井蛙の見
(せいあのけん)

 井戸の中に住んでいて、外に出たことがない蛙ほどの見識。極めて狭い見識、世界観のたとえ。

同意語: 「井の中の蛙大海を知らず

井蛙はもって海を語るべからず
(せいあはもってうみをかたるべからず)

 ⇒「井の中の蛙大海を知らず

青雲の志
(せいうんのこころざし)

 立身出世して高い地位に上ろうとする志。また、徳を修めて立派な人になろうとする志。「青雲」は晴れた青空に高くかかる雲の意で、高位高官、高潔のたとえ。

晴好雨奇
(せいこううき)

 山水の景色が、晴れの日に素晴しいだけでなく、雨の日にも珍しい味わいを呈すること。晴れても雨でも景観が良いこと。

同意語: 「雨奇晴好

晴耕雨読
(せいこううどく)

 晴れた日には畑を耕し、雨の日には読書を楽しむの意で、悠々自適の生活を言う。「耕」はからだを動かしてする仕事、「読」は頭を働かせてする楽しみ。

正鵠を射る
(せいこくをいる)

 物事の急所をつくこと。弓で的の中心を射る意から言う。「正・鵠」はともに素早く飛ぶ鳥の名で、それを的に描いて狙い射たことから、的の真ん中の黒点の意。転じて、急所・要点。

同意語: 「正鵠を得る」
反意語: 「正鵠を失する」

生殺与奪
(せいさつよだつ)

 生かすも殺すも、与えるも奪うも思いのままであること。他のものを自由自在に支配することのたとえ。

西施捧心
(せいしほうしん)

 むやみに人の真似をして、笑い者になるたとえ。

同意語: 「顰みに倣う

青春は岐点の軌跡である
(せいしゅんはきてんのきせきである)

 青春時代は、進路を選択する場面の連続であり、その場面場面で、多くの可能性の中から一つを選択して歩んできた道が、その人の青春である。「岐点」は分かれるところ。分岐点。

精神一到何事か成らざらん
(せいしんいっとうなにごとかならざらん)

 精神を集中して事に当たれば、どんな困難なことでも必ずなしとげることができるということ。『朱子語録・八・学二』に「陽気の発する処、金石もまた透る。精神一到何事か成らざらん」とあるのに基づく。

類語: 「為せば成る」、「思う念力岩をも通す

清水に魚棲まず
(せいすいにうおすまず)

 ⇒「水清ければ魚棲まず

正正堂堂
(せいせいどうどう)

 態度や方法が正しくて立派なさま。陣営などの勢いが盛んなさま。

生生流転
(せいせいるてん)

 万物が永遠に生死の間を巡ること。万物が絶えず変化し移り変わってゆくこと。

清濁併せ呑む
(せいだくあわせのむ)

 善も悪も分け隔てをせず、まるごと受け入れるということ。大海が清流も濁流も迎え入れることから、「清濁併せ呑むの気概」などと使って、度量が広いことに言う。

掣肘
(せいちゅう)

 わきから干渉して自由な行動を妨げること。肘をひっぱって邪魔をする意から言う。

急いては事を仕損じる
(せいてはことをしそんじる)

 物事はあせると、かえって失敗しやすいものだということ。

同意語: 「急いては事を仕損ずる」
類語: 「急がば回れ」、「走れば躓く」、「待てば海路の日和あり

青天の霹靂
(せいてんのへきれき)

 突然に起こった大事変・大事件のこと。また、予期しないで受ける衝撃のこと。「霹靂」は雷の意で、青く晴れた空に突然雷が起こることから言う。

類語: 「寝耳に水」、「藪から棒

青天白日
(せいてんはくじつ)

 青く晴れ上がった空に太陽が輝いていること。また、心にやましいところがないことや、無実の罪を負った人の疑いが晴れることのたとえにも使う。唐の韓愈かんゆの「崔群さいぐんに与うるの書」に「晴天白日は、奴隷もまたその清明を知る」とあるのに基づく。

