老い木に花が咲く
(おいきにはながさく)

 一度衰えたものが再び栄えること。

同意語: 「老い木に花」
類語: 「枯れ木に花」、「枯れ木に花が咲く」、「埋もれ木に花」、「埋もれ木に花が咲く

老い木は曲がらぬ
(おいきはまがらぬ)

 老い木は柔軟性に乏しく、曲がりにくい。老人の頑固さの例え。年を取ってからは、考え方や性癖を改めようとしても無理だということ。

類語: 「めるなら若木のうち

老いたる馬は道を忘れず
(おいたるうまはみちをわすれず)

 年老いた馬は、長年通い慣れた道を忘れない。経験豊かな人は物事のやり方をよく心得ているということ。

同意語: 「老いたる馬は道を知る」、「老馬の智
類語: 「亀の甲より年のこう」、「年寄りの言うことと牛の鞦は外れない

追風に帆を揚ぐ
(おいてにほをあぐ)

 追風に帆を上げる

同意語: 「得手に帆を揚ぐ

老いては子に従え
(おいてはこにしたがえ)

 年をとったら子に任せ、何事もこれに従うのがよいということ。

老いてはますます壮んなるべし
(おいてはますますさかんなるべし)

 年をとってもますます元気で意気盛んでなければならないということ。

老いの一徹
(おいのいってつ)

 老人が思ったことを頑なに押し通そうとすること。

横行闊歩
(おうこうかっぽ)

 いばって歩き回る。思いのままに振る舞う。

王侯将相寧ぞ種あらんや
(おうこうしょうしょういずくんぞしゅあらんや)

 王や諸侯、将軍や宰相になる人は必ずしも優れた家柄や血統によるものではなく、各自の才能や努力によるものだということ。

横行覇道
(おうこうはどう)

 権勢をたのんで横暴な振る舞いをする。力づくで無理を通し、のさばりかえること。

黄金分割
(おうごんぶんかつ)

 小部分と大部分の比例が、大部分と全体の比に等しくなるように分割すること。大と小の比率は1.618 対 1。

王政復古
(おうせいふっこ)

 武家政治や共和制が廃止されて、もとの君主政治にもどること。明治維新がその例。

応接に暇あらず
(おうせつにいとまあらず)

 物事が次から次へと現れて、対応する暇がない。自然の景色が次から次へと開けて、ゆっくり鑑賞している暇がないこと。転じて、面会者が次々と現れて休む暇もないことを言う。

負うた子に教えられて浅瀬を渡る
(おうたこにおしえられてあさせをわたる)

 老練な人も、ときには自分より未熟な人に教えられることがあるということ。背中に背負った子に教えられて深みにはまらずに川を渡るの意から言う。

同意語: 「負うた子に教えられる」、「負うた子に浅瀬」、「負うた子に浅瀬を習う」
類語: 「愚者もときには賢者に説法」、「上手は下手の手本下手は上手の手本」、「知者の一失愚者の一得」

負うた子より抱いた子
(おうたこよりだいたこ)

 身近なことを優先させたり大事にしたりするのが人の常であるということ。背中に負うた子よりは前に抱いた子の方があやしやすいことから言う。

王道楽土
(おうどうらくど)

 王道によって治められる、楽しく平和な国土。

横眉怒目
(おうびどもく)

 眉をつり上げ目を怒らす。険しい目付きで睨みつけるさま。目くじらをたてる。

応病与薬
(おうびょうよやく)

 病気の種類に応じて最も適した薬を与えること。人に応じて法を説くたとえ。

往返徒労
(おうへんとろう)

 むだに往復する。無駄足を踏むこと。

大男総身に知恵が回りかね
(おおおとこそうみにちえがまわりかね)

 体ばかり大きくて知恵の回らない人をあざけっていう川柳。

類語: 「独活の大木

大風が吹けば桶屋が儲かる
(おおかぜがふけばおけやがもうかる)

 ⇒「風が吹けば桶屋が儲かる
類語: 「大風が吹けば桶屋が喜ぶ」

大きい薬缶は沸きが遅い
(おおきいやかんはわきがおそい)

 器の大きい人物は、普通の人より出来上がるのに時間がかかるという例え。

大阪の食い倒れ
(おおさかのくいだおれ)

