形影相弔う
(けいえいあいとむらう)

 誰一人訪れる人もない孤独を言う。自分とその影法師が慰め合うばかりで、ほかにはただ一人のよるべとてないの意で言う。「形影」は、物の形とその影。「弔う」は同情するの意。

形影相同
(けいえいそうどう)

 形と影はぴったり同じ。形が曲がっていれば影も曲がる。転じて、心が正しければ、行いも正しいというたとえ。

形影相憐
(けいえいそうりん)

 自分で自分自身を哀れむこと。いつの間にか年老いて、鏡の中に白髪となった自己の老残の姿を見た悲哀の言葉。

継往開来
(けいおうかいらい)

 先人の事業を受け継ぎ、未来を切り開く。過去のものを継続し、それを発展させながら将来を開拓していくこと。

傾蓋故の如し
(けいがいこのごとし)

 ちょっと会っただけで、古くからの友人のように親しくなることをいう。通りすがりに車を寄せて話すだけで、旧知のように打ち解けるの意から言う。「白頭はくとうしんの如し」と対句の形で使うことも多い。『史記・鄒陽伝』に「ことわざいわく、白頭新の如く、傾蓋故の如き有りと」とあるのに基づく。「傾蓋」の車のかさを傾けること。

同意語: 「傾蓋きゅうの如し」、「傾蓋知己」

傾蓋知己
(けいがいちき)

 ⇒「傾蓋の如し

謦咳に接す
(けいがいにせっす)

 尊敬する人や高貴な人に親しくお目にかかること。「謦咳」は咳払い。直接お会いしなくては、咳払いの声も聞くことはできない。

傾家蕩産
(けいかとうさん)

 一家の財産を使い尽くし、家をつぶすこと。家産を食いつぶすたとえ。

傾危の士
(けいきのし)

 巧みに弁舌を弄して、国家の命運を危うくする人。危険人物のたとえ。

軽裘肥馬
(けいきゅうひば)

 富貴なひとの外出のいでたち。また、富貴で豊かなさま。「裘」は獣の毛皮の服。

桂玉の艱
(けいぎょくのかん)

 きわめて物価の高い都会で生活する苦しさ。物価の高い都会で苦学するたとえ。

軽挙妄動
(けいきょもうどう)

 事の是非を考えずに、でたらめな感じで軽々しく行動すること。

鶏群一鶴
(けいぐんいっかく)

 ⇒「鶏群の一鶴

鶏群の一鶴
(けいぐんのいっかく)

 群がる凡人の仲でひときわ光彩を放つ、一人の優れた人物のたとえ。

同意語: 「群鶏の一鶴」、「鶏群一鶴」、「野鶴やかくの鶏群に在るが如し」
類語: 「掃き溜めに鶴」、「嚢中のうちゅうの錐

鶏口牛後
(けいこうぎゅうご)

 大きな組織に付き従って軽んぜられるよりも、小さな組織の長となって重んぜられるほうがよいということ。

同意語: 「鶏口となるも牛後となるなかれ

鶏口となるも牛後となるなかれ
(けいこうとなるもぎゅうごとなるなかれ)

 大きな組織の末端にいるよりも、たとえ小さくても組織のトップに君臨している方がいいということ。「鶏口」は鶏の口の意から、小さな組織の長のたとえ。「牛後」は牛の尻の意から、大きな組織の末端のたとえ。

同意語: 「鶏口牛後
類語: 「鯛の尾よりも鰯の頭

閨閤の臣
(けいこうのしん)

 君主の側近の臣。奥方づきの家来のこと。

経国大業
(けいこくたいぎょう)

 立派な文章、著作をほめていう言葉。また、国家を治めるための大きな仕事を指す。

荊妻豚児
(けいさいとんじ)

 愚妻、愚息のこと。

計日程功
(けいじつていこう)

 日ならずして完成すること。進展が順調なので、完成の日を指折り数えることができるということ。

敬して遠ざく
(けいしてとおざく)

 うわべは敬っているように装い、実はうとんじて避ける。敬遠する。もともとは、尊敬はするが、みだりには近づかないの意。

閨秀作家
(けいしゅうさっか)

 女流作家。学問、才能に秀でた才媛のこと。

芸術は長く人生は短し
(げいじゅつはながくじんせいはみじかし)

