ファミコンゲーム「カラテカ」の攻略です。読み物風になってますが、読めば攻略法も大体わかるようになってます。多分。
よお、みんな元気か? あぁん? そんな元気がなくてどうするんだコラァ!! よし、俺と一緒に空手やろうぜ。……違う! 返事は押忍だぁ!! だめだだめだ、声が小さぁ〜い!! ……よぉ〜し、まずまずだな。ではまず正拳突きからァ!! ふんっ! ふんっ! ふんっ!
ふぅ〜、良い汗かいたぜ。どうだ? 無心に拳を振るっていると嫌なことも忘れてしまうだろう? ん? 俺にも何か嫌なことがあったのかって? あっはっは、それがさぁ、恋人が攫われちゃってさぁ。……しまったぁ!! 忘れてたぁ!! やべえ、早く助けに行かねえとあんなことやこんなことや、ええっ!? そんなことまでぇ!? ってなことをされてたらどうすんだ馬鹿野郎!! 畜生、間に合わなかったらおまえの所為だぞ!! 待ってろよマリコぉー。
おっと、自己紹介がまだだったな。俺は空手家だ。得意技は上段、中段、下段のパンチとキックだ。何? 別に特別な技でも何でもねえじゃねえかって? 馬鹿野郎! 俺はな、見かけだけのチャラチャラした技が嫌いなんだよ。硬派な空手家なんだぜ。その所為かな、みんなにはカラテカってカタカナで呼ばれてるぜ。まぁ渾名って奴さ。俺の本名は……あれ? なんだっけな。ええと……いや待てよ。そういえば俺、親にも名前で呼ばれたことないな。物心付いたときからずっとカラテカって呼ばれてたような……。ま、まさか、カラテカって本名だったのか!? そんな馬鹿な、どこの世界にカラテカなんて名前の人間がいるんだコラァ!! ちょっと待て、今思い出すから。ええとええと…………はっ! こんなことしてる場合じゃねえ!! マリコを助けに行かねば!! とりあえず俺のことはカラテカでいいが、決して本名じゃねえ,勘違いすんなよ!!
マリコを攫った憎いあん畜生は元々無人島だった小島にいる。何故奴がマリコを攫ったのかはよくわからない。なんだか、「俺の方が強いから俺に惚れろ」みたいなことを言っていたらしいが、俺はマリコにそんな奴は放っておけと言っておいた。しかし、まさかこんなことになるなんて。奴は小島にデカイ屋敷を持っていて、何人かの手下がいると聞く。噂では、その屋敷には避けては通れないギロチン台があるとかないとか。一体何のための屋敷なんだか。ハテ、そういえば奴の名前は何というんだったか。ううむ、忘れてしまったな。アクマ将軍とか聞いた気もするが、地獄の断頭台も使えない奴をアクマ将軍などと呼ぶわけにもいくまい。仕方がない、空手将軍(仮)と呼ぶことにしよう。三流の悪役みたいで奴にはピッタリだ。わからないと言えば、誰かがマリコの事をマリコ姫と呼んでいたが、あれもよくわからんな。なんで姫なんだコラ。まぁ囚われのお姫様ってえシチュエーションだし、何より取説に書いてあったしな。
俺はその辺にとめてあった小船に勝手に乗り、奴の、いや、空手将軍(仮)の島へと向かって船を漕ぎ出した。
ザザァ、ザザァ。波の音と海鳥の鳴く声が聞こえる。ううむ、奴はやはり屋敷の中だろうか。恐らくはマリコも一緒にいることだろう。早く助けに行かねば。
しかし、後ろは断崖絶壁か。危ないな。ちょっと覗いてみようか。むむ? おかしいな、後ろに行けねえぞ。どうやら俺は普通に立ったままでは後ろに進めないらしい。ま、身も蓋もねえけど俺、ゲームキャラだしな。下を押して一度構えれば後ろにも進めるぞ。どれ、さっそく……
アイタタタァ!! いきなり落ちちまったよオイ。まったく普通の人間だったら確実に死んでるところだぜ。まぁ実際やったらゲームオーバーだけどな。あとな、構えてない状態、つまり走って敵につっこむといきなり死ぬんだぜ。注意しねえとな。
お、さっそく空手将軍(仮)の手下が出て来やがったな。なんだ? 直立不動しやがって。む、そうか、お互い敵同士とはいえ同じ武道家。やはり試合の前には礼が不可欠だな。
武道家は礼をするときも相手から目を逸らさないのだ。かのブルース・リーが言っていたぞ。視線を下に向けた瞬間に敵が襲って来ないとも限らないからな。礼も大事だが、臨機応変に対処出来るように常に心がけなければならんのだ。ま、あれだ。礼に始まり礼に終わるというのもいいもんだ。さて、じゃあ行くぞコラァ!!
