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駄作屋ボブの憂鬱

13. ドラクエとCWは別物なんスか?
ジョニー:本当にこのシナリオでランダムエンカウントが必要なのかどうか、考えたことがあるかボブ。
ボブ  :なんスか急に。
ジョニー:このダンジョン、結構狭いよなあ?
ボブ  :そうッスね。あんまり広いと兄貴が怒るから狭くしたッスよ。
ジョニー:俺が怒るからなのか!? ……まあいい。んでな、この狭いダンジョンの一体どっから魔物がわいてくるんだ?
ボブ  :どこからって……そんなこと考えたこともないッスよ。
ジョニー:じゃあ今考えてみな。
ボブ  :う〜ん、う〜ん……誰かが召喚してるってのはどうッスかね。
ジョニー:それも一つの手だが、このシナリオはただの魔物退治だろう? 召喚術師だのを出したら別のシナリオになっちまうよな。
ボブ  :そうッスよねえ……。じゃあ、ええとええと……うう〜ん……。
ジョニー:あのな、ボブ。ドラクエだのはいくらでも敵が出てくるよな。
ボブ  :言われてみればそうッスね。なんか変ッスよねえ。
ジョニー:いやいや、あれはあれでいいのさ。どっかからわいてくる魔物をぶち殺しまくって強くなるゲームだろ、あれは。敵を倒すことこそが目的とも言えるわけだ。じゃあCWはどうだ?
ボブ  :どうって、CWは敵を倒しても強くはならないッスね。基本的には依頼をこなすことで強くなるゲームッス。でもそれも良く考えると変ッスね。ヘタしたら戦わないのに強くなるんスから。
ジョニー:その通りだ。つまりだな、ドラクエだのとCWは違うゲームなのさ。
ボブ  :でも同じRPGじゃないッスか。
ジョニー:RPGにゃ違いないが、同じじゃねえな。そもそもRPGってのはよ、TRPGが元なわけだ。知ってるか?
ボブ  :詳しくはわからないッスけど、なんとなくなら。
ジョニー:まあそれで十分だ。俺もあまり詳しくは知らねえからな。TRPGってのはテーブルトークRPGの略でよ、要は卓について複数人で会話しながら進めるんだな。ゲームマスターっつう役目の人間が、その場の状況やら何やらを語って、プレイヤがそれに対して自由に行動を告げ、そしてその行動の結果をまたマスターが語るって具合に進めるわけだ。でよ、TRPGってのは一人じゃ遊べねえからよ、一人でも遊べるようにってんで考えられたのがゲームブックなんだな。
ボブ  :ゲームブックって、攻略本か何かじゃないんスか?
ジョニー:違う。分岐のある小説みてえなもんだ。ダイス振って戦闘したりする事が多いんだが、まあ今で言うビジュアルノベルみてえなもんさ。
ボブ  :へぇ〜。
ジョニー:まあゲームブックはどうでもいいんだ。でな、そのうちコンピュータの性能が上がってきたんで、まあここはいっちょコンピュータゲームにしちまおうってんで作られたのがウィズやウルティマなんだな。あくまでもコンピュータ相手だからよ、TRPGをそのままに移植ってのは無理なわけで、コンピュータゲームとしての面白さを優先させるとやっぱ敵をバカスカ倒すゲームになりがちなんだな。
ボブ  :なるほど。
ジョニー:RPG本来の楽しさってのはよ、仮想世界である程度自分の好き勝手な行動が取れるって事だと思うわけよ。ドクラエだのはそういった面からは離れちまって、もうすでにRPGとは呼べないようなもんになっちまってるが、コンピュータRPGとして一つのジャンルを築いてるし、あれはあれでまた別種の面白さがあるわけだ。
ボブ  :ドラクエは好きッスよ。
ジョニー:ふむ。それでだな、自由に行動出来るのが面白いとは言ったが、そのためには仮想世界にある種の現実性がないと、どうにも無茶苦茶になっちまうのさ。言ってみりゃおまえ自身がその世界の住民になるわけだからな、冷静に考えると奇妙なコンピュータRPG的なお約束が多すぎるとTRPG的には面白くなくなっちまうのさ。
ボブ  :それで、それがCWとどう関係するんスか?
