ある男が洗濯機を買って店員に言った。
「この洗濯機は女房の誕生日の贈り物にするのさ」
「そうですか。それはびっくりされることでしょうね」
と店員が言った。
「うん、そう思うよ。
女房は宝石時計を期待しているんだからね」
今日はスミス氏の誕生日だった。
スミス夫人が帰宅したスミス氏をむかえて言った。
「あなたの誕生日のために、びっくりするようなすてきなものを買ったの。
今、届いたところよ」
「何だろう、見たいな」
「ちょっと待ってて。今着てみるから」
妻はいつも何かに文句を言っている。
家事が大変だと文句を言うから電子レンジと、電動皿洗い機と、
電気洗濯機を買ってやったら、今度は物が増え過ぎて、
自分の座る場所もないとボヤいている。
いったいどうすれば満足するんだろう。
電気椅子でも買ってやろうか。
カトリックの総本山ヴァチカンの図書室には、色々珍しい本が展覧されている。
その中に、二冊のバイブルが並べて置いてある。
一冊は厚さが六十センチもある大冊で、
もう一冊は、タテ、ヨコ三センチ足らずの豆本である。
見学者たちをこの二冊の本のところに案内して来ると、ガイドはこう説明する。
「こちらの大冊の方には、イブがアダムに言ったことがすべて記録されています。
そして、この豆本の方は、アダムがイブに言ったことが全部入っています……」
スーザンとボブが夫婦喧嘩をした。
スーザンが金切り声でまくしたてた。
「ああ、あなたなんかと結婚して、私はなんてバカな女だったんでしょう」
「そうだろうとも」と夫が言った。
「俺はよっぽど眼がくらんでいたに違いない。
それにちっとも気がつかなかったんだからな」
ジェーンがディックに言った。
「あなたは以前に、
この私こそあなたの世界のすべてだっておっしゃいましたわ」
ディックが言った。
「ああ。
でも、あれからずいぶん地理を勉強したからね」
書店で客が尋ねた。
「”男が女を支配する”という本はどこにあるかね」
「幻想コーナーは左側です」
と店員が答えた。
ジョンがチャーリーに言った。
「ぼくたち夫婦は、何に関しても意見が合うんだ」
チャーリーが答えた。
「きみが自分の意見を持ってないとは情けないね」
「男が言ったことを全部信じてしまう女もいるよ」
ブラウン氏が言った。
「ああ」とスミス氏は答えた。
「シャーロットと結婚する前、ぼくは彼女に、
一生彼女の奴隷となるって言ったんだが、彼女は信じやすい性質でね、
いまだに絶対疑おうとしないんだ」
パーティーでシャロンとペギーが出会った。
「ご主人、新しいスーツを着てらっしゃったわね」
「いいえ、そんなことありませんわ」
「でも何かいつもと違っていましてよ」
「あら、あれ、新しい主人ですの」
女房は病気、亭主が朝飯の支度をしている。
「おーい、紅茶のティーバッグが見つからないんだ」
亭主が台所から寝ている女房に叫んだ。
「あなたの眼は節穴なの」と女房の声。
「すぐ前の棚の上にあるじゃない。
”米”って書いたコーヒーのカンの中よ」
「じゃあ、何人もの男にプロポーズされたと言うんだな」
スミス氏は怒り狂ってスミス夫人を問いつめた。
「そうよ、何人もよ」と彼女は答えた。
「それなら、最初にプロポーズしたうすのろと結婚して欲しかったよ」
「したわよ」
まもなく結婚する男のところに友人が来て握手して言った。
「おめでとう、友よ。
今日こそはきみの生涯の最も幸せな日だね」
「でも、結婚式は明日だぜ」と未来の花婿が言った。
「知ってるよ」と友人が答えた。
「だから今日が一番幸せな日なのさ」
賃上げ交渉に来た若者に、ボスがこう言った。
「シルベスター君。
今のサラリーじゃ結婚して奥さんを養っていけないことぐらいは、
そりゃあ私も十分承知しているさ。
しかし、いつかそのことで私に感謝する日が来るだろうと確信しているんだ」
「あなた婚約したんですって?」
若い女秘書のジェーンが同僚のマギーに羨ましげに尋ねた。
「ねえ、どうして婚約できたのか教えてくださらない?」
「パーティーで彼と会ったの。
でも、頭が痛くて何にも話すことが思い付かなかったからずっと黙っていたの」
「でも、黙っていて、どうして?」
「彼が、きみは喋るのが嫌いなのって聞いたのよ。
面倒だから、そうですって答えたら、即座に結婚してください、ですって」
