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駄作屋ボブの憂鬱

強い敵を作ってみたッス
ジョニー:なあボブよ、一体なんだってこの盗賊団のボスはこんなに固いんだ?
ボブ  :そりゃボスだからッスよ。
ジョニー:固いだけじゃなくてやけに強いっつうか、全然勝てる気配がねえんだけどよ、一体レベルいくつなんだこいつは。
ボブ  :レベル99でHPは999ッス。
ジョニー:……。
ボブ  :ボスッスから。
ジョニー:……それで、おまえはちゃんと勝てたのか?
ボブ  :楽勝ッスよ。ウチのパーティーは全員改造してレベル上げてあるし、スキルだって超強力なの持たせてあるッスから。
ジョニー:馬鹿野郎!!
ボブ  :うひぃ。
ジョニー:そんな反則キャラで勝ててもしょうがねえだろうが! てめえのシナリオは改造キャラ専用か? あぁコラ。
ボブ  :で、でも普通のキャラでも絶対防御魔法とか無限全体完全回復とか一撃必殺なスキルがあれば勝てるッスよお。
ジョニー:どっちにしろ反則なんじゃねえかよ。
ボブ  :だって、反則って言ったってそういうスキル置いてる店とかたくさんあるじゃないッスか。
ジョニー:んなもん使うんじゃねえよボケが。
ボブ  :ひ、酷いッスよ兄貴! 店シナリオ作ってる人に悪いじゃないッスかあ!
ジョニー:何が悪いってんだよ。ただ強力なだけなら誰でも簡単に作れるだろうが。前言っただろ。そんな適当に作ったシナリオのことなんて考える必要ねえよ。
ボブ  :じゃあどういうのならいいんスか! 基準なんてないじゃないッスか!
ジョニー:リューンがあるだろ。
ボブ  :あれが基準だなんて誰が決めたんスか!
ジョニー:誰も決めてねえけどよ、CW開発元のAskの作ったシナリオだろ。厳密には違うんだろうが、一応公式なもんじゃねえか? あの程度が丁度いいって考えるのが普通じゃねえのか?
ボブ  :だって、リューンのじゃ弱いんスよ。あれじゃあ勝てない敵とかわんさかいるッスよ。
ジョニー:そこだよ、問題は。
ボブ  :は、はぁ。
ジョニー:CWの理念の一つに数値隠蔽ってのがあるだろ。
ボブ  :あるッスねえ。強さがわからなくて不便ッスよね。
ジョニー:まあそういう面があるのは確かだが、数値を隠蔽することによって、プレイヤは数値に縛られずにプレイ出来るという利点があるわけだ。
ボブ  :でもエディタで見れば一発ッスよ。
ジョニー:そりゃそうだけどよ、皆が皆エディタを持ってるわけじゃねえだろ。プレイオンリーでエディタなんざ持ってやしねえプレイヤをメインに考えねえでどうするよ。大体なんでもかんでもエディタで中身見ちまったら楽しみが半減するじゃねえか。
ボブ  :でも威力とかわからないと不安じゃないッスか。
ジョニー:実際に使ってみりゃ大体わかんだろ。大体CWは元々そういうゲームなんだよ。どうせ中身確認するだろうからいいやってんじゃ、製作者としていくらなんでも甘え過ぎじゃねえのか。
ボブ  :そ、そうッスかねえ……?
ジョニー:まあいい。それでだな、数値隠蔽によって、プレイヤは威力をあまり重視することなくイメージだのを優先してスキルを選ぶようになるわけだ。
ボブ  :そ、そうなんスか?
ジョニー:だってよおめえ、ドラクエとかの国産コンピュータRPGを思い出してみろよ。攻撃力15の武器と攻撃力16の武器があったら、大抵は何も考えずにちょっとでも強い方使うじゃねえか。
ボブ  :あ〜、確かにそういうことはあるかもしれないッスねえ。
ジョニー:だろ? その点、CWではキャラに合う物とか、プレイヤの好みで選ぶ事が多いわけだ。
ボブ  :そうッスね。
ジョニー:そこで、だ。イメージピッタリのもんがあったとしても、絵柄や解説じゃ強力そうなのにえっらい弱いもんとか、どんな敵でも一撃でぶっ殺しちまうようなもんだったらどうするよ。
ボブ  :どうするって、それが心配だからエディタで確認するんじゃないッスか。
ジョニー:それを当然だと考えるようじゃ問題なんだよ。プレイヤが数値隠蔽されたゲームを十分に楽しむためには、作者側が気をつけてやらにゃいかんだろうが。
ボブ  :そんな、めんどくさいッスよ。
ジョニー:だからシナリオ作りは面倒で当然なんだよ! 何度言わせりゃ気がすむんだてめえは!!
ボブ  :うひゃん。
ジョニー:プレイヤがシナリオを、いや、作者を信頼してこそ純粋に楽しむことが出来るんだぜ? 逆に作者は、プレイヤがまっとうにプレイしてくれることを期待して公開するわけだ。まあちいと大袈裟かもしれねえが、相互に信頼し合わないと数値隠蔽はなりたたねえのさ。
ボブ  :し、信頼ッスか?
