ああ言えばこう言う
(ああいえばこういう)

 人の言うことを素直に受け入れず、ああだこうだと理屈をこねて言い返すこと。

類語: 「右と言えば左

愛縁奇縁
(あいえんきえん)

 恩愛・恋情は不思議な縁による。

類語: 「縁は異なもの」、「合縁奇縁

逢縁機縁
(あいえんきえん)

 気心が合うも合わぬも縁次第。

合縁奇縁
(あいえんきえん)

 人が出会い、気心が合って親しく交わることができるのも、理屈を超えた不思議な縁によるものだ。男女・夫婦・友人の仲がしっくり行くも行かないも前世からの定めによるものだという意味合いで使う。

類語: 「愛縁奇縁」、「縁は異なもの」、「相性奇縁」

相縁奇縁
(あいえんきえん)

 人と人との関係は不思議な縁による。

愛及屋烏
(あいきゅうおくう)

 愛憎の情はその人だけでなく、その人に関係するものにまで及ぶ。

哀鴻遍野
(あいこうへんや)

 敗残兵や難民がいたる所に見られる惨澹たるさま。

相碁井目
(あいごせいもく)

 何事につけても人の実力は上下様々、バラエティーに富んでいるということ。

挨拶は時の氏神
(あいさつはときのうじがみ)

 互いに争いごとをしているときの仲裁は、都合よく氏神が現れたようなもので、誠に有り難いものだから、その取りなしには従ったほうがよいということ。

類語: 「仲裁は時の氏神

愛執染着
(あいしゅうぜんちゃく)

 男女の愛欲の執着。愛にとらわれるの意。

愛想も小想も尽き果てる
(あいそもこそもつきはてる)

 相手の言動に呆れ果てて、愛情も好意も何もかもなくなってしまう。「愛想が尽きる」を強めて言う。

開いた口には戸はたたぬ
(あいたくちにはとはたたぬ)

 世の中の噂は防ぎようがない。『徒然草』に「おぼしきこと言はぬは腹ふくるるわざ」(「思うこと言わぬは腹ふくる」)とあるように、ものを言おうとする人の口は防ぎようがない。

類語: 「悪事千里を走る

愛多憎生
(あいたぞうせい)

 度を過ぎて愛情を受けることは第三者の憎しみをかい、身の破滅のもと。人の愛情に甘え過ぎてはいけないということ。

相手変われど主変わらず
(あいてかわれどぬしかわらず)

 相手をする人は次々に変わっても、こちらはいつも同一人であるの意から、相も変わらず同じことを繰り返して、当人の方には進歩や変化がないようすを言う。他人について言えば、頑固や一徹を非難した言い方となり、自分には自嘲・卑下の言い方となる。

相手のない喧嘩はできぬ
(あいてのないけんかはできぬ)

 相手になる者がいなければ喧嘩にならない。喧嘩は売られても相手になるなという戒め。

類語: 「一人喧嘩はならぬ」、「相手なければ訴訟なし」

愛別離苦
(あいべつりく)

 親・兄弟・夫婦など、愛する人と別れ別れになる苦しみ。生別・死別を問わず、人は必ず愛する人と別れ別れにならなければならない苦しみを背負って生きる運命にあるの意。

類語: 「恩愛の別れ」、「会者定離
反意語: 「怨憎会苦

曖昧模糊
(あいまいもこ)

 物事の本質や実体が、ぼんやりして何かはっきりしない様子。

会うは別れの始め
(あうはわかれのはじめ)

 この世で出会い、親しみ愛し合った人同士も必ずいつかは別れ別れになるものだ。喜びに満ちた出会いの中に、すでに別離が準備されているという無常観を言う。

阿吽二字
(あうんにじ)

 阿は最初の字音、吽は最後の字音。この二字で最初と最後を表す。密教ではこれを一切の原初と窮極を象徴するものとして阿を万有が発生する理念の本体、吽をそれが帰着する知徳を意味するものとする。

阿吽の呼吸
(あうんのこきゅう)

 互いの微妙な気持ちや調子が一致することを呼吸でたとえた言葉。「阿」は吐く息。「吽」は吸う息のこと。

仰いで天に愧じず
(あおいでてんにはじず)

 心にやましいところは全くない。すべてをお見通しの天の神に対しても恥じるところはないの意で、清廉潔白せいれんけっぱく・公明正大の形容に使う。孟子もうしが、君子の三つの楽しみのうち、二つ目の楽しみとして説いたもの。心にやましさがあっては安楽には過ごせない。

同意語: 「俯仰ふぎょう天地に愧じず」

青い鳥
(あおいとり)

 身近にあって気づきにくい幸福。『青い鳥』はメーテルリンクの童話劇の題名。チルチルとミチルが家で飼っていた青い鳥こそが、遠くあちこちを捜し求めても得られなかった、幸福をもたらすものであったという教訓から。

類語: 「餓鬼がきの目に水見えず」、「魚の目に水見えず人の目に空見えず

青柿が熟柿弔う
(あおがきがじゅくしとむらう)

