蒔かぬ種は生えぬ
(まかぬたねははえぬ)

 何もしなければ、よい結果は得られない。京都系いろはがるたの一つ。

同意語: 「苦労なくして収穫なし」、「種蒔きあっての収穫」
類語: 「火の無い所に煙は立たぬ」、「物がなければ影ささず

曲がらねば世が渡られぬ
(まがらねばよがわたられぬ)

 正しい道理を押し通すだけでは、この世の中で暮らしていくことはできないということ。

類語: 「人と屏風びょうぶすぐには立たず」、「水清ければ魚棲まず

枕を高くして寝る
(まくらをたかくしてねる)

 高枕で寝る。安心して眠ること。心配事が何もないことを言う。

同意語: 「枕を高くして眠る」

負けるが勝ち
(まけるがかち)

 強いて争わず、相手に勝ちを譲った方が、結局は自分に有利な結果をもたらすということ。江戸系いろはがるたの一つ。勝ちは勝ち、負けは負けとする世の常識をひっくり返してみせて、その場限りの勝ち負けにこだわることの愚を戒める。

類語: 「逃げるが勝ち」、「負けて勝つ」

孫飼わんより犬の子飼え
(まごかわんよりいぬのこかえ)

 いくらかわいがっても孫は先々孝養きょうようを尽くしてくれるわけではないのだから、むしろ犬の子を飼った方がましだということ。孫をただ溺愛できあいするばかりの祖父母を戒めたことば。

同意語: 「外孫飼わんより犬の子飼え」

馬子にも衣装
(まごにもいしょう)

 どんな人間でも外面を飾れば立派に見えるということ。また、ふだん着飾らない人が盛装したときの見違えるさまを形容するのに使う。昔は身分や職業によって相応の衣服が厳しく定められていた。「馬子まご」は駄馬に人や荷物を乗せて運ぶことを仕事とする人。その身分は低く身なりも貧しいが、羽織はおりはかまをつければ見違える。「公家くげにも襤褸つづれ」に続けて言うこともある。

同意語: 「馬子にも衣装髪かたち
類語: 「羽毛が美しければその鳥も美しい」、「仕立て屋が人品人柄をつくる」

交わり絶ゆとも悪声を出さず
(まじわりたゆともあくせいをいださず)

 君子は絶交した後でも、相手の悪口は言わない。『史記・楽毅伝』にあることば。「悪声」は悪口。後に「忠臣は国を去るもその名を潔くせず」と続く。喧嘩別れした相手や辞めた会社を悪し様に言うことで自分を正当化するなというのである。

升で量って箕でこぼす
(ますではかってみでこぼす)

 ⇒「爪で拾ってでこぼす

待たぬ月日は経ち易い
(またぬつきひはたちやすい)

 指折り数えて待つとなかなかやって来ない月日だが、気にかけずにいるとあっという間に過ぎ去ってしまうということ。時は一定不変の速さで移っていくが、心理的には速く感じられたり遅く感じられたりするものだ。

類語: 「そばで待っているときの湯沸しはなかなか沸騰しない」

待たるるとも待つ身になるな
(またるるともまつみになるな)

 人を待たせることはあっても、自分が待つような立場にはなるなということ。人を待つのはいらだたしいものだから、待たれる身より待つ身の方が辛いとして言う。

松かさより年かさ
(まつかさよりとしかさ)

 年長の者は経験が豊富で、判断が的確だということ。「松かさ」「年かさ」とおもしろく語呂合わせしたもの。

類語: 「亀の甲より年の劫

待つ間が花
(まつまがはな)

 何事も待っている間が一番楽しいということ。「花」は最もよい時期。

同意語: 「待つが花」
類語: 「待つのが祭」

待つ身より待たるる身
(まつみよりまたるるみ)

 まだ来ないかと人を待つ立場も辛いものだが、それ以上に待たせている者の方が相手のことが気になって辛いものだということ。

待てば海路の日和あり
(まてばかいろのひよりあり)

 あせらずに待っていれば、そのうちきっといいことがあるということ。風待ちの港に船を寄せていれば、やがては出航にふさわしい天候にも恵まれるの意から言う。待てば甘露の日和ありの「甘露」を「海路」と言い換えたもの。「甘露」は中国の伝説で、天子が仁政を行う瑞祥ずいしょうとして天が降らせるという甘い露。待てば甘露の降るような日和もあろうの意から言うが、「甘露」の意味が通じなくなったことから「海路」となった。

同意語: 「待てば海路」、「待てば甘露の日和あり」
類語: 「すべては待てば成る」、「果報は寝て待て」、「急いては事を仕損じる

待てば甘露の日和あり
(まてばかんろのひよりあり)

 ⇒「待てば海路の日和あり

俎板の鯉
(まないたのこい)