 ⇒「京の着倒れ大阪の食い倒れ

大盤振舞
(おおばんぶるまい)

 気前よく盛大に人に物を与えたり、ご馳走をふるまったりすること。

大目玉を食う
(おおめだまをくう)

 ひどくしかられること。

同意語: 「大目玉を食らう」

大目に見る
(おおめにみる)

 少しの欠点や不正などはとがめだてせず、寛大に扱うことのたとえ。目で見るに大体のところでよしとするの意。

陸に上がった河童
(おかにあがったかっぱ)

 自分の本来の領域から離れて、得意な能力が発揮できなくなったこと。水中では何不自由なく力を発揮できる河童も、陸に上がればそれができない意から言い、能力を発揮するところがなくて意気消沈しているようすにも言う。

同意語: 「陸へ上がった船頭」
類語: 「魚が水を離れたよう」、「魚が木に登ったよう」

岡目八目
(おかめはちもく)

 ⇒「傍目八目

傍目八目
(おかめはちもく)

 当事者よりも傍観者の方が、物事を的確に判断できるということ。他人の囲碁をはたで見ている人は、八目先までも見通せるということから言う。

同意語: 「岡目八目」
類語: 「試合は選手より観客の方がよく見える」、「他人の正目まさめ

起きて半畳寝て一畳
(おきてはんじょうねていちじょう)

 一人の人間の占める生活空間は、起きているときは半畳、寝ているときは一畳にすぎないということ。人は足ることを知り、贅沢は慎むべきだという戒め。

同意語: 「起きて三尺寝て五尺」
類語: 「千畳敷に寝ても一畳」、「千畳敷に寝ても畳一枚」、「千石万石も米五合」、「仏の飯も三度」

沖な物あて
(おきなものあて)

 海の沖にいる獲物を当てにする。まだ手に入れていない物を当てにする例え。

類語: 「穴の貉を値段する」、「飛ぶ鳥の献立」、「捕らぬ狸の皮算用

屋烏の愛
(おくうのあい)

 カラスは不吉でいやな鳥であるが、愛する人の家の屋根に止まっているのは、愛らしく感じられる。人を愛すると、その人に関係のあるものすべてに愛が及ぶ例え。

類語: 「惚れた欲目

屋下に屋を架す
(おくかにおくをかす)

 屋根の下にまた屋根を架けるように、無益で余計なことをすること。

同意語: 「屋上屋を架す

屋上屋を架す
(おくじょうおくをかす)

 無駄なことを重ねてすること。屋根の上にさらに屋根をつける意から言う。

同意語: 「屋下おくかに屋を架す」、「屋上に屋を架す」
類語: 「川に水を運ぶ

奥歯に衣を着せる
(おくばにきぬをきせる)

 事実をはっきり言わず、遠回しに思わせぶりな言い方をすること。

同意語: 「奥歯に物の挟まったよう」
反意語: 「歯に衣着せぬ

おくびにも出さない
(おくびにもださない)

 すっかり秘密にして、絶対に口外しないこと。

驕る平家は久しからず
(おごるへいけはひさしからず)

 栄華を極め、思い上がった振る舞いをする者は、長く栄えることなく滅びるということ。栄華を極めた平家の没落が意外に早く訪れたことから言う。

同意語: 「驕る平家に二代なし」、「驕る平家の運の末」、「驕れる者久しからず」
類語: 「自らほこる者は長からず」、「浮世は回り持ち」、「傲慢は転落のもと」

奢る者は心嘗に貧し
(おごるものはこころつねにまずし)

 人の欲望には限りがないので、贅沢を好む者は常に心に不満が絶えない。

お先棒を担ぐ
(おさきぼうをかつぐ)

 人の、特に権勢のある人の手先となって、軽々しく働くこと。「先棒」は、棒を使って二人で物を担ぐときの棒の前の部分の意。転じて、その役割を務める人を言う。

同意語: 「先棒を担ぐ」
類語: 「片棒を担ぐ

教うるは学ぶの半ば
(おしうるはまなぶのなかば)

 人に教えることは、自分にとっても半分は勉強になるということ。『書経』にあることば。教えることによって自分の未熟さを知り、学ぶことによって自分の短所を知るの意で、教学あいまって学問が進歩することを言う。

