[MainPage] [Back]

毎週のジョーク - [04]


任せる

スミス氏が娘の婚約者に言った。
「娘はきみの妻になることを承知したんだね。
それで、きみたちは結婚式の日取りをもう決めたのかね」
「お嬢さんにお任せします」
「教会でするのかね。
それとも内輪で済ませるつもりかね」
「お母さまにお任せします」
「どうやって生計をたてるかね」
「お父さまにお任せします」


ソクラテスとか、プラトンとか……

スミス氏は、娘の出来がいいので自慢で仕方なかった。
「うちの娘は何かというと、ソクラテスはどうの、アリストテレスがどうの、
プラトンがどうのと言い出すんだ」
「へえ、アメリカ人の男は嫌いなのかね?」


生死の問題

ある男がもう一時間以上も自分の家に電話をかけようとしていたが、
ずっと話中のサインばかり。
たまりかねて電話局の交換嬢に、話中の電話を切ってくれるよう頼んだが、
交換嬢は、それができるのは生死に関わる場合だけだという。
「そうか」
と男は言った。
「それじゃ言うがね。
電話にしがみついてるのがウチの十四歳の娘だったら、
殺人事件が起こることになるんだぜ」


発作

ロシアの小さな町での話。
この町では、未婚の女性の数が男性の数をかなり上回っていた。
そんなわけで、町の結婚仲介業者は、
男性に結婚相手を世話するのになんの苦労もいらなかった。
しかし、その逆となるとかなり厳しく、
しばしば魅力的な女性が酷い男を夫に選ばなければならない羽目になった。
町でも嫌われ者の男が、美しくて、聡明で、
金持ちの娘を嫁にもらいたいと仲人屋に頼みに来た。
この男は嫌われ者だけあって、行いも容貌もいかにも粗野で、卑しかった。
そんな男の頼みを受けた仲人屋はしばらく考えて、言った。
「ちょうどあなたにぴったりの女性がいます。
彼女は美しく、知的です。
それに父親はとても金持ちです。
でも、ただ一つ小さな欠点があります。
それは、一年に一回だけ、彼女が発作を起こすのです。
一日だけですが、すっかり頭が狂ってしまうんです。
でもそれが過ぎると、また一年間まったく変わらずに、
聡明で美しい女性でいるわけです」
「悪い話じゃないな」
嫌われ者の男が言った。
「もし彼女があんたの言うように金持ちで美しい女なら、
今すぐ会いに行こうじゃないか」
「いえ、それは無理です。
彼女に会って結婚を申し込むのは、もうしばらく待たないといけません」
「一体いつまで待てっていうんだい?」
この欲深な男が聞いた。
「彼女が発作を起こす日までですよ」


悲しい思い

アリスは自分が一番男にもてる女だと思い込んでいる。
「私が結婚をしたら、多くの男性が悲しい思いをするでしょうね」
彼女は例の控え目ぶった調子で男友達に言った。
彼は、あくびをかみ殺しながら答えた。
「そんなに多くの男と結婚するつもりなのかい」


この……

ジムがうぬぼれ屋のジャックに言った。
「ジョーンズのガールフレンドはあまり頭が良くないみたいだね」
「ああ、その証拠にぼくに何の興味も示さないからね」


愛のいろいろ

しきりに結婚を迫るボブに、ジェーンが言った。
「でもあなた、愛だけでは暮らしていけないのよ。
結婚したらお金がかかるわ」
「暮らしていけるとも。
きみの金持ちのお父さんは、きみを愛しているんだろ」


愛した瞬間

甘い声でヘレンがささやいた。
「ロジャー、私を愛してるって最初にわかったのはいつ?」
ロジャーはきっぱりと答えた。
「みんなにきみのことをバカで魅力がないって言われて、
猛烈に腹が立ったときさ」