戦いは間合いが重要だ。これくらい離れていれば敵の攻撃は一切当たらない。あまり離れすぎてもダメだぜ。近すぎず遠すぎずの間合いを把握するのだ! まぁ心配せんでもすぐにわかるっつうの。そして、敵が一歩踏み出してきたら、すかさず蹴りを入れる!
オラァ! 死ねやぁ!! 攻撃を食らった敵は一歩退き、また一歩踏み出してくる。そこにまた蹴りを入れろ!! すると一歩戻った敵は闇雲に蹴りや突きをくり出すが、間合いの外だから当たりゃしねえ。そしてまた一歩踏み出してくるから迎撃だ。これを繰り返せば猿でも倒せるぜ。弱すぎなんだよぉおおおお!!
オラッ、俺の勝ちじゃあゲハハッ。ん? なんだこいつ死んでやがんのかぁん? 終わりの礼が出来ねえじゃねえか。ケッ、屑が。
おっ、いきなり親玉の登場かって、ちと違うんだな。ま、ゲーム上の演出ってやつよ。空手将軍(仮)の命令でその手下が俺様に殺されにやってくるってわけだぁな。ご苦労なことだぜまったくよぉ。ここで流れる曲を聞くと、頭の中で勝手に、「おまえは〜、あっち行け〜」というセリフが流れてしまう。不思議なものだ。っつうか俺だけか。
しかし、どうでもいいんだが、なんであいつは青い道着なんか着てるんだ? 理解出来ん。
その後、何度か画面が切り替わりつつ俺と敵が出くわすまで走るわけだ。ちなみに、俺はちゃんと自分で走らせないとダメだぜ。だからな、ぼおっとしてるといつのまにか敵に走って突っ込んでいって一発で死んじまうんだ。俺が一撃必殺されてどうすんだよコラ。
とりあえず何人か敵が出て来やがったが、どいつもこいつも同程度の実力で俺様の敵じゃあねえ。バッタバッタとぶち殺してガンガン進むぜオラァ!!
ガハハ、また殺しちまったぜぇ。まったく弱すぎて手加減も出来やしねえよ。
おう、どうやら屋敷の入り口に来たみてえだな。オラ、邪魔だどけよコラ。さっさと死ねやぁ!!
マリコぉ、待ってろよぉ〜。このカラテカ様がすぐに助けてやるからなぁ〜。
こ、これは……道場、か? ぬぅ、奴と奴の手下どもは日夜ここで腕を磨いているに違いない。ここからは油断ならんかもな。
と思ったら何だよそのピンクの道着はよ!! こんなピンクな道着着てる奴が強いわけねえだろコラァ!! 殺すぞ!!
うむ、殺した。このピンク道着、外にいる奴等と大して変わらん。同様の戦法でサクッと殺せるぜ。ただな、さすがに連戦は疲れるのでな、体力が少しばかり少なくなってきた。あまりダメージを食らわんようにしないとな。まぁ休めばある程度は回復するんだが、その分相手も回復しちまうからほどほどにしねぇとよ。
むおっ!? 室内だというのに鳥が飛んで来たぞ? ここで飼われているのか……?
ぎゃぁぁぁぁあああああす!! 鳥が、鳥がぁぁあああ!! イテテテテテテッ!! ぐわあ、体力がぁ!! くそう、人を攻撃するように飼育されてんのか!? 畜生、空手将軍(仮)め、手下を何人も出してきたり、鳥に攻撃させたりと男らしくないやつめ!! まぁそんなことはマリコを攫った時点でわかってるんだが。
鳥が去った後に現れたザコを倒すと、またしても鳥がっ!! くそぅ、やられてばかりじゃねえぞコラァ!!
オラッ!! 俺の黄金の左足を食らえやっ!! へっ、逃げ帰って行きやがったぜ。
どうやらコイツらは上段、下段、中段の三通りの高度で飛んでくるようだ。タイミングに慣れれば撃退するのも容易だ〜ぜ〜。ちなみにパンチでもキックでもどっちでもいいようだが、俺は蹴りが好みだな。
うわっ、今度は手下と鳥の同時攻撃かよ。くっそう、男らしく空手で勝負しろやぁ!! とりあえず手下と距離をおいた状態で鳥を撃退し、すかさず手下に攻撃だぁあああ!!