類語: 「教えるときが学ぶとき」、「教学相長」、「人に教えることがあなたを教える」

遅牛も淀早牛も淀
(おそうしもよどはやうしもよど)

 足の遅い牛も早い牛も、行き着く場所は淀である。遅い早いの違いは多少あっても、結果は同じようなものだから、慌てても仕方がないということ。「淀」は京都市の地名で、集荷場として栄えた場所。

同意語: 「早牛も淀遅牛も淀
類語: 「牛も千里馬も千里」

遅かりし由良之助
(おそかりしゆらのすけ)

 時期に遅れたときに、遅れて残念だの気持ちで言うことば。歌舞伎『仮名手本忠臣蔵』で、塩谷えんや判官《浅野内匠頭あさのたくみのかみ》が切腹のために刀を突き刺した直後に、判官の待ち兼ねた大星由良之助《大石内蔵助おおいしくらのすけ》が駆けつけたことから言う。

恐れ入谷の鬼子母神
(おそれいりやのきしもじん)

 「恐れ入りました」の意で言う地口じぐち。地口とは、よく知られたことわざや慣用句をもじって言うしゃれ。

小田原評定
(おだわらひょうじょう)

 長引いてなかなか決まらない相談事のこと。天正十八年(1590年)、豊臣秀吉に包囲された小田原城で、北条氏の和戦の評議がなかなかまとまらなかったことから言う。

同意語: 「小田原談合」

落ち武者は薄の穂にも怖ず
(おちむしゃはすすきのほにもおず)

 戦に負けて落ちのびる武士は、ススキの穂の揺れも敵に見える。怖い怖いと思っていると、何でもないものでも恐ろしくなる例え。

類語: 「疑心暗鬼を生ず

お茶を濁す
(おちゃをにごす)

 いい加減な処置をしてその場をごまかすことのたとえ。

同意語: 「お茶を濁らす」

落つれば同じ谷川の水
(おつればおなじたにがわのみず)

 雨やあられ、雪、氷と形は様々だが、山に落ちれば同じ谷川の水になって流れる。出発点は違っていても、行き着く先はみな同じだということ。また、人間も生まれや生き方は様々だが、死ねば灰になり結局は同じだという例え。

同意語: 「落ちれば同じ谷川の水」

頤が落ちる
(おとがいがおちる)

 寒くてふるえるさま。また、美味なこと。

頤で蠅を追う
(おとがいではえをおう)

 元気のないさま。

頤を解く
(おとがいをとく)

 あごを外すの意から、大きな口をあけて笑うことを言う。

同意語: 「頤を外す」、「頤を放つ」

男心と秋の空
(おとこごころとあきのそら)

 男の、女に対する情愛が変わりやすことを言う。女の立場から、変わりやすいものを二つ並べて面白く言ったもの。

男の目には糸を張れ
(おとこのめにはいとをはれ)

 男の目は糸のように細く切れ長なのがよいということ。続けて「女の目には鈴を張れ」と言うことも多い。

男は敷居を跨げば七人の敵あり
(おとこはしきいをまたげばしちにんのてきあり)

 男がいったん外に出れば、七人の敵が待ち構えている。男が世の中で活動するには、多くの競争相手や敵と競い合わなければならないということ。

同意語: 「家を出れば七人の敵あり」

男は度胸女は愛嬌
(おとこはどきょうおんなはあいきょう)

 男は気力や胆力の強いのがよく、女は愛想がよくてかわいらしいのがよいということ。

男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く
(おとこやもめにうじがわきおんなやもめにはながさく)

 男やもめの環境が不潔なのに対して、女やもめのそれが清潔で華やかなのを言う。男やめもは身の回りを世話する人がいないので自然に不潔になり、女やもめはいつも身奇麗にしているので、世間の男の注目を集めるということ。

同意語: 「女やもめに花が咲く」、「男後家にはぼろ下がり女後家には花が咲く」、「男所帯に蛆がわき女所帯に花が咲く」
類語: 「男やもめに雑魚たかる」

同じ穴の貉
(おなじあなのむじな)

 一見別のものに見えるが、実際は同類であるということ。普通、よくないことをする人に言う。

同意語: 「一つ穴の貉」、「同じ穴の狐」、「同じ穴の狸」

鬼が出るか蛇が出るか
(おにがでるかじゃがでるか)