たわむれに恋はすまじ

うぬぼれ屋のジミーがちょっとした病気でしばらく入院した。
そして病院の美しい看護婦からかゆいところに手が届くような世話を受けた。
「看護婦さん」
ある朝、ジミーは思いを打ち明けた。
「ぼくはあなたに恋をしてしまいました。
よくなりたくありません」
「大丈夫よ」
看護婦は楽しそうに答えた。
「よくなりっこないわ。
だって、先生も私に夢中で、
あなたが今朝私にキスしているところを見ていたもの」


ウーマンリブ

ウーマンリブの、ジェーンがフレッドに聞いた。
「男のマネをしている女の人たちをどう思う?」
「大馬鹿だと思うよ」
「じゃ、マネは成功ってわけね」


短いわけ

ロバートがジェーンに言った。
「おかしなことに、きみと踊っていると、
一曲の終わるのがとても短く感じるんだ」
「短いわけよ。
オーケストラのリーダーは私のフィアンセだもの」


足の重み

ロバートがコチコチに緊張しながら踊り相手のシャロンに言った。
「どうも、あなたとは前にどこかで踊ったことがあるような気がするんですが」
「私もよ。
同じような足の重みを感じたことがあるような気がしますわ」


弱った

実業家のハリーが、弁護士のスミス氏に言った。
「弱ってるんだ。
せがれが、女中をはらませちまった」
「せがれったって、息子さんはまだ……」
「五歳だ」
「えっ! 五歳で、そんなことが出来るのか」
「ああ、雨降りの日があっただろう。
あのイタズラ小僧め、俺のコンドームに針で穴をあけて、遊びやがったんだ」


ボクは戦略家

小さな子供が父親に小遣いをねだった。
「パパ、ぼくに五十セントちょうだい」
「ダメだ、今日はダメだよ」
ませた息子が言った。
「五十セントくれたら、
いつも来る牛乳屋さんが今朝ママに何を言ったか教えてやるんだけどなあ」
父親は慌てて五十セント玉を取り出して息子に渡しながら言った。
「ほら、五十セントやるよ。
それで彼はなんて言ったんだい」
息子が答えた。
「うん、奥さん今日は牛乳を何本入れたらいいですかって言ったんだよ」


汝の父を見よ!

「ボク、五セントくれたらいい子にしてるよ」
とウィリー坊やは期待しながら言った。
「まあ、ウィリー」
とママがしかった。
「何でお父さまみたいになれないの。
お父さまは一セントもあげなくたっていい子にしてますよ」


車掌になりたい

男の子が女の子に自分の夢を話してきかせた。
それは、大きくなったら鉄道の車掌になりたいというものだった。
「でも」と女の子が言った。
「機関士になって汽車を走らせる方がいいんじゃなくて」
「ダメなんだ」
と男の子が答えた。
「お客が残していったマンガは車掌のものなんだぜ」


おませ

七歳になるおませな女の子がママに弟が欲しいとおねだりした。
ママはいささかうろたえたものの、すぐ気を取り直し、
なだめるような口調で言ってきかせた。
「残念だけどそれは出来ないのよ。
赤ちゃんって、とてもお金がかかるの。
今、パパとママにはそんなお金はないわ」
「ママ」と娘は怒った口調で言った。
「赤ちゃんはお金で買うものじゃないのよ。
ちょっと話があるから、そこに座ってちょうだい」


勇気

男たちが酒場で、自分がいかに勇敢であるか互いに競いあっていた。
それらの話がふくらみすぎて、馬鹿馬鹿しい程になったころ、
それまで黙って飲んでいた歳を取った男がポツリと言った。
「俺にはとてもそんな勇気はないけどな、
俺の兄貴は有名な早撃ちのジェシイ・ジェイムズに向かって、
図体ばかりでかい泣き虫小僧め、と言ったんだぜ」
「なんだって」
それまで自慢くらべをしていた連中が叫んだ。
「ジェシイ・ジェイムズに泣き虫小僧って言ったんだって?
その話を聞かせてくれ」
「兄貴はかなり酔っ払っていた」
老人が話した。
「同じ酒場にジェシイ・ジェイムズもいたんだが、兄貴はそこまで歩いていって言ったんだ。
『ジェシイ・ジェイムズ、おまえは図体ばかりでかい泣き虫小僧だな』と」
「それでジェシイ・ジェイムズはどうした?」
聴衆が一斉に聞いた。
「うん、兄貴を撃ち殺したよ」
老人は答えた。


