長い沈黙を破り、ラーメン愛好会の会長である私は招集をかけました。今回は従来のメンバーである私と狂介君(仮名)、そして新会員のアラスカ(仮名)、カネゴン(柔道一直線)、アニキ(仙山線)の三人を加えた五人での決行となりました。
アラスカ(仮名)の家に集まった私達は、早速我らがシェフ、狂介君(仮名)にすべてを託して出来上がるのを待ちました。やがて、コーヒーとワカメの混じった異様な匂いが立ちこめ、私は内心今回も失敗だろうなと考えていました。
……出来上がったラーメンは、コーヒーにヤキソバをぶち込んで上にワカメを乗せたような謎の食べ物でした。皆が躊躇する中、一応会長である私が取りあえず一口食べると、意外に麺自体は食べれる(今までのラーメンに比べると)ものでした。しかし、問題はワカメだったのです。コーヒーワカメとでも呼びたくなるような味で、このような苦いワカメなど初めて食べました。 |
皆が少しずつ食べ、何も知らない新入りどもはなんだ結構食えるじゃんなどと吐かしやがります。甘いラーメンの恐怖を知らんくせにこの若造ども(関係ない)が、と私は心の中で思っていました。 今回は庭に埋める事もなく、取りあえずスープ(コーヒー)を捨て、麺はビニールに入れて生ゴミ扱いです。 |
我々は余ったワカメを無駄にしないために、普通のラーメンにぶち込んで食べる事にしました。そう、カネゴン(柔道一直線)の身に恐ろしい事が起こるとも知らずに……。
出来上がった普通のラーメンは麺よりもワカメの方が多いという代物で、通常ならば何という事もない濃厚なワカメの香りが、先程の海草コーヒーラーメンを思い出させます。しかも、ワカメが切られておらず、つまんで持ち上げるとどんぶりから37センチはあろうかという、ワカメが麺なのか! と叫びたくなるようなラーメンだったのです。
ワカメを食べるだけでもうお腹いっぱいになった私がふと見ると、カネゴン(柔道一直線)が青い顔をしているのに気づきました。そして、残したらダメなのかなどと聞いてくるではありませんか。当然私は、ざけんなよ、残したら猫パンチ1024発食らわすぞコラと言いました。アラスカ(仮名)は、オドリャ残したら死ぬまでマリオカートやらせんぞと、アニキ(仙山線)は、てめぇ仙山線に轢かれてぇのかと、狂介君(仮名)は、俺の料理が食えねぇってのか!と皆でカネゴン(柔道一直線)を責めました。
カネゴン(柔道一直線)が泣きながらラーメンを食べているのを見ながら、私はこれはいけると考えていました。今まではただただゲテモノに走りすぎました。しかし、今回のこのワカメンラーメン(ワカ麺ラーメン?)のように、ちょっと奇妙だが食べれるものを目指すべきではなかろうか。
そんな事を考えていたとき、カネゴン(柔道一直線)が倒れているのに気づきました。慌てて呼びかけましたが返事がありません。どんぶりは空になっており、彼の顔は不思議と安らかでした。
「カネゴォォ〜〜ン(柔道一直線)!!」
我々は南十字星の輝く夜空に絶叫し、今度はちゃんと食べれるものを作ることを小池さんに誓ったのでした