オールドミスのジェーンが、若いペギーに言った。
「私は若い頃を思い出すだけでも腹が立つわ」
「何があったんですか」
「何もなかったのよ」
エロイーズがしみじみとヴィヴィアンに言った。
「私、昨日、一人で本を読みながらそれは静かな夜を過ごしたわ」
「私にもいつかそんな夜がやってきそうで心配だわ」
キャロルが友達のうわさ話。
「起きぬけの彼女の顔ときたらそれはもうメチャクチャ。
あるとき、ゴミ回収車の後を追って行って『もう遅いかしら』って言ったら、
『まだ間にあう。早く飛び込め』って言われたそうよ」
スコットランドの法廷だった。
「あなたは、ケーブルカーの中で
被告と乗り合わせただけだとおっしゃいましたね。
それなのに、あなたは被告が酒に酔って
博打をしていたとおっしゃるんですな?」
と被告側の弁護士が証人を睨んで言った。
「そうです」と証人は答えた。
「あなたは被告が酒を飲んでいるところを見ましたか?」
「いいえ」
「博打をしているところを見ましたか?」
「いいえ」
「それでは、あなたはどうして、
被告が酒に酔って博打をしていたなどとわかるのですか?」
弁護士は勝ち誇って言った。
「そりゃこういうことです」と証人は言った。
「あの男は、車掌が来るとポケットから百ドルのポーカーの掛け札を出して、
取っときな、釣りはいらねえよ、
と言ったんです」
新聞に投書が来た。
「スコットランド人を馬鹿にしたジョークをこれ以上載せるなら、
私は貴紙を借りて読むのをやめることにする」
スコットランド人のしみったれぶりは世界中に有名である。
それをからかったジョークはたくさんあるが、
彼らは別にそれに腹を立てている様子はなく、それどころか、
スコットランド人は、自分たちについてのジョークに
笑うことの出来る雅量を持つ民族である。
今朝も、電車の中で見かけたのだが、スコットランド人が、
新聞に出ているスコットランド・ジョークを、
乗客の肩越しに読んで笑っていた。
「暗い顔してどうしたんだ?」
と隣人が、旅行ガイドのマクファースンに尋ねた。
「ほら、今年の夏、金持ちのアメリカ人夫婦を案内して、
たくさんチップを貰ったって話をしたの、覚えてるだろう?」
とマクファースンは言った。
「あのアメリカ人夫婦がクリスマス・プレゼントを送って来たんだ」
「結構な話じゃないか。
何が入ってたんだ?」
「中に二十ドル入った立派な革の財布さ」
「で、何が不満なんだい?」
「郵便の料金不足で、五セント払わされたんだ。
アメリカ人てのは不注意でほんとに困るよ」
当ホテルは、風光明媚なフロリダ海岸にあり、
その平和な静けさは、都会の雑踏から逃れて来る人々にとって
まさに理想郷というべき環境であります。
(なお、念のため、予約はお早めにお願いいたします。
千室の豪華な客室がありますが、
シーズン中は予約で一杯になりますので)
一万ドルの
前を行く軽自動車に追いつくと、そのガタピシの車の運転手を
ちょっとからかってみたいという誘惑にかられた。
「やあ、こんちは」
と都会の男は言った。
「あんたの車が立てているそのすごい音は何だい?」
軽自動車の運転手は、高級車をジロリと眺めて言った。
「この音かね?」
と運転手は言った。
「わしのポケットの八千ドルが鳴っとる倹約の音だよ」
「いいですか、ルウ、今夜のディナーには、
おまえにテーブルの方についてもらいますよ」
とおかみは言った。
「こぼしたりしないようにね」
「奥様、ご心配なさいますな」
とルウは言った。
「あたしは他人にここの待遇のことなんか決して言いませんから」
百姓のジェンキンスが、農業だけでは食って行けなくて、
夏は民宿をやって、町からの避暑客を泊めることにした。
広告を見てやってきた客はデニスだった。
民宿のおかみさんは、デニスをコテージに案内した。
三日目にデニスは、民宿の息子のウイリーに言った。
「坊や、表に放し飼いにしている豚がね、ボクのことを気に入ったらしいんだ」
とデニスは言った。
「やたら、ボクのコテージに入りたがるのさ」
「違うよ、そんなんじゃないんだ」
とウイリーは小さな声で言った。
「言っちゃダメだって、父ちゃんに言われてるんだけど、
あんたがいる小屋は冬はあいつの家なんだから」