ペンギン

旅行者がへたれこむような格好で、居酒屋に入ってきた。
ふるえる声でダブルウイスキーを注文した。
「ところでペンギンてのは、背の高さがどのくらいか知ってるかね」
居酒屋の主人がウイスキーを運んでくると、そのひどく動揺している客が聞いた。
「そうさね」
居酒屋のおやじが床からニフィート程のところに手を出して答えた。
「これぐらいかな」
「ほんとかね、確かかね」
「まあね、本で読んだんだが、南極では四フィートもあるペンギンがいるそうだよ。
それが最大だそうだ。
どうしてだね」
「畜生」
旅行者がうなった。
「オレがひいちまったのは、やっぱり修道女だったんだな」


不都合

男が、自分の娘と結婚した男のことでぶつぶつ言っていた。
「あの男は、酒も飲めんし、カードも出来ないんだからな」
「それなら願ってもない婿さんじゃないか」
友人が言った。
「いいや」
男が言った。
「彼は、カードも出来んのにカードをやるし、
酒も飲めないくせに飲みおるんじゃ」


その結果

イギリスの下院議員だったサー・ウィルフレッド・ロースンは熱心な禁酒主義者だった。
あるとき下院で酒の害を説き、激しく酒を論難した。
その演説を聞いていた反対党のある議員が隣席の議員にささやいた。
「彼はもともとはあんな風じゃなかったんだぜ」
彼が言うには───
サー・ウィルフレッドの大学時代のことだった。
彼が寮の規則を破ったというので、舎監が彼を呼び出した。
「きみが、部屋にビール樽を一樽隠しているというものがいる」
舎監が言った。
「それは寮規違反だが、何か言うことはあるかね」
「その通りです」
サー・ウィルフレッドは罪を認めた。
「でもぼくはとても身体が弱くて、
医者がビールを飲んだら丈夫になるというものですから、
ビールを部屋に置いといたのです」
「それで丈夫になったかね」
疑わしげに舎監が尋ねた。
「ええ、ほんとにその通りでした」
ウィルフレッドは答えた。
「樽が着いたとき、ぼくはそれを動かすことも出来なかったんですが、
今ではその樽を部屋中転がすことも平気で出来ます」


理想の聴衆

スピーチの名人が、理想的な聴衆について聞かれた。
「そうですね、私にとって理想的な聴衆といえば」
名人は答えた。
「教育があり、高い教養を持った人……
それにちょっぴり酔っ払っていれば言うことありませんね」


飲酒の害

「酒こそ」
とアイルランドの神父が民衆に向かって説き聞かせていた。
「わがアイルランド人の最大の呪いである。
そのために、われわれは隣人と喧嘩が絶えないし、
地主のイギリス人にはしょっちゅう発砲する」
と言って神父は聴衆を感慨に耐えないという表情で見まわした。
「───その弾丸が当たったためしがないのも酒の所為なのだ」


司教もまた

神父はずっと、何とかしてケリーを改心させようとしてきた。
しかし大酒呑みのケリーは一向に取り合おうとはしなかった。
ある日、ケリーが神父に話しかけた。
「教えて欲しいんだがね、神父さん。
座骨神経痛ってのはどんな病気だね」
神父は、ケリーを脅かして改心させるチャンスが来たと考えた。
「それはなケリー、酷く痛い病気でな、
大酒を飲んで自堕落な生活をしているろくでなしがなるんじゃ」
「ほんとかね」
ケリーは考えこんだ。
「ほんとだとも。
しかし何でそんなことを聞くんだね」
神父が尋ねた。
「ちょっとびっくりしてるんだよ」
ケリーが答えた。
「新聞を読んでたら、司教さまが入院したっていう記事が出てたんだ。
座骨神経痛にかかったって書いてあったんでね」


