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毎週のジョーク - [08]


技術者の違い

日本人とロシア人の技術者が、クルマの気密性について話し合っていた。
日本人技術者の話。
「我が国では気密性を試すためには、猫を一晩クルマの中に入れておきます。
そして次の日に、猫が窒息死していたら、気密性は十分だと判断します」
ロシア人技術者の話。
「我が国でも、気密性を試すために猫を一晩クルマの中に入れておきます。
そして次の日に、猫がクルマの中にいれば、気密性は十分だと判断します」


四段階

新製品が世に流通するまでには、全部で四つの段階がある。
まず、アメリカの企業が新製品の開発をする。
次にロシア人が、
「自分たちは同じ物を、もうすでに三十年前に考え出していた」と主張する。
そして、日本人がアメリカ製以上のクオリティのものを造り、輸出し始める。
最後に、中国人が日本製のものに似せた偽物を造る。


上司の反応

トウキョウのとある会社に勤めるジョージだが、
彼の上司は時間に厳しいことで有名だった。
ある日、出勤時間になってもジョージは会社にやって来なかった。
上司はイライラしながら彼を待っていたが、
ジョージが姿を見せたのはそれから一時間も後のことだった。
ジョージは唇の端から血を流し、歯は欠け、足を引き摺っている有り様であった。
ジョージは苦しそうな顔をしながら言った。
「すいません。階段から足を滑らせて落ちてしまったのです」
それを聞いた日本人上司は顔色一つ変えずにこう聞いた。
「一時間もか?」


わかるように

あるアメリカ人が、日本人にこう言った。
「日本人を題材にした、とっておきのジョークがあるんですがね。
言いましょうか?」
日本人は無表情のまま答えた。
「しかし、私がその日本人なのですが」
アメリカ人は言った。
「わかってますよ。だから、わかりやすいようにゆっくり話しますから」


鯨の代わり

アメリカ人が日本人に言った。
「鯨を食べるなんてことは絶対に認められない」
日本人が聞いた。
「なぜですか?」
「鯨は高い知能を持ち、豊かな感情を持つ生き物だ。
かわいらしく愛嬌もあるじゃないか。
そんな高等な生物を食べることなど許されることではない!」
それを聞いた日本人はこう言った。
「なるほど、では、これからはアメリカ人を食べることにしよう」


日本を怒らせる方法

各国の政治家が集まって、
「どうしたら日本を怒らせることができるか」について話し合った。
中国の政治家が言った。
「我が国は潜水艦で日本の領海を侵犯した。
それでも日本は潜水艦を攻撃してこなかった」
韓国の政治家が言った。
「我が国は竹島を占領した。それでも日本は攻撃してこない」
ロシアの政治家が言った。
「我が国はもう長きにわたって北方の島々を占拠している。
それでも日本は攻撃してこない」
それらの話を黙って聞いていた北朝鮮の政治家が、笑いながら言った。
「そんなこと簡単ですよ。我々が核兵器を日本に使いましょう。
そうすれば、さすがの日本も怒るでしょう」
すると、アメリカの政治家が首を横に振りながらこう言った。
「無駄だね。それ、もうやったもの」


あるアメリカ人の憂鬱

トムが子供たちを連れてウォルト・ディズニー・ワールドへと行った。
子供たちは、「夢のテーマパーク」で遊ぶのを前から楽しみにしており、
前日は興奮で夜も眠れないほどだったのである。
しかし当日、子供たちの顔に笑顔はなかった。
何故なら、子供たちが最も会いたがっていた「ポケモン」の姿が、
いくら探しても見当たらなかったからである。


あるアメリカの子供の幸福な休日

待ちに待った日曜日。今日は学校も休みだ。
いつもより遅く起きた僕は、まずソニー製のテレビのスイッチを入れる。
毎週楽しみにしている日本のアニメを観るためだ。
それが終わるとマンガを読む。でも、今日はゆっくり読んでいられない。
パパとハロウィンの衣装を買いに行くのだ。
パパ自慢のトヨタに乗り、ショッピングセンターへと向かう。
カーラジオからはイチローがまたヒットを打って新記録を作ったというニュース。
いったい何度目の新記録?
買ってもらったのはポケモンの着ぐるみ。これで人気者間違いなしだ。
それにクリスマスに欲しい新しいニンテンドーのソフトもしっかりチェックしておいた。
でも、プリンセス・テンコーのフィギュアも欲しいんだけれど。
ランチにおいしいスシを食べてから家に帰った。僕はまたマンガの続きを読む。
パパはトヨタを洗いだした。
これから、前から観たいと言っていた「ラスト・サムライ」を観るために
ママと一緒に映画館に行くらしい。
お兄ちゃんは、ホンダのバイクでガールフレンドの家にでも向かったようだ。
夕方にあるカラテの練習まではデートでもするのだろう。
僕は思う。
アメリカとはなんて豊かな、いい国だろうって。
僕はアメリカに生まれて本当に良かった。
僕はアメリカを心から愛している。
そしてアメリカの文化を誇りに思っている。


