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駄作屋ボブの憂鬱
10. ボスを逃がしてみたッス
ジョニー:なあボブよ、このボスは戦闘でやられたクセに何で偉そうに笑ってんだ?
ボブ :やられたわけじゃないッスよ。次のシナリオでまた出てくるんスよ。
ジョニー:だって今倒したじゃねえか。
ボブ :だからこれから逃げるんスよ。
ジョニー:逃げる? だっておめえ、今意識不明にしたじゃねえか。
ボブ :ボスは強いから実はまだやられてないんスよ。
ジョニー:なんだそりゃ。だったら戦闘で敵倒しても意味ねえじゃねえか。
ボブ :ええと、撃退したって感じッスかね。倒すってよりは追い払うって感じかも。
ジョニー:……模擬戦だのならともかく、戦闘における勝利をあまり軽く考えて欲しくはねえが、まあその辺りは作者の解釈によるからまあいいだろ。だけどな、今戦ってた場所は袋小路じゃねえか。一体どうやって逃げるってんだ? おかしいじゃねえか。
ボブ :あ、そっか。じゃあ魔法で逃げることにするッス。
ジョニー:安直だなオイ。まあいいや、とりあえず終わらせちまうか。……なになに、『人質となった依頼人をも殺してしまった冒険者たちは罪の意識をかかえながら生きてゆくのであった −完−』。オイ、続かねえじゃねえか。
ボブ :殺しちゃったんスか兄貴。ダメッスよ。ちゃんと助けないと続かないッスよ。
ジョニー:助けろたっておめえ、戦闘中に敵と一緒になって攻撃してきてたじゃねえか。
ボブ :そ、それはCWのシステム上仕方ないじゃないッスか。戦闘中は敵として配置せざるを得ないんスよ。
ジョニー:まったく、俺はまた脈絡もなく敵に寝返ったとか洗脳されたのかと思ったぜ。
ボブ :あ、いいッスねそれ。それなら攻撃してくる理由が出来るッスね。
ジョニー:にしたってよ、人質は意識不明にしたら即死亡で、ボスは意識不明になってもピンピンしてるってのは酷いんじゃねえか? 無茶苦茶じゃねえか。
ボブ :だってしょうがないじゃないッスか。ここでボス倒されたらシャレにならないッス。
ジョニー:だったら雑魚が全員倒された時点で戦闘終了にするとかあんだろが。倒しても倒しても逃げるくせに最後のシナリオでは倒したら死んでくれるのかよ? なんだそりゃ一体。
ボブ :意識不明の解釈は人それぞれだって言ったじゃないッスか兄貴!
ジョニー:おめえよ、ボスは倒しても死なないんだからよ、当然人質だって死なないと思うだろうが。模擬戦じゃねえんだからよ、シナリオ内では統一しろよ。混乱するじゃねえか。そうじゃなかったらアレだ、戦闘前に人質には攻撃するなとか注釈を入れろよ。
ボブ :ええと、結局どうして欲しいんスか?
ジョニー:しょうがねえなおめえは。わからねえなら人質を意識不明にしても死なないようにしろ。それなら簡単だろ。
ボブ :ええ〜、でもそれじゃゲーム性がなくなるッスよ。兄貴いつもゲーム性を出せって言うじゃないッスか。最後の戦闘でいかに人質を生かして戦うかが面白いんじゃないッスか。
ジョニー:だからさっき方法示してやったんじゃねえか! 安易に答えを求めんじゃねえ!!
ボブ :うひぃ。
ジョニー:はぁ、おめえにそんなこと言ってもしょうがねえか。いいか、もう一度説明してやるからよく聞けよ。
ボブ :聞くッス。
ジョニー:まずはだな、戦闘中に敵を意識不明にしたにも関わらずその後ひょいひょい逃げてくようなのはやめろ。
ボブ :でも解釈は自由だって言ったじゃないスか。
ジョニー:まあそうだ。だがな、即死亡ではないにせよ、一種の戦闘不能状態には違いない。違うか?
ボブ :まあそうかもしんないスけど、でも逃げるくらいは出来てもいいんじゃないスか?
ジョニー:逃げる余力もないくらいにボコボコになった状態だと思え。っつうか普通はそう思うだろ。
ボブ :でもそれじゃ雑魚もボスも同じ扱いみたいじゃないッスか。
ジョニー:同じでいいじゃねえか。何もボスだからって強い必要はねえだろ。だがボスだから特別な存在にしたいっておめえの気持ちもわからんではない。
ボブ :結局どっちなんスか?