 人の命は短いが、優れた芸術作品は永遠にその生命を保ち続けるということ。

経世済民
(けいせいさいみん)

 世を治め、民の苦しみを救う。また、そのような立派な政治。『経済』の語源。

傾城に誠なし
(けいせいにまことなし)

 金で買われる遊女には、もともと客に対する誠意などあるはずがないということ。「傾城」は城主を惑わし、国を傾けさせるほどの美人。転じて、遊女。

蛍雪
(けいせつ)

 ⇒「蛍雪の功

蛍雪の功
(けいせつのこう)

 辛苦して学問に励むことのたとえ。螢の光や雪明かりで貧乏に耐えながら勉学する。しん車胤しゃいんは蛍を集めてその光で本を読み、孫康そんこうは雪明りで本を読んだという故事に基づく。

同意語: 「蛍雪の功を積む」、「蛍窓けいそう雪案せつあん」、「車蛍孫雪」

継体の君
(けいたいのきみ)

 正統を継いで天子の位を受け継ぐ君。皇太子。世継ぎの王子のこと。

軽諾寡信
(けいだくかしん)

 安請け合いは、当てにならないことのたとえ。「軽諾」は軽々しく承諾すること。

兄たり難く弟たり難し
(けいたりがたくていたりがたし)

 二人の実力が拮抗し、その優劣をいずれとも決めがたいこと。『世説新語・徳行』にあることば。長じている方を兄、劣っている方を弟としたいのだが、どちらも負けず劣らずで決着がつかないことから言う。

同意語: 「伯仲のかん

軽佻浮薄
(けいちょうふはく)

 軽はずみで、行動がしっかりしていないこと。考えが浅く、上すべりで移り気な感じ。

兄弟牆に鬩げども外その務りを禦ぐ
(けいていかきにせめげどもそとそのあなどりをふせぐ)

 兄弟は家の中では喧嘩をしても、外から侮られるようなことがあれば力を合わせてそれを防ぐということ。「かき」は石や土で築いた塀。「せめぐ」は互いに争う。

同意語: 「血は水よりも濃い

敬天愛人
(けいてんあいじん)

 常に修養を積んで天をおそれ敬い、人の気持ちを思いやる心境に到達することが必要だという教え。

芸は道によって賢し
(げいはみちによってかしこし)

 技芸はそれぞれ、その道に専心している人が最も詳しいということ。

類語: 「餅は餅屋

芸は身を助く
(げいはみをたすく)

 道楽で習い覚えた芸が、落ちぶれたときには生計を立てるもとになるということ。江戸系いろはがるたの一句。

反意語: 「粋が身を食う

繋臂の寵
(けいひのちょう)

 君主の特別な寵愛を受けること。晋の武帝は多くの良家の子女を選び官女とし、自ら容姿端麗な娘を選んで、その臂に赤い薄絹をつけて特別に可愛がったという故事による。

軽描淡写
(けいびょうたんしゃ)

 軽くデッサンし、あっさりと描くこと。転じて、重要問題や肝心なことにはあまり触れないこと。

繋風捕影
(けいふうほえい)

 風をつなぎ、影を捕らえること。いずれも不可能なことから当てにならない空想のたとえ。

掲斧入淵
(けいふにゅうえん)

 適材適所でないこと。才能を発揮すべき所を誤るたとえ。斧は木を切る道具。山林でこそ役立つが、それを川の深い所へ持って行っても役に立たないという意味。

桂馬の高上がり
(けいまのたかあがり)

 いきなり身分不相応な地位に上がると、えてして足をすくわれるものだということ。

類語: 「桂馬の高飛び歩の餌食」

軽妙洒脱
(けいみょうしゃだつ)

 気がきいていて、さっぱりとしていること。軽快で妙味があり、気がきいて味があること。

鶏鳴狗盗
(けいめいくとう)

 鶏の鳴き声をまねて人を騙したり、犬のまねをして盗みを働いたりする卑しい者のこと。また、そうしたつまらない特技が人の役に立つこともあるというたとえ。戦国時代、しん昭王しょうおうの捕虜となったせい孟嘗君もうしょうくんは、食客の一人に犬のまねをさせて秦王の蔵から狐白裘こはつきゅう(白狐の皮衣)を盗み出させ、王の愛姫に献上して釈放された。さて函谷関まで逃れてくると、一番どりが鳴くまでは通さないという。そこで別の食客が鶏鳴をまねると、辺りの鶏が一斉に鳴き出して関門は開かれた。「鶏鳴狗盗」のお陰で孟嘗君の一行は無事国境を越えることができたという。『史記・孟嘗君伝』の故事に基づく。