凡人になりたい

禁酒を誓った男が酒場で飲んでいた。
それを見てかつての呑み仲間が言った。
「よお、禁酒はやめたのか」
「そういうわけじゃないけどね。
生のカキは食べないとか、西洋キャベツは嫌いだからいらないとか言ったって、
誰もどうしてだって聞くやつはいない。
ハンティングやゴルフをしないからといって、その理由を問いただされることはないんだ。
そんなことは個人の好みだってわけさ。
ところが、マーティニとかウィスキーサワーなんかを断わったりするとどうだ?
必ず理由を聞かれ、挙句のはてに『胃でも悪いのかね』などと心配そうな顔をされるんだ。
『禁酒しているんです』とでも答えてみろ。
禁酒した理由を、それこそしつこく問いただされる。
まるで変人扱いだ。
俺は凡人でいたいだけさ」


名医なものか

酒を飲んで診察してもらいに来た男が、
医者に酔いをさましてから来いと命じられて、医院の前で文句を言っている。
「あんな野郎が名医だなんて、ちゃんちゃらおかしいぜ。
見てみろ、あいつの患者を。
みんな病人じゃないか」


謙虚

医者が患者に言った。
「最善なのは、酒をやめて早起きし、運動を怠らずに早寝することですな」
患者が尋ねた。
「それが最善ということはわかりました。
それで最善の次をお聞かせ願いたいんですが。
あたしゃ根がつましい性質たちでして、最高のものは肌に合わないんです」


同罪

教養のある酔っ払いがスピード違反で逮捕され判事の前にひきだされた。
「刑を宣告する前に何か言うことがあるかな」
判事が言った。
「ハイ」
と酔っ払いは答えた。
「私はただ芸術家たちと対話していただけです。
ヘミングウェイ、ピカソ、フォークナー……」
「もうたくさんだ」
判事は話をさえぎって言った。
「十日間の拘留。
それから警部、今被告が述べた名前を控えて、その連中も捕まえてきなさい。
思うに彼らも同罪に違いないからな」


さては……

金曜日の夕方、ピトレは現場監督から超過勤務を命じられた。
そこでピトレは、友人のゴンドルフォに、
家に寄ってその旨、カミさんに伝えて欲しいと頼んだ。
ゴンドルフォはピトレの家に行き、カミさんに告げた。
「あんたの亭主は今日遅くなるよ。
どうだい、その間に俺と一発やらないか?」
ピトレの若いカミさんはびっくりして、きっぱりと拒絶した。
そこで、ゴンドルフォは性懲りもなく言ってみた。
「じゃ、五十ドルでどうだい」
「まあ。なんてことを!」
「それじゃ百ドルだ」
「やっぱりいけないんじゃないかしら?」
「ええい、しょうがない、二百ドル出そう。
これなら文句ないだろう?」
ピトレのカミさんは、素直にゴンドルフォを寝室に案内した。
ゴンドルフォは思いをとげると満足して二百ドル渡し、帰って行った。
その夜遅く亭主が帰ってきて女房に尋ねた。
「俺が遅くなるって、ゴンドルフォのやつが伝えに来たか?」
「ええ、来ましたよ。すぐ帰りましたけどね」
「それで、やつはちゃんと俺の給料を渡してくれただろうな。
おまえに渡すよう、ことづけたんだ」


