人里の熊
日曜日に、二年ほど会っていなかった友人に会いに行くことになりまして。昨年に結婚して、数ヶ月後には子供も生まれるとかで、こりゃなんかお祝いのよーなもんでも持っていかねばならんじゃろなあとは思ったものの、一体何を贈ればよいのかさっぱりわからない。普段なら何か笑いを取れるものを探すのだが、さすがにそうもいくまい。こういうときは年長者に聞くのが一番だということで、まずは親に聞いてみる。
「結婚祝いってのは俺は未だに悩むな。ごく普通のものを贈るのが本当は一番なんだろうが、そうすると他の人とかぶるしな。そう考えると、ダブっても問題がないようなものを贈るのがいいとは思うが、そうはいっても同じようなものを数人から贈られても困るだろう。ダブるのにも限度があるからな。だからよ、商品券とかな、そういったもんがいいんじゃねえかな」
というのが還暦を迎えた父親の意見。うん、確かに商品券ならいくら貰っても困るまい。ところが、同行者二名に聞いてみたところ、「俺は商品券かな」(いきなりかぶってるし)、「俺は現金にする」(ゎーぉ、すげえ直球だぜ)とのこと。う~ん、いくらかぶっても困りはしないとはいえ、俺まで同じってんじゃちと芸がないよなあ。
というわけで、今度は会社の人間に聞いてみると、食器なんかがいいのではないかと言う。まだ結婚してさほど経っていないし、それならば食器は喜ばれるのではなかろうか、と。そうか、食器か。よし、それにしよう。……ところで、食器の良し悪しって、どこらへんでわかるのさ? 基本的に、普段使うようなものは100円ショップで売ってるようなもんで十分だと思っているため、それなりの値段の食器のことなどさっぱりわからぬ。まあそんなわけで、困ったときは誰かに相談しろと風水の先生も言っていたので(多分関係ないけど)夫君持ちの事務の人に付き合ってもらうことにした。
連れていかれたのは「Franc franc」とかいう店。なんだかこじゃれた雑貨屋風。デザインゆえか、ブランドゆえなのか、何故高い値段がついているのかよくわからない商品がずらり。ほとんどが女性客で、どうにもこうにも落ち着かない。
「THUさん、どんなのがいいですか?」
「あうあ~?」(キョロキョロ。
「色々見てみたらどうですか?」
「ク、クポポ~?」(うろうろ。
「これなんか可愛くないですか?」
「ほげ?」(商品を手に取り、首をかしげる。
「あ、このカップ可愛いですよ。同一(コンセプトの)デザインのお皿と合わせて、それを二人分用意すればきっと喜んでくれますよ」
「……お、お任せします」
そんなこんなで、買い物は同行者に任せっぱなしでした。気分はもう人里に迷い込んだ熊です。いや、見た目がどうとかじゃなくて(否定は出来ませんが)。こじゃれた感じに箱につめてもらって、会計は5000円ちょい。皿一枚で700円とかするのね。もし食器なんていらないよと言われたら、フリスビーにしてストレス解消してくれいとか言おうと思っていたのだが、こんな(少なくとも俺にとっては)高価なフリスビーなんて贅沢すぎじゃよ。
う~ん、喜んでくれるといいんだけどなあ。……いや、そりゃまあ貰った目の前でイヤな顔はしないと思うけども。
「結婚祝いってのは俺は未だに悩むな。ごく普通のものを贈るのが本当は一番なんだろうが、そうすると他の人とかぶるしな。そう考えると、ダブっても問題がないようなものを贈るのがいいとは思うが、そうはいっても同じようなものを数人から贈られても困るだろう。ダブるのにも限度があるからな。だからよ、商品券とかな、そういったもんがいいんじゃねえかな」
というのが還暦を迎えた父親の意見。うん、確かに商品券ならいくら貰っても困るまい。ところが、同行者二名に聞いてみたところ、「俺は商品券かな」(いきなりかぶってるし)、「俺は現金にする」(ゎーぉ、すげえ直球だぜ)とのこと。う~ん、いくらかぶっても困りはしないとはいえ、俺まで同じってんじゃちと芸がないよなあ。
というわけで、今度は会社の人間に聞いてみると、食器なんかがいいのではないかと言う。まだ結婚してさほど経っていないし、それならば食器は喜ばれるのではなかろうか、と。そうか、食器か。よし、それにしよう。……ところで、食器の良し悪しって、どこらへんでわかるのさ? 基本的に、普段使うようなものは100円ショップで売ってるようなもんで十分だと思っているため、それなりの値段の食器のことなどさっぱりわからぬ。まあそんなわけで、困ったときは誰かに相談しろと風水の先生も言っていたので(多分関係ないけど)夫君持ちの事務の人に付き合ってもらうことにした。
連れていかれたのは「Franc franc」とかいう店。なんだかこじゃれた雑貨屋風。デザインゆえか、ブランドゆえなのか、何故高い値段がついているのかよくわからない商品がずらり。ほとんどが女性客で、どうにもこうにも落ち着かない。
「THUさん、どんなのがいいですか?」
「あうあ~?」(キョロキョロ。
「色々見てみたらどうですか?」
「ク、クポポ~?」(うろうろ。
「これなんか可愛くないですか?」
「ほげ?」(商品を手に取り、首をかしげる。
「あ、このカップ可愛いですよ。同一(コンセプトの)デザインのお皿と合わせて、それを二人分用意すればきっと喜んでくれますよ」
「……お、お任せします」
そんなこんなで、買い物は同行者に任せっぱなしでした。気分はもう人里に迷い込んだ熊です。いや、見た目がどうとかじゃなくて(否定は出来ませんが)。こじゃれた感じに箱につめてもらって、会計は5000円ちょい。皿一枚で700円とかするのね。もし食器なんていらないよと言われたら、フリスビーにしてストレス解消してくれいとか言おうと思っていたのだが、こんな(少なくとも俺にとっては)高価なフリスビーなんて贅沢すぎじゃよ。
う~ん、喜んでくれるといいんだけどなあ。……いや、そりゃまあ貰った目の前でイヤな顔はしないと思うけども。
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