 将来どんな展開を見せるか予測がつかないことを言う。機関からくりづかいの人形師が客の好奇心をひきつけるために言ったことばから出た。多くは、何か恐ろしいことがありそうだといった意味合いで使う。

同意語: 「鬼が出るか仏が出るか」

鬼に金棒
(おににかなぼう)

 強い者が味方や武器などを得て、さらに強さを増すこと。ただでさえ強い鬼に鉄の棒を持たせる意から言う。

同意語: 「鬼に金棒弁慶になぎなた」、「鬼に金梃かなてこ」、「鬼に鉄杖てつじょう
類語: 「虎に翼」、「竜に羽」

鬼の居ぬ間に洗濯
(おにのいぬまにせんたく)

 怖い人や気難しい人がいない間に、このときばかりに息抜きをしてくつろぐことを言う。「洗濯」は命の洗濯の意。

同意語: 「鬼の居ぬうちに洗濯」、「鬼の来ぬ間に洗濯」
類語: 「猫のいぬ間に鼠が遊ぶ」

鬼の霍乱
(おにのかくらん)

 平常頑健な人が、珍しく病気にかかること。「霍乱かくらん」は日射病や食中毒などの急性の病気のこと。

鬼の空念仏
(おにのそらねんぶつ)

 鬼のように冷酷な人が、心にもなく情け深いようすを見せること。「空念仏」は信心もないのに唱える、嘘の念仏の意。

同意語: 「鬼の空涙」、「鬼の念仏」
類語: 「鬼に衣」、「狼に衣」
反意語: 「羊の毛をまとった狼」

鬼の目にも涙
(おにのめにもなみだ)

 普段は鬼のように冷酷無慈悲で厳しく見える人でも、時には同情や哀れみから、目に涙を浮かべることもあるということ。

鬼も十八番茶も出花
(おにもじゅうはちばんちゃもでばな)

 どんな女でも年頃になれば、どことなくなまめいて美しくなるということ。醜い鬼も娘盛りになれば美しくなり、粗末な番茶も出花は香りがよい意で言う。

同意語: 「鬼も十八」、「鬼も十八蛇も二十」、「番茶も出花」、「娘十八番茶も出花」
類語: 「蕎麦の花も一盛り」、「薊の花も一盛り

己れの頭の蠅を追え
(おのれのあたまのはえをおえ)

 他人の世話を焼くよりもまず自分のことをちゃんと処理せよということ。

同意語: 「人の蠅を追うより己れの蠅を追え」、「頭の蠅を追え」
類語: 「高嶺の花をうらやむより足もとの豆を拾え

己れの欲せざるところは人に施すなかれ
(おのれのほっせざるところはひとにほどこすなかれ)

 自分がしてほしくないと思うことは他人にもしてはならないということ。『論語・顔淵』で、孔子が弟子の仲弓ちゅうきゅうに「仁とはなにか」と問われて答えたときのことば。

斧を掲げて淵に入る
(おのをかかげてふちにいる)

 物の使用法を誤ること。斧を担いで淵に入れば、斧が役に立たないばかりか自分も沈んでしまうの意で、適材を適所に用いなければ意味がないことを戒める。

尾羽打ち枯らす
(おはうちからす)

 落ちぶれて昔のおもかげがなくなること。鷹の羽の傷ついたむすぼらしいようすから言う。

同意語: 「尾羽を打ち枯らす」、「尾羽打ち枯れる」

十八番
(おはこ)

 得意とする芸。また、興に乗ると飛び出す癖。「十八番おはこ」はお箱の意。市川家のお家芸「歌舞伎十八番」の台本を箱に入れて秘蔵したことから言う。

お鉢が回る
(おはちがまわる)

 順番が回ってくることのたとえ。多人数の食事の席で、飯びつが自分の所に回ってくるの意から言う。

帯に短し襷に長し
(おびにみじかしたすきにながし)

 中途半端で役に立たないこと。また、どちらにも一長一短があって、思いのものが得られないこと。布切れが帯にするには短すぎ、たすきにするには長すぎる意から言う。

同意語: 「帯に短し回しに長し」

お百度を踏む
(おひゃくどをふむ)

 頼みごとを聞き入れてもらうために、同じ人や場所を何度も訪問すること。本来はお百度参りをするの意で、神仏に願をかけ社寺境内の一定の範囲を百度往復して礼拝・祈願を繰り返すこと。

