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駄作屋ボブの憂鬱

2. 連作に挑戦してみたッス
ボブ  :どうッスか兄貴。今度は連作に挑戦してみたッスよ! 二作目から連作に挑戦だなんて俺って結構チャレンジャーッスよね!
ジョニー:確かにチャレンジャーだが、いきなり失敗してりゃ世話ねえよ。
ボブ  :うひぃ。
ジョニー:依頼人の家でNPCが勝手に騒いでさあ出発ってとこで終わってるじゃねえか。誰が続きに期待出来るってんだよコレ。
ボブ  :期待しまくりじゃないッスか! 壮大な冒険の予感がしまくりッスよ!!
ジョニー:壮大? 神だの魔族がどうしたこうしたのってNPCが騒いでたアレか? 俺は頭のネジがイカれてんじゃねえかと思ったぜ。
ボブ  :なんでッスかぁ! なんで期待してくれないんスか!
ジョニー:いいかボブ、落ちついて聞けよ。あのシナリオの続きに期待してるのはおまえさんだけなんだよ。大体ちゃんと続き考えてんのか?
ボブ  :続きは大体考えてあるッスよ。三つの聖石を集める間に何匹かの魔族を倒して、聖なる神殿で試練を受けて聖剣を手に入れて魔王を倒すんスよ! 燃えるじゃないッスか!
ジョニー:その話が燃えるかどうかは人によるがな、第一話ではそういう面白さは伝わってこないよな。
ボブ  :そりゃそうッスよ。第一話はただの導入編ッスから、これからどんどん面白くなっていくんスよ。
ジョニー:その導入編がつまらなかったら続きは誰もプレイしねえんじゃねえのか?
ボブ  :そ、それは……シナリオが面白くなってくればきっとやってくれるッスよ!
ジョニー:オイオイ、これは連作なんだろ? 最初のを気に入らなけりゃ続きは誰もやらねえだろうが。連作にはそういうリスクがあるのになんで連作にしたんだ?
ボブ  :そりゃあ一つのシナリオにすると長くなるからッスよ。
ジョニー:ほぅ。じゃあなんで第一話はほんの数分で終わっちまうんだ?
ボブ  :それは……導入編だから……。
ジョニー:導入編だからこそプレイヤを引きつけるために工夫する必要があるんじゃねえのか? 最初からいきなり手抜きしてたら誰もついてきやしねえぞ。
ボブ  :つ、続きを作っていくうちに上達していくッスよ!
ジョニー:もし上達しなかったらこのまま数分程度のシナリオが続くのか? この調子で? そんなシナリオ誰もやりたかねえんだよ。
ボブ  :そんな最初っからうまくいくはずないじゃないッスか! 今後どうなるかはわからないじゃないッスか!
ジョニー:ああそうだよ。その通りだよボブ。わかってるじゃねえか。今後うまく作れるかどうかもわからねえのに連作作るのは無謀だってこったよ。今おまえが自分で言ったことはそういうことなんだぜ。
ボブ  :じゃあ連作作っちゃいけないって言うんスか兄貴!
ジョニー:そうは言わねえよ。大体な、短いシナリオだったら連作にする必要ねえんだよ。十分程度の数本のシナリオだったら一つにしちまった方がいいじゃねえか。大体発想からして間違ってんだよ。長くなるから連作にするとか言ってたが、そりゃただの言い訳だろ? 要するにおめえは長いシナリオを作るには実力も気力も足りないから数分程度でやめちまっただけじゃねえか。続きはもう少し力が付いてからゆっくり作ろうとか思ってやがんだろうが。違うか?
ボブ  :ち、違うッスよ! そんな風に考えたことはないッスよ!
ジョニー:考えたか考えてないかはどうでもいい。実際にそうなっちまってるのが問題なんだ。あのなボブ。明確な続き物としての連作には基本的に二つのパターンがあるんだ。一つ目は実際に完成させてみたらあまりに長いから分割する、もしくは作ってる途中にそれに気がついて分割するという形。これはシナリオが最後まで揃った状態で公開されるからプレイヤにとっては理想の形だ。二つ目は一話完結物にするというタイプだな。一つ一つのシナリオがそれぞれ完結する形になっているんだが連作としての繋がりはあるという形だ。
ボブ  :それッス! その二つ目のタイプを目指してるんスよ!
ジョニー:目指してるだけで失敗してるけどな。
ボブ  :うひぃ。
ジョニー:一話完結と簡単に言ってるけどな、完結させりゃいいってわけじゃねえんだ。一つのシナリオとして十分に遊べる、楽しめる物である必要がある。それがどうだ。おめえの作ったシナリオは全然ダメじゃねえか。
ボブ  :導入シナリオだからって甘くみるなってことッスか。
ジョニー:まあそうだ。とにかくおめえはまず一つの完結した作品を完成させることだ。無理に長編や、ましてや連作を作るのは無謀ってもんだぜ。そりゃセンスのある人間だったら最初から長編だろうと連作だろうと面白いのが作れるが、おめえみてえなヘッポコな野郎にゃ無理だよ。地道に修行するんだな。
ボブ  :わ、わかったッス。とにかく何か作ってみるッスよ……。

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