馬鹿な氷屋

電気冷蔵庫がまだ普及していなかった頃のこと。
ポーランド系のヴィトコウスキーという男が
マンハッタンの三番街をゲラゲラ笑いながら歩いてきた。
やはりポーランド人のカヴェッキーが通りかかり、
笑っているヴィトコウスキーに尋ねた。
「おめえ、なんでそんなに笑ってるんだ?」
ヴィトコウスキーはこみあげる笑いをおさえるのに苦労しながら答えた。
「いや、実はな、
今朝出会った馬鹿な野郎のことを思い出したら
笑いがとまらなくなっちまったんだ。
というのは、どうしたわけか今朝目覚ましが鳴らなくってよ、
おいらも女房も寝過ごしちまったんだ。
目を覚ましたら、もう九時じゃねえか。
おいらは飛び起きて服を着て、ちょうど出かけようとしてたら、
どうだい、寝室のドアが開いたじゃねえか。
入ってきたのを見たら氷屋とくらあね」
「おめえ、それでどうした?」
「笑ったね。
あの氷屋の若造め、足りないにもほどがあらあ、
寝室に冷蔵庫があると思っていやがる。
馬鹿だよ、あいつは」
それから、二人の友人は大笑いに笑いながら連れ立って三番街を歩いて行った。


死んだのは?

やきもち妬きの男。
自分の女房が浮気をしているのではないかとしじゅう疑っていた。
ある日、男はいつもより早くアパートに帰ってみると、
案の定、女房は男とベットにいるではないか。
男はすぐさま二人を撃ち殺してしまった。
それからゆっくりまわりを見回して言った。
「あれ、部屋を間違えちまった」


待っている

自分の恋人が見知らぬ男とキスをしているのを見ながら
ジミーが平気な顔をしているのに驚いてジャックが言った。
「おい、ジミー、きみは恋人を愛しているんだろ。
それなのに彼女が他の男と一緒にいる現場を見て、
男をノックアウトしないのかい」
ジミーが答えた。
「いや、俺は待っているのさ」
「待っている? 一体何を」
「もっと弱そうな野郎と彼女が一緒にいる現場に出くわすのを」


知っている

ウォレスがすごい勢いでアパートに駆け込んできた。
そして、台所で食事の支度をしていたカミさんに言った。
「たいへんだよ、アリス!
早いとこ、こんなアパートは引きはらおう。
今、聞いたんだが、このアパートの管理人は、
アパートじゅうの女と寝たっていう話だよ。
たった一人を残してね」
「知ってるわ」
カミさんが冷静な声で言った。
「それ、五階のあの高慢な女のことよ」


人違い

医者が書斎から駆け込んできて、その妻に怒鳴った。
「ぼくの診察カバンを出してくれ、急いで」
「どうしたの」
妻が尋ねた。
「いま男が電話をかけてきて、
私がいなくては生きていけないって言ってきたんだ」
妻はしばらく考えていた。
それから優しく言った。
「ちょっと待って。
その電話、私にかかってきたんだと思うんだけど」


勇気

ボブとディックが話していた。
二人は大学に入ったばかりだった。
ボブが言った。
「今日、人前で女を殴っているやつがいたんだぜ」
「それできみはそれを黙って見ていたのかい」
ディックが聞いた。
「もちろん、ぼくはやつのところに行って言ってやったさ」
ボブが答えた。
「女を殴るなんて臆病者のやることだってね。
男を殴る勇気があるのかって言ってやったのさ」
「それでどうなった?」
「うん、そこまでしか覚えていないんだ。
気絶しちまったんでね」


とられたもの

ロバートが酒場でリチャードと話している。
「この前の晩、ぼくが友達と外で飲んでいるあいだに、
家に泥棒が入ってね」
「何かとられたかい?」
「そう言うべきだろうな。
女房は、ぼくが帰ってきたと思ったんだ」


楽天家

ハリーの底抜けの楽天主義は、友達連中をいつもイライラさせていた。
どんなに状況が悪くても、彼は、
「これ以上悪い事態だってあり得るんだから」
と言うのがクセだった。
このクセを直してやろうと思った友達連中は、
完璧に絶望的でハリーでさえも楽天的なことを
言えないような状況を考えだした。
ある日、バーで飲んでいるハリーのところへ
友達の一人が近づいて行ってこう言った。
「ハリー、ジョージに何が起こったか知っているか。
昨夜彼が家に帰ると女房が他の男と寝ているのを見つけたんだ。
そこで女房も男もピストルで殺し、最後には自分も自殺をしたんだよ」
ハリーはこれに対し、
「ひどいものだね。
しかし、もっと悪い事態だってあり得るんだから」
と言った。
「一体全体、これ以上悪い事態なんて考えられるのかい」
と驚き呆れている友達に、ハリーが答えて、
「そりゃそうさ。
もしこれが一昨夜のことだったら、
今頃僕はベッドの上で死んでいたよ」