 熟して落ちた柿の実を見て、まだ青い柿が「お気の毒に」と弔う。だが、その青い柿もいずれは熟して落ちる定めにある。人間はいつか死ぬ運命にあるから、人の死を弔う者にも弔われる者にも、そんなに差はないというたとえ。

青菜に塩
(あおなにしお)

 元気がなくうなだれている様子。青野菜に塩をかけると脱水してしおれてしまうことから。

類語: 「幽霊の浜風」、「蛞蝓なめくじに塩

青は藍より出でて藍より青し
(あおはあいよりいでてあいよりあおし)

 (1)人は学問や努力によって、持って生まれた本性を越えることができること。
 (2)弟子が師の学識や技量を越えること。
 青色の染料はあいという草からとるが、その原料(藍)よりも染料(青)の方がずっと青いの意から言う。


類語: 「出藍の誉れ

明るけりゃ月夜だと思う
(あかるけりゃつきよだとおもう)

 夜外が明るいと常に月が照っていると思っているような、物事を単純に考える人間を皮肉った言葉。

秋風が立つ
(あきかぜがたつ)

 「飽き」を「秋」にかけて、男女の愛情が冷めることを遠回しに言う。

同意語: 「秋風が吹く」、「秋風を吹かす」

空樽は音が高い
(あきだるはおとがたかい)

 空の樽は叩くと高い音を立てる。浅薄な人ほど、知りもしないことをとくとくとよく喋るというたとえ。

商い三年
(あきないさんねん)

 商売というものは始めて三年は儲けが出てこないものだ。三年は辛抱しなくてはいけないという戒めの言葉。

商いは数でこなせ
(あきないはかずでこなせ)

 商売は薄利多売が本道。利益は少なくして多く売るのがコツだという教えの言葉。

秋茄子は嫁に食わすな
(あきなすはよめにくわすな)

 (1)秋のナスビはおいしいから、嫁に食べさせるな。
 (2)秋のナスビは体を冷やすから、嫁に食べさせるな。

秋の扇
(あきのおうぎ)

 秋には扇は不要となることから、男の愛情を失った女のたとえ。漢の成帝に愛された班女はんにょが、趙飛燕ちょうひえんに帝の愛を奪われたとき、我が身を秋の扇にたとえて嘆き歌った詩「怨歌えんか行(秋扇賦)」に基づく。

同意語: 「秋扇しゅうせん」、「班女はんにょが扇」

秋の鹿は笛に寄る
(あきのしかはふえによる)

 鹿の発情期である秋には、雌鹿の鳴き声に似せた笛で雄鹿がおびき寄せられ、捕らえられてしまう。恋のために身を滅ぼすこと、また、弱みに付け込まれて利用されてしまうことを言う。

秋の日は釣瓶落とし
(あきのひはつるべおとし)

 秋の日の暮れやすいこと。「釣瓶」は井戸の中に下げおろして水をくむ桶。井戸に釣瓶を落とすように、急転直下、秋の夕日が沈む意から言う。

同意語: 「秋の日の鉈落とし」、「釣瓶落としの秋の暮れ」

秋葉山から火事
(あきばさんからかじ)

 人を導き、戒める立場にある者が、自分から過ちを犯してしまうたとえ。「秋葉山」は火災けで知られる静岡県の秋葉神社のこと。その火の神が火災を出すことから。

諦めは心の養生
(あきらめはこころのようじょう)

 失敗や不運はいつまで悔やんでいても仕方がない。諦めてしまった方が精神衛生によいということ。

商人の空誓文
(あきんどのそらせいもん)

 商人の誓約書にはかけひきや嘘が多く、信用しがたいということ。「空誓文」の「空」は「空寝」の「空」で嘘の意、「誓文」は「誓約書」の古い言い方。

悪縁契り深し
(あくえんちぎりふかし)

 悪い縁ほど強く結びついているもので、離れるのが極めて難しいことを言う。

悪逆無道
(あくぎゃくむどう)

 道理にはずれたひどい悪事を行うこと。道徳にそむく残酷な行為。

悪妻は百年の不作
(あくさいはひゃくねんのふさく)

 悪妻を持つと、夫だけでなく子・孫の代にまで悪い影響が及ぶということ。「百年の不作」は一代三十年として三代にわたる悪影響の意。

同意語: 「悪妻は一生の不作」、「悪妻は六十年の不作」、「女房の悪いは六十年の不作
類語: 「悪婦破家

悪事千里
(あくじせんり)

 ⇒「悪事千里を走る

悪事千里を走る
(あくじせんりをはしる)

 悪いことはどんなに隠してもたちまち評判になり、世間に知れ渡ってしまうということ。『毛吹草』に「好事こうじ門を出でず、悪事千里を走る」とあるように、善行はなかなか知れ渡らない、といった含みで使う。

同意語: 「悪事千里」、「悪事千里を行く」
類語: 「開いた口には戸はたたぬ」、「好事こうじ門を出でず

悪女の深情け
(あくじょのふかなさけ)

