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毎週のジョーク - [01]


実地教育

教育熱心だがいたずら好きの父親が息子のビルに言葉を教えていた。
「いいかね、これから私が実地教育で、
怒り、憤怒、激昂という三つの言葉の違いを教えてやろう」
父親は息子に電話帳を持ってこさせると、いつも電車で一緒になる、
名前しか知らない高慢尊大倣岸という噂のある男の番号を調べた。
父親はダイヤルを回した。
その男が出ると、父親は言った。
「ベンはいるかい?」
「ベンなんて男はいないぞ。
君は何だって番号をちゃんと確かめてから電話をかけないんだ?
こんな真夜中に非常識だぞ!!」
と男は怒鳴った。
父親は受話器を置くと息子に説明した。
「これが怒りだ。さあ、この次まで二、三分休憩だ」
二、三分すると、父親はまた同じ番号を回した。
「ベンはいるかい?」
今度は、相手の男の返事は絶叫に近かった。
「いったい何だこれは? 貴様は気狂いか?
電話番号をよく見ろって言ったじゃないか!!」
男は受話器を叩きつけた。
「これが憤怒だよ」
と父親は言った。
「この次は激昂の実例を見せてやろう」
十五分ほどして、父親はまた同じ番号を回した。
また、同じ声が出ると、父親は快活そのものという声で言った。
「私はベンだが、ここ三十分ほどの間に私に何か伝言を頼まれなかったかね?」


約束

「母ちゃん、父ちゃんが猫の仔を全部溺れ死にさせたんだよ」
「泣くんじゃない。きっとどうしてもそうしなきゃならなかったのさ」
「そんなことないや。
だって、僕にやらせてくれるって約束してたんだ」


訴因

ロドニーが友人のビリーに言った。
「父はニューヨーク市を訴えているんだ。
パトカーが時速九十キロでコーナーを曲がってさ」
「それでお父さんをはねちゃったのかい?」
「いや、後ろのドアが開いて、父は道路に放り出されちゃったのさ」


声がせぬ

学校での作文の時間に与えられた題名は、
この一週間に起こったことについてであった。
アーヴィングが朗読した。
「先週パパが井戸に落ちました」
「それは大変。で、もういいの?」
「大丈夫だと思います。
助けてくれって叫び声が昨日から聞こえなくなりましたから」


故人に敬意を

パディーが顔を誰かの拳骨でやられたらしい。
青アザやら黒アザやらで華々しく飾り立ててバーに現れた。
「いったいどうしたんだ」
仲間の一人が尋ねた。
「いや、マイク・オレイリーとちょっとした口論をやらかしてしまってね」
パディーが答えた。
「それで、そのヘナチョコ野郎も君みたいになってるのかい?」
「頼むよ、紳士諸君」
パディーが言った。
「故人について語るときは、敬意を欠かないようにしてくれたまえ」


機転

「おい、メアリー、赤ん坊がマッチを呑み込んじゃったぞ」
「じゃあ、このライターを使いなさいな」


夜の森

「母ちゃん、どうしてパパはこんなに青い顔なの?」
「おだまり! 黙って掘るのよ」


本当に吊るしたいもの

「おいおい、こんな絵が芸術だっていうのか、
いったい何だってこんなものを吊るしたんだ?」
「きっと描いた奴を見つけられなかったからだろう」


ピーナッツ

三人の男が判事の前に引き出されてきた。
公園で秩序を乱す行為があったというのだ。
「何をしたんだね」
判事が第一の男に尋ねた。
「ちょっとピーナッツを池に投げ込んだんで」
男が答えた。
「それほど有害な行為だとは思えんが」
判事が言った。
「それではお前は何をしたんだね」
第二の男が答えた。
「ヘェ、あっしもピーナッツを池に投げ込んだんで」
判事は第三の男に向かって言った。
「それでお前は? お前もピーナッツを投げたのかね」
「いいや、違いまさぁ」
第三の男が答えた。
「あっしはピーナッツってあだ名なんです」


急げ!