生は難く死は易し
(せいはかたくしはやすし)

 苦しみや恥辱に耐えて生きていくのは難しいが、それに比べれば死ぬのはたやすい。だからこそ、生命を軽視してはならないということ。

清風明月
(せいふうめいげつ)

 すがすがしい夜風と明るい月。美しい自然や風雅な遊びなどの形容。

勢力伯仲
(せいりょくはくちゅう)

 両者の力が優劣をつけにくいほど接近していること。

精励恪勤
(せいれいかっきん)

 仕事に力を尽くし、怠らないこと。精力を傾注して励むようす。

清廉潔白
(せいれんけっぱく)

 心や行いが清く正しく、私欲・不正など、うしろ暗いところがまったくないこと。

積悪の家には必ず余殃有り
(せきあくのいえにはかならずよおうあり)

 ⇒「積善の家には必ず余慶有り

席暖まるに暇あらず
(せきあたたまるにいとまあらず)

 ひとところにじっとしている暇がないほど忙しいこと。唐の韓愈かんゆの「争臣論」による。

類語: 「孔席暖まらず墨突黔まず

積羽舟を沈む
(せきうふねをしずむ)

 小事でも積もり積もれば大事になること。軽い羽毛でも多量に積めば舟を沈めるほどになるの意から言う。

類語: 「塵も積もれば山となる

積善の家には必ず余慶有り
(せきぜんのいえにはかならずよけいあり)

 善行を積み重ねた家には、その報いとして子孫にまで必ず吉事が訪れるということ。「余慶」はよい報い。「積悪の家には必ず余殃よおう有り」と続けて使うことも多い。「余殃」は悪い報い。『易経・坤』に「積善の家には必ず余慶有り、積不善の家には必ず余殃有り」とあるのに基づく。

同意語: 「積悪の家には必ず余殃有り」、「積悪の余殃」、「積善の余慶」
類語: 「因果は巡る」、「因果応報」、「陰徳あれば陽報あり」、「情けは人の為ならず

世間は張り物
(せけんははりもの)

 世の中は体裁をつくろったものだということ。また、見栄を張って渡るのが処世の術であるということ。「張り物」は体裁をつくろってよく見えるようにした物。

同意語: 「世は張り物」
類語: 「世間は飾り物」、「内裸でも外錦」

是是非非
(ぜぜひひ)

 公平無私の態度で、よいことはよいとし、悪いことは悪いとすること。『荀子・修身』に「是を是とし非を非とす、これを知と謂う。是を非とし非を是とす、これを愚と謂う」とあるのによる。

折角
(せっかく)

 (1)高慢の鼻を打ち砕くこと。前漢の朱雲しゅうんが易について論争し五鹿ごろく充宗じゅうそうを論破したことを、世間の人が「五鹿の角を折った」としゃれて言ったという、『漢書・朱雲伝』の故事に基づく。
 (2)意味のないことをわざわざすること。後漢の林宗(郭太かくたいあざな)がかぶっていた頭巾が雨にぬれて角が折れ曲がってしまった。それを見た世間の人はそれを真似、「林宗巾」と称して、わざわざ角を折って頭巾をかぶったという。『後漢書・郭太伝』の故事に基づく。

折檻
(せっかん)

 厳しくしかること。特に体罰を加えてしかること。朱雲しゅうんは成帝(前漢)をいさめてその怒りを買い、帝側の役人に引き立てられようとした。難を逃れようとして御殿の欄干らんかんにしがみついたが、ついに朱雲のつかまった手すりは折れてしまったという。『漢書・朱雲伝』に見える故事に基づく。

席捲
(せっけん)

 片っ端から攻め入り、他国の領土を奪い取ること。また、勢い鋭く他を自分の勢力範囲に収めること。「席」はむしろ、「捲」は巻くの意。むしろを巻くように片っ端から土地を侵略する意から言う。