列車の個室におさまって、ベンチリー氏はポーターに尋ねた。
「ちょっと教えてくれ。
この列車の乗客のチップの平均額は、どのくらいかね」
「一ドルでごぜェます、旦那」
ポーターが答えた。
氏はそこで、一ドルをチップとして与えた。
するとポーターは大感激、大喜びをした。
「旦那、ありがとうごぜェやす」
彼は言った。
「あっしがこの列車の仕事をするようになってから、
平均に達したのは旦那が初めてでごぜェやすよ」
シカゴの高級レストランだった。
目の玉の飛び出るほど料金の高いことでも有名だったが、
あるとき、金持ちだがケチんぼの男がそこで食事をしていた。
ウエイターが、シシカバブを手際よく調理した。
「あの肉はいったいなんだね?」
とケチんぼ男が尋ねた。
隣に座っていた妻のヘレンが説明した。
「十ドルしかチップを出さなかった客ですわ」
ニューヨークから東京にやってきた観光客が、レストランで朝食を食べた。
「コーヒー一杯、三ドル二十セント、トマトジュース一杯、四ドル、
ドーナツ一個、二ドル、計九ドル二十セント!」
とレジで払いながら、アメリカ人は言った。
「ニューヨークじゃ、強盗はストッキングでマスクをしているけど、
東京じゃちゃんと足にはいている!」
「このホテルの最上階にある大食堂に
名前がついているワケを知ってるかい?」
と泊り客のジェイクが知り合いに尋ねた。
「さあ、虹でも見えるんじゃないのかい?」
「ちがうんだ」
とジェイクは言った。
「勘定書きをもらうと客の顔が七色に変わるんだよ」
二人の男がレストランで食事中に政治の話を始め、そのうちに大声をあげ、
やがてあわや殴り合というところまでいってしまった。
店主が慌ててとんで来て、客をたしなめた。
「おふたかた、政治の話はやめて、どうかお食事に専念してください」
「くだらん!」
と興奮している男が怒鳴った。
「そうだ、くだらん!」
ともう一人も言った。
「食うことだけ考えている男など、家畜と変わらんじゃないか。
ちがうかね?」
「ちがいますとも」
と店主は言った。
「家畜は金を払いません、はい」
高級レストランだった。
二人のいかにもやり手らしいビジネスマンが食事をしながら議論をしていた。
議論は白熱した。
とうとうコインを投げ、裏表の賭けで決着をつけることにした。
二人はポケットを探ったが、あいにく両方とも硬貨の持ち合わせがなかった。
一人が、ウエイターを呼んだ。
「すまんが、白黒をつけるんでコインがいるんだ。
十セント玉を貸してくれんかね」
ウエイターは十セント硬貨を渡した。
硬貨を投げて決着がつくと、二人はコインを借りたことを忘れてしまった。
それから大分経って、二人は食事を終え、勘定を頼んだ。
勘定書きの第一番目の項目を見て二人は少なからず驚いた。
「十セント硬貨お貸し料十五セント」
「ウエイター君、いま気がついたんだが」
と食事をおえた紳士が言った。
「私の財布には、ここの勘定をちょうど払うだけの金しか入っとらん。
きみにあげるチップを持ち合わせとらんのだ」
「わかりました、旦那」
とウエイターは言った。
「もう一度、勘定の計算をやり直してきます」
大きなスーツケースを抱えた金持ちのマクファースンが汽車に乗った。
車掌が検札に来ると、マクファースンは切符を持っておらず、
しかも何だかんだと言って、五ドルの料金を半額に値切ろうとした。
すっかり腹を立てた車掌は、川の上を汽車が通過したときに、
マクファースンの大きなスーツケースを窓から川に放り込んだ。
「おい、なにするんだ!」
とマクファースンは叫んだ。
「この鉄道は、俺に法外な料金を請求するだけじゃ足りず、
俺の息子を川で溺れさせるのか?」
ユダヤ商人のファインスタインが、商用でハンガリーのブダペストまで旅行した。
無事に長途の汽車の旅から帰宅した彼は、細君にお茶を入れさせ、
細君の手作りのケーキを食べながら、旅中の出来事を話して聞かせた。
「ブダペストからの帰り道で、ちょっと気分の悪いことがあったな」
と彼は細君に言った。
「わしの横を通った車掌のやつが、わしを変な顔で見るんだ」
「変な顔? どういうことですの?」
と細君は尋ねた。
「つまり、いかにもわしが切符を持ってないみたいにわしをじろじろ見るんだ」
「で、あなたはどうなさったの?」
「わしか?