パトロール

ニューヨーク市内をパトカーが巡回していた。
「五十五号車、五十五号車、こちら本部、
五番街の三十三丁目を素っ裸の若い女が走っている。以上」
本部はひと呼吸おいてから、慌てて付け足した。
「こちら本部、ただいまの現場には、五十五号車だけが行くように。
他の車は所定のコースを回ってろよ、わかったな」


もう十分に……

交通警官が違反切符を切ろうとしたとき、後部座席の女性が大声でわめきだした。
「ほら、みなさい。
気をつけろってあれほど言ったでしょう。
なのにあんたったら、あたしの言うことを全然聞かないんだから。
車線はオーバーする、信号は無視する、スピードは出しすぎる、
他にも色々やったじゃないの。
だから言ったでしょう、きっと捕まるってさ、あんた。
ええ? 言わなかったの?」
「このご婦人はどなたですか」
と警官は聞いた。
「家内ですよ」
とドライバーが答えた。
「なるほど、よろしい。
行って結構です」
と警官は言った。
「これ以上さらに罰を受ける必要もないでしょう」


福祉国家

無免許運転で捕まった男が白バイのお巡りに言った。
「あっしが無免許で運転したと言いますがね、そりゃあしょうがなかったんです。
あっしは州から盲人福祉年金を貰っているんで、免許を取ることができないんでさあ」


免許証

女性ドライバーが駐車場から車を出そうとしていた。
彼女の運転はひどいもので、前の車にぶっつけ、
慌てて後退して今度は後ろの車に衝突するという始末。
やっとのことで道路に出たが、
折から通りかかった配送トラックに衝突してしまった。
「奥さん」
警官が言った。
「免許証を拝見します」
「あなたってばかじゃないの」
女性ドライバーが答えた。
「今のみんな見てたんでしょ。
あれで誰が私に免許をくれると思って?」


ニューヨークのお巡り

信号無視をした女に停車を命じて切符を切ろうとした白バイの警官に、女が言った。
「ちょっと、こう言っちゃ何だけどさ、
あたしがあんただったら、切符なんか切らないわよ」
「どうしてだい?」
と警官は構わず切符を切りながら尋ねた。
「あたしはね、偉い人をたくさん知ってるんだ。
上院議員のジャヴィッツや、市長のカッチやらみんな知ってんだよ」
「じゃ、あんたマイケル・ウォリンは知ってるかい?」
と警官は尋ねた。
「え? だれ? マイク・ウォリン? 知らないね、そんな人」
「そうかい、じゃあダメだ。
ほれ、あんたの切符だよ。
ウォリンを知ってなくちゃな」
「その人だれなの?」
と女は熱心に聞いた。
「俺だよ」


下手クソな女ドライバーが信号でもたついていた。
赤が青に変わり、青が黄色になり、また赤になった。
つかつかと近づいてきたお巡りが言った。
「奥さん、どうしたんだい?
気に入った色が出るまで待とうっていうのかい?」


食い違い

独身の男に友人が尋ねた。
「きみは今まで、誰か女を愛したことはあるのかい」
「うん」
独身の男が答えた。
「若かったころ、一度愛したことがある」
「結局、結婚はしなかったんだろ」
「もちろんさ」
「どうしてだい」
独身の男は思い出しながら答えた。
「俺が酔っ払っているときはその娘が結婚したがらなかったし、
しらふのときは俺に結婚するつもりがなかったんだ」


