ミイラ取りがミイラになる
(みいらとりがみいらになる)

 人を連れ戻しに行った者が、先方にとどまって帰って来られなくなる。また、人を説得しようとした者が、かえって相手に説得されてしまう。

見栄張るより頬張れ
(みえばるよりほおばれ)

 虚栄より実利を取れということ。見栄を張っても腹はふくれない。同じ張るなら、たとえ体裁は悪くても、食べ物を口いっぱいに入れて頬を張った方が得だとして、実利につくべきことを説く。

同意語: 「義理張るより頬張れ」
類語: 「花より団子

身から出た錆
(みからでたさび)

 自分の悪行がもとになって、自らが苦しむこと。江戸系いろはがるたの一つ。自業自得の悪行を刀身自体から生じた錆にたとえる。錆は銘刀をも侵し、やがては「抜けば錆散る赤鰯あかいわし」と化してしまう。

同意語: 「刃から出た錆は研ぐに砥石といしがない」

右と言えば左
(みぎといえばひだり)

 人の言うことにことさら反対ばかりすること。

類語: 「ああ言えばこう言う」、「山と言えば川」

右の耳から左の耳
(みぎのみみからひだりのみみ)

 聞いたことを片端から忘れてしまうこと。右耳から入った音声が左耳からすっと抜けていく。

見ざる聞かざる言わざる
(みざるきかざるいわざる)

 心を惑わすものや他人の欠点などについては、見たり、聞いたり、言ったりしないということ。打ち消しの文語助動詞「ざり」の連体形「ざる」を「猿」にかけて、両目、両耳、口をそれぞれの両手で覆った三匹の猿の像を「見猿聞か猿言わ猿」の「三猿さんえん」という。

水到りて渠なる
(みずいたりてきょなる)

 時期が来れば物事は自然にできあがる。「渠」は「みぞ」。水が流れてくれば自然にみぞが出来る。もともとは、学問をきわめれば自ら功名が得られるということのたとえ。

水清ければ魚棲まず
(みずきよければうおすまず)

 清廉潔白に過ぎると、かえって人に親しまれなくなって孤立するということ。あまりに清冽せいれつな水は餌になるプランクトンが乏しく、姿も隠せないので魚は近寄らない。人も「清濁併せ呑む」ほどの雅量がりょうが欲しいとして言う。「人至りて賢ければ友なし」と対句にして言うこともある。

同意語: 「水至りて清ければ魚無し」、「水清ければ大魚無し」、「清水に魚棲まず」
類語: 「曲がらねば世が渡られぬ
反意語: 「水清ければ月宿る

水清ければ月宿る
(みずきよければつきやどる)

 心が清らかならば神仏の加護があるということ。月は闇を照らすことから、衆生を迷妄から救う真理のたとえ。くっきりと月影を映す清い水には魚もまないから、こいやらふなやらの煩悩ぼんのうが水面に波紋を立てることもない。

反意語: 「水清ければ魚棲まず

水心あれば魚心
(みずごころあればうおごころ)

 ⇒「魚心あれば水心

水に絵を描く
(みずにえをかく)

 苦労しても、後には何も残らないこと。甲斐かいのないこと。はかないことのたとえともする。

同意語: 「水にかず書く」

水の低きに就く如し
(みずのひくきにつくごとし)

 物事は自然のなりゆきに従うということ。また、自然の勢いは人の力では止め難いということ。『孟子・告子上』に「人の性善なるは、なお水のひくきに就くがごとし」とあるように、本来は、性善説が自然に道理に従った真実であることを説得的に主張するための比喩ひゆであった。

同意語: 「水は逆さまに流れず」、「水は低きに流る」

水は方円の器に従う
(みずはほうえんのうつわにしたがう)

 人は環境や人間関係に感化され、よくも悪くもなるということ。固有の形をもたない水は容器の形に従って四角く(方)も丸く(円)もなることから言い、『実語教』に「水は方円の器にしたがい、人は善悪の友にる」とあるのによる。孔子は『論語・為政』で「己れにかざる者(自分よりも劣っている者)を友とすること無かれ」という。