来たぜ来たぜ、これが噂のギロチンだな。でもな、ギロチンっつうか、鉄格子じゃねえかコレ? まぁ格子の先は尖ってるみてえだけどな。へっ、こんなもん恐れてたら何も出来やしねえぜ!! 直進あるのみぃ!!
はぐあっ!!
う、ううっ、俺はもうダメだ。すまん、マリコ。俺はおまえを助けることは出来なかった……。天国の父さん母さん、僕を産んでくれてありがとう。でも残念だけどもうおしまいみたいだ……。ああ、だけどね、カラテカなんて名前を付けるのはどうかと思うよ。いや、マジで。もうちょっと何とかならなかったのかなぁ……がくり。
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あ〜あ、よく死んだ。さぁ、マリコも待ってるし、さっさと行こうか。おっと、実際にはコンティニューなんつう軟弱なモンはねえから気ぃつけろよ。
なんだよ畜生!! こんな時に出てくんじゃねえよ。あれ? なんでてめえにはギロチンが落ちねぇんだよぉ! ギロチンがダメなら俺が引導を渡してやらぁ!!
はー、はー、はー、くそう、大分疲れてきたな。くっそぉ〜、このギロチンはどうすれば抜けられるんだ…………、はっ、閃いたぁ!! って嘘くせえな。そう簡単にわかるわけねえじゃん。けどな、これを越えねえと話が進まねえんだよ。じゃあ攻略行くぜオラ。
とりあえずギロチン前のこの位置に立て。この位置を確保出来ればもう越えたも同然だ! この状態で上を押して立ち上がり、右に一歩だけ進む。右を押しっぱなしだと死ぬから注意しろよ。すると、俺の前に鉄格子が落ちてくるが、俺は鉄格子に弾かれるだけで無事だ。鉄格子が上がり始めるから、そいつが上がり切らないうちに走り抜けるんだ。ただし、あまり早く通り抜けようとすると鉄格子に当たって弾かれるからな。まぁそれは死なないから別に構わんが。目安としては俺の頭のラインを鉄格子が通り過ぎたら走り抜けろ。完全に上がり切っちまった状態でその下を通ると鉄格子が降りて来て死んじまうから慎重にな。まぁ下のを見てくれればどんな感じなのかは大体わかると思うがな。
ギロチンを抜けると怪しげな場所に出た。地下室か何かだろうか。果たしてマリコはこの奥にいるのだろうか。どうもさっきまでとは雰囲気が違う。慎重に奥に進むことにする。
敵だ。ピンクの次は黄色かよ、まったくどいつもこいつも変な色の道着を着やがって、こりゃあ楽勝だな。そう思ってなめた俺が甘かった。強え! こいつ、今までの敵とは段違いだぜ。何が違うって、こちらに無闇に踏み込んで来ないというところが全然違う。今までの戦法が使えないのだ。くそっ、仕方がねえ。とりあえず間合いはこんなもんだ。相手の蹴りが当たらないギリギリのところまで近づくんだ。間違っても無理矢理突っ込むんじゃねえぜ? 俺は連続で三発しか蹴りが出せねえが、相手は四発は蹴って来るからな。体力も圧倒的に少ねえし、まず勝ち目はねえぜ。とりあえず相手の動きを見るんだ。相手が蹴りを出してきたら、三発目の蹴りが終わった瞬間にすり足で相手の方に一歩進め(大きく一歩踏み込んでも大丈夫な場合もあるようだ)。四発目が終わってからじゃ間に合わないからな。そしてすかさず蹴りを連打!! 蹴りがヒットして相手が一歩下がったらまたギリギリの間合いまで詰めるんだ。これを繰り返せば何とか勝てそうだぜ。
だがな、この戦法には一つ問題があるんだ。それはな、相手を追いつめ過ぎると、敵が見えなくなってしまうことだ。それだけじゃねえ。見えないだけじゃなく、こちらの攻撃は届かなくなっちまう。そういうときは、相手の体力が多少回復してしまうのに目をつぶって後ろに後退するしかねえ。出来るだけ最初から後ろの方で戦い始めるしか手はねぇな。多分それでも何度か下がる羽目になると思うがな。
何とか強敵を倒して先に進むと、狭い部屋で一人の男が待っていた。こいつは大物に違いねえ。と思ったんだが、さっきの奴と強さはかわらない。ちなみに、同じような部屋が四つ続いて、やはり敵も四人出てくるんだが、もしかしてこいつらは四天王とか呼ばれてるんだろうか。まぁどうでもいい。今はただ眼前の敵を倒すのみぃ!!