船は沈み始めていた。
船長が叫んだ。
「誰か、お祈りのできる者はいないか!」
「私ができます」
一人の男が答えた。
「よし、それではお祈りをしてくれ」
船長が言った。
「残りの者は救命具をつけろ。急げ、時間がないぞ!」


殺人事件

マンハッタンの瀟洒なアパート。
ピアノの練習に余念のない女性の家の玄関の戸をどんどん叩く者がいた。
女性が開けてみると、若い警官が息を弾ませて立っている。
「いったい何事ですの?」
と女性は尋ねた。
「たったいま電話があったんです」
と警官は叫んだ。
「この家で、いまショパンて名の男が殺されている最中だって……」


過失

事故のあと、女性ドライバーが言った。
「心配ですわ、あたし。ひょっとしてあたしの方が悪いんじゃないかと思って」
「いや」
もう一方の車を運転していた男が言った。
「私の過失です。
少なくとも、百メートル前で、
こちらの車を運転しているのが女性だということに私が気がついてさえいたら、
道路から外れて畑の中に車を入れる事は簡単でしたし、
そうしていたらこの事故は避けられたでしょうからね」


占い師

頭のいい男が、占い師を困らせてやろうと一計を案じた。
「喜びそうなことばかり言ってくれるのはいいから、
今度は俺がどういう人間なのか当ててみな」
「そうですか、それでは。
まず、あなたは三人の子のお父さんです」
「ほれみろ、間違いやがった」
頭のいい男は言った。
「俺は四人の子の父親なんだ」
占い師は静かな声で言い返した。
「それは、あなたがそう思ってるだけです」


豚児

大学生の息子が、父親が使っているソーセージ製造機を嘲笑った。
無学な移民の父親は、この古い機械をせっせと動かして息子の月謝を稼いでいたのである。
「こんな機械古くて話しにならないよ」
と息子は言った。
「こっちから豚を入れれば、向こうからソーセージが出てくるってだけのことじゃないか。
いまどき、流行らないね。
もしこれが、こっちからソーセージを入れると向こうから豚が出てくるってのなら、
そいつはすごいけどさ」
老いた父親は、首を横に振って、力なく答えた。
「息子や、そんな機械はわしは持っとらん。
だがな、おまえの母さんは、たしかに、そんな機械を持っておるわい。
ソーセージを入れると豚が出てくるものを……」


プラクティカルジョーク2

稀覯本の収集に凝っている男がいた。
四六時中考えるのは本のことばかりで、
友人達を古書と掘り出し物の話でうんざりさせて少しも反省の色がない。
友人達もしだいに我慢ならなくなってきて、ちょっとばかり収集狂をこらしめることにした。
友人達は若い俳優と相談し、筋書きをこしらえ、収集狂を昼食に招いた。
昼食が始まるか始まらないかのうちに、予期した通り、収集狂はたちまち古書の話を始めた。
「それですよ、あの古本。あんな役立たずな代物はありませんよ。 僕は我慢がなりませんね」
と共謀している役者は口をはさんだ。
「かび臭いし、陰気で、たまったもんじゃありません。
実はこのまえも、うちにあった古いドイツ語の聖書を捨ててしまったところです。
とにかく古いもので、もう大昔から我が家に伝わっていたものなんです。
ものが聖書だけに捨てられなかったんですな。
そのかび臭かったことといったら!」
「どこの印刷でした?」
とマニアは膝をのり出した。
「さあ、よく覚えてませんが、
グーテン何とかって名のドイツ人が作ったものらしかったですよ」
マニアは、ポトリと手に持っていたナイフとフォークを膝の上に落とした。
「ま、まさか、グ、グ、グーテンベルグじゃないだろうね」
「ああ、それだ。グーテンベルグです」
「そりゃ大変だ! ええ、きみ、大変なことをしてくれた。
きみが捨てた本の値打ちはひと財産は優にあるんだ。
さあ、すぐに拾いに行こう、こうしちゃいられないんだ」
「いや、だめです。そんなはずありません」
と役者は平然と言った。
「どういうことだ、それは?」
とマニアは金切声に近い声で叫んだ。
「何を言ってる、ひと財産どころか、歴史的……さあ、早く、
そんな鳥の唐揚げなんか食っているときじゃないんだぞ」
「いや、あの本は何の値打ちもないですよ。だって僕は確かめたんです」
と役者は言い張った。
「本の中にびっしりと書き込みがしてありましてね、だめなんです。
そう、ルッター某とか、そうだ、マルチン・ルッターとかいう男が、
余白なんか全然見えないほど何か書き込んでしまってるんですよ……」