 相手に生死の鍵を握られ、逃げ場のない者のたとえ。俎板まないたに載せられた鯉の運命はすでに料理人の手中にある。鯉は生きたまま調理し、しかも俎板の上の鯉はみずからの運命を知るかのように、ぴたりと静まってじたばたすることがないということをふまえて言う。

同意語: 「俎上の魚」、「俎上そじょうの恋」、「俎板まないたうお

学びて思わざれば則ち罔し
(まなびておもわざればすなわちくらし)

 いくら教えを受けても、自分で深く考えることをしなければ真の学問は身に付かないということ。『論語・為政』に見える孔子のことば。この後に「思いて学ばざればすなわあやうし」と続き、学問には受動的に読書をする姿勢と能動的に思索する姿勢のバランスが大切であることを説く。「罔」は「あみ」。ここでは網をかぶせたように道理に暗いことを言う。

学びて時にこれを習う亦説ばしからずや
(まなびてときにこれをならうまたよろこばしからずや)

 勉強したことを折にふれて復習すれば次第に理解が深まる。何と嬉しいことではないか。学問の喜びを説いた孔子のことば。『論語・学而』に見える。孔子の時代、学ぶとは『詩経』と『書経』を読み、礼と楽について勉強し、仁の道を究めることであった。

学ぶに暇あらずと謂う者は暇ありと雖も亦学ぶ能わず
(まなぶにいとまあらずというものはいとまありといえどもまたまなぶあたわず)

 勉強したくても時間がないと言う者は、たとえ時間があっても勉強などしないものだ。『淮南子・説山訓』にあることば。学問には学ぼうとする意志が大切であることを説く。

学ぶ者は牛毛の如く成る者は麟角の如し
(まなぶものはぎゅうもうのごとくなるものはりんかくのごとし)

 学問を志す者は牛の毛のように多いが、本当に学問を身につける者は麒麟きりんの角のようにまれである。『北史・文苑伝序』にあることば。「麒麟」は聖人の現れるときに姿を見せるという伝説上の神獣。体は鹿、尾は牛にひづめは馬に似て頭上に一角を持ち、その背毛は五色に輝くという。

磨斧作針
(まふさくしん)

 どんな難しいことでも忍耐強く努力すれば、必ず成功するという意味。

真帆片帆
(まほかたほ)

 真帆は船首に対して真角に張る。片帆は、斜めに張る。追風は真帆で、横風は片帆で受けて帆走する。

豆を煮るにその豆殻を焚く
(まめををにるにそのまめがらをたく)

 兄弟が互いに傷つけ合うことのたとえ。「七歩の才」と同様に、『世説新語・文学』に見える故事に基づく。

眉に唾をつける
(まゆにつばをつける)

 だまされないように用心する。眉に唾をつければ狐や狸に化かされないという俗信に基づく。いかがわしいもの、真偽の疑わしいものを「眉唾物」というのも語源は同じ。

同意語: 「眉に唾する」、「眉に唾を塗る」

眉を伸ぶ
(まゆをのぶ)

 心配事がなくなりほっとすること。人は心配事があると眉をしかめるが、その反対の状態。

同意語: 「眉を開く」
類語: 「愁眉を開く」

丸い卵も切りよで四角
(まるいたまごもきりよでしかく)

 物事は扱い方によって円満に収まることもあれば角が立つこともあるということ。後ろに「物も言いよで角が立つ」と続けることもある。「世間知らずの大間抜け」とののしりたいところを抑えて「おおらかなお人柄」とでも言っておけば波風が立つこともない。

同意語: 「丸い卵も切りようで四角」
類語: 「物は言いなし事は聞きなし」、「物は言いよう」、「物も言いようで角が立つ

真綿で首を絞めるよう
(まわたでくびをしめるよう)

 じわじわといじめたり苦しめたりするようす。「真綿」はくずまゆを引き伸ばして作ったわた。丈夫で軽い。感触は柔らかいが、それで首を絞めればじりじりと執拗しつように肉に食い込んでいく。「繭綿」が転じて「真綿」となった。

同意語: 「真綿で喉を絞めるよう」、「粘綿ねばわたで首を絞めるよう」

真綿に針を包む
(まわたにはりをつつむ)

 うわべは優しそうに見えても、心の底に敵意や悪意を隠していること。はちの針なら誰でも警戒するが、柔らかな真綿に包まれた針には刺されるまで気づかない。

漫言放語
(まんげんほうご)

 深く考えず、思いついたまま口まかせに言い散らすこと。また、その言葉や話。

万劫末代
(まんごうまつだい)

 後世まで永久にわたっての意。

満城風雨
(まんじょうふうう)

 町中全体に風雨が走る。事件などの噂が流れると、風雨に見舞われたように世間が騒ぎ出すこと。

満身創痍
(まんしんそうい)

 からだ中が傷だらけの状態にあること。各方面から非難・中傷を受けて、精神的に痛めつけられているさま。

満目蕭条
(まんもくしょうじょう)

 見渡す限り、ひっそりして物寂しいさま。