同意語: 「函谷関の鶏鳴けいめい

形名参同
(けいめいさんどう)

 部下の言った言葉(名)と実際の行動(形)とを照らし合わせて評価し、賞罰を与えるべきだとする考え方。

鶏鳴の助
(けいめいのじょ)

 内助の功のたとえ。賢い妃が君主に国政を怠らせないようにするために、「臣下は鶏が鳴くうちから働いています」と告げ、君主を早起きさせたという故事による。

類語: 「内助の功

桂林一枝
(けいりんいっし)

 自分の官職、地位に不満足なたとえ。桂の林のうち、ほんの一枝を折ったにすぎず、数ある官職の末端を得たにすぎないという意味から。

驚浪雷奔
(けいろうらいほん)

 岸に打ち寄せる高波の激しさをたとえる。波頭を岩に激突させて散る高波は雷のような激しい音を立てながら走り去っては、また押し寄せる。

怪我の功名
(けがのこうみょう)

 過失が思いがけない成果を生むこと。また、何気なくしたことがたまたま好結果をもたらすこと。「怪我」はふとした過ちの意。

同意語: 「過ちの功名」

隙穴の臣
(げきけつのしん)

 ひそかに敵に通じる者。すきをうかがう家来のこと。

逆鱗に触れる
(げきりんにふれる)

 目上の人を激怒させる。「逆鱗」は竜の喉元のどもとに逆さに生えているうろこ。そこに触れれば竜は必ず怒り、人を殺すという。もとは、天子を竜にたとえ、その逆鱗ともいうべき禁忌に触れて天子を激怒させるの意。

下戸の建てた蔵は無い
(げこのたてたくらはない)

 下戸は酒を飲まない分だけ金がたまりそうなものだが、財をなして蔵を建てたという話も聞かないということ。酒飲みが下戸を馬鹿にして言う言葉。また、酒飲みの自己弁護の言葉。

同意語: 「下戸の建てたる蔵もなし」

下種と鷹とに餌を飼え
(げすとたかとにえをかえ)

 卑しい者と鷹のように性格の荒い者には、心付けや食物を与えて、手なずけなければ思うようにならないということ。

下衆の後知恵
(げすのあとぢえ)

 愚かな者はいざというときには知恵が働かず、後になってようやく名案が浮かぶということ。「下衆(下種)」は思慮の浅い者、品性の卑しい者をあざけって言う語。

同意語: 「下衆の後思案」

下種の勘繰り
(げすのかんぐり)

 卑しい者は不必要に気を回して、見当違いの邪推をするということ。

下種の逆恨み
(げすのさかうらみ)

 品性の卑しい人間は、人が親切に忠告してくれても、自らを省みることをしないから、悪口を言われたと思って逆のその人を恨むということ。

下駄も仏も同じ木の切れ
(げたもほとけもおなじきのきれ)

 貴賎尊卑と分け隔てるが、もとをただせば差などないということ。足で踏まれる下駄も、手を合わせて拝まれる仏像も、その材料は同じ木っ端に過ぎないとして、社会環境や境遇が差別を生むことを言う。

同意語: 「下駄も阿弥陀も同じ木の切れ」

月下推敲
(げっかすいこう)

 詩文の字句をよく練って工夫し、よりよいものにすること。推敲の語源。

月下氷人
(げっかひょうじん)

 男女の縁をとりもつ人を言う。「月下老人」の故事と、「氷人」の故事から生まれたことば。いずれも縁結びにちなむことから、仲人、媒酌人の意で使う。

結跏趺坐
(けっかふざ)

 仏教の座法のひとつ。また、座禅を組むこと。如来座。

月寒江清
(げっかんこうせい)

 夜気が川面に広がり、月の光も冷たくさえて、川はしんとして清く照り返している。冬の川の清冷な夜景。

月明星稀
(げつめいせいき)

 英雄の出現で群雄の影が薄くなるさま。月の光が明るく輝くと、星の光は薄らいでよく見えなくなる。

外面似菩薩内心如夜叉
(げめんじぼさつないしんにょやしゃ)

