任用から漏れた在野の賢人はいないはずだ。賢人はすべてしかるべき官庁に登用され立派な行政が行われること。

病む身より見る目
(やむみよりみるめ)

 病気になっている者も辛いが、それを看病している者の方がもっと辛いということ。

同意語: 「病む目より見る目」

夜郎自大
(やろうじだい)

 自分の力のほども知らずに威張っていること。「夜郎やろう」は漢代、中国西南の辺境に勢力を張った異民族。漢の広大さを知らない夜郎の王が、漢の使者に自国と漢の国の大小を問うたという、『史記・西南夷伝』の故事に基づく。