英華発外
(えいかはつがい)

 物事のすぐれた美しさが表面に現れること。すぐれた詩や文章、名誉、ほまれの意。

栄枯盛衰
(えいこせいすい)

 人や組織の隆盛と衰退は必ず交互にやってくるものだ。

英姿颯爽
(えいしさっそう)

 きりっと引き締まって、いかにもりりしく勇ましいさま。きびきびとして勢いのある様子。

永字八法
(えいじはっぽう)

 すべての字の書き方の基本が「永」の一字に含まれているとして、運筆の八法を伝授する書法。

曳尾塗中
(えいびとちゅう)

 高い地位に上がって束縛されるよりも、たとえ貧しくとも自由な生活をするほうが楽しいというたとえ。

盈満の咎
(えいまんのとが)

 満ちれば欠ける。何事も満ち溢れるほどになるとかえって禍いを招くという戒め。

英雄色を好む
(えいゆういろをこのむ)

 英雄は何事にも精力的であるから、女色を好む傾向も強いということ。女色を好むことを正当化するのにも使う。

類語: 「英雄酒を好む」

英雄欺人
(えいゆうぎじん)

 才知のすぐれた人物は、常人の考え及ばないようなことをして人の意表をつくという意。

栄耀栄華
(えいようえいが)

 富や地位を得て、繁栄し得意になること。転じて驕り・贅沢を尽くすこと。

益者三楽
(えきしゃさんごう)

 有益な三つの楽しみ。第一に礼楽に親しみ調和のとれた暮らし。第二に人の美点を話題にする。第三は立派な友を多く持つこと。

益者三友損者三友
(えきしゃさんゆうそんしゃさんゆう)

 交際して有益な三種類の友人(正直、誠実、博識)と、損害を受ける三種類の友人(へつらい、不誠実、口達者)の意。

易者身の上知らず
(えきしゃみのうえしらず)

 他人のことはよく分かるが、自分のことはよくわからないということ。易者は人の身の上は占うが、自分の運勢は分からないことから言う。

同意語: 「陰陽師身の上知らず」、「八卦置き身の上知らず」
類語: 「医者の若死に」、「医者の不養生」、「学者の不身持ち」、「紺屋の白袴」、「出家の地獄」、「大工の掘っ立て」、「坊主の不信心」

易姓革命
(えきせいかくめい)

 王朝がかわることをいう。

役夫の夢
(えきふのゆめ)

 人生の栄華は夢のようにはかないものというたとえ。転じて、欲求不満を夢で補うこと。

廻向発願
(えこうほつがん)

 自らが積んだ功徳(善行)を人々や他のものに振りむけて、浄土に生まれようと願う心を起こすこと。仏事法要を営んでその功徳が死者の安穏をもたらすように期待すること。

会者定離
(えしゃじょうり)

 会う者は、かならず離れ離れになる運命にあるということ。仏教の無常観を表すことば。

類語: 「愛別離苦

枝を伐って根を枯らす
(えだをきってねをからす)

 末端から着手し徐々に根元に及ぶこと。特に、敵を攻撃するとき軟弱な所から攻め落とし遂に本拠地に及ぶこと。

反意語: 「根を掘って葉を枯らす」

越訴の罪
(えっそのつみ)

 他人の領域に口出しする罪、すなわち越権行為による罪のこと。「訴」は神へのお供えを載せる台、転じて、まな板。料理人の仕事に立ち入る罪の意。

越鳥南枝
(えっちょうなんし)

 ⇒「越鳥南枝に巣くう

越鳥南枝に巣くう
(えっちょうなんしにすくう)

 南から来た越の国の鳥は少しでも故郷に近い南側の枝に巣を作るように、鳥でも故郷を忘れがたいというたとえ。

同意語: 「越鳥南枝」、「南枝の悲しみ」
類語: 「胡馬北風に嘶く

越畔の思い
(えつぱんのおもい)

 「越畔」は田の境界のあぜ道を踏み越える意。自分の責務を守って他人の領分を侵さないように慎む心構え。

得手に帆を揚ぐ
(えてにほをあぐ)

 好機に恵まれて、得意なことを調子に乗って行うことのたとえ。

同意語: 「真帆に追い風」、「追風おいてに帆」、「追風おいてに帆を揚ぐ」、「得手に帆」、「得手に帆柱」
類語: 「順風満帆」、「流れに棹さす

江戸っ子は宵越しの銭は使わぬ
(えどっこはよいごしのぜにはつかわぬ)

