つっこみ力 [パオロ・マッツァリーノ]
 「反社会学講座」「反社会学の不埒な研究報告」に続く、似非社会学者パオロ・マッツァリーノ氏(スタンダード 反社会学講座)の三冊目の著書。いや、似非も何も社会学者と名乗ってるわけじゃないんですが、元データの解釈次第で何とでも言えてしまう社会学の手法を利用して面白おかしく語ったりする人、なんて書くと長いですしね。本人は、自分は戯作者であり、自分がやっているのは統計漫談だ、なんてなことを書いてました。で、今回のつっこみ力ってのは何かと言うと、マッツァリーノ流のメディア・リテラシーのことだそーです。正直言いまして私はメディア・リテラシーってよお知らんかったんですが、Wikiによると「情報メディアを批判的に読み解いて、必要な情報を引き出し、その真偽を見抜き、活用する能力のこと」だそうです。まあなんですか、テレビやら新聞の報道なんてのは、意識的かどうかはともかく、情報発信者の言い方や編集の仕方によって歪められている……と言うと言いすぎか、えーと、まあ偏った伝え方になってしまうと言うか、何がしかの方向性を持たせられてしまうなんてことが普通にあるわけで、その辺を考慮して情報を正しく読み取るんじゃぜ、という能力ですね。イヤになるくらい情報の氾濫しているこのご時世ですから、メディアに踊らされることなく情報を正しく読み取ろうぜってのはごもっともなんですが、しかしながらメディア・リテラシーという言葉(とその意味)はあまり浸透していないようで、マッツァリーノ氏に言わせれば、それはメディア・リテラシーというのがいかに正論であろうとも、面白味がないから広まらないのだ、とのこと。間違っていたり、妙な方向に誘導する伝え方をされている情報に出くわしたら、それにツッコミを入れて笑い飛ばせばいいじゃないの、その方が面白いじゃん? だからメディア・リテラシーなんて「つっこみ力」って言えばいいじゃないさ! とまあ、そんなようなことを面白可笑しく書いてある本です。個人的には二冊目の「反社会学の不埒な研究報告」がイマイチだったのであまり期待してなかったんですが、これまたどっこい、前二冊より面白い読み物になってます。ヒマ潰しに、ニヤニヤしながら軽く読める本としてオススメです。特に、新書サイズになって値段がお安くなったのがオススメです。
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