錆びたナイフ

旅のセールスマンが、通りがかりの百姓家に行ってみると、
官能のかたまりのような女房が一人で留守番をしていた。
亭主は、市に出かけたが、牡牛の世話をするため女房は残ったという。
ものの一時間もしないうちに、セールスマンと女房は、生まれたままの姿でベッドの中にいた。
二人は心ゆくまで男女の快楽をつくしたのである。
二人が眠っているところに、百姓男が戻ってきた。
激怒した百姓は、セールスマンを一発でのしてしまった。
セールスマンが息を吹き返すと、そこは納屋の中だった。
見ると、自分の珍宝ナニが巨大な万力にしっかりとはさんであるではないか。
そして、大男の百姓が、傍でナイフをゴシゴシ研いでいる。
セールスマンは悲鳴をあげて、万力のハンドルを回そうとしたが、
それは途中でポキッと折れていて、いくら力を入れても万力はビクともしない。
「きみ、そのナイフで僕の珍宝ナニを切っちまうのかい?」
とセールスマンは泣き声で言った。
「いんや、おらでねえだよ」と百姓は言った。
「切るのはおめえだ。
おらはこれから外に出て納屋に火をつけるだから」


提案

汽車でたまたま向かい合わせの座席についた二人の老婆が、いがみ合いを始めた。
どちらが進行方向の座席をとるか、スーツケースを座席に置くの置かないのともめ続け、
しまいには窓を開けるか開けないかで、車内中にひびきわたる大声で口論し始めた。
呼ばれて駆けつけた車掌もお手上げだった。
一方は、「もし窓を開けたら、風邪をひいて死んじまう」と言うし、
他方は、「もし窓を閉めたら、窒息して死んじまう」と言う。
その時、「失礼ですが……」と、離れた座席にいた紳士が声をかけた。
「ひとつ提案があるんですが」
車掌は喜んで、どうぞと言った。
「まず最初、窓を開けるんです。
そうすれば、やかましいのが一人死にます。
次に窓を閉めるんです。
そうすればもう一人も死にますから、
我々は再び安らかな旅ができるというわけです」


混血

一目でアイルランド人とわかる男が、
汽車で、キザで尊大なイギリス人と隣り合わせた。
イギリス人は一匹の犬を連れていた。
「見事な犬ですな」
アイルランド人がその犬を見て言った。
「こいつはアイルランド人と豚を掛け合わせて出来た混血でね」
イギリス人はいやみたっぷりに答えた。
「オヤ、それでは」
とアイルランド男は間髪を入れずにやり返した。
「その犬は我々双方と血のつながりがあるってわけですな」