ジョニー:だってそうだろうが。何の説明もなくえっらい強力なスキルを販売する店があったり、シナリオ中に何の助けもなくてまっとうな装備じゃ倒せやしねえ敵がわんさか出てくるシナリオを好き勝手に作られたらもう無茶苦茶じゃねえかよ。
ボブ  :だ、だからエディタで……。
ジョニー:いい加減エディタから離れろッ!
ボブ  :うひぃ。
ジョニー:ゲームをプレイする前にいちいち確認なんざしてられるか! もっと純粋にプレイを楽しませろよ! ゲームってのはそういうもんだろうが!! 一体なんなんだよこんチクショウ! うおぉぉぉぉおおお!!
ボブ  :あ、兄貴落ちついて……。
ジョニー:はあはあはあ……。
ボブ  :それで、ええと……、そうそう、盗賊団のボスッス。あれをどうして欲しいんスか。
ジョニー:……あぁ? ボス? ああそうだ、そうだったな。その話だった。まあボスに限らずよ、まっとうなキャラで、かつリューン装備のパーティーで倒せるようにしとけ。リューン装備が弱いんじゃなくて、敵が強過ぎるのが問題なんだよ。
ボブ  :ザコはいいッスけど、ボスもそれじゃあちょっと弱いんじゃないッスかね。
ジョニー:なにもよ、ボスだからって強い必要はねえだろ。CWはドラクエとかとは違うんだからよ。だがまあそうだな、まっとうなキャラで多少苦戦する程度に調整しておけばいいんじゃねえのか。レベルの高いキャラでプレイしてりゃある程度は楽勝で当然だし、逆に低いなら苦戦して当然だしな。それでも我慢出来なきゃイベント絡みでなんか用意しときゃいいだろ。何かアイテムがないとえっらい苦労するとかな。
ボブ  :う〜ん、レベル高いキャラでも苦戦して欲しいんスよねえ。
ジョニー:その気持ちはわからんでもないが、高レベルのキャラが例のゴブリン退治に行ったら楽勝なのは当然だろ? 似たようなもんだ。大体何も戦闘で苦戦させなくてもいいじゃねえか。依頼をこなすにあたっての困難ってのは何も戦闘だけじゃねえんだ。
ボブ  :高レベルはしょうがないッスけど、でも強力な装備してたらどうするんスか。
ジョニー:そいつは店シナリオと、後はプレイヤの問題だな。
ボブ  :店ッスか?
ジョニー:そうだ。戦闘バランスをリューン準拠装備に合わせて調整するためには、店シナリオをも信頼しなきゃならん。
ボブ  :また信頼ッスか。
ジョニー:結局よ、唯一基準足り得る店シナリオがリューンしかねえだろ? だから現状ではリューン準拠の店シナリオ、そしてそれに合わせた戦闘バランスにしとくのが一番無難だし、望まれてるのさ。店シナリオ作るやつはリューンから大きく外れたのを作らない、戦闘作るやつは基本的にはリューン装備で勝てるようにする。これが一番さ。
ボブ  :う〜ん、でも戦闘はともかく、店の場合は一種のお遊びで強力なもの売ったりとかするじゃないッスか。
ジョニー:それはあるな。だからその辺はプレイヤ次第だろ。お遊び、もしくは反則的なものであるとわかった上で使用するのはプレイヤの自由だしな。だからって戦闘の方がそれを基準にしちまったら大抵のプレイヤは泣きを見るんだよ。
ボブ  :そういう例外があるとなると、やっぱり困るじゃないッスか。
ジョニー:現状では確かにそうなんだよな。だから付属テキストにでも書いておくしかねえんじゃねえか。数値隠蔽だからってよ、あまりに超絶な威力のスキルとかを何らかの理由で用意する場合は忠告しておくべきだし、戦闘バランスについても強力なもんがねえと勝てねえような場合は書いておいた方がいいだろうな。んなもん初めから作らないのがいいんだけどよ、まあどうしても作りてえならとめられねえしな。
ボブ  :なんか色々難しいんスねえ。
ジョニー:ああ、そういう面に気をつけねえとどうしようもねえほどに無茶苦茶になっちまうのさ。エディタの使い方が簡単なのは確かにゲーム製作を容易にするが、ゲーム作りってのはプログラムが出来ればそれで万事オッケーってわけにゃいかねえんだよ。そこらへんを勘違いしちゃいけねえのさ。
ボブ  :うう、勘違いしてたッス。
ジョニー:正直、どうしてもバランスを考慮する気がねえってんならしょうがねえが、考えてみた方がいいと思うぜ。
ボブ  :めんどいからあんまり気が乗らないッスねえ……。
ジョニー:んだとコラ? 死にてえのか?
ボブ  :うひぃ、兄貴さっきと言ってることが違うッスよ!
ジョニー:やかましい! てめえは才能がねえんだから下からコツコツと積み上げていかねえとどうしようもねえだろうが!
ボブ  :さ、才能があるかないかはまだわからないじゃないッスか!
ジョニー:才能と素質を一緒にするなッ! いいからさっさと作れぇえええ!
ボブ  :あうぅ。
ジョニー:返事ぃぃいい!
ボブ  :お、おぉおお押忍!

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