もちろん、ちゃんと切符を持ってるみたいな顔で
思いきり車掌をにらみ返してやったよ」
ホジキン老人は、最近発売された外からは見えない補聴器を買った。
いままで使っていた不細工なやつより使い勝手が二倍よくなければ、
料金を返すという約束だった。
二日後、ホジキン老人は店にやってきて、
新しい補聴器がことのほか気に入っていると打ち明けた。
「家族のみなさんも、こっちのほうがいいと言っとられるでしょうな?」
と店の主人が尋ねた。
「いや、家の者には、この補聴器のことは言うとらんのじゃ」
と老人は言った。
「そのおかげで、わしはじつに愉快を味わっとる!
この二日間に、あんた、わしは遺言を三回も書き替えたんじゃ!」
ジェンキンス爺さんの耳が遠くなり、医者は補聴器をすすめた。
しかし、補聴器の値段を聞いてぶったまげた爺さんは、
ラジオのイヤホンを片方の耳にさし、その先をネクタイの裏に止めることにした。
友人が言った。
「ジェンキンス爺さん、そんなことして何の役に立つんだい?
イヤホンは何にもつながってないんだろう?」
「そりゃ、あんた、この効き目は大したもんだぞ」
と爺さんは言った。
「これをつけてからというもの、みんなわしに話しかけるときは、
ずっとでかい声を出すようになったもんな」
デニスが嬉しそうな顔をしているのを見て友人のゲーリーがわけを尋ねた。
「昨日、いいことを三つしたんだ」
とデニスは言った。
「教会のそばを通ったら、
赤ん坊を抱えた女がサメザメと泣いているのに出会ったんだ。
聞いてみると、赤ん坊が洗礼を受けないうちに死んでしまいそうだというんだな。
じゃ、なぜ洗礼を受けさせないんだというと、
貧乏で費用の一ドルが払えないってんだ。
それを聞いちまった以上は仕方がない。
十ドル渡して、これで洗礼を受けておいで、釣りをくれればいいから、
って言ってやったんだ。
女は戻って来て釣りをくれたんだ」
「それじゃ、いいことは一つだけじゃないか?」
とゲーリーは言った。
「いや、三つだ」
とデニスは言った。
「考えてもみろ、俺は女の哀しみを救ってやった。
次に、赤ん坊が地獄に堕ちるのを救った。
これで二つだ。
最後に、俺は、この一年間、
どうしようもなくて持ち歩いていたニセの十ドルをやっと始末できたんだ」
エリックが不機嫌な顔で会社から帰って来た。
「この頃の世の中の悪さはどうだ。
今日、釣銭をもらって後で調べてみたら、ニセ札が混じっているじゃないか」
と彼は妻に言った。
「会社の近くの酒場のバーテンがひどい近眼だってことを俺が知らなかったら、
どうにもできんとこだったよ」
ジョンがアパートの隣の部屋の女におずおずと言った。
「あの、お宅で最近お買いになったステレオの音は、
ぼくの部屋にあるみたいによく聞こえるんですが……」
隣の女はピシャリと答えた。
「あら、そうなの。ちっとも知らなかったわ。
だったら、ローンの半分はあんたが払ったらどうかしら」
