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駄作屋ボブの憂鬱

5. ストーリーシナリオに挑戦したッス
ジョニー:荒唐無稽に過ぎる。ボツ。
ボブ  :いきなり何なんスか兄貴!?
ジョニー:なあボブ。このシナリオは狂い系か? わざと無茶苦茶な展開にしてんのか?
ボブ  :違うッスよ。真面目に作ったんスよ。
ジョニー:じゃあやっぱボツ。顔洗って出直して来い。
ボブ  :なんでッスか!? 兄貴のほうがよっぽど無茶苦茶ッスよ。大体狂い系ならオッケーなんスか!?
ジョニー:お馬鹿系と狂い系ってのもまた区別が難しいけどよ、基本的に狂い系ってのはただ無茶苦茶やってるだけだから文句つけたってしょうがねえんだよ。
ボブ  :でも俺のは狂い系じゃないッスよ!
ジョニー:ああ、だからボツなんだよ。
ボブ  :なんでボツなんスか! ちゃんと説明して下さいッス!
ジョニー:いちいち説明しねえとわかんねえのかよ。荒唐無稽だって言っただろ。それが全てだ。
ボブ  :どこが荒唐無稽なんスかあ!?
ジョニー:どこがっておめえ、いきなり冒険者が光の戦士になって闇の戦士と戦うとか言ってるし、最後にゃ闇の神と光の神が伏線もなく和解して終わるし無茶苦茶じゃねえか。しかもありがち。
ボブ  :ありがちだからダメだって言うんスか!
ジョニー:そうは言わねえよ。大体まったく新しいストーリーやアイディアなんてのはそうそう出てくるもんじゃねえ。要はどう組み合わせるか、いかに自然に見せるかってのが重要なわけよ。おめえのシナリオは不自然っつうかもう無茶苦茶じゃねえか。
ボブ  :神が出てくるから不自然だって言うんスか!? 聖北教会があるくらいだから神がいたって不自然じゃないッスよ!
ジョニー:その神がいきなり冒険者の宿に張り紙貼るのはおかしいだろうが。しかもなんで冒険者が光の戦士になってんだよ。せめて理由を言えよ。冒険者も能天気に神に選ばれたって喜んでるしよ。ハルマゲドンがどうのこうのとか言ってるが、闇の戦士ってのと戦って終わってるじゃねえか。ただの小規模戦闘だろこれじゃ。
ボブ  :だから代理戦争なんスよ!
ジョニー:その説明と描き方が足りねえんだよ。張り紙見て依頼人に会いにいったらいきなり光の戦士だと言われて、その後闇の戦士ってのと戦ってる最中に神が出てきていきなり語り出して双方和解して終わりってんじゃ誰も納得しやしねえだろ。おまえの言う神ってのはどういう存在なのか、光の戦士と闇の戦士ってのは何なのか、どういう基準で選ばれるのか、そういった事をちゃんと説明する必要があるだろが。
ボブ  :じゃあ案内役の人に語らせるッスよ。
ジョニー:いきなり全部そいつに語らせるのかよ。それじゃ意味ねえんだよ。いきなり言われたって納得出来る話じゃねえだろが。疑ってる冒険者が納得するまでとか、納得したらしたで光の戦士とやらに選ばれて当惑する様子とかを描く必要があるだろ。いきなり神々の戦いの代理をしろなんて言われても困るだろうが。そういった場面を全部省いてるからどうしようもなく荒唐無稽になっちまってるんだよ。
ボブ  :でも結局はなんでもアリなんじゃないスか。説明したって話の内容は同じッスよ。
ジョニー:まあ何でもアリなんだが、それを自然に、当然のことであるとプレイヤに感じさせればいいんだよ。そのためにはNPCが大勢出てきて説明的セリフをベラベラ喋るだけじゃダメなのさ。プレイヤの分身たるキャラの体験として実感させるように工夫しねえとよ。大体おめえ、自由に操作出来る場面が全然ねえじゃねえか。
ボブ  :それはストーリーを楽しんでもらおうと思ったんスよ。だから余計な操作は省いたんス。
ジョニー:そりゃ逆効果だな。確かにただの読み物風のシナリオってのもアリだろうよ。だがな、そりゃただの読み物としても楽しめるだけの内容と文章力が必要なんだよ。そうでなきゃただの手抜きシナリオだぜ。
ボブ  :手は抜いてないッスよ! 自分なりに努力したんスよ!
ジョニー:関係ねえよ。努力しようがしまいがプレイヤにとっては関係ねえのさ。努力したという事がシナリオからにじみ出るくらいなら評価されるだろうけどよ。ま、そうだとしても結局はシナリオの出来具合が全てだよな。
ボブ  :じゃあストーリー型のシナリオは諦めろってことッスか?
ジョニー:あのな、そりゃストーリーが関係ねえシナリオってのもあるこたあるが、大体はどんなシナリオだって多少なりともストーリーってのはあるんだよ。それを自然に感じさせるためにも上辺だけの語りで済ませるなってこった。
ボブ  :そんなこと言われてもよくわからないッスよ。
ジョニー:だからさっきから言ってるように話の地盤を固めろってんだよ。土台がしっかりしてねえとただの無茶苦茶な話になっちまうのさ。あとはPCの扱いだな。話が優れてりゃPC置き去りにしてもそれなりに楽しめるが、そうでなきゃ自分で話を進めている感覚ってのが大事なんだ。会話の際の選択肢とか、あとはカードをクリックすることによる行動によって話が進んでいく感覚ってのがないとつまらねえもんなんだぜ。
ボブ  :ううう、難しいッス……。どうしたらいいかわからないッスよ。
ジョニー:そりゃ話だけ聞いてすぐに実践出来るなら誰も苦労しねえよ。とにかく色々作って経験をつむこった。そのために作った練習用のクズみてぇなシナリオはヘタに公開すんじゃねえぜ。
ボブ  :でもせっかく作ったんだから……。
ジョニー:いい加減その考えを捨てろ。そんなもんばっか公開してたら、所詮おめえはその程度のシナリオしか作れねえクズ野郎だと思われちまうぜ。せっかく公開するんだから自分で納得のいく作品が出来たときにしろ。
ボブ  :そんなこといってたらいつまでたってもシナリオ完成しないッスよ。
ジョニー:まあ完全に納得がいくようなもんは無理だろうな。その辺はおめえの感覚で好きにしろや。その結果がどうなろうと俺の知ったこっちゃねえしな。
ボブ  :あうう、兄貴冷たいッスよ……。
ジョニー:おめえのために言ってんだ。別にいじめてるわけじゃねえよ。
ボブ  :うう、一体どういうシナリオ作ったらいいんスか。
ジョニー:あのな、おめえAskのシナリオはちゃんとやったんだろ? わざわざお手本になるようなシナリオを作ってくれてんだ。ああいうのを目指してみろよ。
ボブ  :が、頑張ってみるッス……。

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