ジョニー:どっちってえかよ、それなりの理由を作れってこったよ。模擬戦がいい例だよな。あれなら互いに手加減して戦ってるとかでよ、やられても死なないし、戦闘不能までにはならない理由になるだろ。とにかく暗黙の了解のように、倒されても何事もなかったかのように逃げていくってのは無理があるだろって話さ。
ボブ :じゃあ実は転送の魔法の準備がされていて、やられたらそれを使って逃げてしまうとかはどうッスか。
ジョニー:戦闘で勝ったらそれを使う間もなくやられたと思いたいとこだが、まあそれでもいいんじゃねえかな。平気なツラしてただ逃げてくよりはマシだ。
ボブ :マ、マシって程度なんスか。
ジョニー:そりゃそうだろ。いくらボスだからって倒してもさっさと逃げられるんじゃやってられねえよ。倒される前に逃げろってんだ。
ボブ :で、でも相手の実力を試してるとかもあるんじゃないッスか?
ジョニー:試してるんだったら尚更途中でやめねえとおかしいだろが。自分がボコボコにやられるまで戦ってたら試すもクソもねえ。ヘタすりゃ死んじまうだろ。
ボブ :だからそれは、えと、その場合には意識不明になったとしても、それを倒されたとは解釈してないんスよ。
ジョニー:それが特殊な場合であることはわかってんだろ? 明らかに通常の戦闘とは違うよな?
ボブ :それはまあそうッスね。
ジョニー:だったらそれを自然に見せるための工夫がいるだろ。プレイヤにとっては本来倒したはずなんだからよ、まだやられてないって事をプレイヤに自然に感じさせる工夫がなかったらわけがわからねえじゃねえか。作ってる本人には当然のことでも、プレイヤにとってはそうじゃねえってことを忘れちゃならねえのさ。つまりアレだ、プレイヤを納得させるだけの説得力が欲しいってこった。
ボブ :ふむぅ……。
ジョニー:で、次は倒しちゃいけねえキャラの扱いな。
ボブ :人質ッスか?
ジョニー:それだ。こっちはまあ難しく考えるこたあねえ。倒したら死亡にするか、それともただの戦闘不能とするかは好きなように決めりゃあいい。
ボブ :それじゃ問題ないじゃないッスか。
ジョニー:解釈がボスと同じだったらな。倒してもボスは死なないでさっさと逃げるが、人質は倒したら死ぬってんじゃ泣けるっつの。さすがに雑魚敵の扱いまでうるさく言うつもりはねえが、ボスだの重要キャラだのの扱いは気を使ってもらわねえとよ。
ボブ :じゃあボスが逃げてしまうような場合は、人質を間違って殺してしまうってのは作れないってことッスか?
ジョニー:そこらへんは柔軟に考えろ。
ボブ :へ?
ジョニー:つまりよ、俺がいつも言ってるようなことは、基本的にはそうした方が良いとか、した方が無難だとかいう話なんだよ。だが実際には自分がやりたい事をやろうと思うといちいち守ってはいられない事もあるだろ。そんなときゃプレイヤに受け入れられそうな範囲で好きにやりゃいいってこった。
ボブ :ほへ?
ジョニー:だからよ、おめえはシナリオの最後にボスを逃がしたいんだろ?
ボブ :そうッス。
ジョニー:しかも倒されるまで戦った上で逃がしたいんだろ?
ボブ :そうッス。
ジョニー:しかも人質は意識不明状態になったら死亡させたいんだろ?
ボブ :その通りッス。でも兄貴の話だとそれはダメじゃないッスか。
ジョニー:ああ、俺はダメだと思うがな、だがおまえがそうしたいのであればやりゃあいいのさ。ただしさっきも言ったが、戦闘前に警告をしておけよ。なるべく自然な形で、この戦闘においては倒しちまったら死亡するってことをプレイヤに知らせてやらにゃならん。倒したら死亡するシナリオや戦闘があれば、死亡しないシナリオや戦闘もあるんだからな。自由に解釈すりゃいいって言ったけどよ、おまえとは違う解釈をする作者も当然いるってことを考えて作らないとダメなのさ。自由ってのは自分の好き勝手やってもいいってことじゃあねえんだぜ。
ボブ :よ、よくわからないけど何となくわかったような気がしないこともないッス。
ジョニー:そうか。まあいいさ、そのうちわかるだろうよ。
ボブ :ういッス。
ジョニー兄貴のお言葉
- 戦闘で勝利するということを軽く考えるな。
- 負けたクセに平気なツラして逃げるな。
- 倒したら死ぬのか死なないのかはっきりしろ。
- プレイする人の事を良く考えろ。
- 人の話は参考程度に聞いておけ。
- どうしたらいいのかを決めるのは結局自分だぜ。
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