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火吹山の魔法使い

紹介

 「火吹山の魔法使い」("The Warlock of Firetop Mountain") は Steve Jackson と Ian Livingstone の共著によるゲームブックであり、タイタン世界を背景としたFighting Fantasy(FF)シリーズの第一作目である。内容は、「火吹山のふもとにある地下城砦ダンジョンの主である魔法使いを倒し、そのお宝を入手する(奪い取る)」という目的のもと、盗賊まがいの冒険者であるあなたが地下城砦に挑むという典型的なDungeons & Dragons(D&D)物である(一人で突っ込む馬鹿はいないだろうとか、そういう野暮な突っ込みはなしの方向で)。一作目だけあって目的としては単純極まりない本作品であるが、双方向型の迷路が組み込まれていたり、正しいルートを見出さなければ魔法使いを倒しても宝を入手できないなどの工夫が見られ、TRPGと比べると、一人遊び用のゲームブックならではの手軽さのために犠牲にせざるをえない多様性……ゲーム性と言ってもいいが、そこを補おうと趣向を凝らしており、一作目にして高い完成度を誇っている。
 ルールはその後のFFシリーズに共通するごく単純なものである。主人公であるあなたは剣の扱いなどの主に戦いにおける技量をあらわす数値として技術点を持ち、生命力や意志の強さ、やり抜く力と総合的な体調をあらわす数値として体力点を、そして生まれつきの運の強さとして運点を持っている。戦闘方法は2d6+自分の技術点を自分の攻撃力、2d6+敵の技術点を敵の攻撃力として比較し、値の高い方の攻撃が成功したことになり、攻撃を受けた方は体力点を二点減らす(攻撃力が同点の場合は振り直し)。これをどちらかの体力点がゼロ以下になるまで繰り返す。運に左右される場面では運試しを行う。これは2d6が運点以下ならば幸運、運点より大きければ不運となり、一回行うたびに運点を一点ずつ失っていく。その他、2d6で技術点以下の値を出せば成功などの判定もあるが、そういった判定はそのときどきで文中にて指示される。
 1982年に英国で発売され大ヒットとなった本作品は、1984年に日本語版が発売、ゲームブックブームを巻き起こしたが、ブームは数年で沈静化し、長らく絶版になっていた。しかし2005年、ゲームブッカーたちの熱い想いを受け、本作品は復刊されたのである(英国では2002年に復刊)。いまやコンピュータRPG全盛の時代であり、今更ゲームブックなんてと思われるかもしれないが、本格的なゲームブックとしては初の作品となる本作品は、コンピュータゲーム以外にも面白いゲームはあるのだということを教えてくれるゲームの一つとして、プレイしておいて損はない作品なので、機会があれば是非一度はプレイしてみて欲しい。

ダイスロールの表記について
 XdYと書いた場合、Y面ダイスをX個振ることを示し、また、出た目をも意味する。1d6ならば6面ダイス(普通のサイコロ)を一個振ること、そしてその出た目を示し、2d6ならば6面ダイスを二個といった具合である。


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