 女性の容貌は柔和で美しいが、その心根は険悪で恐ろしいということ。煩悩を誘う女性は仏道修行の妨げ。だから、女の色香に惑わされるなと戒める。

同意語: 「外面如菩薩内心如夜叉」

螻蛄の水渡り
(けらのみずわたり)

 どんなに努力しても無理であること。また、最初は熱中していても途中でやめるたとえ。「螻蛄」は土中の虫で、長くは泳げない。

毛を謹みて貌を失う
(けをつつしみてかたちをうしなう)

 枝葉末節にこだわって、肝心な根本を忘れること。『淮南子・説林訓』にあることば。「謹む」は細かなところまで気を配ること。絵描きが毛の一筋一筋までを細かく描写しようとして、容貌の全体を描き損なうことから言う。

類語: 「木を見て森を見ず

毛を吹いて疵を求む
(けをふいてきずをもとむ)

 ことさらに人の欠点を暴いて追及する。『韓非子・大体』にある「毛を吹きて小疵しょうしを求めず、垢を洗いて知り難きを察せず」とあるのに基づく。毛を吹き分けて小さな疵を捜し求めるように、あら捜しをすること。人の弱点を指摘して、かえって自分の欠点をさらけ出すことのたとえにも使う。

同意語: 「毛を吹いて過怠かたいきずを求む」、「毛を吹いてきずを取る」、「毛をひらいてきずを求む」

牽衣頓足
(けんいとんそく)

 出征する人の衣を引き、足踏みして嘆き悲しむように、別れを惜しむさま。

犬猿の仲
(けんえんのなか)

 きわめて仲の悪いことのたとえ。

同意語: 「犬と猿」、「犬猿もただならず」
類語: 「氷炭相容れず

源遠流長
(げんえんりゅうちょう)

 大河の形容。転じて、歴史の長久なさまをたとえる。特に中国の五千年を超える長い歴史をさす。

狷介固陋
(けんかいころう)

 見解が狭く、古いことにしがみつき、片意地になること。新しいことを嫌うこと。

同意語: 「頑迷固陋

喧嘩過ぎての棒千切り
(けんかすぎてのぼうちぎり)

 時期に遅れて役に立たないことのたとえ。「棒千切り」は中央をやや細く削った太めの棒。「棒乳切り」とも書く。物を担うための棒だが、しばしば喧嘩の道具にも持ち出された。その棒も喧嘩が治まれば振り回しようがない。

同意語: 「喧嘩過ぎての向こう鉢巻」、「いさかい果てての千切り木」
類語: 「夏炉冬扇」、「六日の菖蒲あやめ十日の菊

犬牙相制
(けんがそうせい)

 国境が犬の牙のように入り組んでいて、互いに牽制しあっているさま。

懸河の弁
(けんがのべん)

 勢いよく、よどみなく話す弁舌のこと。「懸河」は高いところから流れ落ちる川。鮮やかな弁論を、滔々とうとうたる水の流れにたとえる。

同意語: 「懸河水を瀉ぐ」
類語: 「立て板に水

喧嘩両成敗
(けんかりょうせいばい)

 いかなる言い分があろうと喧嘩は双方に非があるとして、当事者のいずれをも処罰すること。とても公平な裁きとは言えないが、室町時代以降の慣習法であった。

牽強付会
(けんきょうふかい)

 自分に都合のよいように、道理に合わない理屈をこじつけること。「牽強」も「付会」も、ともにこじつけの意。

言近旨遠
(げんきんしえん)

 言葉は卑近であるが、内容は深遠である。やさしい表現で深い意味・趣旨を伝えること。

献芹の意
(けんきんのい)

 人に物を贈るときの謙遜の意、言葉。目上の人に対し、自分の意見をいうことの謙遜語。「献芹」は「つまらぬものですが、どうぞ」という意味。

堅苦卓絶
(けんくたくぜつ)

 苦しみに耐え抜く根性がある。人並み以上に抜きん出て忍耐心に富むこと。

言行は君子の枢機
(げんくはくんしのすうき)

 言葉や行動は、人として最も重んずべきものであるということ。

懸軍万里
(けんぐんばんり)

 別働隊が本隊を離れて遠く適地へ侵入すること。またその部隊をいう。「懸」は遠くの意。

喧喧囂囂
(けんけんごうごう)

 多くの人々が口々にやかましく騒ぐさま。

見賢思斉
(けんけんしせい)