 気風のよさ、金離れのよさを粋だとして自慢した言葉。江戸っ子は、稼いだ金はその日に使い切り、翌日まで持ち越さない。

同意語: 「江戸っ子は宵越しの金は持たぬ」

江戸の敵を長崎で討つ
(えどのかたきをながさきでうつ)

 意外な所、また筋違いのことで仕返しをすること。江戸と長崎が遠く離れていることから言う。

絵に描いた餅
(えにかいたもち)

 絵に描いた餅は食べられないことから、役に立たないことのたとえ。計画だけは立派だが、実現不可能なことのたとえにも使う。

同意語: 「画餅がべい
類語: 「画餅がべいに帰す

蝦で鯛を釣る
(えびでたいをつる)

 わずかの元手で大きな利益を上げること。

類語: 「一粒万倍

烏帽子親
(えぼしおや)

 武家の男子の元服の祝儀で、親に代わって烏帽子をかぶらせ、烏帽子名をつける有力者。

栄耀の餅の皮
(えようのもちのかわ)

 度の過ぎたぜいたくや、甚だしい驕りたかぶりのたとえ。ぜいたくに慣れた者が、むく必要のない餅の皮をむいて食べる意から言う。

同意語: 「栄華の上の餅の皮むく」、「栄耀に餅の皮をむく」

選んでかすを掴む
(えらんでかすをつかむ)

 えり好みをしすぎて、かえって悪いもの、つまらないものを掴んでしまうたとえ。

類語: 「れば選りくず

蜿蜿長蛇
(えんえんちょうだ)

 行列などが、長い大きな蛇のように、うねりながら一列に続いているさま。

鴛鴦の契り
(えんおうのちぎり)

 つがいのオシドリの契りの意で、夫婦仲のよいことのたとえ。「鴛鴦」はオシドリの雄と雌。オシドリは雌雄そろって行動する習性があることから言う。

同意語: 「鴛鴦交頸えんおうこうけい
類語: 「鴛鴦比目えんおうひもくの枕」、「天にあらば比翼の鳥地にあらば連理の枝」、「比翼の鳥

煙霞痼疾
(えんかこしつ)

 自然の風景を愛する心が非常に強いこと。美しい風景を愛するのが病みつきになっているさま。転じて、旅行好き、隠居の意に用いる。「煙霞えんか」はもやのかかった風景。「痼疾こしつ」はなかなか治らない病気。自然を愛することが、厄介な持病のようになっているということ。

同意語: 「煙霞のへき」、「煙霞の痼疾」

燕雁代飛
(えんがんだいひ)

 春、燕が来る時雁は去り、雁が再び渡ってくる秋には燕が飛び去っていく。春秋の移り変わりを渡り鳥の動きで捉えた名句。

燕頷投筆
(えんがんとうひつ)

 文筆を捨てて武事につくことのたとえ。

延頸鶴望
(えんけいかくぼう)

 首を鶴のように長く伸ばして相手を待ち望むさま。切実に待望する気持ち。今か今かと待つ。

猿猴が月
(えんこうがつき)

 身分相応な望みをもつと失敗するというたとえ。「猿猴」は猿。猿が水に映った月を枝につり下がって取ろうとしたが、枝が折れておぼれ死んだという『僧祗律』の寓話から。

同意語: 「猿猴月に愛をなす」、「猿猴月を取る」、「猿猴捉月そくげつ

遠交近攻
(えんこうきんこう)

 利害関係の衝突しない遠い国と親交を結び、近い国を攻める外交政策。中国戦国時代に范雎はんしょが唱え、しんがこれを採用した。

同意語: 「遠きに交わりて近きを攻む」

猿号擁柱
(えんごうようちゅう)

 弓の名人の凄腕をいうたとえ。

掩耳盗鐘
(えんじとうしょう)

 小策をろうして自分を欺き、悪事を働くこと。また、愚か者のたとえ。

燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや
(えんじゃくいずくんぞこうこくのこころざしをしらんや)

 小人物には大人物の気持ちや考えが分からないことのたとえ。「燕雀」はツバメとスズメで小人物の、「鴻鵠」は大白鳥とコウノトリで大人物のたとえ。どうして小さな鳥に大きな鳥の志が知れようかの意。

同意語: 「燕雀は何んぞ大鵬たいほうの志を知らんや」、「鴻鵠こうこくの志」、「鶯鳩大鵬おうきゅうたいほうを笑う」
類語: 「猫は虎の心を知らず

燕雀相賀
(えんじゃくそうが)

