矮子看戯
(わいしかんぎ)

 物事を判断する見識がなく、自分の意見を持たず他人の意見にすぐ同調すること。

類語: 「曲意逢迎きょくいほうげい」、「付和雷同ふわらいどう」、「唯唯諾諾いいだくだく

若い時の苦労は買うてもせよ
(わかいときのくろうはこうてもせよ)

 若いときにする苦労は将来役に立つから、自分から積極的に求めよということ。

若木に腰掛けな
(わかぎにこしかけな)

 年少者を頼りにしてはならないということ。また、これから伸びようとする年少者を踏みつけにしてはならないということ。「な」は禁止の助詞。若い木は折れやすいから、うかつに腰をかけてはならないの意。

同意語: 「古木ふるきに手をかくるな若木に腰をかくるな

我が心は石にあらず転ずべからず
(わがこころはいしにあらずてんずべからず)

 私の心は転がる石ではないから、決してころころと変わることはない。志の堅固であることを言う。

我が事と下り坂に走らぬ者なし
(わがこととくだりざかにはしらぬものなし)

 下り坂になると勢いよく走り下るように、自分のこととなると、人に言われなくても真剣に取り組むということ。

我が田に水を引く
(わがたにみずをひく)

 ⇒「我田引水

我が仏尊し
(わがほとけとうとし)

 自分の寺の仏が、どの寺の仏よりも尊く思えるということ。自分が持っている物、自分が良いと思っているものが、他のどんなものより優れていると思い込んでいるたとえ。

同意語: 「我が寺の仏尊し」

我が身の臭さ知ることなし
(わがみのくささしることなし)

 ご本人は自分の欠点にはなかなか気づかないということ。

同意語: 「我が身の臭さ我知らず」
類語: 「我が糞は臭くなし」、「臭い者身知らず

我が身を抓って人の痛さを知れ
(わがみをつねってひとのいたさをしれ)

 自分の苦痛と引き比べて、人の苦痛を思いやらなくてはならないということ。

同意語: 「我が身をんで人の痛さを知れ」
類語: 「己の欲せざる所は人に施すことなかれ」

我が物と思えば軽し笠の雪
(わがものとおもえばかるしかさのゆき)

 自分の利益になると思えば苦労も苦にはならなくなるということ。「笠」は、被りがさ。宝井其角きかくの句に「我が雪と思へばかろし笠の上」とあるのに基づく。

和顔愛語
(わがんあいご)

 なごやかな表情と親愛の情がこもった言葉づかい。親しみやすく暖かい態度のこと。

和気藹藹
(わきあいあい)

 人々が仲良く、和やかな気分がいっぱいに満ちたさま。

和光同塵
(わこうどうじん)

 (1)自分の学徳や才能を包み隠して、俗世間の中に交わり住むこと。『老子・第四章』に「えいくじき、其のふんを解き、其の光を和らげ、其の塵を同じくす」とあるのに基づく。
 (2)仏・菩薩ぼさつが知徳の光を隠し、煩悩ぼんのうちりにまみれて衆生しゅじょうを救うこと。仏・菩薩が人間界に仮の姿を現すことを言う。


同意語: 「光を和らげ塵に同ず」

和魂漢才
(わこんかんさい)

 日本固有の精神と中国の学問。また、その両者を兼ね備えていること。『菅家遺誡』にあることば。古くは日本人固有の精神をもって中国伝来の学問を活用することが学者の理想とされた。

和魂洋才
(わこんようさい)

 日本固有の精神と西洋の学問。また、その両者を兼ね備えていること。「和魂漢才」をもじって明治時代に作られたことば。日本人固有の精神をもって西欧の学問を取捨活用しようとしたのが一等国を目指す明治の指導者たちであった。

禍は口から
(わざわいはくちから)

 ⇒「病は口より入り禍は口より出づ

禍を転じて福と為す
(わざわいをてんじてふくとなす)