ジョニー:CWってのはよ、TRPGがベースになってるんだな。そりゃもちろんコンピュータ相手だから限界はあるんだが、TRPGの雰囲気を持ち込んだっつうか、TRPG風のコンピュータRPGを目指してるんだな。そこら辺がドラクエとはちいと違う部分なのさ。
ボブ  :う〜ん、なんとなくはわかるッスけど、でもTRPGってやったことないんで良くはわからないッスよ。
ジョニー:そうだなあ、こいつは口で説明してもわかりにくいだろうからなあ。まああれだ、Askシナリオを参考にすりゃいいんじゃねえのか。良くも悪くもTRPG風味を生かしたCWシナリオとして基本的な内容になってるしよ、
ボブ  :Askシナリオッスか。
ジョニー:Askシナリオやってるとよ、CWとドラクエタイプのRPGとの違いがおぼろげに見えてくんだろ?
ボブ  :まあ……なんとなくは違うなって感じはするッスけど。
ジョニー:なんとなくか……まあこいつは経験がないと難しいかもなあ。だけどよ、現実性を考えるってのは何も難しい話じゃねえだろ? 自分がその世界の住人だとして、どういった事を考えるか、どういった行動を取るのが自然か、どういった事に疑問を持つだろうかってことを良く考えりゃあいいのさ。あとはただ騒がしいだけのNPCだの、壮大なだけで中身のねえ設定だのをやめりゃあおのずとAskシナリオっぽいのが出来あがるさ。
ボブ  :うう〜ん……。
ジョニー:なんだよ、不満でもあんのかよ。
ボブ  :なんで兄貴はAskシナリオにこだわるんスか?
ジョニー:なんでっておめえ、元々CWはそういうゲームなんだよ。基本的にはAskシナリオみてえな、いわゆる正統派シナリオを作るのが当然じゃねえのかよ。
ボブ  :CWは自由にシナリオを作れるゲームッスよ! 兄貴は正統派なシナリオが好きだからそう言ってるだけなんじゃないんスか!!
ジョニー:まあそうだ。
ボブ  :ふゴッ。
ジョニー:CWはTRPGをベースにしたシナリオを作ることを一番に考えられたゲームなのは事実だし、そして俺はそういうシナリオが好きだ。だからそういうシナリオを作って欲しいわけだ。何か問題があるか?
ボブ  :そ、それはCWの可能性を潰す意見ッスよ! もっと色々と幅広いジャンルのシナリオがあった方がいいッスよ!
ジョニー:そうだな。だから別に俺はそういうシナリオを作るななんて言わねえよ。ドラクエ風だろうがファイナルファンタジー風だろうが読み物だろうがミニゲームだろうがなんだろうが面白けりゃなんでもアリさ。だがな、そういうシナリオばかりで、正統派と呼べるシナリオが少な過ぎるんだよ。だからこそ、基本に戻ってみちゃどうなんだと言いたいのさ俺は。色物ばっかりじゃ飽きちまうだろ?
ボブ  :でも実際正統派なシナリオを作る人がいないってことは人気ないんじゃないんスかね。
ジョニー:残念ながらその通りだな。需要がないわけじゃねえんだが、現状では話や見た目が派手なシナリオの方が人気あるみてえだからな。
ボブ  :人気あるんならそういうシナリオ作りたいッスよ。
ジョニー:そりゃおめえの自由さ。だけどよ、実際おめえロクなシナリオ作ってねえじゃねえか。
ボブ  :こ、これからの俺を見てくださいッス!
ジョニー:やかましい!
ボブ  :うひぃ!
ジョニー:そう言って何度もどうしようもねえシナリオ作ってるじゃねえか! 多少は慣れてきたみてえだけどよ、さっき言ったような仮想世界における現実性ってのが感じられねえんだよ。ドラクエとかならそういう部分はゲームシステムだのである程度はカバー出来るからまあいいんだが、CWは元々TRPG風のシナリオを作るためのゲームだからな、どうしても浮いちまうんだ。
ボブ  :普通の人はそんな事気にしないッスよお。
ジョニー:気にするやつは結構いると思うがな。ま、正統派なシナリオがイヤだってんなら、ゲームシステム的には不似合いであるってことを理解した上で頑張るんだな。それで面白いもんが出来るようなら文句は言わねえよ。
ボブ  :うぐぅ。それはつまり、正統派なシナリオを作れってことッスか。
ジョニー:おめえに拒否権があるのか?
ボブ  :あるッス。
ジョニー:あぁん?
ボブ  :な、ないッス! すべて兄貴の言う通りッス!
ジョニー:それもまた極端だがまあいい。さっさと俺をうならせるようなシナリオを作ってみせろ。
ボブ  :イエッサー!

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