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駄作屋ボブの憂鬱

6. ダンジョンを作ったッス
ボブ  :無難にダンジョン物を作ったッスよ兄貴!
ジョニー:ふむ。ではやってみるか。
ボブ  :これなら文句のつけようがないッスよね。
ジョニー:……話にならん。
ボブ  :ええっ!? そんな酷いッスよ兄貴! Askのシナリオを参考にしろって言うからゴブリンの洞窟を参考にしたのに! その名もホブゴブリンの洞窟ッスよ!
ジョニー:洞窟に行ってホブゴブリン退治してそれで終わりじゃねえか。
ボブ  :そうッスよ。ゴブリンの洞窟だってそうじゃないッスか。
ジョニー:なあボブ。ゴブリンの洞窟はな、あくまでもCWの入門用シナリオなんだ。ただし入門用だけにキーコードを利用したアクションを取れるようになってるってのに、それを省いたら意味ねえだろうが。
ボブ  :余計なものがないほうがいいのかと思ったんスよお。
ジョニー:余計だと馬鹿野郎! ああいう細かい部分に力を入れなきゃ意味ねえだろ。よく作り込めっていつも言ってるだろうが!
ボブ  :だ、だってあんなのなくったってクリア出来るじゃないッスか。
ジョニー:それを手抜きってんだよタコ! うまく手を抜くのも技術の一つだけどよ、おめえのはただの手抜きじゃねえか。ろくな技術ねえんだからヘタに手を抜くんじゃねえ。全面的に全力で作れ!
ボブ  :うひぃ。
ジョニー:ダンジョン自体もゴブリンの洞窟並みじゃねえか。入門用と同レベルでどうすんだ馬鹿野郎。そんなシナリオ誰が喜ぶんだよ。
ボブ  :そ、それは大丈夫ッス。実はクリア後に行くと裏ダンジョンに挑戦出来るんスよ!
ジョニー:裏ダンジョンだぁ? イヤな予感がするがまあ一応やってみるか。
ボブ  :お願いするッス。
ジョニー:…………。
ボブ  :どうッスか。地下百階まであるんスよ。しかも各階ランダム生成されるんス。いやぁ、俺も上達してきたって感じッスよね!
ジョニー:なあボブ。おめえはこれを地下百階までプレイしたのか?
ボブ  :やってないッス。だってめんどくさいし。
ジョニー:その通りだ。めんどくせえから俺もやらねえ。
ボブ  :そんなあ、せっかく作ったんだからやって下さいッスよお!
ジョニー:ふざけんじゃねえ! 何の面白味もねえダンジョンを百階までなんてやってられるわきゃねえだろ! 百階まで行ったらなんかいいことでもあんのかよ!
ボブ  :百階には魔王が封印されてるんスよ! むちゃ強くてレベル10でも勝てないッスよ!
ジョニー:ほーお、そいつにやられるためにダンジョンを制覇するのか?
ボブ  :めちゃ強いスキルがあれば大丈夫ッス! 地下十階ごとに落ちてるんで探しながら攻略して下さいッス!
ジョニー:やらねえよ。
ボブ  :なんでッスかぁ!
ジョニー:ボブよ、ただ広いだけのダンジョンなんて誰も喜ばねえんだよ。CWは移動がすっとろいからな、広いダンジョンってのは敬遠されるのさ。
ボブ  :そんなぁ。じゃあダンジョンシナリオは作るなってことッスか?
ジョニー:なんでダンジョンが嫌われるかっつうとだな、それは退屈だからなんだよ。退屈に感じさせない工夫が必要ってこった。
ボブ  :それなら大丈夫ッスよ! 一歩歩くごとに50%の確率で敵が出るッスから!
ジョニー:嬉しくねえよソレ。ただでさえCWの戦闘は退屈なんだからよ、出来る限り戦闘は減らせってんだよ。大体な、冒険者ってのは別に戦うのが仕事じゃねえんだ。何が悲しくて魔物の大群と戦わなきゃならねえんだよ。限度ってもんがあるだろ。広いダンジョンだったら出現率が10%でも高いくらいだぜ。
ボブ  :じゃあ他にどういう工夫をすればいいんスか。
ジョニー:まず無駄に広いってのをやめろ。プレイヤに楽しんで欲しいなら、適度な広さでかつ覚えやすい構造にすることを心がけろ。さらにプレイヤをうならせるような見事な構造だといいが、そこまで無理にやるこたねえかな。
ボブ  :見事な構造ってどういうことッスか。
ジョニー:言葉で説明するのは難しいけどよ、階段やアイテムの配置が自然に感じられるような構造だとか、構造自体が謎解きに直結するようだと面白いよな。
ボブ  :よ、よくわからないッス。
ジョニー:まあそれはいい。あとはだな、謎解きとか仕掛けの類があるといいな。
ボブ  :謎解きって暗号とかッスか?
ジョニー:まあそれも謎解きだけどよ、俺が言ってるのはもっと広い意味だ。隠されたスイッチを押さないと先に進めねえとか、順番に扉を通らないとダメだとかよ。あとは罠だのなんだのだな。そういった仕掛けでもってプレイヤを楽しませるわけだ。
ボブ  :仕掛けッスかぁ……。そうだ! コンピュータにパスワードを入れないとダメってのはどうッスかね。
ジョニー:それもいいが、そのためには何故コンピュータが存在するのかを考える必要があるだろ。シナリオの世界観から外れた仕掛けや謎解きは浮いちまうぜ。
ボブ  :そんなことまで気にする必要あるんスかね?
ジョニー:確かにあまり深く考え過ぎても仕方ねえが、だからって軽く考え過ぎるのもいけねえ。その辺はおめえの感覚によるだろうな。浮いて感じられるか、しっくりハマって感じられるかはおめえ次第だ。
ボブ  :な、悩むッスねえ。
ジョニー:あとはそうだな、何かイベントを入れるってのもあるな。
ボブ  :イベントッスか?
ジョニー:そうだ。大掛かりな罠を外したり超えたりする際にイベント風にしてみたりとか、ダンジョン内でNPCと出会ったりとかよ。
ボブ  :ダンジョン内で仲間が増えるんスか?
ジョニー:別に増やすこたねえだろ。NPCたって魔物が語りかけてきてもいいわけだしな。別になんだっていいんだよ。とにかくただ広いだけのダンジョンは意味ねえよ。
ボブ  :ダンジョンも簡単には作れないんスねえ。
ジョニー:だから簡単に作ってもらっちゃ困るんだっつーの。おめえホントにやる気あんのか? もっと気合入れて作れよ。
ボブ  :気合ッスかぁ……。
ジョニー:声が小さーい!!
ボブ  :押忍!

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