理論と実際

理論百姓と実際百姓の違い。
理論百姓は、土地を耕し、作物を作るだけで暮らせると信じている夢想家。
実際百姓は、民宿を兼業する現実家。


百姓

アメリカの百姓たちは農地をこう考えている。
「朝は暗いうちに起き、夜も真っ暗になるまで働けば、
ひと財産作ってくれる────石油を掘り当てれば」


仮説と現実

共産圏からやってきた旅行者が、アメリカ人を共産主義に感化しようと努めていた。
「共産主義では、みんなが分かち合うのさ。
みんな平等にね」
アメリカ人が尋ねた。
「つまり、きみが二千ドル持っていたとしたら、千ドルは僕にくれるってことかい?」
「その通りだ」
と旅行者は言った。
「じゃあ、キャディラックを二台持っていたら」
とアメリカ人は言った。
「一台は僕にくれるわけだ」
「そういうことだ」
「それじゃ、もしきみがシャツを二枚持っていたら、一枚は僕によこすのかい?」
「いや、それはダメだよ」
「何故なんだい、何故シャツはくれないんだ?」
「シャツは現に二枚持ってるんだ」


人民の国

モスクワの男同士が話し合っていた。
「きみんとこの息子さんはすばらしい」
と一人が言った。
「ご長男は人民の医者、ご次男は人民の法律家、三男は人民の芸術家だものな」
「ありがとう、そうなんだ。
みんな素晴らしい息子たちさ」
と父親は言った。
「でも、私が一番頼りにし、自慢にしているのは、アメリカにいる息子なんだ」
「アメリカ人になった末の子かい?」
「そうなんだ。
しかも、今は失業中で政府の失業保険を貰ってる身なんだ。
でもね、この子が送金してくれるわずかのドルがなかったら、
ウチの者はみな飢え死にしちまうところさ」


国際化社会の不思議

サイラスが、不思議で仕方ないという顔で友人のジェイクに言った。
「なあジェイク、おいらの着ている服を見てみろよ」
と彼は言った。
「この布地はオーストラリアの羊から取ったウールだ。
布地を織ったのはイギリスで、糸はインドの木綿さ。
仕立てたのは香港で、買ったのはニューヨークなんだぜ」
「どこが不思議なんだい?」
とジェイクが言った。
「不思議でなくてどうする」
とサイラスが言った。
「そんなに大勢の人がだ、おいらがまだ支払いをしてない服で食ってるんだぜ」


未来の人々

小学生が、国債乱発の赤字財政について作文を書いた。
「未来の人々が、今ここにいないのは大変残念です。
僕らが、彼らのお金で色々素晴らしいことをいっぱいやってるのを
見せてあげたいと思うからです」


度胸

「あんたがアメリカ政府ぐらい度胸がすわってたらねえ」
と細君が夫に向かって嘆息した。
「どういうことだ?」
と夫が尋ねた。
「政府の連中は、借金だらけの大赤字だっていうのに、
平気でお金を使ってるからさ」


政府の仕打ち

「五万ドルの収入があるのに、
税金を十ドルしか払わなかった男を知ってるよ」
とジェイクが言った。
「ぜひその男に会ってみたいな」
と相棒のエドが答えた。
「連邦刑務所はアトランタだぜ、
あんなとこまでわざわざ出かけて行くってのかい?」


気の毒な人

「アメリカのビジネスマンにだけはなりたくありませんな」
とソ連の領事が言った。
「法律に違反しようものならたちまち逮捕されるし、
かと言って法律通りやろうものなら税金で身ぐるみ剥がされるんですからな……」


国旗と税金

オランダ人がアメリカ人に自国の国旗の色について説明していた。
わが国の国旗は税金を象徴的に表しているのです」
とオランダ人は言った。
「税金の話をするとき、オランダ人は顔が赤くなります。
実際に納税通知が届くと、顔は白くなります。
そして、払ってしまった後は青い顔になるというわけです」
アメリカ人はうなずいた。
「あなたのおっしゃることはよく分かります。
アメリカの国旗も事情は同じです。
ただ、我々の場合は、火花が大分散っとりますが」


抜本的税対策

税金の申告書の備考の欄に、ある多額納税者が所感らしきものを書いていた。
「あなたがた税務署は、私に、
ある食人種が税金問題を解決するのに採用した方法のことを思い起こさせる。
税金がどんどん高くなり、ついに食費や生活費よりも高くなると、
彼らは、収税吏を食べてしまったのだ」