 新居の落成を祝う言葉。燕と雀は人家に巣を作るので新しい家が完成すると、ともに喜ぶということ。

遠水近火
(えんすいきんか)

 遠い所にあるものは急場の役には立たないということ。遠くにある水では目前の火事を消すことはできない意から言う。

同意語: 「遠水近火を救わず

遠水近火を救わず
(えんすいきんかをすくわず)

 遠くにあるものでは急場の用を足すことができないということ。

同意語: 「遠水えんすいかつを救わず」、「遠水近火
類語: 「遠い親戚より近くの他人」、「遠い親類より近くの他人」

遠走高飛
(えんそうこうひ)

 高飛びする。遠方へ逃げること。苦境を脱して明るい道を求める意味もある。

燕巣幕上
(えんそうばくじょう)

 危険な場所に居住すること。幕の上にツバメが巣を作るように不安定なこと。

円頂黒衣
(えんちょうこくえ)

 まるい頭に墨染めの衣。僧侶の姿をさす。

怨徹骨髄
(えんてつこつずい)

 ⇒「怨み骨髄に入る

塩鉄の利
(えんてつのり)

 政府の専売によっておさめる利益のこと。塩と鉄の専売制度があったことから。

円転滑脱
(えんてんかつだつ)

 人と争わずにうまく物事を運ぶ。かどが立たない。

縁と浮世は末を待て
(えんとうきよはすえをまて)

 良縁とチャンスは、時節が来るのを待つべきもので、自分から焦って求めてもうまくいかないということ。

同意語: 「縁と月日の末を待て」

鉛刀一割
(えんとうのいっかつ)

 なまくら刀で物を断ち切る。自分の微力を謙遜していう語。

縁なき衆生は度し難し
(えんなきしゅじょうはどしがたし)

 いかに仏であっても、仏縁のない者は救いようがないということ。また、人のことばを聞き入れようとしない者はどうしようもないということ。「衆生」は仏の救済の対象となるすべてのもの。「度する」は救済する、済度する。

延年益寿
(えんねんえきじゅ)

 寿命を延ばす。長寿でめでたいこと。

縁の下の力持ち
(えんのしたのちからもち)

 人目につかない下積みの仕事で功績があることのたとえ。また、そのような人のたとえ。縁側を下から力いっぱい支える柱の意で、人のために大いに役に立っているのに報われないといった意味合いで使う。

同意語: 「縁の下の掃除番」、「縁の下の舞」

縁の目には霧が降る
(えんのめにはきりがふる)

 縁あって結ばれる者の目には、互いに霧がかかったように、相手の欠点が見えないばかりか、かえって美しく見えるということ。

縁は異なもの
(えんはいなもの)

 男女の結ばれる縁は、理屈では説明できない不思議なものであるということ。

同意語: 「縁は異なもの味なもの」
類語: 「愛縁奇縁」、「何事も縁」、「合縁奇縁」、「相性奇縁」

鳶飛魚躍
(えんぴぎょやく)

 自分の本性に従って思いどおりに生きる楽しさ。

縁木求魚
(えんぼくきゅうぎょ)

 誤った手段では目的が達成できない。不可能なたとえ。

同意語: 「木にって魚を求む」

円木警枕
(えんぼくけいちん)

 学問に一所懸命励むこと。苦学すること。

円満具足
(えんまんぐそく)

 充分に満ち足りて不足のないこと。転じて人柄に欠点がなく温厚な様子を言う。

遠慮近憂
(えんりょきんゆう)

 よく先のことまで考えて行動しないと、必ず急な心配事が起こって苦しむことになるという孔子の言葉。行き当たりばったりの行動を慎しみなさいということ。

同意語: 「遠慮無ければ近憂有り

遠慮無ければ近憂有り
(えんりょなければきんゆうあり)

 目先のことばかり考えて、遠い将来のことを考えなければ、必ず急な心配事が起こる。

同意語: 「遠慮近憂

遠慮ひだるし伊達寒し
(えんりょひだるしだてさむし)

 遠慮して食べないでいるとひもじいし、粋がって薄着をしていると寒い。見栄を張ったり、やせ我慢をするのはほどほどにせよということ。「ひだるし」は空腹であること。「伊達」は粋な服装をすること。

同意語: 「賢者ひだるし伊達寒し