インスタントラーメンと浅間山荘事件
 父親と二人、昼食にインスタントラーメンを食っていた、とある休日。
「THU、最初のインスタントラーメンって、なんだか知ってっか?」
「チキンラーメンっしょ。三分間待つのだぞ、とかいうCMの」
「それそれ。あれなあ、最初は全然売れなかったんだぞ」
「へー、そいつは知らんかったよ」
浅間山荘事件がきっかけで売れるようになったんだよ。知ってるか、浅間山荘事件」
「概要くらいはね。で、あの事件がきっかけっつーのは?」
「おう、あんときなあ、山荘を包囲しった警官隊がチキンラーメンを食ってるとこがテレビで流れてな、それを見た視聴者が一体ありゃなんだっつーことで有名になって、それで売れ出したんだ」
「ふーん。乾燥麺だから携帯には向くのかもしれないけど、ドンブリ必要なのは面倒そうだけどねえ」
「それぞれ自分用の器を持ってんだよ。軍人の基本だろ」
「基本なんスか」
「いや、知らねえけど」
「テキトーなのかよ!」
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 さて、その夜。
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「親父ぃ、ネットでちょっと調べたんだけども、浅間山荘事件で有名になったのって、チキンラーメンじゃなくて、カップヌードルJYAN?
「……ど、どっちも似たようなもんだろ?」
「そりゃまあどっちも即席麺にゃ違いねえけっども、カップヌードルはチキンラーメンより高いから最初は売れなかったとか、そういう事情があるわけで、そうなると同一視しちゃあまずいっしょ」
「せからしか! 最初からカップヌードルって言っとったろうが!」
「言ってねえよ! っていうかいきなりなまるなよ!!」
「ワレワレハバルタン星人デスカ?」
「疑問形かよ! もうわけわかんねーよ!」
「実はな、おまえは俺の本当の息子じゃないんだ!」
「それを聞いてホっとしたよ」
「うっそ~ん!?」
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