JACK -背徳の女神-
 シルキーズの98エロゲ「JACK -背徳の女神-」をプレイ。軍隊時代に心の傷を負って退役し、アル中探偵となった主人公が、軍の元上官から謎のテロリストを追う依頼を受けるといった内容のAVG。ワープを用いた恒星間航行が可能な時代設定で、SFハードボイルド物として期待していたんですが、大外れでした。一応探偵っぽく調査まがいのことをしたりはするものの、事件はそれとはほとんど関係なく進行し、そして突然に終わってしまう。いくつかそれなりに山場っぽいシーンはあるのだが、それらが最後の山場へと繋がっていく感じがないのはいただけない。相棒の軍人(美少女)は軍人としても探偵としても役立たずで、さらには接触テレパスであるのに、その力を主人公との密談に使うだけで、調査時にまったく使ってくれないというダメっぷり。無駄に女性キャラが多く、その中で取り立てて特徴的というわけでもないので、ヒロインとしても失格であろう。
 画面表示的には従来のAVG仕様であるものの、普段はコマンドが表示されず、時折VNのように選択肢が表示され、それによって話が分岐するというタイプになっているのだが、その選択肢分岐がまた意味不明である。基本的には一本道で、主要ルートを外れるとバッドエンド一直線になるのだが、何故バッドエンドになるのかがまったくわからない。序盤で蝶々を羽ばたかせたら(というフラグを立てたら)、終盤で彗星と衝突してしまったというぐらいに原因と結果の関係がはっきりしない。というより、そもそも関係がないと思われる。いっそヘタな分岐など入れずに従来のコマンド総当りAVGにするか、あるいは途中途中に選択肢はあっても主要ルートからは外れることのない一本道VNにでもした方が良かったろうに。
 そして、AVG(VN含む)では特に重要な文章がまた酷い。昔のエロゲにありがちなタイプの稚拙さはないが、説明不足で独り善がりな比喩を多用した文章なのである。比喩を多用したり、当然わかってくれるものとして説明を省いているのは、恐らくハードボイルド的な格好良さを出そうと意図してのことではないかと思われるのだが、完全に失敗している。小説風のVNとは違って、主人公による語りのみが状況を把握させてくれるAVGタイプの場合、状況把握を困難にさせるレベルにまで説明が足りなかったり、あるいは無意味な比喩を多用するのは、もういやがらせであるとしか思えない。
 とまあ、欠点だらけのゲームではあるが、絵は良い。16色の限界近くまで頑張っている。まあ同時代のそれなりの大手のメーカから出たエロゲは大抵このレベルの画像であったようにも思うが、絵以外があまりに酷いので目立って良く見えるというのはあるかもしれない。あ、エロシーンは多分普通か普通よりやや下という程度。多分。かったるくてすっ飛ばしたんだけども、まあエロ主体のゲームでもなけりゃ、あまり酷すぎなければその辺は評価対象に入れていない。
 今更こんな古いエロゲのことを書いても、名作でもあるまいし、今後プレイしようなんてな酔狂な人はいないと思うけども、もし機会があっても、手をつけない方が賢明でありましょう。とりあえず、クソだクソだと言いながらも、最後までプレイした(どころか全バッドエンドまで見た)自分に乾杯。
2004.08.28 01:00 | pmlink.png 固定リンク | folder.png ゲーム | com.gif コメント (0)
コメント一覧
コメント投稿

名前

URL

メッセージ

- CafeLog -