 器量の悪い女性は、異性に対する情愛が深いものだ。「悪女」は行いや性質の悪い女ではなく、醜女しこめの意。「深情け」も深い思いやりがあるの意ではなく、愛憎の思いをひきずりすぎるの意。

悪戦苦闘
(あくせんくとう)

 死にものぐるいの苦しい戦い。困難な状況の中で苦しみながら努力すること。

悪銭身につかず
(あくせんみにつかず)

 不正な手段で得た金銭は、とかく浪費しがちで残らないものだ。「悪銭」はばくちなどで得た金、あぶく銭のこと。これを裏返しにして言うものに、「正直の儲けは身につく」がある。

類語: 「たやすい稼ぎはすぐ消える」、「不正に得たものはすぐになくなる」

悪人正機
(あくにんしょうき)

 人間は如来の本願にすがってこそ救われる。自分を悪人と思う人は、まさに本願他力の正しい機会を得ているという意味。

悪の報いは針の先
(あくのむくいははりのさき)

 悪事の報いは針の先を回るように、即座に現れるということ。

握髪吐哺
(あくはつとほ)

 人材を得ようとして努めること。また、すぐ人に会うこと。どんな時にも客人を待たせない努力。

悪婦破家
(あくふはか)

 悪妻は夫の一生をだいなしにし、家庭を壊すということ。

類語: 「悪妻は百年の不作

悪木盗泉
(あくぼくとうせん)

 どんなに苦しくても道に背くようなことはしない、してはならないという教え。また、不義、悪事には決して近付くな、ということ。

揚句の果て
(あげくのはて)

 いろいろあって最後に行き着くところ。とどのつまりの意。「揚句あげく」は「発句ほっく」の対語で、俳諧はいかい連歌れんがの最後の七七の句のこと。七七の句が必ず最後にくることから、終わりの意が出た。「挙句の果て」とも書く。

開けて悔しい玉手箱
(あけてくやしいたまてばこ)

 期待していたのに、予想が外れて失望すること。浦島太郎の伝説で、「玉手箱」は、浦島が亀を助けたお礼に竜宮の乙姫からもらった箱。宝の箱と思い、「開けてはならぬ」という乙姫の禁を破って開けたところ、中から白い煙が出て、浦島は一瞬にして白髪の老人と化したという。

同意語: 「開けてがっかり玉手箱」、「開けてびっくり玉手箱」

阿衡の佐
(あこうのさ)

 天子を補佐する賢臣、名宰相のたとえ。阿衡とは総理大臣のことで、それを助ける者。

阿漕が浦に引く網
(あこぎがうらにひくあみ)

 隠し事も度重なると広く知れ渡るということ。「阿漕が浦」は三重県津市東南部の海岸で、古くから伊勢神宮に奉納する魚をとるために禁漁区となっていた。ある漁師が難病に悩む老母のためにしばしば密漁し、ついには捕らえられ、果ては簀巻すまきにされたという伝説がある。

朝雨女の腕まくり
(あさあめおんなのうでまくり)

 朝雨も女の腕まくりも大したことはないから、恐れるに足りないということ。朝雨はどしゃ降りでもすぐにやみ、力の弱い女の腕まくりは剣幕が激しくとも恐れるに足りないの意。

同意語: 「朝雨と女の腕まくり」、「朝雨は女の腕まくり」

浅い川も深く渡れ
(あさいかわもふかくわたれ)

 浅い川も深い川と同様に用心して渡れの意で、油断を戒めることば。

類語: 「深くとって浅く渡れ」、「用心は深くして川は浅く渡れ

朝起きは三文の得
(あさおきはさんもんのとく)

 ⇒「早起きは三文の得

朝顔の花一時
(あさがおのはなひととき)

 朝顔の花は日の出前に咲き、昼にはしぼむ。物事の盛りは短くはかないものだというたとえ。

類語: 「槿花一日きんかいちじつの栄

浅瀬に仇波
(あさせにあだなみ)

 深い川の淵には波は立たず、浅い瀬ほど波が立つ。思慮が浅薄な者ほど万事落ち着きがないというたとえ。

類語: 「能なし犬の遠吠え」

朝題目に宵念仏
(あさだいもくによいねんぶつ)

 朝は日蓮宗の題目(南無妙法蓮華経)を唱え、夕方は浄土宗の念仏(南無阿弥陀仏)を唱える意で、無定見のこと。

同意語: 「朝題目に夕念仏」

麻の中の蓬
(あさのなかのよもぎ)

 まっすぐに伸びる麻の中で育てば、曲がりやすいよもぎもまっすぐ伸び育つもの。人間も、周りが善人ならおのずと感化されて善人になれるということ。

同意語: 「麻中まちゅうの蓬」
類語: 「朱に交われば赤くなる」、「善悪は友による」
反意語: 「蓬に交じる麻

朝腹に茶漬け
(あさばらにちゃづけ)

 物事が少しもこたえないこと。また、きわめて容易なことのたとえ。朝の空腹時には、茶漬けを食べたくらいでは腹のたしにならない。また、さらさらとたやすく入ってしまうことから。