切磋琢磨
(せっさたくま)

 学問・技芸・道徳などを練りみがくこと。また、志を同じくする仲間と励まし合って互いに向上に努めること。「切」はきざむ、「磋」はみがく、「琢」はたたく、「磨」はみがく意で、合わせて修養に励んでやまないことのたとえとする。

切歯扼腕
(せっしやくわん)

 歯軋りをし自分の腕を握り締める意で、ひどく怒ったり悔しがったりすることを言う。『史記・張儀伝』に「この故に天下の遊談ゆうだんの士は、非地や扼腕やくわん瞋目しんもく切歯し、……」とあるのによる。

同意語: 「切歯腐心」

絶体絶命
(ぜったいぜつめい)

 逃れようのない、非常に困難な場面・立場に追い詰められること。進退極まった状態。

雪中の松栢
(せっちゅうのしょうはく)

 松や柏は寒い冬の雪の中でも葉の色を変えず、常に緑色を保っている。いかなる苦難の中でも節操を変えない人物のたとえ。「柏」はこの場合、ヒノキ、サワラ、コノデカシワなどを指す。

雪隠で饅頭
(せっちんでまんじゅう)

 人に隠れて自分だけいい思いをすること。「雪隠」は便所のこと。

雪隠の錠前
(せっちんのじょうまえ)

 便所の中でする咳払いのこと。昔、便所に入っているときに、後から人が来た場合、咳払いをして使用中であることを知らせたことから。

窃斧の疑い
(せっぷのうたがい)

 疑いの目で見ると、言動のすべてが疑わしく見えるということ。斧を盗んだのではないかと人に疑いをかけることから言う。斧をなくした男が隣家の子供に疑いをかけた。いったん疑いの目で見ると、歩き方や顔つきまでがそのように見え、なくした斧が見つかり改めてその子を見ると、少しも盗んだようには見えなかったという、『列子・説符』の故事による。

節を折る
(せつをおる)

 今まで堅持してきた主義や態度を捨て、人の意見に従うこと。

世道人心
(せどうじんしん)

 世の中の道徳と世間の人の心。

銭ある時は鬼をも使う
(ぜにあるときはおにをもつかう)

 銭があれば恐ろしい鬼でさえ自由に使える。金さえ持っていれば、どんな人であれ自由に使いこなせるということ。

類語: 「金が言わせる旦那」、「地獄の沙汰も金次第

背に腹は代えられぬ
(せにはらはかえられぬ)

 背中のことのために腹を代用することはできない。転じて、大事なことのためには、他のことが犠牲になってもやむを得ないということ。緊急事態のときには、他を顧みる余裕がないことを言う。「腹」は自分を、「背」は他者を意味する。江戸いろはがるたの一つ。

同意語: 「背中に腹は代えられぬ」、「背中より腹」

狭き門より入れ
(せまきもんよりはいれ)

 天国に至る門は狭く、通じる道も険しいが、真の命はそこを通らなければ得られないというキリスト教の教え。『新約聖書・マタイ伝』山上さんじょう垂訓すいくんより。

瀬を踏んで淵を知る
(せをふんでふちをしる)

 前もって試してみて、危険かどうかを知ること。瀬を渡ってみて、しかる後に淵のありかのありかをはっきりと知る意から言う。

浅学非才
(せんがくひさい)

 浅い学識と、乏しい才能。

同意語: 「浅知短才」

千客万来
(せんきゃくばんらい)

 多くの客が入れ代わり立ち代わり入って来ること。

千金の子は市に死せず
(せんきんのこはいちにしせず)

 金持ちの子は金の力で刑罰を逃れることができるから、処刑場で死ぬようなことはないということ。「千金の子」は金持ちの家の子。「市」は市場、または処刑場。

千金の子は盗賊に死せず
(せんきんのこはとうぞくにしせず)

 金持ちの子は、盗賊と争って命を落とすようなまねはしない。

類語: 「金持ち喧嘩せず

千軍万馬
(せんぐんまんば)