治療

株屋のマックスが神経症の治療を受けた後、精神病院を退院した。
彼がかかりつけの医者のところに顔を出すと、医者は尋ねた。
「教えて欲しいんだがね、マックス。
あそこじゃどんな治療をしたのかね?」
「そうですね、一番最初は薬をくれました。
でも、全然効きませんでした。
次は物療治療で、体操やらマッサージなんかでしたが、これもダメでした。
三番目は催眠療法を試しました。
これも効果がなかったんです」
とマックスは説明した。
「最後に試みた治療法は、私の帳簿を持って来て、
税務署の係官に徹底調査させるというヤツでした。
これが効いたんです」
「なるほど」
と医者は言った。
「ショック療法ですな」


納税者思い

税務署の入り口にかかっている注意書き。
「足元に気をつけてください」
出口にかかっている注意書き。
「言葉に気をつけてください」


プロフェッショナル

混んだバスの中で、突然女の叫び声が上がった。
「この子が、五セント硬貨を飲み込んだの。
どうしたらいいかしら?」
一人の紳士が近寄ると、子供を抱き上げて逆さまにし、
背中を軽く二、三回叩いた。
すると、五セント硬貨が子供の口から転がり出たのである。
「まあ、何とお礼申し上げてよろしいのでしょう」
と母親が感謝あふれる面持ちで紳士を見た。
「お医者さまですの?」
「いいえ、違います」
と紳士は言った。
「税務署に勤めています」


コンピュータが

税務署員が、納税者に言った。
「ご事情はよくわかります。お気の毒だと思います。
でもね、そういう問題はコンピュータには入りませんのでね」


地方行政を視察にやって来た都会の男に役人が説明した。
「わが郡では、悪路をなくすことに成功しました」
「ほう」
と都会の男は感心して尋ねた。
「そりゃさぞ金がかかったでしょうな?」
「ちっとも、かかりませんでしたな」
と役人は胸を張った。
「道が悪いところは、みんな迂回路という名で呼ぶことにしただけですから」


倫理

土木事業者が、道路建設担当役人の覚えをめでたくしておこうと、
新車を一台贈ろうとしたが、役人は拒否した。
「社長、私の役職からも、また、私の個人的な倫理からも、
そういうものは受け取れませんな」
「なるほど、お気持ちはわかります」
と業者は言った。
「贈り物として差し上げる代わりに、安い値段でお譲りしましょう。
三十ドルぐらいではいかがでしょうな」
役人はちょっと考え、そして言った。
「それなら、二台買いましょう」


稼ぎ

激戦の末、判事に当選した男が最初の事件を扱うことになった。
彼の前に連れてこられたのは、浮浪罪で逮捕されたジム・モランシーだった。
ぼろぼろの服を着たジムに判事は厳しく尋ねた。
「ジム、きみはこの都の名折れだぞ」
と判事は言った。
「いったい、いままでただの一回でも金を稼いだことがあるかね?」
「あるとも、判事さん」
とジムは答えた。
「このあいだあんたに投票して一ドルもらっただよ」


時計の行方

スリが捕まって留置場にぶち込まれた。
仲間が面会に来て言った。
「弁護士を頼んでやったからな。
安心しろ」
「金はあったのか?」
とスリは心配そうに言った。
「いや、腕時計を手付金代わりに渡しておいたよ」
「すまねえ」
とスリは言った。
「あんな高い時計を」
「いや、礼にはおよばねえ」
と仲間は言った。
「もう、奴は持っていないんだから」


弁護士

「いったいきみは何故弁護士を雇わないのかね?」
と判事が被告に言った。
「色々頼んでみたんですがね」
と被告は言った。
「あたしがホントに金を盗んでないとわかると、みんな断るんでさあ」


五十万ドル

依頼主が言った。
「私に不利な証拠が揃っていることは承知している。
しかし、私には五十万ドルの資金がある」
「あなたの弁護をお引き受け致しましょう」
と弁護士は言った。
「五十万ドルを持って刑務所に行くなんてことはありませんよ」
まったくその弁護士の言う通りだった。
依頼主が入獄したとき、彼は、すっかり文無しになっていた。


科学

「現代科学のおかげで一年無駄にしたよ」
と酒場の客が隣りの男に言った。
「手術の失敗かね?」
「いや、証拠の指紋が検出されてね。
一年喰らいこんだのさ」


羽振り

「あなたのご主人ずいぶん羽振りがいいみたいね」
とベシーが尋ねた。
「ええ、羽振りはいいんだけどねえ」
とマンディが答えた。
「いつ警察に捕まるかと、それが心配で……」