同意語: 「朝腹の茶粥ちゃがゆ

薊の花も一盛り
(あざみのはなもひとさかり)

 あまり人目を引かないあざみの花にもそれなりに美しい時期がある。不器量な女性でも、年頃になれば綺麗に見えるときがあるということ。

類語: 「鬼も十八番茶も出花」、「蕎麦の花も一盛り

朝飯前
(あさめしまえ)

 朝飯を食べる前にでもできるような易しいこと。仕事の前の腹ごしらえさえいらないの意で、「それしきのことは朝飯前だ」などと使う。

類語: 「お茶の子さいさい」

足が地に着かない
(あしがちにつかない)

 落ち着かなくなる。基礎が確立していない。

足が付く
(あしがつく)

 犯罪者の足取りがわかる。

足が出る
(あしがでる)

 赤字になる。

足が早い
(あしがはやい)

 腐りやすい。売れ行きがよい。

朝に紅顔ありて夕べに白骨となる
(あしたにこうがんありてゆうべにはっこつとなる)

 朝血色よく元気にしていた若者も、夕方には死んで白骨なるの意。人の命のはなさいこと、この世の無常なことをたとえ、後世を頼みとすることの教えとする。

朝に道を聞かば夕べに死すとも可なり
(あしたにみちをきかばゆうべにしすともかなり)

 朝、人の生きるべき道を聞き知れば、かりに夕べに死んでも心残りはない。『論語・里仁』にある孔子のことば。「道」は「道徳・道義」などに見る道で、人の踏み行うべき規範。道を学ぶことの大切さを言う。

明日は明日の風が吹く
(あしたはあしたのかぜがふく)

 明日のことをくよくよ心配しても始まらない、なるようになるということ。明日になれば風向きが変わることもあるの意で、現在の苦境をみずから戒め、明日にそれなりの期待を寄せる気持ちで使う。明日は「あす」とも読む。

類語: 「明日のことは明日みずからが思い煩う」、「明日のことは明日案じよ」

足の便が悪い
(あしのべんがわるい)

 交通が不便だ。

足元から鳥が飛び立つ
(あしもとからとりがとびたつ)

 手近な所で思いもかけないことが起こる意。急に思い立って事を始める意。

類語: 「寝耳に水

足元に火がつく
(あしもとにひがつく)

 身近な所に危険が起こること、危険が自分の身に迫ること。「火」は身の危険の象徴。

同意語: 「足元から火がつく」、「足元から火がでる」

足元を見る
(あしもとをみる)

 人の弱みにつけこむこと。人のよるべき基盤となる足元が不安定な状態にあることを見すかすことから言う。

同意語: 「足元につけこむ」、「足元を見立てる」
類語: 「内兜を見透かす

阿修羅道
(あしゅらどう)

 強い闘争心と猜疑、嫉妬、執着の心をいう。地獄、餓鬼、畜生、人間、天上と並んで六道のひとつとされる修羅道の世界。

足を洗う
(あしをあらう)

 悪い生活から抜け出す。

足を奪う
(あしをうばう)

 ストなどで交通機関をとめる。

足を抜く
(あしをぬく)

 今までの関係をたつ。

足を引っ張る
(あしをひっぱる)

 邪魔をする。

足を向ける
(あしをむける)

 その方向に行く。

明日ありと思う心の仇桜
(あすありとおもうこころのあだざくら)

 明日もまだ咲いているだろうと安心していた桜も、夜中に嵐が起こってはかなく散ってしまわないとも限らないということ。「仇桜」はすぐに散ってしまう、当てにできない桜のこと。

類語: 「今日なし得ることは明日に延ばすな」、「今日の仕事を明日に延ばすな」、「明日の百より今日の五十

飛鳥川の淵瀬
(あすかがわのふちせ)

 飛鳥川の淵が一日にして瀬と変わるの意で、人の世が定めなく移ろいやすいことを言う。世の無常を飛鳥川の定めなき流れに託した、『古今集』の「世の中は何か常なるあすか川 昨日の淵ぞ今日は瀬となる」(読み人しらず)に基づく。

同意語: 「昨日の淵は今日の瀬」、「飛鳥川の人ごころ」、「淵は瀬となる」、「明日の淵瀬」
類語: 「有為転変ういてんぺん」、「滄海そうかい変じて桑田そうでんとなる

明日のことは明日みずからが思い煩う
(あすのことはあすみずからがおもいわずらう)

 明日の心配は明日に任せよ、明日のことまで思い悩むなの意。『新約聖書・マタイ伝』山上さんじょう垂訓すいくんにあるイエスのことばから。

類語: 「明日は明日の風が吹く

明日の百より今日の五十
(あすのひゃくよりきょうのごじゅう)

 明日手に入るかもしれない百よりも、五十と少なくても今日確実に手にする方がよいということ。

類語: 「近い火で手を焙れ」、「聞いた百文より見た一文」、「末の百両より今の五十両」、「明日ありと思う心の仇桜

東男に京女
(あずまおとこにきょうおんな)