実は四天王どもは意外と倒しやすい。何故かというと、奥、つまり敵の背後は扉が閉まっているために相手は逃げられないのだ。空手家らしく言うなら、引き手が使えない状態に追い込むってこったな。だから、先ほどの戦法で相手をこれ以上下がれないというくらいに追いつめると、あとはひたすら蹴りを連打するだけで連続ヒットするのだ。とはいっても、やはりただ連打してると反撃される場合があるので、敵の動きをよく見て、ヤバそうなら一歩下がるぐらいの余裕が欲しいところだぜ。なんたってすでに数発食らったら死んじまうくらいまで体力が下がってるからな。ヤバそうなら下がって回復するのを待たないと、あっという間に死んじまうぜ。気をつけねえとな。
扉を開けないと先には進めねえ。ここはいっちょ……
蹴りくれて扉を蹴破るのが基本だろう。しかし何でまた俺は手で開けないんだろな。鍵でもかかってんのか……? まぁいい。空手家たるもの扉は蹴破るのが礼儀というものだ。
四天王の最後の一人を倒して扉を蹴破った瞬間、聞き覚えのある鳴き声が!! また鳥かぁ!! しかもどんどん出てきやがる!! ここは鳥の攻撃が激し過ぎて体力を回復する暇がない。というか、回復しない。鳥どもを撃退して敵の体力ゲージを0にしないと、いつまでも鳥の攻撃は続く。まるで地獄のようだ。ここはある程度距離を取り、落ち着いて撃退する他ねぇやな。タイミングが命だぜ。
おおっ、あからさまに怪しい部屋だ。次の部屋で空手将軍(仮)が待っているに違いない。やはりラスボスだけあって色々と語ってくれるのだろうか。ラスボスは自分の悪事を語るのがお約束みたいなもんだからな。よし、マリコを攫った相手と言えども武道家同士、まずは礼から入るべきだな。そうと決まったらダッシュで次の部屋へ!!
ぐはぁぁあああ!! 待ち伏せっすかぁあああ!? いきなり部屋の入り口で正拳突き連打してるボスって何だよコラァァアアア!! 手下はちゃんと礼をするのに貴様は何故ぇぇええええ!! マ、マリコぉぉおおお、そんな目で、そんな目で見ないでくれぇぇええええ!! 俺が弱いんじゃない、こいつが卑怯なんだよぉおお!!
空手将軍は卑怯者だ! 走って行くといきなりやられてしまうので、構えた状態で進んで行こうぜ。そして、結局舞台は先ほどの怪しげな部屋へと移るのだ。
いよいよこの時がきた。マリコを攫った張本人である、空手将軍(仮)との戦いが始まったのである。っていうか、こいつ、四天王とあんまり強さ変わらねえな。後ろが閉まっていないのと、途中で無闇に突きを連打するので少し苦戦するかも知れないが、基本的には今までの戦い方で勝てる。ええ〜い、しぶとい、さっさと死ねやぁ!! っていうか、てめえマリコに手ぇ出してねえだろうな? 手ぇ出してたらぶっ殺すぞ? ああぁん? まぁ手ぇ出してなくてもぶっ殺すけどなゲラゲラゲラ!!
苦闘の末、空手将軍(仮)を倒した俺はマリコのいる奥の部屋と向かった。
「カラテカ! やっぱり助けに来てくれたのね!」
「ああ、そりゃあな。っていうかよ、なんでおまえまで俺をカラテカって呼ぶんだ……?」
「え? だって……」
「いや! いい。何だか聞きたくない。それが本名だとか言われたら立ち直れん」
こうして俺の戦いは終わった。結局、空手将軍(仮)は何者だったのだろう。そして、彼の空手組織は一体どれくらいの規模があるのだろうか。疑問はまだまだたくさんがあるが、今はとにかく街に戻ろう。きっと、皆が心配していることだろう。
「さあ、帰りましょうか」
「……ん? あ、ああ」
「どうかしたの?」
「うむ、ちょっと気になることがあってな」
「気になることって……?」
「ああ、どうして奴等はみんな、あんな変テコなヘルメットを被って戦ってたのかと思ってな。すっげえ戦いずらいと思うぞ? 顔を隠すならもっと良いものがいくらでもあるだろうになぁ……。どう思う?」
「…………」
「……いや、別にいいけどな……」
- 完 -