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スミレ博士の研究室 - [第三回]

確率龍学

 みなさんは中世ヨーロッパの伝説にあるような妖精やドラゴンが本当に存在すると思いますか? くだらない常識にとらわれた人は即座に「思わない」と答えるでしょう。私はどうかというと、実は私も思いません。ドラゴンが実在するだなんて非常識にも程がありますよね。

 そこで、私の造った「存在確率増幅機」の出番です。この機械を使うと、その対象物の存在確率を上げることができます。詳しい仕組みは長くなるので割愛します。
 まず私は、ツチノコ(ヨーロッパではタッツェルブルム)の存在確率を上げることにしました。ツチノコというのは胴体のずんぐりしたヘビのような生物で、その目撃例の多さと、実在しても問題はない(要は変種のヘビですから)という点から、存在確率は76.54%としました。この数値は、多くのUMA(未確認の生物)、五百二十七種の目撃例やその実在性の度合いから相対的に求めました。ツチノコを対象に存在確率増幅機を使うと、あっという間にその存在確率は100%となりました。現在私の研究室には三十匹程捕まえた内の三匹のツチノコが残っていますが、もう食べ飽きたので存在確率を元に戻そうと思っています。
 私は続けて様々なUMAの存在確率を上げまくりました。ネッシーはもちろん、クッシー、モラーグ、ミゴー(以上四種は水棲のUMA)、ナンジグマ、ディプロトドン(以上二種は未確認の熊のような動物)、アメラントロポイド(猿人)、ペ・デ・グラファ(一本足の猿人)、狼男、人狼、吸血鬼、妖精、ビックフット、イエティ等、存在確率が25%以上のUMAはすべて100%まで上げることが出来ました。
 では存在確率が25%未満(0%も含む)のUMAはどうだったのか。龍を例に出すと、存在確率0%のドラゴンは、最大50%までしか上がらなかったのです。50%の状態では、ドラゴンの姿は透き通って見え、その存在は安定せず、触ることはできません(ただし、体の一部だけが実体として現れる3分の1龍、5分の1龍などの部分龍も存在します)。私はこの状態のドラゴンを虚龍と名付けました。もう一匹の虚龍と合わせて完璧なドラゴンを出現させることができたのですが、前足の軽い一撃で助手の一人が殺されてしまいました。急いで蘇生薬を用いましたが、失敗してゾンビーになってしまいました。みなさんも危険ですからドラゴンの存在確率を上げる時には注意して下さい。

 最後に私はマンガやゲームの中のキャラクターはどうなるのかを試してみました。
 まずマリオを試してみたのですが、なんと現れたのです。配管工のおやじが。
 尋ねてみたところ、顔はあからさまにマリオでしたが、残念ながらキノコを食べて巨大化はできないとのことでした。ルイージという弟と共に配管工をしており、地下道に迷い込んでくるカメカニに困っているとのことでした。
 この時点で、なにやら調子が悪く、すでに増幅機は限界だったのですが、ある人物から教わった電キックをくらわして何とか動かしていました。
 次に私の心の師匠であるキャプテン・ハーロックを試したかったのですが、増幅機の調子が悪かったこともあり、私が科学者をめざした直接的な原因とも言える宇宙戦艦ヤマトの真田さんの存在確率を上げることにしました。しかし、27%からなかなか確率が上がりません。あの「こんなこともあろうかと」という名言を本人から聞きたい。私はそんな願いを込めて電キックをくらわしました。すると、増幅機が暴走を始めたのです。増幅機はUFO(この場合は空飛ぶ円盤のこと)の存在確率を上げ始めました。慌てて増幅機を破壊したものの、UFOの存在確率は上がったままで、どうやら最近UFOの目撃件数が増えているのは私の所為のようです。
 みなさんも科学の力は諸刃の剣であることを肝に命じておいて下さい。取り返しのつかないことになってからでは遅いのです。
 いつか真田さんに会えることを夢見て私は研究を続けていきます。

 それではみなさん、科学する心を忘れずに。


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