名前が問題

親友のジョージとフレッドがバーで会った。
「どうしたんだ、フレッド」とジョージが言った。
「ひどく顔色が悪いじゃないか」
「実を言うとね」とフレッドは答えた。
「俺は怖いんだ。
ある男から手紙がきて、
そいつの女房と手を切らなければ殺すって書いてあったんだ」
「何も怖がることはないじゃないか。
手を切りさえすればいいんだろ」
「ああ」とフレッドは言った。
「そう簡単にいけばいんだけどね」
「何が問題なんだ?」
「問題はね」とフレッドは苦々しく言った。
「男が自分の名前を書いてくれなかったんで、
どの女と別れたらいいのかわからないんだ」


ご同様

ジョーがバーで飲んでいると見知らぬ男が近寄ってきた言った。
「ジョー・スミスさんかい」
「そうです」
「二、三週間前シカゴにいなかったかい」
「ちょっと待ってください」
ジョーはポケットから小さな手帳を取り出してページを繰り、
順に行を追ってうなずいた。
「ああ、シカゴにいましたよ」
「シャーマンホテルに泊まらなかったかい」
ジョーはまた小さな手帳を見て、「ああ、シャーマンホテルに泊まりました」
「213号室じゃなかったかい」
ジョーは手帳に目を通して、「ええ。確かに213号室に泊まりました」
「あんた、214号室に泊まっていたミセス・ウェントワースを知っているだろう」
ジョーは再び手帳を見て、
「ええ、214号室に泊まっていたミセス・ウェントワースさんなら知っていますよ」
「もしかして、あんた、ミセス・ウェントワースと寝たんじゃないかい」
ジョーは再び手帳を見て、
「ええ、私、ミセス・ウェントワースと寝ましたよ」
男は突然大声を出した。
「やい、俺はミセス・ウェントワースの亭主だ。
気に入らねえことをしてくれたな」
すると、ジョーはまたしても手帳を見て言った。
「ああ、おっしゃるとおりです。
私も、あなたとご同様、気に入りませんでした」


理由がわからない

二人の男が、ニューヨークの公園のベンチに腰をかけて話をしていた。
「あんたは、デブで、ぼさぼさの髪をした女が好きなのかい?」
「いいや」
「じゃ、いつもニンニクの臭いをぷんぷんさせてる女を好きか?」
「まさか!」
「それじゃ、おっそろしくでかい尻をして、足が大根みたいに太くて、
おまけに血管の浮き出た女は好きか?」
「とんでもない!!」
「じゃ、なんで俺の女房と寝るんだ?」


眠れない

精神科医のところへ一人の夫人がやって来て言った。
「先生、夫のことで相談したいんですけれど、
夫は、自分が冷蔵庫だと思い込んでいるらしいんです」
医者は答えた。
「ご心配なさらなくてもいいでしょうな。
それほど実害のない思い込みですし」
「ですけど、先生、夫は口を開けたまま寝るくせがあるものですから、
明かりが目に入って、私とても眠れないんですの」


遅れる時計

シャロンがぼやいている。
「掛け時計が落ちたのよね。
あと一分早ければみごと姑の頭に当たるところだったわ。
まったくあの時計ったら、いつも遅れるんだから」


ひどい侮辱

ポールが帰宅すると、
妻のカトリーヌが目にいっぱいの涙をためながら言った。
「あなたのお母さんから、こんなひどい侮辱を受けるなんて」
「俺のお袋が? だけどカトリーヌ、お袋は、遠いフランスにいるんだぜ」
「わかってるわよ、そんなこと。
ただ、あなたあてに手紙がきて、つい封を切って読んでしまったのよ」
「それで?」
「そうしたら、追伸に、こう書いてあったのよ」
とカトリーヌは答えた。
「『親愛なるカトリーヌ、
この手紙を読み終えたら、ポールに渡すのを忘れないでおくれ』
ですって、あんまりだワ」


