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駄作屋ボブの憂鬱

8. ギルドに登録してみたッス
ボブ  :ギルドに登録してみたんスよ兄貴ー。
ジョニー:ほぉ。いつのまにテストプレイをしたんだ。
ボブ  :いやだなぁ、テストプレイなんて兄貴にやってもらう前にやったッスよお。
ジョニー:なに? それはおまえが自分でデバグ(バグのチェック)をしたんだろ? おまえ以外は誰にやってもらった?
ボブ  :俺以外ッスか。それなら兄貴にやってもらったじゃないッスか。
ジョニー:じゃあおまえと俺以外には誰がやった?
ボブ  :誰もやってないッス。
ジョニー:……おめえ、テストプレイを甘く見てねえか?
ボブ  :そんなことないッスよ。ちゃんと兄貴に指摘された部分は直したッスよ。
ジョニー:俺の意見は絶対なのかよコラ。なんでもっと広くテストプレイを募集しねえんだ。大体俺はちょっとプレイして感想述べただけでテストプレイってほどのことはしてねえだろうが。
ボブ  :そ、そうだったんスか?
ジョニー:ったくしょうがねえなおめえは。いいか? まず最初に完成したら自分で通しプレイをするんだ。これはいいな?
ボブ  :やったッス。
ジョニー:これはデカいバグを発見するぐらいの役にしか立たないと思っておけ。自分の作ったものは自分で内容をすべて知ってるからな、細かいとこまでは気が付かない事が多い。だから他人にやってもらう必要がある。
ボブ  :兄貴にやってもらったッスよ。
ジョニー:一人だけじゃなくてだな、数人にやってもらえ。公開前に様々な意見を聞いておくのも重要なんだぜ。誤字・脱字、バグ、ストーリー面、ゲーム性、とにかく思いつく限りの事をチェックしてもらう必要がある。だからテストプレイってのは重労働なんだぜ。テストプレイヤには感謝しろよ。
ボブ  :じゃあ友人にやってもらうッス。
ジョニー:まあそれもいいけどよ、無意味に誉めるしか能のないヤツは友人としてはともかくテストプレイヤとしては役に立たねえから注意しろよ。テストプレイだっつうのに「面白かったよ」で終わりってんじゃどうしようもねえからな。まあ何も問題がなければそれもあり得るかもしれんが、どんなに熟練した作者だってさすがに何の問題もないってのは無理っぽいし、もし仮にそうであっても一体どういう面が面白かったとか言ってもらわねえと話にならねえからな。
ボブ  :せっかく誉めてくれてるのに役立たずなんて言ったら悪いんじゃないスか。
ジョニー:別に本人にそう言う必要はねえよ。それに人間としてダメだとか言ってるわけじゃねえ。テストプレイヤとしてはって話だからな。とにかく色々意見を聞いたらシナリオを修正するわけだ。
ボブ  :大変そうッスねそれ……。
ジョニー:別に全部の意見を取り入れる必要はねえよ。どの意見を採用するか、採用しないかってのは自分の判断でいいのさ。だがな、数人が揃って同じ部分を指摘してたらそりゃよく考えた方がいいぜ。もしそれがシナリオを全面修正せざるを得ないような事であっても場合によっては修正した方がいいって事もある。
ボブ  :全面修正なんて大変過ぎるッスよ。
ジョニー:確かにそうだがな、誰にも喜んでもらえないシナリオじゃ意味がねえだろ。まあいきなり修正するんじゃなくて、気になる場合はまた新たに別の人にやってもらって意見を聞いてみるとかだな、まあ自分なりに考えてやってみろ。とにかく独り善がりにしねえことだ。そのためにもホントはテストプレイヤも好きなシナリオのタイプの異なる人に頼むのがいいんだが、そこまで考えるとちょっと現実的でなくなるからな。なにせテストプレイを引きうけてくれる人がいるかどうかも怪しいとこだしよ。
ボブ  :誰もやってくれなかったらどうするんスか?
ジョニー:誰かやってくれるまで待て。
ボブ  :それでも誰もいなかったら?
ジョニー:色々なヤツに直接頼んだりして無理にでもやってもらえ。
ボブ  :そ、そこまでしないとダメなんスか?
ジョニー:ダメだ。それぐらいテストプレイは重要だと思え。
ボブ  :うひぃ。で、でもそんなにギルド登録を重く考えなくても……。
ジョニー:では聞くが、おまえは自分が最初に作ったようなシナリオをやって楽しいか?
ボブ  :なんスか? 楽しくないッスけど。
ジョニー:俺も楽しくない。多分プレイヤの大部分はそう思っているだろうな。そしてそういうシナリオは大部分の人がプレイしない。
ボブ  :そうっすよねえ……。
ジョニー:ではまた聞くが、おまえは多くの人に自分のシナリオをプレイしてもらいたいか?
ボブ  :そりゃもちろんやってもらいたいッスよ。
ジョニー:つまりそういうことだ。多くの人にやってもらいたいならそれなりの作品を作る必要がある。そのためには少々ギルドの敷居が高い方がいいのさ。
ボブ  :でも最初のうちはダメダメでも次第に上達していくんじゃないッスかね。
ジョニー:それはあるだろうな。だがな、現実問題としてプレイヤがシナリオを選ぶ際に作者の名前で選んでしまうという事が多々ある。クソ面白くねえシナリオを乱発したヤツのシナリオなんて落とす気になるか?
ボブ  :それは……ならないッスねぇ。
ジョニー:だろ。だから自分自身のためにも少しはマシなシナリオを作ってから登録しろ。少なくとも凡作程度の作品なら次も落としてもらえるかもしれんからな。
ボブ  :うう、厳しい世界ッスねえ……。
ジョニー:厳しかねえだろ。これが普通さ。それがいやならどんなシナリオでも誉めてくれるお友達相手にやってりゃいいだけの話だ。どうだ? まだやるのか?
ボブ  :俺は負けないッス。いつか名作と言われるシナリオを作ってみせるッスよ!
ジョニー:まあ頑張れや。ヘコんで愚痴るよりゃよっぽどマシだ。
ボブ  :押忍!

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