プラクティカルジョーク

サンドイッチの発明者と言われるサンドイッチ伯爵は、いたずらの好きな男だった。
とりわけ彼が好んだのは、聖職者をからかう事で、
神を冒涜する行為には目がなかったのである。
彼は領地の中に教会を持っていたが、
あるときなど、この中に犬と猫と豚と羊を詰め込み、
彼自らが説教壇に登って説教をするという茶番を演じたこともある。
また、彼はヒヒを一匹飼っていて、これを自分の礼拝堂の所属牧師と呼んでいた。
ある日、彼は位の高い聖職者を招き、盛大な晩餐会を催した。
そのヒヒも食卓に席を与えられていた。
会食者がみな席に着くと、伯爵はヒヒに、食前のお祈りをするよう命じた。
それを聞くと、高位の聖職者はすかさず言った。
「伯爵、食前のお祈りは私の務めとばかり思っておりました。
と申すのは、いまのいままで、
あなたの近いご親戚の方に聖職者がおられるということを存じておらなかったのです」


神のお遣わし

人食い人種のある部落は餓死寸前だった。
どの部落を攻めても、常に敗け戦で敵に討ち取られこそすれ、
討ち取ることがついぞなかったからだ。
しかし、天は彼らを見捨てなかった。
木の上の見張りがこう告げたのだ。
「よく太った宣教師二人、只今こちらに前進中!!」


ちょっとだけ

ジャングルの中で宣教師が行方不明になったので、教団は後任を送った。
「君たちは、宗教家というものがどんなものかちっとはご存知かな?」
と、新任の宣教師が人食い人種の酋長に尋ねた。
「前の宣教師が来たとき、ちょっとだけ味わいましたよ」
と酋長は答えた。


定義

人間は自分が食おうとしている相手と仲良くできる唯一の動物である。


今日の献立

「俺は女房の母親が大嫌いなんだ」
と、人食い人種の男が食事の最中に隣の男に囁いた。
「そうかい、じゃ、野菜を食えよ」
と隣の男は答えた。


おお、神様

医学生が夏休みの間アルバイトをした。
昼は肉屋の助手として、牛、豚などの屠殺から解体を手伝い、夜間は近くの病院で働いた。
両方とも長い白衣を着てする仕事で、若者はそれを好都合だと喜んでいた。
ある夜、彼は病院で患者を手術室に運んだ。
患者は神経質な女性だったが、ふと運び手を見上げ、びっくりして金切り声をあげた。
「おお、神様。この人、肉屋だわ」


わかっていた

「原因がどこにあるのか、どうもよくわからない」
医者が、様々な検査の後で患者に言った。
「多分、酒の飲み過ぎじゃないかと思うんだがね」
「きっとそうでさあ、先生」
と患者がいかにもわかったという風な顔で答えた。
「ちゃんとわかっていましたよ。
それで、先生が素面の時にもう一度出直して来ようと思うんですが」


しょげるわけ

「元気をだしたまえ」
と医者がすっかりしょげている患者に言った。
「私も昔この病気をしたことがあるんだ」
患者は力なく顔を上げて言った。
「でも先生は、他の医者にかかっていたんでしょう?」


記念

十歳になる医者の息子が、父親の留守中、
友達と診察室に入り込んで遊んでいた。
突然、息子は戸棚の戸を開けた。
友達は中から現れた骸骨に恐怖の目を見張った。
小さな訪問者のショックが収まった頃、医者の息子は言った。
「パパはこの骸骨をとても自慢にしているんだ」
「ほんと? どうして?」と友達は尋ねた。
「よく知らないけど、たぶん最初の患者だったんじゃないか」
と息子は答えた。


死因

非常に正直な医者がいた。
あるとき患者の死亡証明書を書く段になって、
彼は死因の欄に自分の名前を書き込んだのである。


天使

手術をひかえた患者が、執刀することになった外科医に言った。
「先生、あなたに手術してもらえば、
二ヶ月後にはピアノを弾いてるって約束してくれますか?」
「そうだな、ピアノの約束は出来ないが、
この前にこの手術をした私の患者は、
術後二日のちにはハープを弾いていたはずだよ」


大丈夫?