 男女の取り合わせとしては、たくましく気風のよい江戸の男と、優しく洗練された京都の女がよいの意。「東男あずまおとこ」は頑健粗野がんけんそやいさぎよい江戸っ子気質のイメージが重なり、「京女きょうおんな」は洗練優雅の代名詞。

類語: 「越後女に上州男」、「越前男に加賀女」、「京女に奈良男」、「讃岐男に阿波女」、「南部男に津軽女」

畦から行くも田から行くも同じ
(あぜからいくもたからいくもおなじ)

 畦道を通って行っても、田んぼの中を行っても行き先は同じである。手段や方法が多少違っても、結果に大差はないというたとえ。

当たって砕けろ
(あたってくだけろ)

 成功するかしないか分からないが、とにかく思い切ってやってみよの意。決起を促すときに使う言葉。

寇に兵を藉し盗に糧を齎す
(あだにへいをかしとうにかてをもたらす)

 敵に武器を与えたり、盗人に食料をくれてやったりする。敵に利益になるようなことをする行為。また、悪人に悪事を働くのに都合のいい口実を与えることを言う。

同意語: 「盗に食を齎す

徒花に実は生らぬ
(あだばなにみはならぬ)

 どんなに格好をつけても、内容が伴わない方法では良い結果は期待できないということ。「徒花あだばな」は、綺麗に咲いても実の生らぬ花のこと。

頭が上がらない
(あたまがあがらない)

 (1)対等になれない。
 (2)病気で寝たきりである。

頭隠して尻隠さず
(あたまかくしてしりかくさず)

 悪事・欠点などの一部を隠しているにすぎないのに、全部を隠している気になっていることをあざけって言うことば。草むらに隠れた雉子きじは、頭だけ隠して立派な尻尾を出したままにすることから言う。

同意語: 「頭隠して尻尾隠さず」、「頭隠して尾を出す」、「雉の隠れ」、「雉の草隠れ」
類語: 「柿を盗んでさねを隠さず」

頭から水を掛けられたよう
(あたまからみずをかけられたよう)

 恐ろしさに震え上がることの形容。

頭から湯気を立てる
(あたまからゆげをたてる)

 激しく怒ることの形容。

頭に来る
(あたまにくる)

 かっとなる。

頭の上の蝿を追え
(あたまのうえのはえをおえ)

 あれこれと他人の世話を焼くよりも、自分自身のことをきちんと始末せよということ。

頭の黒い鼠
(あたまのくろいねずみ)

 鼠が物をかすめるように、住み込んでいる家の物をかすめとる人。主人の目の届かない所で金品をごまかす、頭髪の黒い人間をネズミに見立てて言う。

頭のてっぺんから足の爪先まで
(あたまのてっぺんからあしのつまさきまで)

 全体にわたってすっかり。

頭を突っ込む
(あたまをつっこむ)

 かかわりを持つ。

頭をはねる
(あたまをはねる)

 ピンはねをする。

頭を擡げる
(あたまをもたげる)

 表面に出る。台頭する。

仇も情けも我が身より出る
(あだもなさけもわがみよりでる)

 結果として周りの人から憎まれるのも、可愛がられ気に掛けてもらえるのも、自分の普段の心掛けや行い次第だということ。

新しい酒は新しい皮袋に盛れ
(あたらしいさけはあたらしいかわぶくろにもれ)

 新しい内容を表現するためには、それにふさわしい新しい形式が必要だ。『新約聖書・マタイ伝・九章』の一説(断食問答)に、「新しいぶどう酒は、新しい革袋に入れるものだ。そうすれば、両方とも長持ちする」とあることによる。そうしないと内容も形式も両方とも失われるの意で使う。

中らずと雖も遠からず
(あたらずといえどもとおからず)

 的中はしていないがほぼ的中した、だいたい推測どおりだの意。『大学』に「心まことにこれを求むれば、たらずといえども遠からず」と、真心の大切さを述べたことばに基づく。

当たるも八卦当たらぬも八卦
(あたるもはっけあたらぬもはっけ)

 占いは当たることもあるし、外れることもあるということ。「八卦」は易の算木さんぎに現れる八種類の形。転じて、占いの意。吉と出ようが凶と出ようが、いちいち気にすることはないといった意味合いで使う。

仇を恩にして報じる
(あだをおんにしてほうじる)

 非道な仕打ちを受けてもその相手に恨みを残さず、逆に情けを掛けることを言う。

類語: 「仇を情けにひきかえる」

あちらを立てればこちらが立たぬ
(あちらをたてればこちらがたたぬ)

 一方によいようにはからうと、もう一方に悪くなるということ。物事の両立しがたいことのたとえに使う。

類語: 「あなたを祝えばこなたの恨み」、「かなたよければこなたの怨み」、「出船によい風は入船に悪い」、「猫が肥えれば鰹節が痩せる

悪貨は良貨を駆逐する
(あっかはりょうかをくちくする)

