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応援団物語 - [中学時代]

 何を思って応援団に入ろうなどと考えたのか、実はよく覚えていない。私は入学時からバドミントン部に在籍してたのだが、別に他の部員と仲が悪かったというような記憶もない。厳しかった顧問が学校を移った事や、だんだんと後輩に抜かれて行く事など色々な要因があったのかもしれない。しかし、決定的な事は何もなかったと思う。ただなんとなく気が向いたからという程度の理由で私はバドミントン部を止め、応援団に入団したのである。中学三年の春のことだった。
 私の通っていた中学校の応援団は、学生服の男子生徒が白手と長い鉢巻を付けて声を張り上げるという基本的なスタイルの応援団だった。女子生徒のチアリーダー(ミニスカートでポンポンを持って応援するアレ)もいたが、まあそれはどうでもよろしい。団員は確か五人くらいで、いつも屋上で練習していた。とは言っても真面目に練習をしたのは数えるくらいで、後は屋上で適当に過ごしていただけだったように思う。煙草を吸ったり、机から引っぺがした鉄パイプを屋上から下にぶん投げたり、暇つぶしに空き瓶を壁や床にぶつけて割りまくったりとろくなことをしていなかった。私はそういう行為に加わってはいなかったが、比較的真面目な生徒ばかりであったバドミントン部とはなんと違うことかと、やめろと注意することもなく興味深く眺めていた
 私は本当に適当な応援団員だった。野球の応援をしていた時だっただろうか。我々は応援しにきた生徒の間に散らばって応援をしていた。私が適当に声を出して応援をしていると、背後から「THU先輩」と声をかけられた。振り返ると、女子バド部の後輩が座っている。
「おや? 今日はバドの試合はどうしたい?」
「昨日負けてしまったんで今日の試合には出られなかったんですよ」
「そうか、そいつは残念だったなぁ」
 私は応援の最中だというのに、その後しばらくその後輩と話し込んでしまった。応援もせずにダベっているなど応援団失格である。かなりの軟弱野郎である。
 そんな本当にダメダメな応援団員のままに、私は中学を卒業したのだった。


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