類語: 「朱に交われば赤くなる」、「人は善悪の友にる」、「よもぎに交じる麻

水を得た魚のよう
(みずをえたうおのよう)

 活躍できる場を得て生き生きしていること。

同意語: 「魚の水を得たるが如し

味噌も糞も一緒
(みそもくそもいっしょ)

 見た目は似ていても、その違いには歴然たるものがあることから、価値の区別をつけないことを非難して言う。

同意語: 「糞も味噌も一緒」、「糞味噌」、「味噌糞」

道に遺ちたるを拾わず
(みちにおちたるをひろわず)

 たとえ道端に金品が落ちていても拾う者はないの意で、世の中が太平に治まり、国民が満ち足りた生活を送っていることを言う。『韓非子・外儲説左上』に「子産しさんていの宰相)退きて政をすこと五年、国に盗賊無く、道にちたるを拾わず」とあるのによる。

三日天下
(みっかてんか)

 きわめて短い期間だけ政権や実権を握ること。「三日」はごくわずかな日数。天正十年(1582)、織田信長を倒して天下を取った明智光秀がわずか十二日後には滅亡したという故事に基づく。

三日坊主
(みっかぼうず)

 何をしても飽きやすく、長続きしないこと。また、そのような人。せっかく頭を丸めて出家したものの、修行や戒律の厳しさに堪えかねてすぐに還俗げんぞくしてしまう僧が少なくなかったことから言う。「三日」はごくわずかな日数。

三日見ぬ間の桜かな
(みっかみぬまのさくらかな)

 満開の桜がすぐに散ってしまうように、世の中は目まぐるしく移り変わるということ。

三つ子の魂百まで
(みつごのたましいひゃくまで)

 幼いときに形成された性格は老年期になっても変わらないということ。「三つ子」は三歳児。

類語: 「噛む馬はしまいまで噛む」、「すずめ百まで踊り忘れず」、「揺りかごで覚えたことは墓場まで」

満つれば虧く
(みつればかく)

 ⇒「月満つれば

見ての極楽住んでの地獄
(みてのごくらくすんでのじごく)

 外から見ていると極楽のように思えるが、実際に住んでみると地獄のようなところだ。転じて、そばで見ているのと実際に体験してみるのとでは、大きな違いがあるということ。

類語: 「聞いて極楽見て地獄

源清ければ流れ清し
(みなもときよければながれきよし)

 根源が正しければその末も正しいということ。『荀子・君道』に君主を源泉に臣下を末流にたとえ、「みなもと清ければすなわち流れ清く、原濁れば則ち流れ濁る」とあるのによる。君主に不正がなければ臣下も襟を正すようになり、民をモラルを守りながら安定した生活を送るようになると言う。

身に過ぎた果報は禍の元
(みにすぎたかほうはわざわいのもと)

 見分不相応な幸運が転がり込むと、それがかえって災難を招くもとになるということ。身に即した幸せで満足するのが本当の幸せだとして言う。

見ぬ物清し
(みぬものきよし)

 実物を見なければ、どんなに汚い物でも平気でいられるということ。

同意語: 「見ぬが綺麗」、「見ぬほど奇麗な物はない」、「見ぬ事清し」
類語: 「見ぬうちが花」、「見れば目の毒」、「知らぬが仏」、「聞けば気の毒」、「聞けば聞き腹

実の生る木は花から知れる
(みのなるきははなからしれる)

 大成する人物は初めからどこか凡人とは違ったところがあるということ。咲いた花のようすを見れば、果実がよく実るかどうか予測することができるとして言う。

類語: 「蛇は寸にして人を」、「栴檀せんだんは双葉よりかんば

実るほど頭の下がる稲穂かな
(みのるほどあたまのさがるいなほかな)

 稲の穂は、実り熟すにつれて稲先を下げる。優れた人物ほど頭が低く、謙虚だということ。

同意語: 「実る稲田は頭を垂れる」

身は一代名は末代
(みはいちだいなはまつだい)

 ⇒「人は一代名は末代

身二つになる
(みふたつになる)

 子を生む

耳が遠い
(みみがとおい)