医者は患者の方に身をかがめて彼の胸を指でトントンと叩き耳をすました。
患者が、先生どうしてそんなことをなさるんですかと尋ねると、医者は答えた。
「よくはわからないんだがね、
でもよく映画の中でこんなふうにやっているじゃないか」


弁護の余地なし

十万ドルの横領拐帯罪に問われている男が、弁護士なしで法廷に出た。
「君の弁護士はどうしたのかね?」と判事が尋ねた。
「弁護士は頼まなかったのかね?」
「いいえ、頼むことは頼んだんです」と被告は答えた。
「でも、私が実は十万ドル盗まなかったってわかると、行っちまいました」


辣腕

陪審員たちは衆議一決、被告を有罪と認めた。
しかし、判事が判決を下す前に一言だけ述べさせて頂きたい、
と辣腕弁護士が申し出た。
判事はこれを認めた。
「裁判長、家宅侵入を犯し、窃盗を働いたのは私の依頼人ではなかったのであります。
なるほど、家の窓が開けっ放しになっている事に気づき、そこから右の腕を突っ込んで、
そこにあったハンドバック並びに宝石類を少々失敬したというのは、
まさしくわが依頼人のなしたるわざであります。
だがしかし、彼の右腕は彼自身とは別の物です。
なにゆえわが依頼人は、
自分自身ではない一本の腕が犯した罪によって罰せられなければならないのでしょうか?」
「なるほど、理屈ではある」
と判事は答えた。
「君の弁論を認める事にしよう。
よって、本官は、被告の右腕を二年と二日の刑に処する。
なお被告人は、右腕に付き添って服役してもいいし、
あるいは右腕のみ服役させてもよろしい。
その選択は被告人の自由である」
これを聞くと、被告人は静かに右の義腕を外し、
愕然としている判事にそれを渡して弁護士と共に裁判所から出て行った。


犯人逮捕

強盗、強姦、殺人、詐欺行為で無期懲役の凶悪犯が刑務所から脱走した。
州警察は二次犯行を恐れ、すぐに非常線をはった。
指名手配書が全国に配られた。
それには、犯人の顔写真が正面と左右二枚写っていた。
まもなく、バクチ場まわりの警官から電話が入った。
「奴らを見つけましたが、ペテン師野郎には逃げられました。
しかし、強盗した奴と強姦殺人をやった奴は、
逮捕の際に抵抗したので射殺しました」


行政の簡素化

いつか税金の申告書の文面は次のように簡略化される。
「お金を残らず出しなさい。さもないと……」


直接・間接

若い妻が夫に尋ねた。
「直接税と間接税はどう違うの?」
夫が答えた。
「それはだね、君が私にお金を頂戴と言って持っていくだろう。 これが直接税さ。
それから、私が眠り込んでいるうちにこっそりポケットから私のお金を取っていくね。
あれが間接税さ」


沈着なり

ジェット機は大西洋の真上を飛んでいた。機内放送が流れた。
「本日は、当機をご利用下さいましてありがとうございます。
当機のパイロットよりお知らせがございます。
当機はただ今、左翼から火を発しております。冷静さを保たれるようお願いします。
下をご覧下さい。海上に三つの点が見えることと存じます。
当機のパイロット、副パイロット、それにスチュワーデスが救命いかだに乗っている姿であります。
なお、この放送は、パイロットが当機を退去するにあたって録音したものです。
幸運をお祈りします」


シーラとジョージは新婚の初夜を、フランス中世の愛の術で迎えることにした。
夜のお楽しみに興をそえるべく、シーラは夫に、
時刻を告げる鐘が鳴るごとに愛を交わし合ってはと、はにかみながら提案したのだ。
ジョージは最初はにんまり笑って応じたが、四度めの時鐘が鳴った後、
ちょっと煙草を買ってくると言って部屋を出、よろめく足取りで時計台の番人のところへ行った。
「聞いていただきたいことがあるんですが」
あえぎあえぎ、いかめしい老番人に言った。
「お願いです、
今から夜の間だけ、その鐘を一時間ごとでなく二時間ごとに鳴らしてもらえませんか?
「おお、ムッシュー」
中世ふうの番人は、見事な口ひげをひねりながら答えた。
「そうしてあげられればいいが、ちと出来かねますな」
「出来ないって?」
ジョージは詰め寄った。
「もしお金が欲しいっていう意味なら、払いますよ!」
「お気の毒じゃが」
と老人は答えた。
「さきほど若いべっぴんさんに買収されて、鐘を三十分おきにならしとるところです」