 たくさんの兵士や軍馬。多くの戦争を体験し戦歴が豊かであること。経験豊富でしたたか。

千軒あれば共過ぎ
(せんげんあればともすぎ)

 家が千軒もある地域であれば、一つの経済圏が成立して、住人は生計を立てていける。「共過ぎ」は、相互に需要と供給の関係を保ちながら生活していくことを言う。

千言万語
(せんげんばんご)

 いろいろ言葉を尽くして言うこと。長たらしい言葉。

千石取れば万石羨む
(せんごくとればまんごくうらやむ)

 人間の欲望には限りがないということ。千石取りを羨む身分からやっと千石取りになったものの、今度は万石取りを羨むの意から言う。

類語: 「望蜀ぼうしょく」、「ろうを得て蜀を求む」

千古不易
(せんこふえき)

 ずっと、永遠に変わらないこと。

前後不覚
(ぜんごふかく)

 前後の区別もつかなくなるほど正体がなくなること。全然覚えがなくなる。

千載一遇
(せんざいいちぐう)

 千年に一度しかめぐってこないほどにまれなこと。また、それほどにまれにしか訪れない好機のこと。「千載」は千年の意。「一遇」は一度だけ会うこと。

類語: 「盲亀もうきの浮木」、「優曇華うどんげの花

千差万別
(せんさばんべつ)

 物事の種類や様子にさまざまな差異があること。そのさま。

千思万考
(せんしばんこう)

 さまざまに思い巡らすこと。あれこれ思い、考えること。

千姿万態
(せんしばんたい)

 姿かたちやありさまが、種々さまざまであること。

浅酌低唱
(せんしゃくていしょう)

 ほろ酔い気分で軽く歌を歌って楽しむこと。また、そのような小酒宴。

前車の覆るは後車の戒め
(ぜんしゃのくつがえるはこうしゃのいましめ)

 前人の失敗は後人の戒めになるということ。前を行く車の失敗は後から行く車の戒めとなる意から言う。

同意語: 「後車の戒め」、「前車の轍」、「前車の覆轍ふくてつ」、「前覆後戒ぜんぷくこうかい」、「覆車の戒め」
類語: 「人のふり見てわがふり直せ」、「明日は我が身」、「殷鑑いんかん遠からず
反意語: 「前車の轍を踏む

前車の轍を踏む
(ぜんしゃのてつをふむ)

 前人の失敗を知っていながら、それと同じ過ちを繰り返すこと。前を行く車のわだちの跡をたどって、自分も同じ過ちをする意から言う。「轍」は車が通った後に残るわだち。

同意語: 「前車の覆轍を踏む」、「前轍を踏む」
反意語: 「前車の覆るは後車の戒め

千秋万歳
(せんしゅうばんぜい)

 千年・万年の長生きを祝っていう語。長命を祝していう言葉。

千畳敷に寝ても畳一枚
(せんじょうじきにねてもたたみいちまい)

 千畳もある広い部屋に寝ても、必要なのは畳一枚分の広さ。それで十分である。物は必要なだけあれば事足りるというたとえ。

類語: 「起きて半畳寝て一畳

千丈の堤も螻蟻の穴を以って潰ゆ
(せんじょうのつつみもろうぎのあなをもってついゆ)

 千丈もある長大な堤防でも、ケラやアリが空ける小さな穴から崩れてしまうこともある。些細なこと、わずかな手落ちや判断から、大事に至ることがあるというたとえ。

同意語: 「蟻の穴から堤も崩れる」、「千丈の堤も蟻の一穴」

善書は紙筆を選ばず
(ぜんしょはしひつをえらばず)

 字のうまい人は、紙や筆の良い悪いは問題にしないということ。

類語: 「弘法は筆を択ばず」、「能書筆を択ばず

全身全霊
(ぜんしんぜんれい)