 名目上の価値は等しく、実質上の価値が異なる二種以上の貨幣が同時に流通すると、良貨は蓄積されて市場に現れなくなり、ついには悪貨だけが流通するようになる。銅貨が金貨を駆逐するなどにその例を見る。イギリスのグレシャムが唱えた経済法則(グレシャムの法則)として有名だが、とかくこの世は悪者がのさばり善人が不遇となるの意に転用しても使う。

類語: 「憎まれっ子世にはばかる

悪口雑言
(あっこうぞうごん)

 口にまかせて様々に悪口をいいまくることをいう。

暑さ寒さも彼岸まで
(あつささむさもひがんまで)

 春秋の彼岸を境として、残暑の暑さも余寒の寒さもおとろえるものだ。「彼岸ひがん」は春分(三月二十一日ごろ)と秋分(九月二十三日ごろ)を中日ちゅうにちとして前後七日間。

同意語: 「暑い寒いも彼岸まで」、「暑さの果ても彼岸まで寒さの果ても彼岸まで」、「暑さ寒さも彼岸ぎり」

暑さ忘れれば陰忘れる
(あつさわすれればかげわすれる)

 夏の猛暑が過ぎると物陰の涼しさやありがたさを忘れてしまう。苦しかったときに受けた人の恩も、楽になると忘れてしまいがちだということ。

類語: 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」、「病治りて医者忘る

あっても苦労なくても苦労
(あってもくろうなくてもくろう)

 お金も子供も、あればあったでそれなりの苦労があるし、また、なければないで苦労をするものだということ。

羹に懲りて膾を吹く
(あつものにこりてなますをふく)

 前の失敗に懲りて必要以上に用心深くなること。「あつもの」は熱いスープ、「なます」は冷たい酢の物、肉なます。熱いスープで口をやけどした人が、次はよく吹いて冷まして食べようと思い、冷たい酢の物まで吹いてしまうの意。

類語: 「やけどした子は火を恐る」、「蛇に噛まれて朽ち縄にじる」、「舟に懲りて輿こしむ」

当て事は向こうから外れる
(あてごとはむこうからはずれる)

 自分が心当てにしていることは、とかく相手の都合で駄目になるものだ。

後足で砂をかける
(あとあしですなをかける)

 恩義を忘れるだけでなく、去りぎわに恩知らずなことまですること。

類語: 「恩を仇で返す

後の雁が先になる
(あとのかりがさきになる)

 後から来た者が先の者を追い越すこと。雁が列をなして飛行するようすから言うもので、ふつう仕事・技芸・学問などで後輩が先輩をしのぐたとえに使う。

後の祭り
(あとのまつり)

 手遅れになること。特に、取り返しがつかなくなること。祭りが済んだ後の神輿みこし山車だしが、用済みとなることから言う。

類語: 「証文の出し遅れ」、「六日の菖蒲あやめ十日の菊

後は野となれ山となれ
(あとはのとなれやまとなれ)

 自分にとって大事なことさえ終えてしまえば、後は人任せ、どうなろうと意に介さないということ。

反意語: 「立つ鳥跡をにごさず

穴があれば入りたい
(あながはいりたい)

 恥ずかしくて穴の中に身を隠してしまいたいほどだ。身の置きどころもないほどの恥ずかしい気持ちを言う。『新書・審微』に「穴をしてるべからしめよ。われあにふくしを見るに忍びんや」とあるのに基づく。

同意語: 「穴があったら入りたい」

穴の貉を値段する
(あなのむじなをねだんする)

 まだ穴の中に潜んでいるムジナの値段を、捕らえる前から予想する。当てにならないことを当てにすること。その愚かしさのたとえ。

類語: 「沖な物あて」、「捕らぬ狸の皮算用

姉女房は身代の薬
(あねにょうぼうはしんだいのくすり)

 姉さん女房は、その家の財産を増やす薬のような存在である。年上の女房はやり繰りや夫の扱いが上手で、家庭をうまく治められるということ。「身代」は財産のこと。

痘痕も靨
(あばたもえくぼ)

 ほれた欲目で見ると、相手の欠点も美点のように見えるものだ。「痘痕あばた」は天然痘の後遺症として残る皮膚のくぼみ。「えくぼ」はかわいらしさの象徴。

同意語: 「惚れた欲目には痘痕も靨」
類語: 「愛してその醜を忘る」、「惚れた欲目」、「禿げが三年目につかぬ」、「恋は盲目

阿鼻叫喚
(あびきょうかん)

 悲惨な状態に陥り、泣き叫んで救いをもとめるようすのたとえ。「阿鼻」とは、無間地獄のこと。

危ない橋を渡る
(あぶないはしをわたる)

 危険な手段を使って仕事をすること。「危ない橋」は今にも落ちそうな橋。

同意語: 「危険な橋を渡る」

虻蜂取らず
(あぶはちとらず)

 両方とも手に入れようとして、ともに取り損なうこと。虻も蜂も取らずじまいになるの意。

類語: 「虻も取らず蜂に刺される」、「虻蜂取らず蚊の餌食」、「虻蜂取らず鷹の餌食」、「一も取らず二も取らず」、「二兎を追うものは一兎をも得ず」、「二兎を追うものは一途をも得ず」
反意語: 「一挙両得」、「一石二鳥

