佞言似忠
(ねいげんじちゅう)

 媚びへつらう言葉は、誠実な真心に似ているもの。佞言はおべっか、へつらう言葉。

猫が肥えれば鰹節が痩せる
(ねこがこえればかつおぶしがやせる)

 鰹節を食った猫は太るが、かじられた鰹節は痩せて細くなる。一方が得をすれば他方が損をするということ。

類語: 「あちらを立てればこちらが立たぬ

猫に鰹節
(ねこにかつおぶし)

 油断がならないこと。また、過ちを起こしやすい状況であること。鰹節が猫の好物であることから言う。

同意語: 「猫にかつお」、「猫に乾鮭からざけ
類語: 「狐に小豆飯あずきめし

猫に小判
(ねこにこばん)

 いかに価値が高くても、その価値が分からない者にとっては何の役にも立たないということ。小判の値打ちは猫には分からないことから言う。

同意語: 「鶏に小判」、「犬に小判」、「豚に真珠」、「馬に天保銭てんぽうせん
類語: 「犬に論語」、「豚に経」、「豚に念仏」、「猫に石仏」、「猫に念仏」、「馬に経文」、「馬の耳に念仏」、「馬耳東風ばじとうふう

猫に木天蓼お女郎に小判
(ねこにまたたびおじょろうにこばん)

 大好物なもののたとえ。また、相手にそれを与えると効果的であるもののたとえ。猫はマタタビが、女郎は小判が大好きだとして言う。

同意語: 「猫にまたたび泣く子に乳房」、「猫に木天蓼またたび

猫にもなれば虎にもなる
(ねこにもなればとらにもなる)

 相手の出方次第で、おとなしくもなれば荒々しくもなるということ。

猫の魚辞退
(ねこのうおじたい)

 本心では欲しくてたまらないのに申し出を辞退すること。また、辞退する気持ちが長続きしないこと。猫が大好物の魚を断ることから言う。

同意語: 「猫の精進」

猫の手も借りたい
(ねこのてもかりたい)

 猫の手助けでもいいと思うほどに忙しいこと。猫は手近にいる動物で、役に立たないものの代表として言う。

同意語: 「犬の手も人の手にしたい」

猫は三年の恩を三日で忘れる
(ねこはさんねんのおんをみっかでわすれる)

 猫が人の恩を知らない動物であることを言う。

同意語: 「猫は三年飼っても三日で恩を忘れる」

猫は虎の心を知らず
(ねこはとらのこころをしらず)

 小人物には大人物の志は分からないということ。

類語: 「燕雀えんじゃくいずくんぞ鴻鵠こうこくの志を知らんや

猫も跨いで通る
(ねこもまたいでとおる)

 まずい味の魚、生きの悪い魚のたとえ。猫またぎ。魚を好んで食べる猫でさえ無視して通り過ぎることから言う。

鼠窮して猫を噛み人貧しうして盗みす
(ねずみきゅうしてねこをかみひとまずしうしてぬすみす)

 せっぱつまると鼠が猫にかみつくように、人はやむなく盗みを働くようになるということ。

寝た子を起こす
(ねたこをおこす)

 せっかく収まっている事柄に無用の手出しをして、面倒な騒ぎを再びむしかえすこと。やっと寝静まった子を無用に起こして泣かすことから言う。

同意語: 「寝ている子を起こす」、「寝る子を起こす」
類語: 「知恵ない神に知恵つける」、「知恵のない子に知恵つける」、「やぶをつついて蛇を出す

寝た間は仏
(ねたまはほとけ)

 どんな人間でも、寝ている間は苦労を忘れて、仏のように無心になれるということ。

類語: 「寝るほど楽はなし」、「寝る間が極楽」

熱願冷諦
(ねつがんれいてい)

 求める時には熱心に願望し、かなわぬ時には冷静にさらりと諦念すること。

寝耳に水
(ねみみにみず)

 不意の出来事にあって驚き慌てること。また、不意の知らせを聞いて驚くこと。

同意語: 「寝耳にすりこぎ」、「寝耳に水の入るごとし」
類語: 「青天せいてん霹靂へきれき」、「足元から鳥」、「足元から鳥が飛び立つ」、「やぶから棒

寝る子は育つ
(ねるこはそだつ)

 よく眠るのは健康な証拠で、そういう子は丈夫に成長するということ。

類語: 「泣く子は育つ」、「寝る子は息災」、「寝る子は太る」

年貢の納め時
(ねんぐのおさめどき)

 長い間悪事を重ねてきた者が、捕らえられて罪に服すべき時を言う。年貢の滞納を悪事に見立て、その清算を受刑に見立てて言う。

拈華微笑
(ねんげみしょう)

 ⇒「以心伝心

年功序列
(ねんこうじょれつ)

 年齢や勤続年数が増すにしたがって、地位や給料が上がること。また、そうした体系。

燃犀の明
(ねんさいのめい)

 見識があること。物事を明確に見抜くことのたとえ。

年頭月尾
(ねんとうげっぴ)

 一年月、一年中のたとえ。年のはじめ、月末。合わせて一年中の意。

念には念を入れよ
(ねんにはねんをいれよ)

 十分注意したうえに、さらに注意せよということ。「念を入れる」は細かい点にまで注意する意で、それを強めた言い方になっている。

類語: 「石橋を叩いて渡る

年年歳歳
(ねんねんさいさい)

 毎年ごとに。来る年も来る年も。

年年歳歳花相似たり歳歳年年人同じからず
(ねんねんさいさいはなあいにたりさいさいねんねんひとおなじからず)

 悠久不変の自然に対して、年とともに老いていく人間のはかなさを言う。毎年毎年花は同じように咲くが、それを見る人は年ごとに同じではない意から言う。唐の劉廷芝りゅうていしの詩「白頭を悲しむ翁に代わる」に「古人は洛城の東にかえること無きも、今人はまたた落花の風に対す、年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず、言を寄す全盛の紅顔子、まさに憐れむべし半死の白頭翁」とあるのによる。

同意語: 「歳歳年年人同じからず」、「年年歳歳花相似たり」

燃眉の急
(ねんびのきゅう)

 眉が焦げるほどの火急の時。差し迫った急場の情勢。

同意語: 「焦眉の急

念力岩をも通す
(ねんりきいわをもとおす)

 ⇒「思う念力岩をも通す