 賢人を見ると自分も見習って同じように賢明になりたいものだと思う。

拳拳服膺
(けんけんふくよう)

 命令や教えを心に銘記し、謹んで守り行うこと。「拳拳」は大切に捧げ持つこと。「服膺」はよく覚えて忘れないこと。『中庸』に「かい(顔回)の人と為りや、中庸をえらび、一善を得れば、即ち拳拳服膺して、これを失わず」とあるのによる。

言行一致
(げんこういっち)

 言うことと行うことが、一致していること。

言行枢機
(げんこうすうき)

 ⇒「言行枢機

健康は富にまさる
(けんこうはとみにまさる)

 どんなに財産があっても、健康でなくては幸せな人生を送ることはできないということ。

堅甲利兵
(けんこうりへい)

 堅いよろいと営利な兵器。強い軍隊、軍事力をいう。

乾坤一擲
(けんこんいってき)

 運命をかけて、のるかそるかの勝負をすること。「乾坤」は天と地。賽を投げ、天と出るか地と出るかの大勝負をする意から言う。

同意語: 「一擲乾坤を賭す」
類語: 「一か八か

懸車の年
(けんしゃのとし)

 年老いて官職を辞すること。七十歳の別称。昔は退官の年齢が七十歳であったことによる。

賢者は中道を取る
(けんじゃはちゅうどうをとる)

 教養のある賢い人は、片寄らない中正な道を歩むもので、過激な行動をしないということ。

賢者は長い耳と短い舌を持つ
(けんじゃはながいみみとみじかいしたをもつ)

 賢い人は他人の話をよく聞くが、自分は余計なことは言わないということ。

類語: 「賢者は九聞いて一しゃべる」

賢者ひだるし伊達寒し
(けんじゃひだるしだてさむし)

 世俗に背を向けていると、とかく辛い目にあうということ。賢者は俗世と妥協しないから飢えてひもじい思いをし、伊達者は見栄を張って薄着をするから寒い思いをするの意から言う。やせ我慢は愚かしいの意でも使う。

同意語: 「遠慮ひだるし伊達寒し

堅守自盗
(けんしゅじとう)

 自分が見張り番をしていて、自分が盗む。公金などを横領・着服するたとえ。

見性成仏
(けんしょうじょうぶつ)

 自分に執着し、外物に執着する自己の心を徹底的に掘りさげ、自己の本性として見るべきものは何もないと見極めたとき、その身はそのまま仏に他ならないと悟り得られるという禅宗の根本主張。

懸針垂露
(けんしんすいろ)

 書法の基本をいう。「懸針」は縦に引く画の終筆を払って針のように尖らすこと。「垂露」は、その筆の終わりをはらわずに筆を押さえて止める筆法。

現身説法
(げんしんせっぽう)

 自分自身の姿を手本として、人に法を説く。仏が、いろいろな姿でたち現れ、人のために仏法を説くこと。

原心定罪
(げんしんていざい)

 人を処断するときは、本人の動機をよく究明し、それに基づいて罪刑を決定するということ。

源清流清
(げんせいりゅうせい)

 根本が正しければ結果も良い。川の流れは、水源が清く澄んでいれば、自然に流れも清らかであるということ。

現世利益
(げんぜりやく)

 この世に生きている間の利益。仏・菩薩の恵みを指す。大乗経典に強く説かれ、これを祈願するのを現世祈祷といって、密教ではいろいろな修法を行う。

健全なる精神は健全なる身体に宿る
(けんぜんなるせいしんはけんぜんなるしんたいにやどる)

 身体が健康であれば、おのずから精神も健全であるということ。ローマの詩人ユウェナリスの『風刺詩集』にある「健全な身体に健全な精神が宿るように祈ろう」に基づく。“A sound mind in a sound body.”

