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フリーゲーム紹介 - [VN]

1999ChristmasEve
[作者] 1999ChristmasEve Project [サイズ] 3.1MB
[DLサイト] download.co.jp
 W.Dee氏の『吉里吉里/KAG』というVNエンジン(多分)を用いて作製されたホラー風のビジュアルノベル(もしくはサウンドノベル)。VNと聞くとどうしても連想されがちな所謂萌え系の作品とは一線を画し、様々な恐怖物語を一本のメインストーリーとそれを補足する形のサイドストーリーで描いている。三十種類以上ものエンディングがあるが、『弟切草』のようなそれではなく、『かまいたちの夜』の殺人事件部分のようにあらかじめ決定されている流れの中のどの時点で、どのような視点でエンディングを迎えるかという構成になっている。このゲームでは最初からすべてのエンディングを迎える可能性があり、SNやVNにありがちな、あるエンディングを迎えると追加されるような選択肢はまったく存在しない。これの是非はプレイヤによるのであろうが、当然のように最初からプレイし直させる事を良しとしない製作者の考えは高く評価したい。画像は実写系の背景画像が、多用され過ぎない程度に使用されており、必要以上にプレイヤの想像力を否定するものではないので小説好きな人には歓迎すべき点であろう。
 序盤辺りは違う種類の話を無理矢理繋げたかのような違和感があるが、序盤で畳み掛けるかのように登場人物に恐怖を味わわせることによって事態を整理する余裕を持たせず、これにより最終段階までわりとうまく導いているし、なによりもプレイヤを手っ取り早く引き付ける手段として成功していると言えるだろう。少々気になったのは、登場人物が知識を持ちすぎてはいないだろうかという点である。例えば私はキリスト教とイスラム教の教会様式の違いなどはほとんど知らないし、ヘキサグラムがダビデの星と呼ばれていることなども多くの人にとっては未知の情報ではないかと思う。ただ単に私が無知であり、それらは一般常識であると言われればそれまでなのだが、登場人物がオカルト系の知識を「友達から聞いた」と称してあやふやに語っていたりする辺り、どうにも持っている知識の奇妙な偏りを感じてしまう。もちろん、登場人物が知らなければそういった知識をどこからも得ることが出来なくなり、その結果プレイヤにその情報を伝えることが出来なくなるのも問題ではあるが、知らないことにより生まれる恐怖感というものを少し蔑ろにしてはいまいか、などとも思う。端的に言えば薀蓄の垂れ方が少々暴走気味ではないかと思うのだ。必要以上の情報を与え過ぎるのも考え物である。また、これはこの作品の特徴であり、人によっては長所とも短所とも思える面であるが、メッセージ性が強過ぎるように感じる。中盤から後半にかけて、所々息苦しくなるほどに登場人物が思いや考えを語る場面があり、ここもやはり暴走気味に思えてしまう。プレイヤに色々と感じて欲しい、考えて欲しいという意図はわかるものの、あまりに語りがくど過ぎるのは逆効果ではないだろうか。プレイヤに様々な面から考えさせるためにも、あまりにも一方からの意見を出し過ぎるのはやはり少々問題があるように思う。
 以上のように個人的にはいくつか気になる点があるものの、VNとして、ホラー物として並み以上の作品であることは間違いないし、フリーソフトであることを考えれば間違いなく上級な部類に入る作品である。各種エンディングを埋めていく作業にはゲームとしてのやり応え(少々厳しいようにも思うが、作中にヒントが出るので特に問題はないだろう)を十分に感じるし、そもそもメインの流れからしてわりと長めの話であり、さらに一つ一つのエンディングにそれぞれの味があるから読み物としての読み応えも十分にある。VNの類が好きであり、かつ恐怖物が嫌いでないという人には是非ともプレイをお勧めしたい作品であると言えるだろう。(2001/3)
荒寺の大蛇
[作者] ろーたろう [サイズ] 1.1MB
[DLサイト] narratif
 高橋直樹氏のNScripterを用いて作成された、まさにデジタルゲームブックというべき作品。和風ファンタジー調の内容で、あやかしと戦う武士(っぽい人)のお話である。内容に合った背景画像と音楽、そして効果音が雰囲気を盛り上げてくれる。
 わりと短めの話ではあるが、一度訪れた場所に戻れるというタイプのために、さほど短くは感じない。ゲームブック『サソリ沼の迷路』や、ドルアーガシリーズのようなタイプと言えばおわかりだろうか。多少敵が強すぎるきらいがあるが、いくつか主人公の戦闘能力強化手段が存在するので、それさえわかれば楽勝である。ゲームブックファンにはもちろん満足出来る内容であるし、ゲームブックってなんじゃらほい、という人であってもVNとして十分に楽しめるだろうと思う。
 私の解いた後のバージョンで、ゲームブックの初心者モードと熟練者モードが選択出来るようになり、さらに攻略テキストも追加されていた。なるべくなら熟練者モードで、攻略など見ずにプレイして頂きたい。そうでないと面白さが半減する、と個人的には思っている。(2000/??)
柵の淵(しがらみのふち)
[作者] ekusia [サイズ] 3.9MB
[DLサイト] Project Ekusia
 人里離れた場所に立つ洋館での出来事を描いたビジュアルノベル。元々、オリジナルのVNとしてはかなり早い時期に公開された、登場人物名などの異なるほぼ同ストーリーの作品があったのだが、それを大幅に改装して本作品が出来上がったようだ。分岐やエンディングが多く、非常にプレイしがいのある作品であるし、ある程度分岐する部分がわかるのですべてのエンディングを見るのにさほど苦労はしないと思う。絵はあまり上手ではないようだが(もちろん私よりは上手いが)、別に見苦しいというレベルではないし、何よりも内容が良いので気にはならないと思う。(2000/??)
泡沫−うたかた−
[作者] 高橋直樹 [サイズ] 971KB
[DLサイト] Takahashi's Web
 毎日同じ事を繰り返すことにうんざりし、いつも降りるはずの駅を越えて辿り着いた場所で起こる出来事を描いたビジュアルノベル。この作者の作ったSCRIPTER3というビジュアルノベルツールで作られている。画像は背景のみで、キャラクターの立ち絵などは使われていないが、ヘタに立ち絵を使われるよりシンプルで非常に読みやすいと思う。フリーのオリジナル(二次創作ではない、ということ)ビジュアルノベルではかなり早い段階に発表された作品であると思うが、分岐やエンディングの数もそれなりに多く、しっかりと作られた良作である。(1999/??)
 Nscripterに移植された模様。(2004/04追記)

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