 身にふりかかった災難を逆手にとって、それが福に変わるように取り計らう。『史記・蘇秦伝』に「臣聞く、いにしえの善く事を制する者は、わざわいを転じて福とし、敗に因りて功を為す」とあるのに基づく。

同意語: 「禍を転じて幸いとす」

和して同ぜず
(わしてどうぜず)

 主体性を持つ君子は誰とでも協調するが、道理に外れたことには同調しない。『論語・子路』に、孔子のことばとして「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」とあるのによる。

渡りに船
(わたりにふね)

 ちょうど困っていたところに、おあつらえ向きの条件が整うこと。どうやってこの川を渡ろうかと思案していたら、目の前に船がぎ寄せたの意から言う。

同意語: 「渡しの船」、「渡りに船を得る」、「渡りの船」
類語: 「闇夜に提灯ちょうちん

渡る世間に鬼はない
(わたるせけんにおにはない)

 世の中には無慈悲な人ばかりではなく、困れば助けてくれる情け深い人もいるということ。人の情けにふれれば「渡る世間に鬼はない」と感動し、手痛い目にあえば「渡る世間は鬼ばかり」と人間不信に陥るのが、人の常。鬼もいれば仏もいるというのが、この世の実相であろう。

反意語: 「人を見たら泥棒と思え

和衷共済
(わちゅうきょうさい)

 心を合わせ助け合う。一致協力して仕事をすること。

和風細雨
(わふうさいう)

 穏やかに吹く風と、静かにそぼ降る雨。人の過ちや欠点を改めるのに柔和な態度、方法でのぞむことのたとえ。

笑う門には福来る
(わらうかどにはふくきたる)

 いつもにこにこと笑って暮らす人の家には、自然に幸運がめぐってくる。京都系いろはがるたの一つ。

類語: 「幸運は楽しい門を潜ってくる」、「笑って損した人なし」、「和気財を生ず」

笑って暮らすも一生泣いて暮らすも一生
(わらってくらすもいっしょうないてくらすもいっしょう)

 どうせ同じ一生なら楽しく笑いながら過ごした方がよいということ。心がけ次第で暗くも明るくもなるのが人生。

同意語: 「泣いて暮らすも一生笑って暮らすも一生」

我思う故に我在り
(われおもうゆえにわれあり)

 すべての存在を疑うことはできるが、それを考える自己の存在だけは疑うことができないということ。ラテン語“Cogito, ergo sum(コギト・エルゴ・スム)”の訳語で、デカルトの『方法序説』の中にあることば。デカルトは一切を虚偽であると考える「私」は必然的に何ものかでなくてはならないと気づき、「疑い得ない自己の存在」をその哲学の第一原理とした。ここから、自己とは精神にほかならず、精神と物体とははっきりと区別されるものだとして、「物心二元論」が生まれる。フランス語では“Jepense, donc je suis.”、英語では“I think, therefore I am.”。

破れ鍋に綴じ蓋
(われなべにとじぶた)

 どんな人にもそれぞれにふさわしい配偶者があるということ。江戸系いろはがるたの一つ。破損した鍋には修理した蓋が似つかわしいとして言う。

同意語: 「ねじれがまにねじれ蓋」、「合うた釜に似よった蓋」、「合わぬ蓋あれば合う蓋あり」、「破れ鍋に欠け蓋」
類語: 「牛は牛連れ馬は馬連れ

和をもって貴しと為す
(わをもってたっとしとなす)

 仲良く和合することが最も大切だということ。『礼記・儒行』には「礼はれ和をもって貴しとし、忠信を之れ美とし、優游ゆうゆうに之れのっとる」とあり、『論語・学而』には「礼の用は和を貴しと為す。先王の道はれを美と為す」とあるように、礼の根本は調和にあるとされた。聖徳太子の「十七条憲法」の第一条にも「和を以て貴しと為す。さからう無きをむねと為す」とある。