三人の娘

三人姉妹が同じ日に結婚式を挙げた。
両親は娘たちの寝室のドアに耳をあててまわった。
一番上の娘が笑うのが聞こえ、二番目の娘が泣くのが聞こえ、
三番目の娘の部屋からは何も聞こえなかった。
翌朝、両親はそれぞれに理由を尋ねた。
一番上の娘「だって、いつも言ってたでしょ、くすぐったかったら笑いなさいって」
二番目の娘「だって、いつも言ってたでしょ、痛かったら泣きなさいって」
三番目の娘「だって、いつも言ってたでしょ、口にものを入れてるときは黙ってなさいって」


やめさせる

「奥さま」
未亡人のジュディが隣りのピーコック夫人に苦情を言った。
「再々おたくの息子さんに言ってるんですけど、
いいかげんわたしの後を追いまわすのをやめさせてくださいな」
「わたしも、息子には何度も言ってるんですよ。
いいかげん悪趣味はやめるようにって」


用心

アメリカ人が車でイタリア旅行を楽しんでいた。
ローマまであと十マイルという所で、覆面をして手にピストルを持った暴漢に襲われた。
驚いたアメリカ人は震えながら懇願した。
「お願いだ。金はやる。車も乗っていっていいから殺すのだけはやめてくれ」
「心配するな。言う通りにすりゃあ殺しゃしねえ」
そう言うと暴漢はこの哀れなアメリカ人にズボンのジッパーを降ろすよう命じた。
自分で自分自身を発射させるよう命じられたアメリカ人は抵抗を試みたが、
ピストルを突き付けられていてはどうしようもない。
仕方なく言われる通りに事を終えた。
すると暴漢は、
「よし、じゃもう一度だ」
またもやアメリカ人は言われる通りにする他はなかった。
「もう一度だ。やらなきゃ殺すぞ」
最後の力を振り絞って、アメリカ人は三度目を終えた。
そこで暴漢が声をかけると、岩陰からピチピチとした美しい娘が姿を現した。
そこで暴漢が言った。
「すまないが、妹を町まで乗せていってやってくれ」


浄め

一人の娘が神父のもとに来て、男のペニスを触ったと告白した。
神父は娘に、まず寄進箱に小銭を入れ、それから聖水で手を洗うように言った。
そこへ、もう一人の娘が来て、男と交わったと告白したので、
神父はヴァギナを洗うように言った。
二人が聖水を充たした鉢の傍に立ったところへ、三人目の娘が歩み寄って、言った
「あんたのアソコを洗う前に、ちょっとどいて、
あたしにうがいをさせてよ」


ミニ・カー

オースチン・ミニに乗って、恋人同士が草原に出かけた。
草原に着くと、女は息をはずませて車から飛び出し、
大急ぎで草の上に毛布を敷き男をせかせた。
「はやく、はやくいらっしゃいよ。この気分が消えないうちに」
ミニの中から男が叫んだ。
「その気分が消えないと出られないんだ」


熟練

「正直に言うけど」
とボブは、キャシーを抱いた後告白した。
「きみが初めてじゃないんだ」
「じゃ、私も正直に言うけど」
とキャシーは答えた。
「あなた、まだまだ勉強不足ね」