尾鰭を付ける
(おひれをつける)

 事実以外のことを付け足して、話を大げさにすることのたとえ。「尾鰭」は魚の尾とひれの意。転じて、本体以外の部分の意。

溺れる者は藁をも掴む
(おぼれるものはわらをもつかむ)

 危険な立場に追い込まれた人は、頼りになりそうにないものをも頼りにするということ。「藁」は頼りになりそうにないもののたとえ。

お前百までわしゃ九十九まで
(おまえひゃくまでわしゃくじゅうくまで)

 夫婦が仲むつまじく、ともに長生きしようということ。俗謡の一つで、後に「共に白髪のはえるまで」と続く。

類語: 「偕老同穴

御神酒上がらぬ神はない
(おみきあがらぬかみはない)

 どんな神様でもお神酒は供えられている。神様はみな酒をお飲みになるのだから、自分も飲んでもいいのではないかという酒飲みの自己弁護の言葉。

思い内にあれば色外に現る
(おもいうちにあればいろそとにあらわる)

 心の中に思っているとことは、自然と表情や言動によって外に現れるということ。『大学』にあることば。小人は悪いところを隠して善いところを見せようとするが、人はそれを見抜くから隠しても何の役にも立たないという文脈で使われる。

同意語: 「心内にあれば色外に現る」、「内に誠あれば外に現る」
類語: 「隠すより現る」、「顔は心の指標」

思い立ったが吉日
(おもいたったがきちじつ)

 事を始めようという気持ちを起こしたら、それを吉日と思いなしてすぐに始めるのがよいということ。

同意語: 「思い立つ日が吉日」
類語: 「好機いっすべからず」、「善は急げ
反意語: 「慌てる乞食は貰いが少ない

思い半ばに過ぐ
(おもいなかばにすぐ)

 みずから思い当たるところがあって、大半は自然に推測できるということ。

思うこと言わぬは腹ふくる
(おもうこといわぬははらふくる)

 心に思うことを言わないでおくのは、腹の中に物がたまったようで気持ちの悪いものだということ。『徒然草』に「おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ」とある。

同意語: 「言わねば腹ふくる」、「物言わぬは腹ふくる」
類語: 「思いを包むは罪深し」、「思い置きは腹の病」

思うこと一つ叶えばまた一つ
(おもうことひとつかなえばまたひとつ)

 望みが一つ達成されると、すぐもう一つ欲しくなる。人間の欲望は際限がないということ。

類語: 「ろうを得てしょくを望む

思う仲には垣をせよ
(おもうなかにはかきをせよ)

 親しい間柄ではつい気がゆるみがちだから、なおさらに節度を守ることが大切だということ。「垣」は垣根。転じて、隔ての意。

同意語: 「親しき仲には垣をせよ」、「親しき仲にも礼儀あり
類語: 「間の垣根で友情新鮮」

思うに別れて思わぬに添う
(おもうにわかれておもわぬにそう)

 思う人とは夫婦になれず、思ってもいなかった相手と結婚する。男女の仲は思い通りにならぬもの、縁とは不思議なものだということ。

同意語: 「思うに添わで思わぬに添う」

思う念力岩をも通す
(おもうねんりきいわをもとおす)

 一心に思いを込めて事に当たれば、どんなことでも成就するということ。集中させた精神の偉大さを言う。

同意語: 「思う一念岩をも通す」、「石に立つ矢」、「念力岩をも通す」
類語: 「意思あれば道開く」、「信念山を動かす」、「精神一到いっとう何事か成らざらん

親思う心に勝る親心
(おやおもうこころにまさるおやごころ)

 子供が親を思う心よりも親が子供を思う心の方が深いということ。吉田松陰の辞世の歌「親思ふこころにまさる親ごころけふの音づれ何ときくらん」の上の句に基づく。

親が親なら子も子
(おやがおやならこもこ)

 親がよくないと、その子供も同じようによくないということ。親子はよく似ることを言うが、多くは親子揃ってだめだという意で用いる。

親子は一世
(おやこはいっせ)