紳士か淑女か

ある男が、細君にナイロンの靴下を買ってやろうとデパートに出かけた。
うっかりして、バーゲンセールの売り場に入ってしまい、
物凄い混雑に巻き込まれた。
夢中になった女たちに押され、足を踏まれ、身動きがとれない。
彼は出来るだけ我慢したが、とうとう頭をさげ、
肘を張ってしゃにむに、群衆の外に出ようとした。
「あなた」と一人の女が叫んだ。
「紳士らしく振舞ったらどう」
「もうだめです」と男は答えた。
「一時間も紳士らしく振舞っていたんですがね。
今は淑女のように行動しているってわけですよ」


どういうこと?

フェルドシュタインはもう三十年もペンキ屋をしていた。
ある家の寝室の壁を塗り替えたフェルドシュタインは、奥さんに、
翌朝まで壁に手を触れないようにくれぐれも注意するようにと言って帰った。
にもかかわらず、待ちきれなくなったその家の主人が壁にさわり、
大きな手形をつけてしまった。
翌朝、台所のペンキを塗るためにやって来たフェルドシュタインをつかまえ、
奥さんが言った。
「フェルドシュタインさん、ちょっと寝室に来てくださいな。
ゆうべ主人がさわったところを見ていただきたいのよ」
フェルドシュタインはため息をついて、弱々しく言った。
「奥さん、私はもう年をとっているんでね。
もし、何かしてくださるんなら、
熱い紅茶をいれてもらったほうが有り難いですなあ」


知る人ぞ知る

あるパーティーで、
接待役の婦人がオードブルの皿を持って客たちにすすめていた。
「どうぞ、召し上がってください」
彼女は皿を差し出しながら、肥った女の客に言った。
「いえ、結構です」
「あら、どうぞ、ご遠慮なさらないで」
夫人がさらにすすめると、肥った女は言った。
「いえ、本当においしいのですけれど、
私はもう六つもいただきましたので」
「あら、正確には七つ召し上がったようですわ。
でもそんなこと構いませんでしょ。
誰もそんな数なんぞ数えておりませんもの。
それにあなたがこれ以上少しばかりお肥りになったところで、
誰にもわかりませんことよ」


時間の問題

ボブとフレッドが何年ぶりかで会った。
「ところで、きみの奥さんは相変わらず美しいかい?」
とボブが尋ねた。
「もちろん」とフレッドが答えた。
「ただし、前よりずっと時間がかかるけど」


そんなはずは

レジに座っている器量自慢の娘が休暇を求めてきた。
「どうしても休息が必要なんです」と彼女は言った。
「あたし、器量が落ちはじめています」
「どうしてそんなふうに思うんだい」と主人が聞いた。
「このごろ、男の人たちが釣銭を数えるようになったんです」


避妊

「イタリア人は避妊をしないって本当かい?」
とボブがリカルドに聞いた。
「うちじゃやってるよ。
女房が化粧を落し、コルセット、かつら、入れ歯の順に外していくんだ」


すすめ方

男の子はメニューの中の値段を見てから女の子にこう言った。
「私のまるまる太ったかわい子ちゃん、何か食べるかい」


孤独な年齢

「一人っきりで歳をとっていくってのは恐ろしいもんだよ」
ボブが酒場の亭主にしみじみと述懐した。
「でもあなた、奥さんがいるでしょうに」亭主が言った。
「うん、だがね、
うちの女房は、もう八年間も誕生日は祝わないことにしてるんでね」


倹約家

浪費家の妻を持つボブがフレッドに聞いた。
「きみの奥さんは倹約家かい?」
「そう、ときにはね。
昨日なんか、女房の四十歳の誕生日だったんだけど、
ろうそくを二十六本しか立てなかったもの」


[MainPage] [Back]