たくましい四人の男が二階に上がって行くのを見ながら、デビーは夫に言った。
「あの人たち、ピアノを取りに来たのよ」
「でも、そりゃおかしいな」
と夫は言った。
「今月の月賦のお金はとうにきみに渡したはずだよ」
「知ってるわ」
とデビーは言った。
「あの人たちがピアノを階下に降ろしたときに払うの。
あたし、ピアノは
「いま何時だと思ってるんだ! 夜中の二時だぞ」
と、叩き起こされた薬屋の親父がボヤいた。
「しかも、五十セントの胸やけの薬をくれだなんて。
胸やけなんざ、
「ああ、そうですか」
とマクリーは言った。
「いいこと教えてくれてありがとう。
じゃあもう結構です。さいなら」
八十歳の年寄りが健康診断を受けたが、まったく健康体だった。
医者が、どうしてそんなに健康でいられるのかと聞いた。
「わしは、五十年前に結婚したんだが」
と爺さんは言った。
「そのときわしはカミさんと約束したんじゃよ。
わしが短気を起こしたら彼女は沈黙を守る、
彼女がカッときたときはわしは散歩に出るとね。
以来毎日、わしは森の中を歩きまわっているんだが、
それが健康によかったんだね」
八十歳になる老人が、二十三歳になる娘と結婚すると言い出した。
家族は非常に驚いて、なんとか思いとどまらせようと、
教会の若い神父のところに相談に行った。
しかし老人は、神父の説得にも耳を貸そうとしなかった。
そこで神父はある提案をした。
若い下宿人を置いたらどうかと、神父はこう考えたのだ。
八十歳の老人に、二十三歳の娘を満足させるのはまず無理であろう。
だから、若い下宿人を置けば、
老人の若い妻もなぐさめられるであろうし、
いらいらして老人につらくあたることもなく、
優しく老人をいたわってくれるであろう。
聖職にたずさわる者としては、ずいぶん大胆な提案をしたものだが、
しかし、意外にも老人は、素直にその提案を受け入れた。
「家族のものたちは気に入らんじゃろうが、だからどうだっていうんじゃ。
わしが納得していれば、それでよいじゃろう」
神父はほっとして、夏の休暇に出かけた。
二ヶ月ほどして、神父はこの新婚夫婦の様子を見に彼らの家を訪ねた。
老人は、前よりいっそう若々しいつやつやとした顔をして神父を迎えた。
そして、老人は神父に感謝して言った。
「あんたの提案通りにやってよかったよ。
おかげで妻はいま妊娠中だ」
「そうですか。
下宿人は元気にやっていますか?」
にこにこして老人が答えた。
「いや、まったく元気じゃよ。
彼女も、いま、妊娠中じゃがね」
「我々は、この若い女性たちに
正しいことと悪いことの区別を教えなければなりませんな」
と新入社員担当の人事課長が部長に言った。
「よしわかった。
じゃ、おまえは正しいことの方を受け持ってくれ」
部長が答えた。
新婚旅行の二人連れが、ホテルの勘定書を見てびっくりして言った。
「この勘定書はいったいどうなってるんだ。
食事代に百ドルだって?
