迷子の迷子の……

　母の具合は大分良くなってきたようで、これまで常時付けられていた点滴だの薬だのの複数の管も外されて、一日一回点滴するぐらいで、あとは自分で売店に行ったり出来るようになったようです。で、この前の祝日に父親と二人して見舞いに行った際、平日だと込みまくっている病院内のコーヒー店がガラガラだったので三人でのんびりコーヒーなんぞを飲んだりして、そこで分かれて私と父は帰り、母は一人で病室に戻った……はずだったんですが、後で聞いたら病室に戻るのに迷いまくってえらく時間がかかったそうです。病室のある階は覚えていたらしいんですが、北棟、南棟とか複数の棟があるので間違って違う棟に行ってしまったとか。病院の廊下には迷わないように色つきの線が引いてあって、「この赤色の線を辿って戻ればいいからね」と説明したにも関わらずですよ。やっぱまだまだボケボケ状態なんだなーと思って父親に話をしたら、「ウチのお母さんは昔っから方向音痴だから、正常な状態でもやりかねない。脳梗塞の影響なのかどうかは微妙だな」ですって。いや、方向音痴なのは知ってたし……ああ、そういや確かに、昔から慣れない場所には一人では行きたがらなかった気もするけど、それにしても酷いなオイ。大体、売店に行ったりしてるって言ってたぢゃまいか、売店とコーヒー店すぐ隣じゃんよ！ と母に突っ込んだら、同じ病室の人と一緒に行ったりしてたんだってさ。まあ、自分が方向音痴だっつー自覚があるから場所のわかる人と一緒に動くっつーのは間違っちゃいないんでしょうが、そうやってばかりだからいつまでも改善されないんじゃあ……。いや、方向音痴ってのは直らないのか？ まあ父の話では若い頃からずっと方向音痴のまんまらしいんで、今更っつー話ではあるのか。