六日の菖蒲十日の菊
(むいかのあやめとおかのきく)

 時機に遅れて役に立たないこと。五月五日の端牛の節句に用いる菖蒲あやめは六日では間に合わないし、九月九日の重陽ちょうようの節句に用いる菊は十日ではもう遅い。

同意語: 「十日の菊」、「六菖十菊ろくしょうじっきく
類語: 「夏炉冬扇」、「喧嘩過ぎての棒千切り」、「後の祭り」、「証文の出し遅れ

無為徒食
(むいとしょく)

 何もしないでただぶらぶらとして日を過ごすこと。働くこともせずに暮らすこと。

無為無策
(むいむさく)

 何の対処・処置もないまま、ただ手をこまねいて見ていること。なにもしないこと。

昔千里も今一里
(むかしせんりもいまいちり)

 俊英しゅんえいも年をとれば凡人に劣るということ。かつては千里を走ることのできた駿馬しゅんめだが、今は一里しか行くことができないことから言う。

類語: 「麒麟きりんも老いては駑馬どばに劣る」

昔とった杵柄
(むかしとったきねづか)

 以前に鍛えた自慢の腕前。「杵柄きねづか」は杵のえ。若いころに身につけた米をつく技量は、年をとっても衰えることがないの意で言う。

昔の剣今は菜刀
(むかしのつるぎいまはながたな)

 時世に合わなくなったものは重んじられないということ。また、優れた人も年を取ると役に立たなくなるということ。昔は剣として使った刀も、使い古した今は菜切り包丁にしか使えないの意から言う。

同意語: 「昔の長刀なぎなた今の菜刀ながたな

無我夢中
(むがむちゅう)

 物事に熱中して自分を忘れること。あることに心を奪われて夢中になり、他のことを一切気にかけないこと。

無芸大食
(むげいたいしょく)

 才能・特技などが何もなく、ただ大食をすること。そういう人。

夢幻泡影
(むげんほうよう)

 人生は夢や幻、泡や影のようにはかないものであるということ。

婿取り天上なし
(むことりてんじょうなし)

 娘婿の家柄は、どんなに高くても高すぎることはないということ。婿の家格が高ければ、婿を迎えた家の格も上がる。

類語: 「婿は座敷から貰え嫁は庭から貰え」

虫がいい
(むしがいい)

 自分勝手でずうずうしい。

虫が知らせる
(むしがしらせる)

 予感がする。

類語: 「炊臼の夢

虫が好かない
(むしがすかない)

 何となく気に食わない。

虫が付く
(むしがつく)

 娘に男ができる。

矛盾
(むじゅん)

 つじつまの合わないこと。昔、の国に「このほこはどんなたてでも突き破ることができ、この盾はどんな矛でも防ぐことができる」と自慢しながら矛と盾を売る者があった。そこで客が「お前の矛でお前の盾を突いたらどうなるのかね」と聞いたところ、売り手は返答に窮したという故事に基づく。『韓非子・難一』に見える。

同意語: 「自家撞着

矛盾撞着
(むじゅんどうちゃく)

 物事の前後がくい違い、うまくつじつまが合わないこと。

同意語: 「自家撞着

無常迅速
(むじょうじんそく)

 万物が転変してやまないこと。人の世の移り変わりの非常に速いこと。

無常の風は時を選ばず
(むじょうのかぜはときをえらばず)

 人の死はいつ訪れるとも分からないということ。無常の世に万物は生滅し、絶えず変化して定まることがない。風に花が散るように、人の命もはかなく尽きる。

同意語: 「無常の風」

虫を殺す
(むしをころす)

 怒りを抑えて我慢する。

娘三人あれば身代が潰れる
(むすめさんにんあればしんだいがつぶれる)

 娘が三人いると、その嫁入り支度のために財産がなくなってしまうということ。

同意語: 「女三人あれば身代が潰れる」、「娘三人持てば身代潰す」
類語: 「女の子三人あれば囲炉裏の灰もなくなる」、「娘出世に親貧乏」、「娘多きは貧乏神の宿」

娘に甘いは親父の習い
(むすめにあまいはおやじのならい)

 父親はとかく娘を溺愛できあいするものだということ。

無知蒙昧
(むちもうまい)

 知識・知恵がなく、物事の道理がわからないこと。

棟折れて垂木崩る
(むねおれてたるきくずる)

 上に立つ者がだめになると、その部下もそろって落ちぶれるたとえ。「棟」は屋根の一番高い所に渡してある木。「垂木」は棟木から軒まで渡してある屋根板を支えている木。

胸が裂ける
(むねがさける)

 強く悲哀を感じる。

胸がすく
(むねがすく)

 わだかまりがなくなる。

胸が潰れる
(むねがつぶれる)

 ひどくびっくりする。

胸が塞がる
(むねがふさがる)

 憂鬱になる。

胸に一物
(むねにいちもつ)

 心中にある企みを持つこと。

同意語: 「腹に一物

胸に迫る
(むねにせまる)

 強く感動する。

胸に畳む
(むねにたたむ)

 心に秘めておく。

胸を躍らせる
(むねをおどらせる)

 心がうきうきする。

胸を撫で下ろす
(むねをなでおろす)

 ほっとする。

無念無想
(むねんむそう)

 無我の境地に入り、何も考えていないこと。

無病息災
(むびょうそくさい)

 病気がなく健康であること。達者、元気でいること。

無味乾燥
(むみかんそう)

 味わいや面白みがないこと。味もそっけもないこと。

無明長夜
(むみょうちょうや)

 無明にとらわれて、真理に目覚めがたいことを、長い夜にたとえた語。

無用の長物
(むようのちょうぶつ)

 あっても役に立たず、かえって邪魔になるもののたとえ。「長物」は長すぎて場所をとるばかりで用をなさないものの意。

無用の用
(むようのよう)

 役に立たないように見えるものが、かえって大きな役割を果たしているということ。『荘子・人間世』に「人は皆有用の用を知りて無用の用を知ることきなり」とあるのによる。人は明らかに役に立つものの意義は知っているが、一見無用のものが人生にとって真に意味あることだとは知らない、と荘子は言っている。

無欲恬淡
(むよくてんたん)

 欲がなく、あっさりとしていて物にこだわらないこと。

無理往生
(むりおうじょう)

 無理矢理に従わせること。強制的に承知・服従させてしまうこと。

無理が通れば道理が引っ込む
(むりがとおればどうりがひっこむ)

 理に反する不正が世に通用するようになると、道理にかなった正義は行われなくなる。江戸系いろはがるたの一つ。

同意語: 「無理も通れば道理となる」
類語: 「権力が主人になれば、正義は召し使いに成り下がる」

無理難題
(むりなんだい)

 道理に合わないいいがかり。できないことがわかっている問題や、とうてい承服できない条件。

無理無体
(むりむたい)

 道理にかなっていないことを無理矢理に押し通すこと。