弊衣破帽
(へいいはぼう)

 ぼろぼろの衣服と破れた帽子。またそれを身につけたさま。蛮カラ。

平穏無事
(へいおんぶじ)

 静かで何もおこらないようす。穏やかで、変わったことがないこと。

兵貴神速
(へいきしんそく)

 ⇒「兵は神速を貴ぶ

閉戸先生
(へいこせんせい)

 年中、戸を閉め切って読書にふける人。学問に没頭する人物。

平身低頭
(へいしんていとう)

 ひれ伏して、地面に頭をつけること。へりくだって恐縮するさま。

平談俗語
(へいだんぞくご)

 日常の会話にふつうに現われるような、ふつうの言葉。

平地に波瀾を起こす
(へいちにはらんをおこす)

 せっかく事が治まっているところへもってきて、揉め事を引き起こすこと。平穏な陸地に風波ふうはを立てることから言う。「波瀾」は小波と大波の意で、ここでは騒ぎや揉め事のたとえ。唐の劉禹錫りゅううしゃくの「竹枝詞」に「長く恨む人心は水にかず、等閑に平地に波瀾を起こす」とある。

同意語: 「平地に波を起こす」

丙丁に付す
(へいていにふす)

 焼き捨てること。他人に見られては困る書類や手紙を火中に投じて燃やすことを言う。「丙」は十干じっかんの「ひのえ」、「丁」は「ひのと」。ともに五行ごぎょうの「木火土金水」の「火」にあたるので、火の意味になる。

兵は神速を貴ぶ
(へいはしんそくをたっとぶ)

 戦いで兵を用いるには、迅速に事をなすことが大切である。「神速」は「迅速」に同じ。『三国志・魏志・郭嘉伝』にある郭嘉かくかのことばによる。『孫子』に「兵は拙速を聞くも、未だ巧の久しきをざるなり」とあり、『旧漢書・韋挺伝』に「兵は拙速をたっとぶ。巧遅を貴ばず」とあるのも同様の考えを言う。

同意語: 「兵貴神速」

平平凡凡
(へいへいぼんぼん)

 普通の人と同じで特に優れた点や変わった特色のないこと。「平凡」を強めた言い方。

下手があるので上手が知れる
(へたがあるのでじょうずがしれる)

 下手な人がいるからこそ、上手な人の存在が知られる。何事も比較になるものがあるからこそ、その良さや巧みさが分かるということ。下手な人の自己弁護や、下手な人をかばうときに用いる。

類語: 「下手は上手の飾り物」

下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる
(へたなてっぽうもかずうちゃあたる)

 たくさんやってみると、なかにはまぐれ当たりもあるということ。成功は試みの回数が多かったことから得たものに過ぎないとして、多く、実力が伴わずに成功した人をあざけって言う。

類語: 「下手な鍛冶屋も一度は名剣」

下手の考え休むに似たり
(へたのかんがえやすむににたり)

 よい考えも浮かばないのに長く考え込むのは時間のむだであるということ。碁や将棋で力のない人が長考するのは何の効果もないということから言う。

同意語: 「下手な考え休むにかず」

下手の道具調べ
(へたのどうぐしらべ)

 仕事の下手な職人に限って、あれこれと道具に注文をつけたがるということ。

同意語: 「下手な職人ほど道具に難癖をつけたがる」、「下手の道具立て」
類語: 「弘法は筆を択ばず」、「能書筆を択ばず

下手の長談義
(へたのながだんぎ)

 話が下手な人に限って長々と話をしたがるものだということ。シェークスピアも『ハムレット』で、“Brevity is the soul of wit.(簡潔こそ知恵の精髄)”と言っている。

同意語: 「下手の長口上」、「下手の長談義後座こうざの妨げ」、「下手の長談義高座の妨げ」、「下手の長話」
類語: 「長口上は欠伸あくびの種」

下手の横好き
(へたのよこずき)

 下手なくせに妙に好むこと。物事は好きだからこそ上手になるものだが、下手で好きなのは妙な話だとして言う。

同意語: 「下手のわる好き」、「下手の物好き」
反意語: 「好きこそ物の上手なれ

屁と火事は元から騒ぐ
(へとかじはもとからさわぐ)

 臭い臭いと言い出す者が、おならをした張本人に違いないということ。

同意語: 「言い出しのこき出し」、「屁は言い出し」、「屁ひり出しのぎ出し」
類語: 「火は火元から騒ぎ出す」、「言いだしっ

蛇に噛まれて朽ち縄に怖じる
(へびにかまれてくちなわにおじる)

 一度の失敗に懲りて、必要以上に用心深くなること。朽ち縄が蛇に似ることから言う。

類語: 「あつものに懲りてなますを吹く

蛇に見込まれた蛙
(へびにみこまれたかえる)

 恐ろしさのために身がすくんで動けないことのたとえ。蛇が蛙を好んで食うことから言う。「見込む」は見入るの意の古い言い方で、有望だと思う(将来を見込む)の意ではない。「見込まれた」で、じっと見詰められたの意。

同意語: 「蛇ににらまれた蛙」

蛇の生殺し
(へびのなまごろし)

 (1)生かしたままとどめを刺さずに、半死半生の状態にすること。
 (2)物事に決着をつけず、不徹底のままにしておくこと。また、そのために苦しい思いをすること。

屁を放って尻を窄める
(へをひってしりをすぼめる)

 失敗した後で、慌てて取りつくろうこと。江戸系いろはがるたの一つ。

同意語: 「屁ひって尻すぼめる」、「屁ひって尻つぼめる」、「屁をこいて尻をすぼめる」

弁慶の立ち往生
(べんけいのたちおうじょう)

 進退きわまることのたとえ。源義経よしつねをかばうために、武蔵坊弁慶が衣川ころもがわの戦いで、橋の中央に立ったまま、大薙刀なぎなたを杖にして、敵の攻撃の矢面やおもてに立って死んだという、『義経記』などに見られる伝説から言う。「立ち往生」はここでは立ったまま死ぬ意だが、今では多く、途中で行き詰って身動きがとれなくなるの意で使う。

変幻自在
(へんげんじざい)

 自分の思い通りに変化したり、現われたり消えたりすること。種々変化すること。

ペンは剣よりも強し
(ぺんはけんよりもつよし)

 言論の力は武力よりも訴える力をもっているということ。イギリスの政治家で文学者のジョージ・リットンきょうの戯曲『リシュリュー』に、「完全に偉大な人間の支配化では、ペンは剣より強し」とあるのに基づく。“The pen is mighter than the sword.”

辺幅を修飾す
(へんぷくをしゅうしょくす)

 外見を飾り立てる。「辺幅」は織物のへりの部分のこと。中心的でない部分に無駄な飾りをつけることで、外見だけを立派に見せようとして見栄を張ることを言う。

同意語: 「辺幅を飾る」

偏旁冠脚
(へんぼうかんきゃく)

 漢字の字形を構成する要素の名称。偏と「つくり」と上部のかんむり、下部の脚。