 親子の関係は、現世だけのものであるということ。後に「夫婦は二世、主従は三世」と続け、夫婦の関係は現世と来世に及び、さらに主従の関係は現世はもとより前世・来世にまで及ぶとして、夫婦関係、とりわけ主従関係の縁の深さを強調する。親子→夫婦→主従と自然の順序(人情)に逆らって述べるところに、封建時代の人為的な道徳観(義理)がうかがえる。

同意語: 「親子は一世の契り」、「夫婦は二世」

親擦れより友擦れ
(おやずれよりともずれ)

 子供は親の影響よりも友達の影響を多く受けて世間を知るということ。

類語: 「善悪は友による」

親に似ぬ子は鬼っ子
(おやににぬこはおにっこ)

 親に似ない子は人の子ではない、鬼の子に違いないということ。子供の言動などが悪いときに、お前は自分の子ではないとしてしかるときなどに言う。

同意語: 「親に似ぬ子は鬼子おにご
類語: 「親に似ぬ子は川へ流せ」、「親に似ぬ子は島流し」

親の意見と冷や酒は後で効く
(おやのいけんとひやざけはあとできく)

 親の意見は当座は何とも感じなくとも、後になって思い当たることがあるものだということ。

同意語: 「親の意見と冷や酒は後になって効く」、「冷や酒と親の意見は後薬あとぐすり
類語: 「親の意見と茄子の花は千に一つも仇はない」、「親の意見と干し飯は噛めば噛むほど味が出る」、「親の意見と霧雨は自然と来る」
反意語: 「親の甘いは子に毒薬」、「親の甘茶が毒となる」

親の因果が子に報う
(おやのいんががこにむくう)

 親の犯した悪業の結果が、罪もない子にまで及ぶということ。仏教的因果応報の考え方に基づき、悪業をきつく戒めることばともする。

同意語: 「親の罪は子に報ゆ」、「親の罰は子に当たる」

親の恩は子を持って知る
(おやのおんはこをもってしる)

 自分が子供を持ってはじめて、親がどれほど苦労して自分を育ててくれたかが分かるということ。

親の心子知らず
(おやのこころこしらず)

 親の深い思いやりも知らないで、子供は勝手な振る舞いをするということ。親になってみなければ親の心は理解できないという述懐や、子供をしかるときの小言などに使う。

反意語: 「子の心親知らず

親の十七子は知らぬ
(おやのじゅうしちこはしらぬ)

 偉そうに説教を垂れている親が、十七歳の若い時分どんなだったか、子供は知る由もない。親を皮肉って言う言葉。

類語: 「しゅうとめの十七見た者がない」

親の臑を齧る
(おやのすねをかじる)

 子供が相当の年齢になっても、親の経済力で養われていることを言う。

親の七光り
(おやのななひかり)

 ⇒「親の光は七光り

親の光は七光り
(おやのひかりはななひかり)

 親の名声や威光が大きいと、子供はなにかとその余沢よたくを受けるということ。多く、今の成功は親のおかげで、子の実力によるものではないといった意味合いで使う。

同意語: 「親の七光り」

親の欲目
(おやのよくめ)

 親はわが子かわいさから、実際以上に子供を評価しがちであるということ。また、そうした評価のことを言う。「欲目」はそうあって欲しいという目で見ること。ひいきめで見る。

親馬鹿子馬鹿
(おやばかこばか)

 親は子を溺愛して子供が馬鹿なのを知らず、子は親の愛に慣れて馬鹿なことをしでかす。傍から見れば、親も馬鹿なら子も馬鹿だということ。

親は無くとも子は育つ
(おやはなくともこはそだつ)

 親に早く死に別れた子供も結構よく育つものだということ。世の中のことはさほど心配したものではない、子供は子供できちんとやれるものだといった意味合いで使う。世間の風が冷たくないことを言って子供への慰め・励ましともし、親の干渉や過保護を戒める教訓ともする。

お山の大将俺一人
(おやまのたいしょうおれひとり)

 狭い世界の中で自分が一番偉いと慢心する人をからかって言うことば。「お山の大将」は子供の遊びで、小高い丘にわれ先に登るのを仲間と競うもの。最初に登りついた者が「お山の大将」となる。

泳ぎ上手は川で死ぬ
(およぎじょうずはかわでしぬ)

 泳ぎのうまい者は自信過剰になって、川で溺れ死ぬことがある。自分な得意とすることでも失敗する例え。

類語: 「川立ちは川で果てる」、「善く泳ぐ者は溺る

終わりよければ全てよし
(おわりよければすべてよし)