脂に画き氷に鏤む
(あぶらにえがきこおりにちりばむ)

 脂の上に絵を描き、氷に彫刻をしても、やがては溶けて消えてしまう。いかに努力をしても報われず、徒労に終わってしまうことのたとえ。「ちりばむ」は彫刻するの意。

同意語: 「氷に鏤め水に描く
類語: 「氷に鏤め水に描く

油に水
(あぶらにみず)

 油と水は比重が違って混じりにくいことから、しっくりと馴染まない様子を言う。

同意語: 「水に油」

雨垂れ石を穿つ
(あまだれいしをうがつ)

 雨垂れが長い間には石にも穴をあけてしまうように、非力でも根気よく続けてやれば、ついには成功するということ。前漢の枚乗ばいじょう王をいさめたときに言った「泰山たいざんあまだれは石を穿うがつ」に基づく。

余り物に福がある
(あまりものにふくがある)

 ⇒「残り物に福がある

阿弥陀も銭で光る
(あみだもぜにでひかる)

 阿弥陀仏の御利益さえも、賽銭の多い少ないで決まる。金銭の威力は絶大で、すべて世の中は金次第だというたとえ。

類語: 「地獄の沙汰も金次第」、「仏の光より金の光

網呑舟の魚を漏らす
(あみどんしゅうのうおをもらす)

 法の網が粗いために大罪人をのがしてしまうこと。「呑舟の魚」は舟を呑み込むほどの大魚で、大罪人のこと。『史記・酷吏列伝』序に「網呑舟の魚を漏らすも、吏治りち蒸蒸じょうじょうとしてかんに至らず」とあるのに基づく。これを裏から言えば、「網に掛かるは雑魚ざこばかり」。

反意語: 「網に掛かるは雑魚ばかり」

蛙鳴蝉噪
(あめいせんそう)

 カエルや蝉がやかましく鳴き立てるように、ただやかましく騒ぐこと。騒がしいばかりで役に立たない議論や文章のたとえ。

雨晴れて笠を忘る
(あめはれてかさをわする)

 雨が上がると、かぶっていた笠のありがたみを忘れる。苦しい境遇を脱すると、そのときに受けた人の恩をすぐに忘れてしまうたとえ。

類語: 「喉元過ぎれば熱さを忘れる」、「病治りて医者忘る

雨降って地固まる
(あめふってじかたまる)

 もめ事があった後は、かえって物事がよい状態におさまるということ。嫌な雨も、かえって都合よく地面を固めてくれることから言う。地面が軟らかくては大地に足が踏んばれない。

類語: 「楽は苦の種苦は楽の種」、「喧嘩の後の兄弟名乗り」、「嵐の後は凪」

飴をしゃぶらせる
(あめをしゃぶらせる)

 相手を喜ばせるためにうまいことを言ったり、勝負事でわざと負けたりすること。また、より大きな利益を狙って、相手に小さな利益を与えるたとえ。

同意語: 「飴をねぶらす」

危うきこと累卵の如し
(あやうきことるいらんのごとし)

 ⇒「累卵の危うき
類語: 「薄氷を踏む

過ちては改むるに憚ることなかれ
(あやまちてはあらたむるにはばかることなかれ)

 過失を犯したら、ためらうことなく速やかに改めよということ。『論語・学而』の孔子のことばに「過ちてはすなわち改むるにはばかることなかれ」とあるのに基づく。

過ちを改めざるこれを過ちという
(あやまちをあらためざるこれをあやまちという)

 過失を犯すのは誰にでもあることでやむを得ないが、過失を犯したと気づきながら、なおも改めようとしないことこそ、真の過ちだということ。『論語』より。

嵐の前の静けさ
(あらしのまえのしずけさ)

 暴風雨がくる前には、あたりが一時的に静まり返ることから、大変事の前にそれを予見するかのように一時的に訪れる不気味な静けさを言う。

類語: 「静けさの後は嵐」

争い果てての乳切り木
(あらそいはててのちぎりぎ)

 争いが終わった後、棒を持ち出しても役に立たない。チャンスを逃してしまっては何にもならないということ。「乳切り木」は地面から胸ぐらいの長さの棒のこと。

蟻の穴から堤も崩れる
(ありのあなからつつみもくずれる)

 小さな誤りや油断がもとで大事や大失敗を引き起こすこと。『韓非子・喩老』に「千丈のつつみ螻蟻ろうぎの穴をもってついえ、百尺ひゃくせきの室も突隙とつげきけむりをもってかる」とあるのに基づく。

同意語: 「蟻の一穴天下の破れ」、「蟻の穴より堤の崩れ」、「千丈の堤も蟻の一穴」、「千丈の堤も螻蟻の穴を以って潰ゆ
類語: 「小穴大船を沈める」、「小事は大事」、「油断大敵

蟻の思いも天に昇る
(ありのおもいもてんにのぼる)