清廉潔白

日本の東京に支社を出すことになったアメリカの会社が、
人事部長を東京に派遣し、就職志望者を選考することにした。
部長は通訳に命じて、タナカという男の前の雇い主に電話をかけさせた。
「タナカさんは清廉潔白な人物だと、前の雇い主は言っております」
と通訳は報告した。
「タナカさんは、今まで八回も横領の疑いで警察に捕まっていますが、
いつも無罪になって釈放されたそうです」


探している

商工会議所の昼食会が開かれた。
銀行の頭取の隣りに座ったマンスフィールド夫人が、頭取に話しかけた。
「ブラッドレイさん、あなたの銀行は出納係りをお探しなんですって?」
「ええ、奥さん」
とブラッドレイ氏はにこりともせず答えた。
「でも、ブラッドレイさん」
と夫人は言った。
「お宅の銀行じゃ、つい一ヶ月前、
新しい出納係りをお雇いになられたんじゃございません?」
「そうです、そいつを探してるんですよ、奥さん」


幸運

経済専門誌に強盗殺人事件の記事が出た。
「被害者は、幸運にも、その前日にすべての現金を転換債と国債に換え、
銀行の貸し金庫に入れていたため、
被害は生命を奪われただけですんだ」


警報器

銀行強盗が頻発するので、その銀行は新式の警報器を設置することにした。
強盗が現れたら、窓口の出納係りは床のペダルを踏めばいい。
すると、わずか三ブロックほど先にある警察署の非常ベルが鳴り、
警官が駆けつけるという仕掛けである。
この装置が取り付けられたその日の午後、強盗が入った。
出納係りは、金を渡す前に床のペダルをそっと踏んだ。
すぐに、彼の横にある電話が鳴った。
出納係りが手を伸ばすより早く強盗がそれをひったくった。
「こちらは警察です」
と電話の声は言った。
「誰かが新しい警報装置のペダルを踏んでいます。
気をつけて下さい」


二つの袋

ゴルバニファルは、ホメイニの熱心な信奉者だった。
偉大な導師ラバイと祖母のため、なにか貢献しようと知恵を絞った彼は、
アメリカにいながらにしてできるいいアイディアを思いついた。
夜、スーパーマーケットの紙袋を二つ両腕に抱えて歩いている
ゴルバニファルに出会った隣りの男が尋ねた。
「こんな夜中に買い物かい?」
「いや、俺は祖国のために金を集めてるんだ」
と彼は答えた。
「二つの袋がいるのかい?」
「俺のやり方ってのは、こうだ。
公衆便所で用を足している男のところに行って、ナイフを突きつけるのさ。
“イランのために献金するか、それともきさまの一物を俺が切り取るか”ってね。
非常にうまくいってる。
もう、五万ドル以上集めたよ」
「でも、何で袋が二ついるんだい?」
「そりゃ、あんた」
とゴルバニファルは言った。
「みんながみんな金を出すわけじゃないんだ」


金のありか

真夜中、貧乏な牧師の家に泥棒が忍び込んだ。
物音に牧師が目を覚ますと、泥棒はポケットからピストルを出して言った。
「動くな。動くとあんたは死人になるぜ。
俺はおめえのゼニを探してるんだ」
「何ですって?」
と牧師は言った。
「それなら私も起きて、電気をつけ、一緒に探そう」


ご利益

教会の礼拝が終わって外に出たメリウエザー夫人は、
車に乗ってからハンドバッグを教会のベンチの上に置き忘れてきたことに気がついた。
急いで引き返した彼女は自分が座っていたベンチの辺りを探したが、
ハンドバッグは見当たらなかった。
誰かが持ち去ったのだ。
夫人がどうしたらいいか考えていると、牧師がやって来て言った。
「ああ、メリウエザー夫人、ハンドバッグをお探しでしょう?
ここにありますよ。
さっきそこで見つけたんで、用心のためお預かりしておいたんです」
「あら、牧師さん、どうも恐れ入ります」
と夫人は言った。
「でも、教会で人のバッグを盗む人はいないと思いますが」
「私もそう思います」
と牧師は言った。
「でも、私はうちの教会の信者の方々をよく存じておりますから申し上げるのですが、
ハンドバッグを見つけて、お祈りが聞き届けられたと思う人も
いないとは限りませんからね」


