ポアロ六冊
 「ポアロ登場」「エッジウェア卿の死」「ABC殺人事件」「ひらいたトランプ」「死との約束」「愛国殺人」読了。
 「ポアロ登場」は短編集。探偵エルキュール・ポアロと相棒のヘイスティングズが難事件に挑む、という感じですかね。まんまホームズ。ホームズ好きなら面白いんじゃないだろうか。俺は面白かったけど。
 「エッジウェア卿の死」「ABC殺人事件」も面白かったが、ABC殺人事件はわりと新鮮だった。ある種の法則性はあるものの、ほとんど無差別殺人事件で、特定の人たちから犯人を絞り込むという従来の形ではなく、捜査物風の展開に驚き、そして最後にまた驚いた。多分推理小説としては古典に分類されるであろう女史の作品であるが、古かろうがなんだろうが、面白い物はやはり面白い。
 「ひらいたトランプ」「死との約束」「愛国殺人」では、ヘイスティングズが出てこない。もしかすると全体として見ると、ヘイスティングズの出てくる話の方が少ないのだろうか? まあそれはわからないが、とにかく今挙げた三作品と、まだ読んでいない「複数の時計」と「ハロウィーン・パーティー」でも出てこないようだ。面白いからどうでもいいといえばいいのだが、ヘイスティングズが語る方式(ホームズ式とでも言えばいいのだろうか)を気に入っているという人は驚くかもしれない。
 「ひらいたトランプ」も少々特殊で面白かった。あるパーティーで起こった殺人なのだが、八名の招待客のうち四人は探偵や警察などで、残り四人は過去の事情により誰しも殺人を行う可能性があった。探偵役となった四人が、残り四人のうち誰が犯人なのかを探し出すという話になっていて、四人で強力して犯人探しをするという部分が、なかなか面白い。
 今まで読んだところでは、女史の作品は後期の作品になればなるほど人物の心理描写などに力を入れてあり、推理物としての興奮度は下がっているように感じられるが、それが取ってつけたようなものではなく、話を生かすのにきちんと役立っているので、なんだかんだいってもやはり面白い。残りもじっくりと読むことにしよう。
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