ストーリー

 城塞都市レクタニアには、かつて大災厄を引き起こしたと言われる一冊の書物が納められていた。大魔法使い“イゾルデ”が書き記したと伝えられるその書物には、人を遥かに超える力と強大な魔力を持つ異世界の住人を召喚し、使役する術が記されていたのである。真銀(ミスリル)をも溶かす古竜の炎ですら滅することの敵わぬその書物を、レクタニアの王は国宝として代々守り続けてきた。しかし今、書物は忽然と消え失せ、同時に、町外れの地下遺跡を利用して建設中であった鍛錬用の地下迷宮に、この地に生息する種々の怪物どもや悪魔のごとき異形(いぎょう)の怪物どもが徘徊するようになったのだ。この異常事態に対し、都市国家を治める“剣匠王”ヴェルターは、列国最強と(うた)われる騎士団を地下迷宮に差し向けたが、迷宮内にあってはさしもの騎士たちもその力を十分に発揮出来ず、探索は遅々として進まなかった。そこで、“剣匠王”はある御触れを出したのである。

 「皆も知っての通り、国宝“イゾルデの書”が何者かによって奪われてしまった。賊は町外れの地下迷宮に怪物どもを放ち、自らはその奥深くに立てこもっているのだ。まだ見ぬ勇士たちよ、不遜なる賊を成敗し、“イゾルデの書”を我が元に持ち帰るのだ! さすれば、騎士の称号と多額の賞金を与えるであろう」

 この御触れに、各地から腕に覚えのあるあらゆる種族の冒険者たちがレクタニアに集まってきた。金のために、名誉のために、そして己の腕を磨くために。
 死と隣合わせの地下迷宮に、今日もまた数人の冒険者が挑もうとしていた……。