 結果さえよければ、動機や過程は問題にしないということ。

同意語: 「終わりが大事」
類語: 「終わりが仕事に栄誉を与える」

尾を振る犬は叩かれず
(おをふるいぬはたたかれず)

 従順な者は、人から危害を加えられることがないということ。「尾を振る」は、犬が尾を振って飼い主にこびることから、上の人の御機嫌を取る意に使う。

同意語: 「尾を振る犬に打ち手なし」、「尾を振る犬は打たれず」
類語: 「窮鳥きゅうちょう懐にれば漁師も殺さず」、「杖の下に回る犬は打てぬ」、「怒れる拳笑顔に当たらず」

恩威並行
(おんいへいこう)

 恩賞と刑罰とが並行して行われること。

温厚篤実
(おんこうとくじつ)

 性格が穏やかで情に厚く、誠実であるようす。

温故知新
(おんこちしん)

 古い過去のことを研究して、現実の新しい事態に対処すること。また、前に学んだことをよく吟味して、新しい意味を見いだすこと。『論語・為政』にある孔子のことば「ふるきをたずね新しきを知らば、もって師と為るべし」に基づく。

同意語: 「故きを温ねて新しきを知る」

音信不通
(おんしんふつう)

 便りや連絡が絶え、まったく様子がわからないこと。

怨憎会苦
(おんぞうえく)

 自分が恨んでいる人や憎んでいる人とも会わなければならないという苦しみ。

反意語: 「愛別離苦

音吐朗朗
(おんとろうろう)

 発声が明瞭、声量が豊かで響きわたるようす。

女心と秋の空
(おんなごころとあきのそら)

 秋の空模様が変わりやすいように、女の心が移ろいやすいということ。

類語: 「女の心は猫の目」

女賢しゅうして牛売り損なう
(おんなさかしゅうしてうしうりそこなう)

 女は利口であるように見えても全般を見通すことができないので、事を仕損じがちであるということ。「牛を売る」は社会的活動をすることのたとえ。女の賢さは役に立たぬとして、女性の社会進出が抑え込まれた例。

同意語: 「女賢しくして牛売り損なう」

女三人あれば身代が潰れる
(おんなさんにんあればしんだいがつぶれる)

 ⇒「娘三人あれば身代が潰れる

女三人よれば姦しい
(おんなさんにんよればかしましい)

 女はおしゃべりで、三人も集まればやかましくなるということ。「女」の字が三つ集まって、「かしましい」の字ができることから言う。

女の目には鈴を張れ
(おんなのめにはすずをはれ)

 女の目は鈴のように丸くぱっちりと見開いたのがよいということ。「男の目には糸を張れ」に続けて言うことも多い。

女は三界に家無し
(おんなはさんがいにいえなし)

 女は、若いときは父親に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従うものであるから、世界に家を持つことがないということ。この三者への服従を「三従さんじゅう」と言い、「女は三従」とともに封建時代の女性の地位や立場を象徴することばとなっている。

同意語: 「三界に家無し」

女やもめに花が咲く
(おんなやもめにはながさく)

 ⇒「男やもめに蛆がわき女やもめに花が咲く

乳母日傘
(おんばひがさ)

 乳母うばをつけよう、外出には日傘をさそう、というように子供を大事に育てること。

類語: 「芋の煮えたも御存じない

厭離穢土
(おんりえど)

 煩悩に汚れた、悪の多いこの世を嫌い、離れてしまうこと。

温良恭倹
(おんりょうきょうけん)

 温和でやさしくおだやかに、人をうやまってつつましく接すること。

恩を仇で返す
(おんをあだでかえす)

 相手の恩義に報いずに、逆に害になるようなことをする。

同意語: 「恩を仇」、「恩を仇でする」
類語: 「陰に居て枝を折る」、「後足で砂をかける
反意語: 「仇を恩で報ずる」、「徳を以て怨みに報ゆ

恩を以て怨みに報ず
(おんをもってうらみにほうず)

 恨みを持った相手にも、寛容の心をもって、恩義でお返しをする。老子のことばに「怨みに報ゆるに徳を以てす」がある。

同意語: 「怨みに報ずるに徳を以てす」、「徳を持って怨みに報ゆ」