 蟻のように小さく非力な者でも、一心不乱に願い賢明に努力すれば天の神の聞くところとなり、望みが達成されるということ。

同意語: 「蟻の思いも天に届く」

蟻の這い出る隙もない
(ありのはいでるすきもない)

 蟻が這い出てのばれる隙間もない。警戒が厳重な様子を言う。

有る時払いの催促無し
(あるときばらいのさいそくなし)

 お金の貸し借りで、返済の期限を定めず、お金のあるときに払い、なければ払わず、催促もしないということ。

合わせ物は離れ物
(あわせものははなれもの)

 別々のものを合わせて作り上げたものは、いずれ離れてしまう。夫婦はもともと他人だったのだから、別れても不思議はないということ。

類語: 「夫婦は合わせ物離れ物

慌てる乞食は貰いが少ない
(あわてるこじきはもらいがすくない)

 慌て急いで利益を得ようとすると、かえって逆効果になるということ。仲間に先んじて多くもらおうとする欲深よくふかの乞食は、さもしい心を見透かされてかえってもらい分が少なくなる意で、拾得・成功を急ぐことの戒めとする。

反意語: 「思い立ったが吉日」、「善は急げ

合わぬ蓋あれば合う蓋あり
(あわぬふたあればあうふたあり)

 合う蓋と合わぬ蓋があるように、人間にも物にもふさわしい人、ふさわしい物があるということ。主に男女の間柄について使われる。

同意語: 「破れ鍋に綴じ蓋

暗雲低迷
(あんうんていめい)

 今にも雨が降り出しそうな場合のように危険なよくないことが起こりそうな気配。不穏な情勢。

安居楽業
(あんきょらくぎょう)

 居所、地位も安定し楽しく仕事をしているさま。

同意語: 「居に安んじ業を楽しむ」

晏子の御
(あんしのぎょ)

 低い地位に満足して得意がる小人物。また、主人の権威を笠にきて威張ることのたとえ。

安車蒲輪
(あんしゃほりん)

 老人をいたわり、大事にすること。

安常処順
(あんじょうしょじゅん)

 平穏な日々に慣れ、順境に身をおく状況。無風状態の平和でのどかな暮らしをいう。

安心立命
(あんじんりゅうめい)

 強い信仰によって心の平安を得、何事にも心を動揺させないこと。仏教では「あんじんりょうみょう」とも。儒教では「あんしんりつめい」と読み、天命を知って心の平安を得、瑣末さまつなことに心を動揺させないことの意となる。

按図索駿
(あんずさくしゅん)

 生きた実物の馬を知らないで、絵や書物による知識に頼って駿馬を探し求めるように、実際の役に立たない知識や行動のこと。

案ずるより産むが易い
(あんずるよりうむがやすい)

 物事は前もってあれこれ心配するよりも実際にやってみると案外にたやすいものだ。出産には心配事が尽きないが、産んでしまうとあれこれ心配したほどのことはないものだの意から、取り越し苦労をするよりもまずは勇気をもって事に当たるべきことを促す。

黯然銷魂
(あんぜんしょうこん)

 悲しみや愁いに打ち沈むさま。悲嘆にくれ悄然として魂が抜けたような状態をいう。

暗送秋波
(あんそうしゅうは)

 ひそかに秋波を送る。こっそり取り入ること。

安宅正路
(あんたくせいろ)

 仁と義のこと。仁は人の安全な住居であり、義は人の正しい通路であるという孟子の言葉。

暗中飛躍
(あんちゅうひやく)

 人に知られないように秘密のうちに策動・活躍すること。

暗中模索
(あんちゅうもさく)

 闇の中を、手探りで物を捜し求めるという意味で、手がかりのないものをいろいろと探ってみるようすをいう。

暗渡陳倉
(あんとちんそう)

 策略をもって相手を迷わせること。転じて男女が密かに通じあうたとえ。

安如泰山
(あんにょたいざん)

 泰山は山東省にある名山。泰山のように微動だにしない安定したさまをいう。

安寧秩序
(あんねいちつじょ)

 世の中が平穏で公共の安全や社会の秩序が保たれていること。やすらかな状態。

按部就班
(あんぶしゅうはん)

 文章の構成に応じて語句を選択して使用すること。順序を追って実行する。段取りを踏んで事を運ぶたとえ。

安分守己
(あんぶんしゅき)

 おとなしくして自分の仕事をして己の分際、本分を守る生き方のこと。

按兵不動
(あんぺいふどう)

 兵隊をじっとおさえて進めない。しばらく様子を見て機を待つこと。

安歩当車
(あんぽとうしゃ)

 貧乏に安んじて我慢するたとえ。誰でも歩くよりは車に乗るほうがいい。しかし、買えるほど財産がないから車のかわりにのんびり歩こうということ。

暗夜に灯火を失う
(あんやにともしびをうしなう)

 暗闇の中で明かりを失うように、頼りにしていた人や物を失って途方にくれることを言う。

安楽浄土
(あんらくじょうど)

 現実の世界のような苦悩はなく、一切の心配やけがれなどもなく、安心して楽しく生活できる清浄な国土。