還俗復飾
(げんぞくふくしょく)

 僧尼が俗人に戻ること。「還俗」は出家の対語。「復飾」は落飾の反対。

硯池法船
(けんちほうせん)

 仏教の経文を写すこと。写経。「硯池」はすずりのくぼんだ部分、墨池のこと。「法船」は苦しい現世を海にたとえ、それを渡る船に仏法をたとえた言葉。この両者を併せ、精進して来世を願い、経文を静かに写すことをいう。

堅貞不屈
(けんていふくつ)

 堅く貞節を守って屈服しない。女性の節操が堅く、誘惑やおどしにも屈しないたとえ。

言伝身教
(げんでんしんきょう)

 言葉でわかりやすく説明し、身をもって教える。丁寧に人を導くこと。

懸頭刺股
(けんとうしこ)

 非常に努力すること、苦学のたとえ。勉強していて眠くなると、自分の頭を綱にかけて引っ張ったり、股を錐で刺して目を覚ましたりして頑張ること。

捲土重来
(けんどちょうらい)

 一度は敗れて引き下がった者が、勢力を盛り返して再びやって来ること。「捲土」は砂ぼこりを巻き上げるの意で、「巻土」とも書く。「重来」は「じゅうらい」とも読む。

犬兎の争い
(けんとのあらそい)

 無益な争いをするうちに、第三者に利益をさらわれることのたとえ。俊足の犬がはしっこい兎を追い続けたが、やがてどちらも力尽きて倒れてしまった。そこで通りかかった農夫は、労することなく獲物を手に入れることができたという、『戦国策・斉策』の寓話に基づく。

類語: 「漁夫の利」、「鷸蚌の争い

見兔放犬
(けんとほうけん)

 狩りをする時、兔を見つけてから犬を放って追わせても間に合う。転じて、失敗してから改めても決して遅すぎないということのたとえ。

堅如磐石
(けんにょばんじゃく)

 堅きこと磐石のごとし。どっしりとした岩のように揺るぎない、不動のたとえ。

堅忍不抜
(けんにんふばつ)

 意志が堅く、つらいことでもじっと耐え忍んで心を動かさないこと。

堅白異同
(けんぱくいどう)

 白馬は馬でなく、さぎを烏といいくるめるように詭弁・こじつけの議論のたとえ。

同意語: 「堅白同異の弁

堅白同異の弁
(けんぱくどういのべん)

 こじつけの論理。詭弁のこと。堅くて白い石は、目で見たときには白いことは分かるが堅いことは分からない。手で触れたときには堅いことは分かるが白いことは分からない。だから、堅いことは白いことと同時には成立しないという論法。

同意語: 「堅白異同
類語: 「白馬は馬に非ず

剣抜弩張
(けんばつどちょう)

 一触即発の状態。また、勝負に出る前の激しい気持ちの形容。「弩」は機械じかけで射る強い弓。

犬馬の年
(けんばのとし)

 自分の年齢を卑下して言う言葉。なすこともなく、いたずらに齢を重ねること。犬や馬のようにこれといった働きもなく、この年になりましたという謙遜語。

犬馬の養
(けんばのよう)

 親をただ養うだけで、敬老の心が欠けている孝養。父母に対し、犬や馬を飼うようにただ食べさせるだけで敬愛の気持ち、思いやりのないさまをいう。

同意語: 「犬馬の養い」

犬馬の労
(けんばのろう)

 主君や他人のために尽くす苦労のこと。主人や他人のために力を尽くして奔走することを、犬や馬程度の働きと謙遜していう語。

見微知著
(けんびちちょ)

 芽生えを見て、全体の姿をつかむ。ちょっとした手掛かり、ヒントから全体の方向や本質を見抜くこと。

見風使舵
(けんぷうしだ)

 風向きを見ながら舵を取る。情勢をうかがって態度を決めるやり方。日和見主義。

源平藤橘
(げんぺいとうきつ)

 奈良時代以来、その一門が繁栄して名高かった四姓氏。源氏・平氏・藤原氏・橘氏の称。現代では、四氏のうち橘の系統は少ない。

権謀術数
(けんぼうじゅっすう)

 種々の計略をめぐらすこと。人をあざむくためのはかりごと。たくらみ。

見縫挿針
(けんほうそうしん)

 すき間を見たら針をさす。ほんの少しの時間、空間を無駄にしないことのたとえ。

顕密諸宗
(けんみつしょしゅう)

 顕教と密教の一切の仏教・宗旨をいう。顕教はあらわな教え、密教は秘密の教義。真言宗では仏教全体をこの二つに分け、自宗を密教とし、他の諸宗派を全部顕教とする。

見毛相馬
(けんもうそうば)

 外見だけで良否を決めること。転じて、表面だけ見て判断するのは間違いが多いというたとえ。

見利忘義
(けんりぼうぎ)

 ⇒「利を見て義を忘れる