 心身の力のすべて。体力と精神力のすべて。

千辛万苦
(せんしんばんく)

 さまざまの苦労を重ねること。

前人未踏
(ぜんじんみとう)

 今までに誰も足を踏み入れたことがないこと。誰も到達していない。

先生と言われる程の馬鹿でなし
(せんせいといわれるほどのばかでなし)

 「先生」と呼ばれても、いい気になぞなってはいけないよということ。教師をはじめ、医師・弁護士など、普通「先生」と呼ばれる人以外に使う「先生」には必ずしも敬意が含まれていないことから言う。

戦戦兢兢
(せんせんきょうきょう)

 まずいことが起こりはしないかと恐れおののくようす。「戦戦」「兢兢」ともに、びくびくするようす。

前代未聞
(ぜんだいみもん)

 今まで聞いたことがないような。空前。

類語: 「破天荒

然諾を重んず
(ぜんだくをおもんず)

 いったん承諾した以上は約束を重んじ、間違いなく実行するということ。

栴檀は双葉より芳し
(せんだんはふたばよりかんばし)

 大成する人物は、子供のときから人並みはずれて優れたところがあるということ。香木である栴檀は双葉のころから芳香を放つ。「双葉」は「二葉」とも郭。

類語: 「実のなる木は花から知れる」、「実の生る木は花から知れる」、「蛇は寸にして人を呑む
反意語: 「十で神童十五で才子二十はたち過ぎればただの人」、「早秀は晩成にしかず」、「大器晩成

船頭多くして船山に上る
(せんどうおおくしてふねやまにのぼる)

 指図する人が多くて方針の統一がとれず、物事が目的をはずれた方向に進んでしまうこと。一つの船に船頭が何人もいたのでは着くべき岸に着かなくなる。

同意語: 「船頭多くして船岩に上る」
類語: 「コック多くしてスープまずし」、「舎を道傍に作れば三年にして成らず

前途多難
(ぜんとたなん)

 これから行く先に、多くの困難が待ち構えていること。

前途洋洋
(ぜんとようよう)

 将来が希望に満ちていること。前途が豊かで盛んな予感の持てること。

前途遼遠
(ぜんとりょうえん)

 行く先の道がはるかに遠い。望みがすぐには達せられない。

先入主となる
(せんにゅうしゅとなる)

 先に頭に入った考えが主になり、後から入ってきた考えが従になる。最初に頭の中に入ってきたことが固定観念になり、自由な思考が妨げられるということ。「先入観」の元になった言葉。

善人なおもて往生を遂ぐ、況や悪人をや
(ぜんにんなおもておうじょうをとぐ、いわんやあくにんをや)

 善人でさえ極楽往生を遂げることができる、まして仏の慈悲にすがるしかない悪人が往生を遂げるのは言うまでもないことだということ。『歎異抄』に見える、親鸞の悪人正機しょうき説。

千人の指さす所病なくして死す
(せんにんのゆびさすところやまいなくしてしす)

 千人もの人に後ろ指をされれば、病気がなくても死んでしまうということ。

善の裏は悪
(ぜんのうらはあく)

 (1)よいことがあれば、それにつれて悪いことも起こるということ。
 (2)一転すれば善もまた悪に変わるということ。
 「善悪」は相反するというよりも、表裏一体となったものだととらえて言う。


類語: 「禍福かふくあざなえる縄の如し」、「塞翁が馬」、「勝てば官軍負ければ賊軍

善は急げ
(ぜんはいそげ)

 よいことは、ためらうことなくすぐに実行に移した方がよいということ。

類語: 「好機逸すべからず」、「思い立ったが吉日
反意語: 「慌てる乞食は貰いが少ない

千篇一律
(せんぺんいちりつ)

 一本調子で面白みがないこと。多くの詩篇がどれもこれも同じ調子で作られていることから言う。

千変万化
(せんぺんばんか)

 いろいろさまざまに変わること。変化がきわまりないこと。

千万人と雖も吾往かん
(せんまんにんといえどもわれゆかん)