 聴力が弱くて、よく聞こえない。

耳が早い
(みみがはやい)

 物音などを素早く聞きつける。

耳に胼胝が出来る
(みみにたこができる)

 同じことばかり聞かされてうんざりする。

耳に挟む
(みみにはさむ)

 ちらりと聞く。

耳を疑う
(みみをうたがう)

 聞き違いではないかと思う。

耳を掩うて鐘を盗む
(みみをおおうてかねをぬすむ)

 罪悪は人に知られたくないと思っても、すぐに知れ渡ってしまうということ。また、良心に背くと知りながら、あえて悪事を行うこと。ある男が盗んだ鐘を背負って逃げようとしたが重くて持ち上がらない。それならば壊してしまえとつちで叩くとガーンと大きな音が鳴り響いた。男は人に聞かれては大変と、慌てて自分の耳をふさいだという、『呂氏春秋・自知』の故事に基づく。

類語: 「目をおおうて雀を捕らう

耳を傾ける
(みみをかたむける)

 注意して聞く。

耳を信じて目を疑う
(みみをしんじてめをうたがう)

 聞いたことは信頼するが、身近に見るものは信じようとしない。人は見もしないことを尊重し、卑近なことを軽視するものだということ。『抱朴子・広譬』にあることば。

類語: 「耳をたっとび目をいやしむ」

耳を欹てる
(みみをそばだてる)

 緊張して聞こうとする。

耳を揃える
(みみをそろえる)

 ある金額を全額まとめる。

見目は果報の基
(みめはかほうのもと)

 美しい容貌が幸せをもたらすということ。容貌を女性の幸不孝の中心に据える、男性の女性観がうかがわれる。

反意語: 「見栄みえより心」、「見目より心

見目より心
(みめよりこころ)

 美しい容貌よりも麗しい心をもつ方が大切であるということ。

同意語: 「見栄みえより心」
類語: 「立派な行いをする人は美しい」
反意語: 「見目は果報の基

身も蓋も無い
(みもふたもない)

 露骨すぎて情味がない。

名詮自性
(みゅうせんじしょう)

 仏教で、名前はそのものの本性を言い表わすということ。名は体を表わす。

苗字帯刀
(みょうじたいとう)

 江戸時代、家柄や功労によって平民が特に苗字をとなえ、帯刀を許されたこと。

妙手回春
(みょうしゅかいしゅん)

 手を触れれば春になるかのような、医師の凄い腕前をいう。敏腕の医師により、病気が良くなること。

名聞利養
(みょうもんりよう)

 世間の名声と利得。お金と地位に対する欲求。

未来永劫
(みらいえいごう)

 仏教で、今後いつまでも続く果てしない時間。永遠、永久。

見ると聞くとは大違い
(みるときくとはおおちがい)

 話に聞くのと実際に見るのとでは大変な違いがあるということ。多く、期待を裏切って悪いという意で使う。

同意語: 「聞くと見るとは大違い
類語: 「百聞は一見にかず」、「聞いて極楽見て地獄」、「聞いて千金見て一毛」

見るは法楽
(みるはほうらく)

 (1)よいものを見るのは楽しみだということ。
 (2)見て楽しむだけなら無料だということ。


同意語: 「聞くは法楽」

未練未酌
(みれんみしゃく)

 相手の気持ちがくみ取れず、心残りであること。

身を固める
(みをかためる)

 定職につく。結婚する。

身を削る
(みをけずる)

 非常な苦労をする。

身を焦がす
(みをこがす)

 恋焦がれる。

身を粉にする
(みをこにする)

 苦労をいとわずに働く。

同意語: 「粉骨砕身

身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
(みをすててこそうかぶせもあれ)

 命を捨てる覚悟さえあれば、窮地を脱して物事に成功することができるということ。溺れかかったときは、あがけばあがくほど深みにはまる。捨て身になって流れにまかせれば、やがて浅瀬に立つこともできるとして言う。

類語: 「不惜身命

身を立てる
(みをたてる)

 社会に出て名をあげる。

身を持ち崩す
(みをもちくずす)

 ふしだらな生活を送る。