親の立場

ユダヤ教のおきてには、
持てる者は持たざる者に施しをしなければならぬ、
という一項があって、このため、
金持ちは貧乏人を家に招き入れて食事を与えなければならない。
金曜日の晩にある浮浪者が金持ちのメンデルの家にやって来るのが長年の習慣になっていた。
ちょうど主のメンデルが夕食の席につく頃、
この乞食はどこからともなくやって来て戸を叩くのである。
しかし、ある金曜日の晩、戸口に現れた彼は若い見知らぬ男と一緒だった。
このぶしつけな浮浪者のやり口に腹を立てたメンデルが憮然として言った。
「これはどういうことだね!
あんたは、私の食卓に客まで招こうというつもりかね?」
「いや、客ってわけではねえんです」
と浮浪者は言った。
「こいつはあたしの義理の息子でしてね、娘と一緒になるときに、
とにかく向こう一年間は寝るところと食うことの面倒はみようって約束しちまったんです」


ケーキ

「この二日間なにも食っていない可哀想な男に、
ケーキを一切れ恵んでくれませんか?」
「ケーキですって?」
とサイモン夫人は言った。
「パンでもいいんじゃないの?」
「普段ならいいんですが」
と物乞いの男は言った。
「今日は、あっしの誕生日なんで」


不運

「フロリダの大洪水で家族も財産もなくしちまった男におめぐみを」
「あら、あなたはたしかガルヴェストンの洪水で家族をなくし、
ベトナム戦争のときに弾丸ショックで神経症に
かかったって言ってた人と同じ人じゃない?」
と奥さんが言った。
「さいですか、奥さん」
と男は言った。
「なんにしろあっしは、地上で一番運の悪い野郎でございます」


身なり

「奥さん、古いコートはございませんか?」
と物貰いの男が尋ねた。
「でも、あなたが今着ているコート、新品同様じゃありませんか!」
と奥さんが言った。
男はため息をついた。
「こいつのおかげで、わしの職業がめちゃめちゃなんでさあ」


ご親切

「あなた、誰かに仕事をさせてもらったことはありませんの?」
と奥さんが物乞いに来た若い男に尋ねた。
「一度ありますよ、奥さん」
と物貰いの男は言った。
「あとは皆ご親切な方ばかりで、ハイ」


アイディア

道で中年男に一ドルねだられたビジネスマンが言った。
「見れば丈夫そうな身体をしてるじゃないか、何故働かないんだ。
もし、あんたがその気になって探せば仕事なんていくらでもあるだろうに」
「仕事?」
と中年男は言った。
「こう見えてもあっしはちゃんと仕事を持ってます。
あっしは物書きなんで。
昔は、『かねもうけ千のアイディア』ってベストセラーを書いたこともあるんです」
「ほう、それで今は何故タカリをやっとるのかね?」
とビジネスマンは尋ねた。
「これは、そのアイディアの一つなんでさあ」


誰だ

小遣いをせびりにきたおいをみて、夫人は言った。
「まあ、丁度よかったわ。
庭の芝生を刈ってもらうのに男の人を頼もうと思っていたの」
「そう、伯母さん」
と甥は言った。
「その男の人ってどこにいるの。
ボク、呼んできてあげるよ」


レベル

二人の怠け者が、緑の草の上に寝そべって青空を見上げていた。
かたわらを小川がさらさらと流れている。
温かな春の平和な光景だった。
「おい、おまえ」
とひとりが言った。
「百万ドルくれると言っても、俺はここを動かねえぞ」
「五百万ドルなら?」
と相棒が尋ねた。
「ダメだよ、五百万ドルじゃ、ここは譲れねえ」
「それなら、一千万じゃどうだ?」
聞かれた男は起き上がった。
「一千万ドルなあ」
と彼は言った。
「そのぐらいなら話に乗ってやるで」


競合

西部の町に若者がやってきた。
「まっとうな暮らしをしようと思ってこの町に来ました」
と若者は言った。
「そうかい」
と町の古株が言った。
「それならここじゃあんたと競争しようって者はいないから、安心しな」


若年寄

「年金を貰うには」
と係員が三十五歳のジェンキンスに説明した。
「六十五歳みたいに感じるだけでは不十分なんですよ。
実際に六十歳になる必要があるんです」


半額

「目の見えないあわれな男に月百ドルの手当てを」
と失明した男が言った。
「でも、あんた、片目は見えるじゃないか」
と役所の福祉係が反論した。
「なら、五十ドルでいいや」


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