 反省して正しいと思ったら、たとえ反対者が千万人あっても、恐れずに立ち向かおうということ。「大勇(真の勇気)」について語った孔子のことばに基づく。

千万無量
(せんまんむりょう)

 数が多くて数えきれないこと。計り知れないこと。

前門の虎後門の狼
(ぜんもんのとらこうもんのおおかみ)

 一つの災いを逃れても、またもう一つの災いが襲ってくること。趙弼ちょうひつの『評史』に、ことわざとして「前門に虎をふせぎ後門に狼を進む」と引かれたことに基づく。

同意語: 「前虎後狼」
類語: 「一難去ってまた一難」、「火を避けて水に陥る」、「わざわい去って禍また至る」、「虎口ここうを逃れて竜穴りゅうけつ」、「前に絶壁後ろに狼」

先憂後楽
(せんゆうこうらく)

 優れた為政者は心配事については世の人がまだ気付かないうちからそれを心にとめていろいろ処置をし、楽しみは世の人の楽しむのを見届けたあとに楽しむ。政治家の心がけを表した語。

千羊の皮は一狐の腋に如かず
(せんようのかわはいっこのえきにしかず)

 千枚の羊の皮も、ただ一匹のキツネの腋の下の白い毛皮に及ばない。凡人がいくら集まっても、ただ一人の賢人に及ばないというたとえ。

千里駕を命ず
(せんりがをめいず)

 千里の道をも遠しとせずに友人を訪ねること。千里も離れた友人を訪ねるのに車馬の用意を命ずることから言う。

千里眼
(せんりがん)

 千里先までも見える目の意で、将来や遠方の出来事や奥深い心の中などを見通す能力(を持った人)のこと。不正を嫌った光州の長官・楊逸よういつは、手先の者を各所に配して役人たちを監視させたところ、効果覿面てきめん、役人たちの不正は絶え、よって彼は千里眼の異名をとったという。『魏書・楊逸伝』に見える故事。

千里同風
(せんりどうふう)

 千里の遠くまで同じ風が吹く。天下が統一されて平和な状態。遠方まで風俗が同じである。

千里の道も一歩から
(せんりのみちもいっぽから)

 ⇒「千里の道も一歩より始まる
類語: 「遠きに行くに必ず邇きよりす」、「高きに登るには低きよりす

千里の道も一歩より始まる
(せんりのみちもいっぽよりはじまる)

 遠大な事業もまず手近なことの実行から始まるものだということ。遠い千里の旅もまず一歩を踏み出すことから始まるの意で、基礎的現実的な作業の大切さを説く。『老子・六四章』に「千里のこう足下そっかより始まる」とある。

同意語: 「千里の行も一歩より」、「千里の行も足下より」、「千里の道も一歩から」、「千里の道も一歩より」
類語: 「遠きに行くは必ず近きよりす」、「高きに登るには低きよりす

千慮の一失
(せんりょのいっしつ)

 賢人・知者といえども、多くの考えの中にはまれに一つくらいの失敗はあるということ。『史記・淮陰侯伝』に「智者も千慮に必ず一矢有り、愚者も千慮に必ず一得有り」とあるのに基づく。

類語: 「猿も木から落ちる」、「愚者も一得」、「弘法にも筆の誤り」、「上手の手から水が漏れる

千慮の一得
(せんりょのいっとく)

 愚かな考えの中でも、千のうち一つぐらいはよい考えがある。愚か者でもたまにはよい考えを出すということ。

同意語: 「愚者も一得
類語: 「愚者も一得

善を責むるは朋友の道なり
(ぜんをせむるはほうゆうのみちなり)

 友に善をなせと要求するのは、友人として当然の道であるということ。「責める」は強く要求するの意。『孟子・離婁下』に「善を責むるは朋友の道なり。父子善を責むるは恩をそこなうの大なる者なり」とあるのによる。