知ってるだろ、ぼくたちは新婚旅行で、一度も食堂には行かなかったんだぜ。
ホテルで食事したことはなかったんだ」
フロントが答えた。
「わたくしどもではヨーロッパ式にやっておりますんで。
何につけてあなたさまがお使いになろうがなるまいが、
いつもその分の用意はしているというわけでございます。
ですからこの勘定書はわたくしどもの間違いではございません」
夫はちょっと考えてから言った。
「なるほど、それじゃぼくらは五分五分だな。
きみのほうでは、ぼくの女房と愛をかわしたということで、
ぼくに百ドル借りがあるわけだからな」
フロントの係はびっくりして叫んだ。
「わたしは奥さまには、指一本触れておりません」
夫が答えた。
「そうかもしれない。
でも、ぼくは毎晩用意をしておいたわけだから、
きみがそれを使わなかったからといって、ぼくのあやまちではないね」
イタリア人の男が血相を変えて警察にやってきた。
彼は、係の警官に、
あるトラックの運転手を暴行殴打の罪で告訴したいと申し出た。
「いったいどうしたんだね」
面倒くさそうに警官が尋ねた。
「俺が電話ボックスに入っていたら、
あの野郎が来て電話を使わせろって言うじゃねえか。
もう少し待てって言ったら、
あん畜生、待てねェって言いやがって、
いきなり俺を引きずり出しやがった」
「なるほど、そりゃひどい。
あんたが怒るのも無理はないな」
と警官が言った。
「まったくひでえ野郎だ。
そのうえやつは、俺のガールフレンドに
パンティーをはく時間もくれなかったんだ」
あちらの方のことでは絶対に負けないと常々自慢していた男が友人と賭けをした。
彼は一時間に二十人の女とやってみせると豪語したのだ。
次の日の夜、二十人の商売女が呼び集められ、賭けが始まった。
ところが、あんなに自信ありげだった男が、
十二人終わったところで、完全にダウンしてしまった。
友人たちが駆け寄って助け起こすと、男は息も絶え絶えに言った。
「おかしいな……。
さっき、練習では、ちゃんとうまくいったんだけど……」
風采のあがらないイタリア人の男がどうしてあんなに女にもてるのか
不思議でならなかった。
とびきりの美人で、グラマーな女の子が
次から次へとそのイタリア人に陥落するからだ。
「さっぱりわけがわからん。
いったいあの男のどこがいいんだろう」
フィッツジェラルドはバーテンに聞いてみた。
「まったく、私にもさっぱりわからないんです。
ハンサムでもないし、趣味も田舎っぽいし、
ただあいつの特技といえば、
自分の眉を舌でペロペロなめているだけなんですからね」
フランス人の男とホモのイタリア人が森で狩をしていた。
そこへ突然、すばらしくグラマーな女が素裸で飛び出してきた。
それを見たフランス人が舌なめずりをして言った。
「すばらしい! 食べてしまいたい」
そこでイタリア人はただちに女を撃ち殺した。
三人のイタリア人の男が、飛行機事故で大怪我をして、
モロッコの病院に収容された。
入院して数ヶ月が経ち、
かなり快復した三人が窓から外を眺めていると、
まるまる太った羊が草を
「あの羊がソフィア・ローレンだったらいいんだがなあ」
一人が言った。
「俺はあれが、ジーナ・ロロブリジーダだったらなあと思うよ」
もう一人が言った。
すると三人目がぼそっとつぶやいた。
「俺はただ、今、外が真っ暗で誰も見ていなければいいと思うよ」
ジョンがジャックに言った。
「この間、六人の妊婦をフォルクスワーゲンに詰め込んだ男がいるよ」
「そんなの、なんでもないよ。
俺は六人の女をフォルクスワーゲンの中で妊娠させたよ」
フレッドがジミーに言った。
「ゆうべ、一人の女性が暴漢に襲われるのを救ったよ。
かろうじて自制心を働かせたんだけど苦しかったな」
ある男がバーで飲んでいると、男が火を貸してくれと寄ってきた。
「俺は吸わないんだけど、マッチは持ってると思うよ。
ちょっと待ってくれ」
そう言うとポケットのものをカウンターに並べ始めた。
驚いたことに男のポケットの中からアスピリン六箱と咳止め四箱が出てきた。
「いったいどうしたんだ。
風邪でもひいているのかい?」
「そうじゃないんだ。
薬屋に行くといつも女店員が出てきちまうんだ」
アイルランド人が泥酔して往来を歩いていて逮捕された。
公共の場所で酔っ払うのは犯罪である。
「きみはどこでウイスキーを買ったのかね?」
と判事が尋問した。
「判事さん、買ったんじゃござんせん」
とアイルランド人は言った。
「スコットランド人の友達がくれたんで、ハイ」
「偽証罪で三十日」
と判事は言った。
スコットランド人のマクファースンとユダヤ人のコーエンが、
泥酔の罪で判事の前に連れてこられた。
二人とも無罪を主張した。
「では、なぜこの二人が酔っ払っておるとわかったのだね?」
と判事は連行してきた警官に尋ねた。
「証拠は?」
「マクファースンの奴は、ポケットの金をコーエンに投げつけとりました」
と警官は言った。
「なるほど、なるほど」
と判事はうなずいた。
「で、もう一人のほうは?」
「コーエンはその金をつかんで、マクファースンに投げ返しとりました」