母の教え

気に入ったボーイフレンドに求められたら拒まずに身を任せなさいと、母は娘に教えた。
そして男が身を起こそうとしたとき、すかさずこう言いなさい、
「赤ちゃんの名前、二人で考えなくちゃね」
そうすれば、男は求婚せざるを得なくなる、と教えておいた。
娘はその通りに言ってみた。
「そうさね」
と男はコンドームを窓の外にぶら下げながら答えた。
「もしこいつから脱出できたとすれば、名前は奇術師と付けなきゃなるまいね」


発展家

「昨夜おまえがキスしていた男の名前は何と言うんだい、娘よ」
「何時頃のこと? パパ」


知らせ

大学生の息子を持つ父親のところへ、寮の舎監から連絡があった。
良い知らせと、悪い知らせがあるという。
「悪い知らせの方を先に教えてもらえますか」
と父親は言った。
「実は、息子さんは救いがたい同性愛者です」
「なんてことだ!」
父親はひどく狼狽して言った。
「それで、良い知らせの方は?」
「息子さんはこの度、ミス学園に選ばれました」


成功作

教授が小説の組み立て方について講義をし、成功作はすべからく、 次の要素を備えている、すなわち、
 一、宗教に言及する、
 二、大衆の上流階級への覗き趣味を満足させる、
 三、何らかの形でセックスを扱う、
 四、ミステリー的要素がある、
以上の四つを、出来るだけ冒頭に近い部分に盛り込むのが良いと、生徒に教えた。
学生の一人が書いた作品の一行目は───
「神よ!」と男爵夫人は言った。「お腹の子の父親は、いったい誰かしら?」


喪失

ブスの女学生が夏の休暇で帰省して、母親に、ついに処女を失ったと打ち明けた。
「どうして、そんなことになったの?」
ショックを受けた母親が尋ねた。
「大変だったわ」
と娘は答えた。
「仲良しの友達が三人がかりで、彼を押さえつけててくれたの」


女学校にて

風紀の乱れを戒める教頭の訓話も締めくくりに近づいた。
「ですからみなさん、どこへ行こうと常に、このチャールズ校の生徒であることを忘れないように。
街を歩きながら煙草を吸わないこと。
教室ではショートパンツはひかえること。
自分達の部屋であろうと、相応しくない話題は慎むこと。
そして、もっとも重要な点ですが、もし男性が付きまとってきたら、
自分自身に聞いてみることです──はたして一時間の快楽が、一生の不名誉に価するだろうか、と。
さて、何か質問があれば……」
教室の最後列から声があがった。
「どうすれば一時間ももたせることが出来るのですか?」


性教育

全寮制のミッションスクールで卒業式をひかえたある日、
深窓の令嬢ばかり世間に出すのだから多少の性教育もする必要があった。
修道院長のマザーが優しく語り始めた。
「娘たちよ、あなた方は間もなく罪深い俗世間に出て行かねばなりません。
そこには大勢の悪い男たちがいるでしょう。
男はあなた方に甘い言葉で近づき、お酒を飲ませ、男の部屋に誘うでしょう。
そうなれば服を脱がせ、耐え切れないほど恥ずかしい姿にしてしまいます。
やがてすっかり傷ついたあなた方を二、三十ドルの金で放り出すようなことさえします」
「すみません。ちょっとお尋ねしてもよろしいでしょうか、マザー」
話の途中で卒業生の一人が手をあげた。
「院長さま、そういう男が三十ドルくれるとおっしゃったのは本当ですか?」
「ええ。男は金で責任逃れをしようとするものです。
まったく卑劣きわまりありません!
でも、どうしてそんなことを聞くのです?」
「いえ、ただ、神父さまたちはチョコレートをくれただけですから」


船旅をしていたある早熟な少女の日記

(月曜日) 船長に食事に招待される。
(火曜日) 船長と一日を過ごす。
(水曜日) 船長に下品な申し出をされる。
(木曜日) 船長に、もし申し出を断れば船を沈めると脅される。
(金曜日) 五百人の命を救う。


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